機動新世紀ガンダムX
きどうしんせいきがんだむえっくす
――かつて、戦争があった。
概要
『機動新世紀ガンダムX』は、1996年4月5日から同年12月27日までテレビ朝日および一部地方のテレビ朝日系列にて放送された。全39話。
略称は「ガンダムX」「GX」等でキャッチコピーは「月は出ているか?」。
なお、本作が放送された1996年は、劇場版『機動戦士ガンダム』の公開前イベント「アニメ新世紀宣言」が新宿アルタ前で行われた1981年2月22日から数えて15年目にあたり、「戦後15年」という本作の時代設定、『機動新世紀』という本作のタイトルは、この『2.22 アニメ新世紀宣言』から15年の月日が経過した事を踏まえたものである
(監督の高松信司は、VHS最終巻のインタビューで「いまになって考えてみると、結局そんなもの(=新世紀)は来なかった。その実現しなかった新世紀の後を描こうとしたから、タイトルが『機動新世紀』なんです」と発言している)。
TVアニメのガンダムシリーズで初めてアバンタイトルが採用され、次回予告をED内に組み込み曲終了後に次話のサブタイトルとその台詞を登場人物が喋るシーンで締めるなど、独特な構成が取られている。
サブタイトルは全て劇中の台詞から来ており、サブタイトルだけで大まかなストーリーを思い出せるのも風変わりなポイント。オーケストラによる重厚な楽曲も外せない。
前作も作中での敵対構図が解り難かったが、本作では当初そもそも主人公にとっての「明確な敵組織」の存在が描かれておらず、地上波放映作品としては、戦時下の群像劇を描いてきたガンダム作品の中では珍しく大戦後の荒廃した世界が舞台という「重戦機エルガイム」や「戦闘メカザブングル」のような世界観描写が為されていた。
『機動戦士ガンダム』をはじめとする宇宙世紀作品で取り上げられていた「ニュータイプ」という題材に、全編を通して向き合っているのが特徴。富野監督作品以外で真正面から「ニュータイプ」について語っているのは、『機動戦士ガンダムUC』、『機動戦士ガンダムNT』と本作だけ(宇宙世紀以外の作品において「ニュータイプ」という用語が用いられるのは本作のみ)だが、今作では「ニュータイプ」という言葉に対してガンダムという作品そのものがメタフィクション的に投影されており、「ガンダムを考えるガンダム」というテーマが窺い知れる。
本作に登場する「ニュータイプ」を「ガンダム」に、そして「カテゴリーF」や「人工ニュータイプ」を「『ガンダム』になれなかったロボットアニメ」に読み換えて観れば、本作のテーマと最終盤で提示されるメッセージがより味わい深い物となるだろう。
放映当時、放送局であるテレビ朝日社内のお家騒動に巻き込まれ(これに伴い当時のテレ朝の夕方枠アニメ番組は全滅したが、2019年にクレしん&ドラコンビで土曜夕方のみ復活)、放映期間短縮や唐突な予告なし(当時の雑誌のガンプラ広告ページにこっそり書いてあった程度)の放映時間枠変更(午後5時→午前6時・関東キー局のみ)などの憂き目に会った。このため主演声優の高木渉も酒の席で「自分が不甲斐ないから…」と涙ながらに悔やみ、この事を後に本人自らネタにしている。
本作の96年内終了の噂は96年夏のコミケ等のサブカルイベントやB-CLUBに川崎ヒロユキがXのガンプラをレビューする連載で、「この忙しさは本来年末に来る筈だが」と年内完結を示唆するコメントを残していた事から上がっていた。
「ニュータイプを否定する作品」という宇宙世紀層の衝動的な解釈や、「打ち切り」という誤解も先行し、ガンダムシリーズを一度は終了させたこともあって不遇な扱いを受けていた。その他、Vガンダム以降から積み重なってきた平成ガンダムシリーズの視聴率不振と、平成新局を含めた系列局からのネット拒否によるネット局減少も重なり、その負債を背負わされており、前二作ではメインキャラ全員に用意されたキャラクターソングが、本作では主人公とヒロインの二人に絞られるなど展開も縮小されていた。
90年代以降の作品としては現在も決して知名度の高い作品とは言えないが、インターネットの発達とDVD、新作プラモの発売等により、後年になって再評価自体はされつつある。
特にTwitterでは「サテライトキャノンを彷彿とさせる武器を使用するキャラがソーシャルゲームで実装された時」や、「皆既月食が起きた時」など、近年何かにつけてトレンドに上がることが多い。
後にTwitterの名称そのものが「X」となったのは何の因果か。
とはいえ後年においても「Vガンダム」と並んであまり公式からの扱いがよくないガンダムである。特に多数の作品が共演する作品においては、参戦機体数の減少など扱いが軽んじられやすい作品となっている。
一方メインキャラはデビュー仕立ての中井和哉や、かかずゆみのような当時無名だった新人はどちらも大成している。また、ガンダムシリーズを経験していた堀内賢雄など、放送から25年が経過した2021年現在でもキャストが長寿アニメを筆頭に知名度の高い作品のレギュラーを張っている有名声優が多い。
ストーリー
第7次宇宙戦争。人類と地球に壊滅的な打撃を与えたこの勝者無き大戦争は、コロニー群と地球との泥沼の戦いの末、コロニー落とし作戦の強行によって凄絶な幕引きを迎えた。常軌を逸するほど大量の数のコロニー落としによって100億を誇った地球人類の99%以上が死滅。それに続く核の冬の到来による地球環境の激変。
それから15年の月日が流れたところから物語は始まる。
新たな世紀であるA.W.(アフターウォー)15年。荒廃した地球、北米で生きる戦災孤児の少年ガロード・ランは、ジャンク屋やモビルスーツ狩りを生業として逞しく生きていた。そんな彼の腕を聞きつけたのか、ある依頼が舞い込む。バルチャー艦・フリーデンに誘拐されたティファ・アディールという少女を取り戻してほしい――依頼を人助けと捉え、ガロードは単身、フリーデンに忍び込む。
しかし、いざ対面したティファに一目惚れした彼は、引き合わせた依頼主を見て激しく怯え出す彼女を連れて逃走。ティファの不思議な導きによって寂れた施設に逃げ込んだガロードは、そこに横たわる白いモビルスーツと出会う。
登場人物
※★印はレギュラーまたは重要人物。
メインキャラ
フリーデン乗員
新地球統合連邦政府(新連邦)
- フィクス・ブラッドマン(CV:青森伸)
- アイムザット・カートラル(CV:石塚運昇)
- カトック・アルザミール(CV:広瀬正志)
- デマー・グライフ(CV:遊佐浩二)
- ドゥエート・ラングラフ(CV:真殿光昭)
- ミルラ・ドライド(CV:津久井教生)
- アベル・バウアー(CV:中村秀利)
- カロン・ラット(CV:浦和めぐみ)
- ロマノフ(CV:堀之紀)
- カザフ(CV:稲葉実)
宇宙革命軍
アルタネイティブ社
- フォン・アルタネイティヴ(CV:藤本譲)
- ライク・アント(CV:稲葉実)
バルチャー
エスタルド
アフターウォーの機動兵器
各話リスト
話 | サブタイトル/台詞 | 発言主 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | 月は出ているか? | ジャミル・ニート | |
2 | あなたに、力を… | ティファ・アディール | サテライトキャノン発射 |
3 | 私の愛馬は凶暴です | シャギア・フロスト | フロスト兄弟及びガンダムヴァサーゴ・ガンダムアシュタロン初登場 |
4 | 作戦は一刻を争う! | ジャミル・ニート | |
5 | 銃爪(ひきがね)はお前が引け | ジャミル・ニート | Xのショルダーバルカン登場 |
6 | 不愉快だわ… | サラ・タイレル | |
7 | ガンダム、売るよ! | ガロード・ラン | エニル初登場 |
8 | あの子、許さない! | エニル・エル | |
9 | 巷に雨の降るごとく | テクス・ファーゼンバーグ | |
10 | 僕がニュータイプだ | カリス・ノーティラス | カリスとベルティゴ初登場、Xのサテライトシステム破壊 |
11 | 何も考えずに走れ! | ジャミル・ニート | ガンダムXディバイダー初登場 |
12 | 私の最高傑作です | ノモア・ロング | |
13 | 愚かな僕を撃て | カリス・ノーティラス | |
14 | 俺の声が聞こえるか! | ガロード・ラン | エアマスターのショルダーミサイル、レオパルドのセパレートミサイルポッドが登場 |
15 | 天国なんてあるのかな | ロアビィ・ロイ | |
16 | 私も人間(ひと)だから | ティファ・アディール | 水着回 |
17 | あなた自身が確かめて | ティファ・アディール | |
18 | Lorelei(ローレライ)の海 | オルバ・フロスト | |
19 | まるで夢を見てるみたい | ルチル・リリアント(ティファ・アディール) | |
20 | …また逢えたわね | エニル・エル | |
21 | 死んだ女房の口癖だ | カトック・アルザミール | ヴァサーゴのストライクシューター、アシュタロンのビームスピア登場 |
22 | 15年目の亡霊 | カトック・アルザミール | ガンダムダブルエックス初登場 |
23 | 私の夢は現実です | ティファ・アディール | |
24 | ダブルエックス起動! | ガロード・ラン | ダブルエックスへと主役機交代 |
25 | 君達は希望の星だ | リー・ジャクソン | |
26 | 何も喋るな | ウィッツ・スー | ガンダムエアマスターバースト初登場、コルレル登場 |
27 | おさらばで御座います | リー・ジャクソン | |
28 | 撃つしかないのか! | ガロード・ラン | |
29 | 私を見て | ティファ・アディール | |
30 | もう逢えない気がして | ティファ・アディール | ガンダムレオパルドデストロイ初登場 |
31 | 飛べ、ガロード! | ジャミル・ニート | |
32 | あれはGファルコン! | ランスロー・ダーウェル | パーラ・シスとGファルコン初登場 |
33 | どうして俺を知っている!? | ガロード・ラン | |
34 | 月が見えた! | ガロード・ラン | ガンダムヴァサーゴチェストブレイク、ガンダムアシュタロンハーミットクラブ初登場 |
35 | 希望の灯は消さない | カリス・ノーティラス | |
36 | 僕らが求めた戦争だ | オルバ・フロスト | |
37 | フリーデン発進せよ | ジャミル・ニート | |
38 | 私はD.O.M.E…かつてニュータイプと呼ばれた者 | D.O.M.E. | |
39 | 月はいつもそこにある | ナレーション |
主題歌
オープニングテーマ
「DREAMS」(1話 - 26話)
作詞・作曲・編曲 - RO-M / 歌 - ROMANTIC MODE
「Resolution」(27話 - 39話)
作詞 - 西脇唯 / 作曲 - ジョー・リノイエ / 編曲 - ジョー・リノイエ、鈴川真樹 / 歌 - ROMANTIC MODE
エンディングテーマ
「HUMAN TOUCH」(1話 - 13話、39話)
作詞 - Susanne Marie Edgren / 作曲・編曲 - Tom Keane / 歌 - Warren Wiebe
「HUMAN TOUCH(日本語版)」(14話 - 26話)
作詞 - Susanne Marie Edgren / 日本語詞 - 許瑛子 / 作曲 - Tom Keane / 編曲 - 須藤賢一 / 歌 - re-kiss
「銀色Horizon」(27話 - 38話)
作詞 - 小室みつ子 / 作曲 - 濱田金吾 / 編曲 - TOM KEAN / 歌 - 中瀬聡美
ナレーション
本編:光岡湧太郎
サブタイトルコール:なし
関連作品
漫画版
(漫画家:ときた洸一)
放映当時にボンボンで連載。
ニュータイプ戦士ジャミル・ニート
(漫画家:ときた洸一)
過去のジャミルを主人公とした前日譚。
機動新世紀ガンダムX〜UNDER THE MOONLIGHT〜
(脚本:大島千歳 原画:赤津豊)
- ガンダムベルフェゴール
- ディクセン・ホーネット
- ディクセン・モードエックス
あなたと、一緒なら
(監修:高松信司 ストーリー:川崎ヒロユキ 漫画:ときた洸一)
2018年3月23日発売のBlu-ray Boxに付属する新作エピソード。後に、2022年1月26日に発売された前述の漫画版のリマスター新装版「機動新世紀ガンダムX Re:Master Edition」第3巻に収録。
ゲーム版
単独タイトルでのゲーム化はされていないが、ガンダム関係のゲームの多く(スーパーロボット大戦シリーズを含む)に客演している。
ガンダムXの都市伝説
- 如何やら初期案ではファーストガンダムのif展開として、最悪の結果に終わった一年戦争案もあったと言われているが、それが実現していたら史実よりも賛否両論の物議を醸した可能性が高く、この構想は寧ろ実現しなくて良かったと言える。
- 放送終了後、時代と共に都市伝説は深まり、話数短縮が無ければ「全46話説」や「全50話説」が言われる様になり、「最後はジャミルも戦死する」等、色々生まれた。現に当時、アニメージュでのインタビューで「(放送が)短縮されるため後半の再構成を行う羽目になった(ダブルエックス登場が前倒ししたあたりからそれは決まった様子)」、「宇宙編のキャラ(ランスローやパーラなど)が掘り下げられなかったのが残念だった」という話から本来なら4クール放送する予定だったことが見受けられる。
- 序でに本作が短縮されず、放送枠継続だった場合、次番組はSDガンダムを題材にしたアニメが導入される予定だったと言われている。
- 2024年7月6日(JST基準)現在、イラスト生成サービス“NovelAI Diffusion Anime V3” のプロンプトに取り敢えず名前だけ打ち込んだ後、ザッと整えるだけでそれっぽくなるキャラの中にティファがいる。NovelAI DiffusionのAIサンプリングはWeb上のデータから採取しているため、NovelAI Diffusion が出しやすいキャラは、それなりにWeb上での知名度が高いと言える。最も学習の深度が高いのが「名前だけで出る」で、ガンダムヒロインだとラクスとそのパチモンぐらいしかいない(ただルナマリアはちょっと不利で、名前に映像のイメージが湧きやすい単語が使われているために、AIが別の解釈をしてしまう為、ティファのように調整が必要になる)。なんと驚くべきことに同じ平成三部作ヒロインのレインとリリーナは名前だけでは跡形すら再現されず、宇宙世紀はハマーン様とプル、プルツーぐらいがティファと同程度(取っ掛かりを見つけて調整するとそれっぽくなる)、セイラさんが日本語サジェストワードにすらなっていない。ちなみに同じSEEDでもカガリはだいぶしばきたo(げふんげふん もとい調整する必要がある。また、ルナマリアがそうであるように近い名前や紛らわしい単語があると除外してやる必要があるのだが、なんとティファ・アディールは世界的ヒロインであるティファ・ロックハートという競合相手がいるにもかかわらずロックハートの要素が入り込んでくることがほとんどない。意外と、日本のファンが思っているより知名度は高いのかもしれない。
関連動画
関連タグ
ガンダム アナザーガンダム ガンダム平成三部作 サテライトキャノン ポストアポカリプス ロストテクノロジー ボーイミーツガール
- 機動戦艦ナデシコ
- 第17話は機動新世紀ガンダムXのシリーズ構成を手がけた川崎ヒロユキが脚本を担当しており、機動新世紀ガンダムXの制作時の裏事情をパロディー化した話となっている。
- 未来少年コナン
- 本作に影響を与えた作品。
- 魔法少女まどか☆マギカ
- こちらも劇中に登場した人物の台詞がサブタイトルになってる作品。
シリーズ
新機動戦記ガンダムW ← 機動新世紀ガンダムX → 新機動戦記ガンダムW EndlessWaltz
外部リンク
この先、本作及び『機動武闘伝Gガンダム』の未視聴者には致命的なネタバレを含みます
ニュータイプヒロイン、悪女、強化人間が揃って生存
本作の特徴のひとつとしてよく上げられるのが、カリスの生存エンドであることである。カリスは“人工ニュータイプ”という、いわゆるガンダムシリーズの“強化人間”枠のキャラクターである。
富野由悠季監督の宇宙世紀シリーズでは、フォウ・ムラサメ、プルツー、ギュネイ・ガスなど、基本的に強化人間は死亡する運命だった。主人公と良好な関係を築けたエルピー・プルも例外ではなかった。
このことから、視聴者の一部から「カリスは強化人間枠として初の生存者」と言われるのだが、これは間違い。強化人間枠キャラとして初の生存は、2作前の『機動武闘伝Gガンダム』のアレンビー・ビアズリーである (凶暴性を強化され、しかも外部から操作可能な「バーサークシステム」の存在や、一時DG細胞に蝕まれたことなど)。
どうしてこう書かれてしまうのかと言うと、どちらもガンダム作品の異色作であるため、どちらかを視聴していない層がある程度存在するためである。
だが、『ガンダムX』がこの面で特筆されるのは、カリスだけではなく、他にもガンダムシリーズでバッドエンドが約束されていた“悪女”枠、そして“ニュータイプヒロイン”の全員が生存した点である。
“悪女”枠は、宇宙世紀の代表的なキャラとしては、キシリア・ザビ、シーマ・ガラハウ、カテジナ・ルースがいる。以前にも唯一カテジナが生存しているが、末路はすべてを失った状態で精神的にもほぼ死んだ状態という、ある意味彼女の「死でも贖いきれない罪」を象徴している終わり方である。
ガンダムXでこの枠に当てはまるのはエニルだが、主人公ガロードの心は掴めなかった負けヒロインではあるものの、最後はイケメンレギュラーキャラのロアビィとちょっといい感じになって終わる。
“ニュータイプヒロイン”は、ララァ・スン、“強化人間”枠と重なるが、フォウ・ムラサメ、エルピー・プルがこれに当たる。この枠もテレビシリーズに限って言えば、ガンダムX以前は全員が死亡している。
ガンダムXでこの枠に当てはまるのはずばりティファであり、実際中盤差し掛かり頃までは、そうなってもおかしくない儚さを持っていた。だが、事実上ハッピーエンドの中、主人公ガロードとのカップル成立となって物語は終わる。
ガンダムXはとにかく、一旦味方側になった五体満足で現在を生きる人間の不幸を、ガロードが仲間とともにすべて覆した物語である。いきなりコロニー流星群で人類が悲惨な状況という世界観の説明から、ガンダムを前面に押し出し、モビルスーツ戦、戦争と人身の荒廃をこれでもかと描いた点では一見、ガンダムのテンプレートかのように見える本作だが、その結末は多少の火種は燻りつつも、大団円で終わるという、「史上最もガンダムらしくないガンダム」である。
逆に、Gガンは放映当初こそ「ガンダムである必要性がわからん」と酷評された。だが、主人公ドモン・カッシュの心に大きく影響する人物だが、“強化人間”枠に入ってしまったシュバルツ・ブルーダーや、ギレン・ザビ、ハマーン・カーンといった“思想悪”枠に陥った東方不敗など、ドモンの心の成長やその後の世界のあり方に大きな影響を残したものの、死の運命からは逃れていない、など、独特の作風に誤魔化されがちだが、このような過酷な状況や結果を回避しておらず、特に『機動戦士ガンダムSEED』放映後の現在は「荒唐無稽の皮を被った正統派ガンダム」と評されることが多い。
ちなみに物語開始時に一家離散・事実上の天涯孤独という点は、ガロードとドモンの共通点で、他にシン・アスカ(『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』)、刹那・f・セイエイ(『機動戦士ガンダム00』)がいる。