概要
「なお、エンジェルスは敗れました」の略語&俗語。
日本人メジャーリーガー、ロサンゼルス・エンジェルスに所属中の大谷翔平選手に纒わるネットスラングのひとつ。
スポーツ報道風に「大谷翔平選手は今日もリアル二刀流で八面六臂の大活躍をしました」
「なお、エンジェルスはo-xで敗れました」
大谷選手がエンジェルスで投打二刀流でどれだけ大活躍し結果を叩き出しても、その他の選手達が彼を援護するどころか彼の手足を引っ張り試合を落とす(中継ぎ・抑えが打ち込まれて逆転される、反対に相手打線を最少失点に抑えても自軍の打者陣がヒットをまったく打てずに追加点が奪えない、最も酷い時には捕手の1イニングに2つの打撃妨害が起因となってサヨナラ逆転負けを喰らってしまった等々)そんな野球ファンの嘆き節を端的に表現したネットスラング。
アメリカ国内でも、「Tungsten Arm O'Dyle(タングステン・アーム・オドイル)」という、ジャパンの「なおエ」に相当するスラングが存在している(参考)他、大谷選手やトラウト選手をはじめとする優秀な選手が弱小チームで飼い殺しにされている現状を、「アナハイム刑務所(Angels Prison)」と揶揄する声もある。
優秀な選手が孤軍奮闘してもその活躍にチームが応えられない状況を嘆いているのは日米共通と言えよう。
因みに、逆に彼が結果を全く残せなくても、味方が活躍してエンジェルスが勝利する現象を「逆なおエ」とも呼ばれる。
「なおエ」に対するネットでの反応
「なおエ」が実際に発生した際のネットの反応は下記の通り。
- オオタニさん相変わらず凄すぎる、でもなおエ
- オオタニさん28号、なおエすぎる
- 大谷翔平8打点、なおエ
- オオタニさん4打数3安打2本塁打8打点、なおエ定期
- こんなに悲しいルーズヴェルトゲーム(7-8)があるんか?
- 1試合に7本塁打で負けるっていったい何があったんや?
- 7本塁打が全部ソロで「なおエ」できるって、エンジェルス芸術点高すぎるやろ
- 兜を冠って「なおエ兼続」って芸術点高すぎて、オオタニさんお笑いでもやっていけるやろ
- 「なおエ」は「なおエ」でも、オオタニさん兜を冠っておるから、ホンマに「なおエ兼続」やな
- 「なおエ兼続」って笑っちゃアカンけど、芸術点高すぎて思わず笑ってまうわ
- めちゃくちゃ最高傑作すぎて、2023年の流行語大賞は「なおエ兼続」で決定やな
- 6-0から11-12まで、伝説的な「なおエ」試合を見たわ
- エンジェルスはん、打線爆発と投手陣爆発を同じ試合で同時にやらかしおったわ
- オオタニさんに続き、二刀流選手が(野手登板で)二日連続で誕生しおったわ
- オオタニさん、サイクルヒット・サイクルリーチ
- オオタニサン、サイクルヒットならず~
- オオタニさん、2021年からサイクルヒット未遂多過ぎるやろ
- サイクルヒットのチャンスってそんなに多くあるもんやったっけ?
- でも1日4本もヒット打ってしまうオオタニさんすごすぎるわ
- ヒット打って悲しませる男、それこそがオオタニさんやわ
- 今シーズンのみで3度目のサイクルヒット未遂、見ておるこっちの感覚のほうがおかしくなっておるわ。4安打も充分立派な成績やわ
- サイクル安打未遂を1シーズンに3回もやらかすオオタニさんがいても負けるエンジェルスって、芸術点がめちゃくちゃ高すぎるやろ
- 本塁打と打点で両リーグ二冠王のオオタニさんがいても勝てへんエンジェルスって、ホンマに呪われておるやろ
- ドジャース相手にせっかく7回12奪三振1失点好投しても、エンジェルス打線が沈黙・見殺しとか、オオタニさんがホンマに可哀想やろ
- オオタニさんドジャースにすぐにでも行って、「なおエ」を吹き飛ばして欲しいわ
- 長打(三塁打)を含む3安打打って不調扱いされる、それがオオタニさんや
- オオタニさんが月間本塁打記録の自己最多&エンジェルス最多&日本人最多(松井秀喜氏含む)を「14本」に更新しても勝利で飾れへんのがいつものエンジェルスやな
- オオタニさんが月間本塁打記録を「15本」ときりが良く更新できたのに、エンジェルスは相変わらずまるで成長できへんなあ
- オオタニさんが6度目のサイクルリーチを演じても勝てへんなんて、ドジャースにトレードもう確定やろ
- オオタニさん3安打!32号!またもサイクル未遂!でも「なおエ」
- オオタニさんがエンジェルスにいる限り投手として20勝は出来ないんだろうな
- オオタニさん本塁打めでたいけど、「なおエ」すぎて泣いてまう
- 前半だけで6度のサイクル未遂が異次元すぎる
- チームに大谷翔平選手がいてどうやったら借金が出来るのか教えてくれ~
- オオタニさん32号なれども、エンジェルスは「なおエ」で借金「1」は切ないわ~
- オオタニさん40号でテンション爆上がりから敵の満塁ホームランで逆転負けでワイらの脳がバグりそうや。エンジェルス完全終了のお知らせやな
- 結局オオタニさんの個人成績のみが伸びた、痛すぎる1敗や
- エステヴェスさん、逆転満塁「なおエ」本塁打被弾
- エンジェルスの試合がカオス過ぎるわ
- これぞエンジェルスとしか言いようがあらへんわ
- オオタニさんのグランドスラムが出たのに、エンジェルスさんまた負けたんですか?
- エンジェルスって、冗談抜きで堕天使球団やろ
- 「グランドスラム」と「トリプルプレイ」が同一試合で成立されて負けたのは、1857年以来166年ぶりの珍記録って、堕天使球団の極みやろ。
- 1857年以来166年ぶりって、ジャパンやと丁度江戸時代の幕末真っ只中やったやろ
- 166年前のアルバカーキ・ストリング・ビーンズって、随分とけったいなオールドチームが出てきおったわ
- 「グランドスラム」と「トリプルプレイ」を同時に決めても勝てへんなんて、堕天使球団に三下り半を突き付けドジャースにFA移籍するには絶好すぎる「なおエ」試合となったわ
- フリーマン選手やベッツ選手達が今頃ドジャースで手ぐすね引いて待っておるやろな~
- 僅か6週間のAA21試合でメジャーデビューを果たしたシャヌエル選手が大谷選手のグランドスラムをアシストする四球を選んだり、レフトに流し打ってメジャー初ヒットをマークしたり、ファーストからホームに軽快に送球しトリプルプレイを成立させるなど、ルーキーらしからぬ活躍を披露したのに、彼のメジャーデビュー戦を勝利で飾れへんところが如何にも「なおエ」の堕天使球団やな
- オオタニさん、靱帯損傷してシーズン終了しただけでなく、同学年の藤浪に先を越されたのあまりにも可哀そうすぎる
- エンジェルスってホンマは「なおエ」のお笑い球団やろ
「なおエ」集
代表的な「なおエ」試合
※なお下記の実例は、「なおエ」がネットやスポーツ報道でも公開されてからのものとする。
日付は現地アメリカ時間。
- 2021年6月29日 ニューヨーク・ヤンキース戦で2本塁打3打点の活躍を見せたが、チームは5−11で敗戦した。
- 2022年6月21日 カンザスシティ・ロイヤルズ戦では9回に同点3ランを放つなど2本塁打、自己最多かつ日本人メジャーリーガー歴代最多な8打点を叩き出す活躍を見せたが、チームは延長戦の末11-12で敗戦した。1920年に打点が公式記録となって以来、8打点以上を挙げチームが負けた打者は史上5人目。またリードを一度も奪えなかった展開に限ると、初めてのことだった。ファンの間では「なおエ」の象徴的な試合とされている。
- 2022年7月8日 ボルティモア・オリオールズ戦では本塁打を含む3安打の活躍を見せたが、チームは4-2で迎えた9回裏に打ち込まれ、逆転サヨナラ負けを喫した。
- 2022年8月4日 オークランド・アスレチックス戦で2本塁打を放ち、チーム全体でも7本塁打を放ったが、チームは7-8で敗戦した。
- 2022年10月5日 シーズン最終戦となった敵地オークランドでのアスレティックス戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場し、1シーズンで166イニング666打席をマークしメジャー史上初となる投打ダブル規定到達を達成し、衝撃的な二刀流イヤーを締めくくった。ところが5回を投げて1被安打6奪三振1失点の力投も試合は2-3で敗れ9敗目を喫し、彼の好投と大偉業を勝利で飾れず見殺しにされてしまった。
- 2023年3月30日 敵地オークランドでのアスレティックスとの開幕戦に3番・投手兼指名打者で先発出場。6回10奪三振無失点と試合を作り、打者としても1安打を打った。しかし、後続が打たれて1-2で敗れた。MLBの記者によると、1901年以降の開幕戦で10奪三振無失点を記録した投手は26人目だが、その投手のチームが敗れたのは初めてだという。
- 2023年4月9日 花巻東高校の先輩で、トロント・ブルージェイズの先発投手である菊池雄星投手からホームランを放ったにもかかわらず、延長戦の末11-12で敗れた。ジャパンの視聴者からしてみれば、菊池投手は勝ち投手になれないわ(一応敗戦投手にもならなかったが…)、大谷選手のホームランが空砲になるわと、どちらのファンからしてみても散々な試合になってしまったと言える(特に岩手県民は殊更だっただろう…)。
- 2023年4月15日 敵地ボストンでのボストン・レッドソックス戦で4打数2安打1打点と活躍。昨季から続いている連続出塁記録を自己最長の「36」に更新したものの、終盤でマット・サイス捕手が打撃妨害を1イニングに2回も犯し、それが起因となり7-9で逆転負けを喰らってしまった。なお、レッドソックス所属中の吉田正尚選手は負傷でスタメンから外されていた。
- 2023年4月29日 ブリュワーズ戦で5打数3安打2盗塁、トラウト選手も4打数3安打2本塁打1四球5打点、とダブル主砲が大活躍し、トラウト選手がチーム全打点を叩き出した。しかし、先発を務めたリード・デトマーズ投手の序盤での大乱調が大きく響き、5-7で惜敗し、貯金が再び0となってしまった。
- 2023年5月7日 本拠地アナハイムでのテキサス・レンジャーズ戦で「3番・DH」で先発出場し、3打数2安打2四球1打点。今季11度目のマルチ安打で打率.295としたが、先発ホセ・スアレス投手が打ち込まれ、負傷もあって2回2/3を被安打6の7失点で降板し、2番手のチェイス・シルセス投手も6失点、3番手のクリス・デヴェンスキー投手も3失点という散々な内容だった。エンジェルスは17被安打を浴び、16失点で連敗を喫した。大谷選手の勢いに乗りたいところだったが、チームはレンジャーズ打線を止められず今季ワーストの16失点。打線は13安打8得点と奮闘したが、序盤の大量失点を最後まで挽回することはできなかった。なお、9回にはジェイク・ラム選手がマウンドに上がり、前日6日のブレット・フィリップス選手に続き、2試合連続で野手登板が行われた。2戦で計26失点と投壊で2連敗。首位攻防3連戦は1勝2敗で負け越し、ゲーム差は2に広がった。ネット上では「大谷選手に続き二刀流選手が二日連続で誕生しおったわ」「エンジェルスには数多くの二刀流選手がおるわ」と大谷選手の「専売特許(二刀流)」を逆手にとり、レンジャーズとの3連戦で30失点を喫した投手陣の脆弱さが表現され皮肉られてしまった。
- 2023年5月10日 本拠地アナハイムでのヒューストン・アストロズ戦に「3番・DH」で出場し、9回に8試合ぶりな一発となる8号2ランを放ち、4打数1安打2打点、打率2割9分3厘となった。続くアンソニー・レンドン選手が遊撃内野安打、5番ハンター・レンフロー選手が中前打と一気にサヨナラ勝ちのムードが高まった。しかし、ブランドン・ドゥルーリー選手が空振り三振、タイス捕手が遊飛、ジオ・ウルシェラ選手が遊ゴロに倒れるとタメ息が一斉に上がった。先発したグリフィン・キャニング投手の序盤の5失点が大きく響き大谷選手の終盤の2ランもあと一歩及ばず、チームは4―5で敗れて2連敗となってしまった。
- 2023年5月13日 敵地クリーヴランドでのガーディアンズ戦に「3番・DH」で先発出場。3回無死一、二塁で迎えた第2打席、ガーディアンズ先発右腕のキャル・クワントリル投手から左翼左へ適時二塁打を放つなど4打数1安打1打点1四球だった。エンジェルスは大谷選手の適時二塁打などで8回表を終えて6―2とリードしていた。だがその裏、救援陣のアンドリュー・ワンツ投手、ライアン・テペラ投手がつかまり6失点。9回の反撃はならず、6-8と手痛い逆転負けを喫した。なおこの試合後、テペラ投手が事実上の戦力外通告を受けてしまった。
- 2023年5月14日 敵地クリーヴランドでのガーディアンズ戦に「2番・DH」で先発出場。4打数1安打1打点、9回に意地なタイムリーを放ったが、チームは接戦を落とした。エンジェルスがサンドバル投手、ガーディアンズはタナー・バイビー投手、高校のチームメイト同士の先発対決となったこの試合。ルーキーのバイビー投手が8回途中まで2被安打、1失点とほぼ完ぺきな投球を見せれば、高校の先輩・サンドバル投手も同じく8回1死まで1失点投球。しかし、サンドバル投手の後を受けたエンジェルスのクローザーのカルロス・エステベス投手がガーディアンズの4番のジョシュ・ネイラー選手に2試合連続となる痛恨な勝ち越し3ランを被弾した。主砲・トラウト選手が休養で先発を外れ、9試合ぶりとなる2番で出場した大谷選手は第1打席でセカンドゴロ、第2打席、第3打席は連続三振、9回に回ってきた第4打席はセンターへタイムリーヒットを放った。エンジェルスは前日の逆転負けに続き、これで2連敗。2試合続けて接戦を落とし、好投したサンドバル投手に勝ち星を付けることができなかった。
- 2023年5月20日 本拠地でのツインズ戦に「3番・DH」で出場し、4打数1安打1打点。ツインズのバーランド投手から6回に2試合ぶりの本塁打となる11号ソロを放ったが、終盤にブランドン・ドルーリー選手とジオ・ウルシェラ選手の送球エラーの乱れもあり2-6で試合に敗れた。11本塁打、32打点はともにチームトップだが、勝利には直結しなかった。
- 2023年5月27日 本拠地アナハイムでのマーリンズ戦に「3番・投手」リアル二刀流で先発し、6回6被安打2失点(自責点1)10奪三振、防御率2.91。今季奪三振は「90」となり、 ケビン・ガウスマン投手(ブルージェイズ)の89奪三振を抜いてリーグトップとなった。打っては4打数無安打1四球だった。大谷選手が6回で109球を投げ、降板が見込まれていた直後の攻撃。1-2の6回裏2死二・三塁から代打マット・タイス選手が逆転の2点適時右前打を放ち、6勝目の権利を与える一打。6勝目の権利を味方の奮闘で手にしたが、7回にマウンドに上がったチェース・シルセス投手が逆転2ランを被弾し勝ち星が消滅した。日本人ファンは「出たーーナイトメアボロボロパターン」「FAした方がいい」「勝ち投手無くなった………」「涙ちょちょぎれますよ」と嘆いた。そして延長10回にまさかのミスを連発して敗れた。4―4の同点で延長戦に入ったが、10回裏1死一・二塁の守備で、左中間の飛球を左翼のミッキー・モニアック選手が落下点に入りながら落球。記録は二塁打となったが、まさかなミスで勝ち越し点を許した。さらに1死満塁からの投ゴロを本塁、一塁と転送して併殺なのかと思われたが、サイス捕手が本塁ベースを踏み損ねており、マーリンズがチャレンジした結果、本塁の判定がセーフに変更された。この後、さらに適時打を許してリードを4点に広げられて、その裏に1点を返したものの5―8で敗戦した。
- 2023年5月30日 敵地シカゴでのホワイトソックス戦に「3番・指名打者」でフル出場。4回の第2打席に一時勝ち越しとなる特大な13号ソロを放ったが、チームは逆転負けを喫し連勝を逃した。1-1の同点で迎えた4回の第2打席、イニング先頭でホワイトソックスの先発右腕ルーカス・ジオリト投手と対戦。2ストライク後の94マイル(約151キロ)の高め速球を捉えた打球は、中堅フェンスを軽々と越える13号ソロとなった。打球速度110.2マイル(約177キロ)、飛距離435フィート(約133メートル)の特大弾。24日のレッドソックス戦以来、5試合ぶりの一発となった。エンジェルスはその後も打線がつながり、7番ジョバンニ・ウルシェラ選手の中犠飛で3点目。リードを2点に広げ、試合の主導権を握ったのかに思われた。しかし直後の4回裏、先発タイラー・アンダーソン投手が無死満塁の大ピンチを招くと、6番アンドリュー・ボーン選手に走者一掃の適時二塁打を浴びあっさり逆転を許してしまう。アンダーソン投手はその後も適時二塁打を許すなど4回だけで一挙5失点。計4回6被安打6失点で降板した。エンジェルス打線は5回以降、ホワイトソックス投手陣にわずか1安打のみに封じられ逆転負け。残る貯金は「2」となり、大谷選手は4打数1安打1打点1本塁打で打率は.263となりメジャー通算140本塁打をマークしたが、勝利には直結しなかった。
- 2023年6月3日 敵地ヒューストンでのアストロズ戦に「1番・DH」で先発出場。エンジェルスは先発のサンドバル投手が乱調。4回途中、3失点目を喫してなおも満塁で降板した。守備で連携が乱れるなど精細を欠いた。直後に2番手ジェイコブ・ウェブ投手がアレックス・ブレグマン選手に満塁弾を被弾。7回には打者10人の猛攻で2点差まで迫ったが、期待な剛腕ルーキーのベン・ジョイス投手もソロを含む2失点とリードを広げられるなど強力なアストロズ打線を食い止められなかった。一方大谷選手はあと本塁打で自身2度目のサイクル安打に迫る5打数4安打2打点をマークし、今季2度目の1試合4安打を放った。第1打席にセンター前ヒット、第2打席に右中間へのスリーベース、第4打席にレフトフェンス直撃のトゥーベースと、全方向に3本の安打を放った。9回先頭で迎えた第5打席は中前打でサイクルは逃したが、復調の兆しを存分に見せた。自身2度目のサイクル安打こそ逃したものの1番打者として充分な働きをしたが、チームは大量9失点が響きチームは6-9で敗れて3連敗を喫し、勝率5割に逆戻りした。彼のサイクル未遂はこれで今季3回目となった。
- 2023年6月17日 敵地カンザスシティでのロイヤルズ戦に「2番・指名打者」で先発出場し、7回の第4打席で23号ソロを放ち、ナリーグ本塁打王であるピート・アロンソ選手(22号)を抜き去り、メジャー全体の単独本塁打王に君臨した。しかし、チームは9-10で最大6点差を逆転サヨナラ負け。大谷選手は7回の本塁打で日本人選手では松井秀喜氏(175本)に次いで2人目となるメジャー通算150号に到達し、暫定ながら本塁打と打点で両リーグトップの2冠王に君臨した。だが、チームは9回にサヨナラ負けを喫し、連勝が「2」でストップした。
- 2023年6月21日 本拠地アナハイムでのドジャース戦に「2番・投手兼DH」で出場した。7回を投げ、5被安打、1被本塁打、2与四球、12奪三振、1失点の好投も、打線の援護なく3敗目(6勝)を喫した。打撃では、3打数無安打1四球、打率は.292と下がった。大谷選手はこの日101球を投げ、ストライクは77球。ストライク率76%は今季最高をマークした。直球は全投球の約50%を占める50球で、割合、球数ともに今季最多。大谷選手が力で初対戦のドジャース打線を圧倒した。最速は2回にブッシュ選手を空振り三振に仕留めた100.3マイル(約161キロ)。今季5度目の二桁奪三振となる12奪三振の内、直球で7つを奪う力の投球だった。しかし、痛恨な1球に泣く。4回、2020年のナリーグMVPのフレディ・フリーマン選手に対し、カットボールが甘く入り中堅左へ14号ソロ本塁打。失点はこの1点のみだった。前夜、サイ・ヤング賞左腕クレイトン・カーショウ投手に連続試合安打を15で止められた打撃は、この日も快音は聞かれず2戦連続無安打で自身を援護できなかった。また味方打線も2安打無得点で大谷選手を見殺しにしてしまった。
- 2023年6月23日 敵地デンバーでのロッキーズ戦に「2番・指名打者」で出場した。この試合で勝ち越し弾となる今シーズン25号、日米通算200号ホームランを達成した上に、今シーズン5度目となるサイクルリーチの猛打賞となったが、終盤でデベンスキー投手が痛恨の満塁ホームランを打たれ、チームは4―7で逆転負けを喫した。なお、この試合ではトラウト選手・大谷選手の両雄が共に本塁打を放つ“トラウタニ弾”が見られ、これまでトラウタニ弾が出た試合でエンジェルスは必ず勝つというジンクスがあったが、今回の敗戦でその“不敗神話”も崩れ去ってしまった。
- ちなみに、翌日の試合では前日のお返しと言わんばかりにメジャー49年ぶりとなる先発全員安打&打点、23年ぶりの球団タイ記録となる1イニング13得点・4本塁打、球団新となる28安打・25得点という凄まじい猛攻でロッキーズに大勝している。ただし、大谷選手はこの試合では7打数1安打・1打点とイマイチパッとしない成績で、先発陣で唯一マルチヒットを達成できず(同時に、マークした安打も一塁打であったため、敵地での連続長打記録も10でストップしてしまった)典型的な“逆なおエ”となってしまった。もっとも、1点だけとはいえタイムリーヒットで点はキッチリと取っているので、最低限な仕事をやり遂げ打点も60に伸ばし、本塁打と打点の二冠王をキープしている。
- しかし、その次の試合ではまたも敗れてしまい、記録的な大勝を治めた試合をしておきながらカードに負け越すというなんとも情けないことに…。
- 2023年6月28日 本拠地アナハイムでのホワイトソックス戦に「2番DH」で出場した。第1打席で右翼線へ技ありな三塁打を放った。1死三塁とチャンスを作り、続くトラウト選手の適時三塁打で生還。この回の2得点につなげた。3回1死の第2打席は空振り三振。6回無死の第3打席は見逃し三振に倒れたが、8回1死の第4打席では中前にクリーンヒット。9回にも二塁内野安打を放ち、5打数3安打で3戦連発はならなかったが、今季10度目の1試合3安打以上の猛打賞をマークした。しかし、エンジェルスは先発のバリア投手が3回5失点と崩れ、完敗。連勝は2で止まった。
- 2023年6月29日 本拠地アナハイムでのホワイトソックス戦に「2番・DH」で出場し、4点を追う9回に29号ツーラン。エンジェルスと松井秀喜氏も含む日本人選手記録の月間最多記録「13本」を遂に抜き去り、「14本」とした。この日は3打数1安打2打点、2四球で7試合連続安打。エンジェルスは先発サンドバル投手が5回7失点の乱調で逆転負けを喫し、2連敗。貯金は「5」に減った。
- 2023年6月30日 本拠地アナハイムでのダイヤモンドバックス戦に「2番・DH」で出場し、5点を追う6回に30号ソロホームランを放つ。自己&今季最長となる493フィート(約150m)の特大アーチであった。また、これにより、前日に更新したエンジェルスおよび日本人選手の月間最多本塁打記録を「15」に更新し、3年連続30本塁打を見事に達成した。しかし、チームは2-6で敗れ、3連敗。貯金も「4」とさらに減ってしまった。
- 2023年7月8日 オールスターブレイク前の最後の試合。敵地ロサンゼルスでのドジャース戦(フリーウェイ・シリーズ)に「1番DH」で出場。久々の一発となる32号ホームランを含む4打数3安打の猛打賞で、今シーズン6度目のサイクルリーチと大暴れしたが、直前のパドレス戦でトラウト選手やレンドーン選手等の打線の柱とも言える選手が悉く負傷離脱してしまったことが響いて5-10のダブルスコアで大敗し、このカード2連敗を喫し、借金「1」でアリーグ西地区4位で前半戦を終わってしまった。
- 2023年7月16日 本拠地アナハイムでのアストロズ戦に「2番・DH」でスタメン出場。相手先発は右腕ハビエル投手。今季は17試合に投げて7勝1敗、防御率4.34。大谷選手はハビエル投手に対し、過去19打数6安打。打率.316、2本塁打、5打点と好相性で34号本塁打が期待された。第1打席は本塁打まであと一歩の大ファウルを放ち、163.5キロの鋭い打球も遊直。第2打席は二ゴロ、第3打席は中飛、第4打席は申告敬遠だった。1-1で迎えた4回1死一、三塁。先発デビューとなった8番・キャベッジ選手が左翼線に適時二塁打で勝ち越し。走者一掃の一打でメジャー初打点をマークした。しかし、救援陣が踏ん張れず7回に2発を浴びて同点に。それでも3-3で迎えた7回。2死一塁から1番・ネト選手が勝ち越しの適時打。続いて大谷選手の第4打席を迎えた。2番手右腕・クーネル投手とマルドナード捕手のアストロズバッテリーは勝負にいったが、3ボールとなったところでベイカー監督は敬遠を申告。場内からは大ブーイングが起きた。なおもモニアック選手が死球で満塁とすると、4番・ウォード選手が走者一掃となる右中間適時二塁打で3点を加点。ネヴィン監督は抑えのエステベス投手を8回から投入する執念な采配を見せた。しかし、2ランを被弾して2点差に迫られると、9回から登板したバリア投手が2発を浴びてリードを守り切れなかった。それでも2点を追う9回、1死走者なしから大谷選手が、右腕メイトン投手が投じた初球の内角高め直球を振り抜き、メジャートップ独走となる34号中越えソロで1点差に迫った。エンジェルスは続くモニアック選手の中前打などで2死一、二塁とし、一発サヨナラの大チャンス。しかし、6番・タイス選手が放った右翼への鋭い打球をタッカー選手がダイビングキャッチ。好捕に阻まれ、あえなくゲームセットとなった。1点差に迫り、逆転勝利への期待が高まったが、反撃は結局ここまで。大谷選手は4打数1安打1本塁打1打点をマークした。しかし、あと一歩で2日連続のミラクルとはならず、チームは8-9でアストロズに逆転負けを喫し、借金は再び「2」となってしまった。
- 2023年7月28日 敵地トロントでのブルージェイズ戦に「2番・指名打者」で先発出場した。大谷選手の豪快アーチは初回1死だった。右腕ガウスマン投手の低めなフォーシームを完璧に捉えた。打った瞬間に確信する右越え39号ソロ。シーズン60発ペースに乗せた。日本人選手の3打席連発は2023年5月16、17日のカブス・鈴木誠也選手以来2人目の快挙。打球速度は103.5マイル(約166.6キロ)、飛距離は397フィート(約121メートル)。敵地をどよめかせた。1点を追う6回1死では外角低めのボール球となるスプリットを拾って左前へ。マルチ安打は2試合連続で今季30度目だった。しかし、9回1死満塁で代打ステファニック選手が送られた。敵地は騒然。一部ではブーイングも起きた。前日27日のタイガースとのダブルヘッダー第2試合で「けいれん」で途中交代していたが、今後が心配される。エンジェルスは2点を追う7回無死満塁の絶好機で無得点。ホワイトソックスからトレード加入した先発ジオリト投手は6回途中3失点と試合を作ったが、大谷選手以外の打線が援護することができなかった。前日からの3打席連発は日米通じて自身初である。4打数2安打1打点で打率.301。チームは逆転負けで連勝は4でストップ。ワイルドカード進出圏内から4ゲーム差に離された。
- 2023年7月29日 敵地トロントでのブルージェイズ戦に「2番・指名打者」でスタメン出場。死球と四球に、球場から激しい反応が沸き起こった。初回1死、ブルージェイズ・マノア投手の投じたスライダーはコントロールを失い、ワンバウンドで左足首を直撃。どよめきが「ブーイング」に変わったのが0-0の5回だ。1死二塁、大谷選手は申告四球で一塁へと歩かされた。リーグ単独トップ63個目の四球。敵地にもかかわらず、ブルージェイズにブーイングが沸き起こる異様な光景となった。この日の試合には普段通りに出場。2打席目に3試合連続安打となる右中間二塁打を放つなど、存在感と打撃力で状態に問題がないことを証明し、2打数1安打1死球2敬遠4出塁と結果を残したが、得点圏で打線が繋がらず2連敗を喫し、ワイルドカード進出圏内から5ゲーム差に離された。
- 2023年8月2日 敵地アトランタでのブレイヴス戦に「2番・指名打者」でスタメンで出場し、3打数2安打1四球、打率は3割7厘。7試合連続安打、2試合連続マルチ安打をマークした。ブレイヴスの先発は今季4勝の右腕チリノス投手。1回の第1打席は、カウント2-2から痛烈なライナーの右前打を放った。4回の第2打席は、カウント1-2から空振り三振を喫した。6回無死一塁の第3打席には、右前打を放ち、後続の適時打で生還した。8回の第4打席は四球で出塁した。エンジェルスはホワイトソックスから獲得した先発ジオリト投手が4回9失点と打ち込まれて完敗。メジャー30球団最高勝率を誇るブレイヴス相手に1勝2敗と負け越し、デトロイト、トロント、アトランタと続いたアウェイ9連戦を5勝4敗で終えた。なお対ブレイヴス戦での本塁打争いでは、大谷選手はあわや40号本塁打の大飛球を中堅手マイケル・ハリス2世選手のスーパーキャッチで敢え無くアウトとなり0本塁打で終わってしまった。一方メジャー本塁打王を虎視眈々と狙っているナリーグ本塁打王でありブレイヴスの主砲、マット・オルソン選手が36・37号を大谷選手の面前で放ち、メジャー本塁打王の大谷選手との差を「2」に縮めた。
- 2023年8月3日 本拠地アナハイムでのマリナーズ戦に「2番・DH兼投手」で先発登板した。大谷選手は4回を投げて無失点とナイスピッチングを披露したが、右手と右指のけいれんで悔しい降板を余儀なくされ、10勝目はならなかった。2年連続の2桁勝利&2桁本塁打の偉業はお預けとなった。まさかなアクシデントだった。初回、味方の失策などで無死2、3塁としたが、後続を3人で片付けた。2回は3者凡退。3、4回と走者を背負ったものの、無失点で切り抜けた。4回59球(ストライク41球)を投げ、4奪三振1四球3被安打無失点。緊急降板に場内は騒然としていた。一方、打っては2打数2安打(1本塁打含む)1打点1盗塁2四球(1敬遠含む)と気を吐いた。そして、エンジェルスが2対1でリードして迎えた8回裏、1死ランナーなしでの第4打席だった。マリナーズ3番手中継ぎのキャンベル投手が投じた内角ストレートをジャストミートすると、打球はあっという間にライトスタンドに飛び込んだ。勝利を手繰り寄せる40号本塁打となるところだった。ところが試合は9回表に守護神カルロス・エステヴェス投手がケイド・マーロウ選手から逆転満塁「なおエ」本塁打を浴びて、エンジェルスは3対5と逆転を許しジ・エンド。大谷選手の貴重な異次元追加弾も虚しく、手痛い3連敗を喫してしまった。元祖二刀流ベーブ・ルース氏ですらできなかった2年連続の「2桁勝利&2桁本塁打」の偉業達成が期待されたが、次回登板以降にお預けとなってしまった。
- 2023年8月18日 本拠地アナハイムでのレイズ戦に「2番・指名打者」で先発出場し、2回2死満塁の第2打席で2試合連続本塁打となる43号グランドスラムを放つなど5打数2安打4打点と貢献したが、チームは延長戦の末に敗れ、今季ワーストの借金「3」に逆戻りした。大谷選手の満塁弾はメジャー2度目。飛距離119メートル、初速164キロの一撃が右翼席に着弾させた。2戦連発で、年間56発ペース。オルソン選手(ブレーブス)と並ぶメジャー最多タイとした。打点でもトップと3点差に迫る3位の89打点につけた。43号を放ったことでメジャー通算170号となり、松井秀喜氏がマークした日本人メジャーリーガー通算最多本塁打(175号)にあと5本と迫った。ところがエンジェルスはシーソーゲームの末、無死二塁で始まる延長10回からのタイブレイクで3失点。大谷選手が満塁弾を放ち、守備では同点の9回無死一、三塁の大ピンチを「奇跡のトリプルプレイ」で乗り切ったものの、典型的な「なおエ」敗戦に終わってしまった。なお、「グランドスラム」と「トリプルプレイ」が同一試合で成立されて負けたのは、アルバカーキ・ストリング・ビーンズの1857年以来166年ぶりの屈辱的な敗戦となってしまった。因みに、2023年メジャードラフト全体11位でプロ入団し、僅か6週間のマイナーAA(ダブルエイ)21試合でメジャーデビューを「一番・一塁」で果たしたノーラン・シャヌエル選手が大谷選手のグランドスラムをアシストする四球を選んだり、レフトに流し打ってメジャー初ヒットをマークしたり、ファーストからホームに軽快に送球しトリプルプレイを成立させるなど、ルーキーらしからぬ大活躍を披露したものの、彼のメジャーデビュー戦を勝利で飾ることができなかった。
「なおエ」の原因
こんな事態を招いてしまっているのは、ズバリチームの投打がアンバランスであることに原因がある。
エンジェルスは、強力な打撃陣を有する(2023年シーズン中は、大谷選手やマイク・トラウト選手を筆頭に、テイラー・ウォード選手、アンソニー・レンドーン選手、ハンター・レンフロー選手といった実力者揃いである)一方、投手陣…特に中継ぎや抑えの選手層が薄いということが以前から度々指摘されている。
打撃陣が点をどれだけ重ねても投手陣が倒壊し、それが結果的に打者陣の士気の低下や守備のパフォーマンスの悪化に繋がることでさらに点差をつけられるという悪循環に陥ってしまっての敗戦が多いのである。
そもそも、野球は打撃力以上に投手力が試合の行方を左右する重要なファクターとなっている。このことは野球に関わる人であればまず抑えているであろう、チーム編成上の基本中の基本と言っても過言ではない。
その最たる実例が、2023年WBC第5回大会における日本代表(侍ジャパン)である。投打のバランス・レベルが世界トップクラスとも言われた同チームは、投手陣が安定したピッチングで無駄な失点を許さず、その裏で打撃陣が要所要所で得点をしっかり稼いで勝利を確実に掴むという理想的な試合運びで、7戦全勝優勝を見事に勝ち取っているのである。ちなみに、同年の日本プロ野球のペナントレースにおいても、リーグ優勝を果たしたのは盤石な投手陣を揃えた阪神タイガースとオリックス・バファローズであった。
また、大谷選手の同学年である藤浪晋太郎投手がトレード移籍したオリオールズも、数年前まではエンジェルスと同様弱小球団扱いされていたが、2023年シーズンは層の厚い投手陣の奮闘により地区優勝を果たすに至っている(藤浪投手自身もリリーフの1人としてチームの地区優勝に少なからず貢献した)。
もしもエンジェルスも同様に大谷選手の両脇を投打共にガッチリ固めておけば、彼を「なおエ」で悩ませることもなく、地区優勝、リーグ優勝、ワールドシリーズ制覇も決して夢物語ではなくなるだろうし、彼のサイ・ヤング賞&三冠王を取った上でのMVP受賞という前人未踏且つ前代未聞な大偉業も現実味を帯びてくるだろうとも言われている。
ちなみに、「投手陣がそこまで酷い状況ならば、補強するなりトレードするなりして優秀なリリーフやクローザーを獲得すればいいではないのか」という意見もあるのかもしれないが、エンジェルスは上記の打者陣(野手)に多額な年俸を既に支払っている(※1)ため、優秀な投手の補強をしようにも金銭面でそれが思うように行えない(※2)という深刻な懐事情も抱えていたりする。詳しくは後述の脚注の欄を参照してほしいが、球団としては「補強したくてもできない」状況がここ数年ずっと続いているのである。
脚注
※1 野手陣に多額な年俸を支払うハメになったのは、2003年に同オーナーに就任したアルトゥーロ・モレノ氏がアルバート・プホルス氏、ジョシュ・ハミルトン氏、ヴァーノン・ウェルズ氏などトウが既に立っただけでなく素行面でもひと癖ある大物野手ばかりを自分のツルの一声で補強し、本来補強すべきだったサイ・ヤング賞クラスの投手の補強を疎かにしたツケが、今日のエンジェルス低迷に繋がっていると地元紙が分析している。
モレノ氏は「勝敗は投手の能力が基本」とわかっていながらも、「週に1回しか出ない先発に大金をかけるよりも、毎試合出場可能な野手にそれをかけるほうがビジネス的に大儲けできるだろう」と踏んでいた。ビリー・エップラー氏、トニー・リーギンス氏など当時のGM達は野手最優先主義のモレノ氏のやり方に当然ながら猛反対したが、オーナー命令に従わなければクビにすると恫喝されたために彼の野手一辺倒の補強を渋々強行せざるを得なかったという。
しかし、結果は見ての通りで、「プロは試合に勝ってこそ最大なファンサービスである」と何処ぞのオレ流レジェンドが豪語された通り、チーム編成をホームラン打者に全振りした結果、投手を中心とする守備が崩壊して試合を落としまくり、大金で獲得したプホルス氏達大物巨砲も思うような結果を残せず、コスパが極めて酷い不良債権化&死刑囚扱いされ、シーズン負け越し&プレイオフ未出場は大谷選手がエンジェルスに在籍してから5年連続継続中で(最後にプレイオフ進出した2014年から換算すると8年連続継続中)、大谷選手が出場する試合でも空席が至る処に目立つなど、エンジェルス自体の人気はすっかり低迷してしまうこととなった。
その間に上記のリーギンス氏やエップラー氏などのGMやマイク・ソーシア氏やジョー・マッドン氏などの監督がモレノ氏のスケープゴートとして、責任を全て取らされた格好で次々とクビになってしまったのである。
したがって、モレノ氏主導のビジネス目線でのチー厶補強は大失敗に終わってしまったと言わざるを得ないだろう。
※2 なおサイ・ヤング賞クラスの投手補強を現在の状況下で強行しようものなら、ぜいたく税(luxurious tax)が重くのしかかって球団経営を更に圧迫してしまい、挙げ句の果てにメジャードラフトのドラフト1位指名権までもが剥奪されて戦力の補強がより困難になり、チーム状況が更なる深刻な低迷期を迎えることになりかねない。
またアメリカでもジャパンでも「金も出すが、口も出す」という野球ド素人が一番犯してはいけない現場介入をやってしまうオーナーが過去には何人もいた(その最右翼は①②ジョージ・スタインブレナー氏)。ところがモレノ氏は「(ぜいたく税を超える)金を出さないくせに口を出す」(ぜいたく税の許容範囲なら一応出資する)という、ある意味最低最悪な現場介入をこれまでに何度もしたのである。
要するにモレノ氏は「金を出しても、口を出さない(その最右翼は①スティーブ・コーエン氏)」という理想的なオーナーとは完全に真逆なオーナーでもある。
アルトゥーロ・モレノ氏のオーナー像
堕天使球団・エンジェルスの暗黒時代到来
大谷選手の今後
個人成績よりもチームの勝利を最優先するスタンスを取っている大谷選手が、チームのこうした状況を嘆いていることは言うまでもなく、2021年のシーズン終了間際に、以下のコメントを残して、チームやフロント陣に対する不満を述べている。
「ファンの人も好きですし、球団自体の雰囲気も好きではある。ただ、それ以上に勝ちたいという気持ちが強いですし、プレイヤーとしてはそれの方が正しいんじゃないかなと思っています。」
「もっともっと楽しい、ヒリヒリするような9月を過ごしたいですし、クラブハウスの中もそういう会話であふれるような9月になるのを願っています」
アメリカメディアの間では、大谷選手のこの発言を「彼はこれ以上エンジェルスに所属することを望んでいない」「他球団への移籍願望の現れ」と受け止め、遂には「エンジェルスはチームを再建するために大谷選手を他チームの有望選手とトレードするべきではないのか」といった報道が日増しに加熱していくことになる。
なお、上記の発言を観ればわかるように、大谷選手自身は移籍したいなどとは一言も言っておらず、メディアやファンが勝手に推測したに過ぎない点には留意されたい。彼自身はあくまで低迷する球団の現状を嘆きつつ、チームメイトやフロント陣の発奮と意識改革を訴えたのか(要するに低迷するエンジェルスに活を入れたかった)、若しくは「エンジェルスで勝ちたい」という意図で発言した可能性もある…というか、恐らくその可能性が高いだろう。
日米のファンも大谷選手の他球団への移籍には概ね肯定的で、
「このままエンジェルスで燻っていては、かつてのイチロー選手のように一度も優勝することのないまま現役生活を終えてしまうことも考えられる」
「これほどの選手を、こんな悲惨な状況のチームにこれ以上留めておくのはあまりにもかわいそうだし、勿体ない」
「今のエンジェルスは完全に大谷翔平やマイク・トラウトの個人軍になってしまっている。彼らにこれ以上色々なものを背負わせないでほしい」
「大谷選手にはもっと強いチームでのびのびプレイさせてあげてほしい」
といった意見が出ており、大谷選手の「ヒリヒリするようなシーズンを過ごしたい」という上記の発言も引き合いに出して、彼を最低でも地区優勝やリーグ優勝(それが無理なら最低でもワイルドカードでのポストシーズン進出)が狙えるような強豪チームに移籍させるべきだという声が上がっている。
寧ろ「自分らが応援する球団に是非来てほしい」と歓迎する声が多く、2023年には、大谷選手が実際に登場したドジャースの本拠地ドジャースタジアムでは、大谷選手のことを「We want Shouhei(我々はショウヘイが欲しい)」「future dodgers(将来のドジャースの一員)」と称えて大歓迎していた。
そして現地7/11のオールスターゲームの会場となったシアトル・マリナーズの本拠地T-モバイル・パークでも、大谷選手が打席に入ると「We want Shouhei」「Come to seattle(シアトルに来てくれ)」というラヴコールが一斉に鳴り響き、大合唱をしていた。
なお、マリナーズはエンジェルスと同じア・リーグ西地区所属のチームであり、大谷選手の属するエンジェルスとは同地区の優勝を争うライバル同士である。つまり、大谷選手はマリナーズのファンにとっては敵チームの最も警戒すべき敵選手の1人であり、本来であれば盛大なブーイングが浴びせられてもおかしくはない(実際、アストロズやレンジャーズ等、他の同地区所属の選手たちや監督(この年のア・リーグの監督はアストロズのベイカー監督だった)はほぼ軒並み観客から激しいブーイングを受けていた)。
この光景は、どのチームも大谷選手に対して、戦力としても人間としても大変魅力を感じており、是が非でも欲しがっているということの証左でもあるのだ。
2023年シーズン後半戦がスタートし、エンジェルスが敵地へ遠征し大谷選手が投打で登場すると、敵地ファンからはシアトルに続けと言わんばかりに、「Welcome to 都市名(~へようこそ)」や「come to 都市名」「future 都市名」(実例:Houston Losangeles Newyork Boston Chicago Arlington Sandiego Sanfrancisco Detroit Atlanta Miami Minneapolis Phoenix Baltimore Oakland Denver Philadelphia Washington Stlouis Toronto Milwaukee Pittsburgh Tampabay Cleveland Kansascity Cincinnati)が一斉に大合唱される可能性もある。
一方、本拠地のエンジェルスファンからは「We miss you Shouhei(あなたがいないと悲しいのよ、ショウヘイ)」「Stay in Anaheim forever(アナハイムにずっといてくれ)」が一斉に大合唱される可能性もある。
そして、現地8/14~16の敵地アーリントンでのレンジャーズ戦でも「We want Shouhei」「come to Texas(テキサスへ来てくれ)」が一斉に大合唱されていた。
どこに移籍すべきなのか?
そんなファンの声をよそに、チーム側は大谷選手をトレードに出すことに消極的であり、大谷選手も「トレードに関しては球団が決めることと」「(他球団への移籍に関する交渉は)すべて代理人に任せてある」と述べるに留めているが、現在のエンゼルスの低迷ぶりを見る限り、フリーエージェントとなった2023年のシーズンオフ以降に大谷選手が他の強豪球団(コンテンダー)に移籍するのはまず間違いないだろうという見方が非常に強い。
彼がFA移籍となった場合、ヤンキース、メッツ、ドジャース、ジャイアンツ、パドレス辺りの金満球団が、最低年俸70~135億円(10年で総額700~1350億円 ※)の超大型契約を結ぶことになるのではないのかと報じられるなど、「大谷翔平狂騒曲」は留まる処をますます知らない状況となっている(ただ、メッツは2023年度の成績が思わしくなかったことからチームの再建のために大谷選手の獲得は見送り、代わりにポスティングシステムによりメジャー移籍を表明したオリックスの山本由伸投手の獲得に本腰を入れる公算が高まっている)。上記球団以外ではこの年のワールドシリーズの覇者であるレンジャーズや、エンゼルスと同じく西地区所属のマリナーズが獲得に乗り気であると言われている。
※ 移籍金の推定額にここまで差があるのは、投打の二刀流でプレイし、成功を収めた選手が当然ながらこれまでいなかったため、どういった基準で算出すべきのか識者やMLBレジェンドによって意見が分かれているからである。700億円はこれまでの大人気選手の年俸を基にした額、1350億円は1人で2人分+αの活躍をしていることを加味した値である。
上記の球団のうち、現状移籍先として関係者の間で最も有力されているのはドジャースとジャイアンツである。いずれも資金力も豊富で選手層も厚く、過去にワールドシリーズを幾度も制している歴史ある強豪球団であり、加えて大谷選手が兼ねてよりプレイの条件としている気候の比較的温暖な西海岸地区の球団というのも追い風となっている。
特に、ドジャースに関しては、大谷選手が高校卒業時に当時日本ハムの監督を務めていた栗山英樹氏に説得されてNPBでプレイすることを決める前に、入団先の候補に挙げていたという過去があり、2017年にメジャー挑戦を本格的に決意した際にもドジャースは、結果的に獲得には至らなかったとはいえ、ナ・リーグのチームで大谷選手との面談にまで唯一漕ぎつける等健闘している(その他のナ・リーグのチームは当時DH制を採用しておらず、投打の二刀流でのプレイができる見込みがないとして書類選考の時点で早々に候補から外されていた)。
また、2023年に靱帯を損傷した際に大谷選手の手術を担当したのはドジャースのチームドクターも務めるニール・エラトロッシュ医師であり、治療しながらプレイすることを考えた場合に一番最適なのはドジャースとなるだろう。
以上のことから、ドジャースは関係者の間でも大谷の移籍先の最有力候補に挙げられている。また、ドジャースは豊富な資金力を活かして山本由伸投手の獲得も目論んでいるとの報道もあり、これが実現すれば、ドジャースは日本球界を代表するスター選手2人を擁する前代未聞のチームとなるだろう(大谷選手が1年間投手として活動できないことを考えれば、山本選手の獲得はかなり大きな戦力補強となる)。
一方、ジャイアンツも移籍先としてしばしば名前が挙げられ、球団側も獲得に前向きであると言われているが、ドジャース程有力視はされていない。大谷選手個人に対するコネや縁が殆どないことに加え、ジャイアンツの本拠地であるオラクル・パークは構造上の問題から元々打者不利の球場であり(右翼方向に高いフェンスが設けられ、右中間は奥が深く、さらにサンフランシスコ湾に面していることから常に海からの強い向かい風に晒されるため。このため、特に大谷選手のような左打者には圧倒的に不利である)、これも選択する上で大きなマイナスポイントとなる可能性がある。
また、「西海岸の強豪球団」という条件だけで考えれば、パドレスも移籍先の条件を一見満たしているようにも思えるが、大谷選手は日本人選手の所属している球団に入ることに消極的であると言われており(自身の二刀流のため登板間隔が変わることなどで彼らに迷惑がかかることを懸念しているためとされる)、ダルビッシュ有投手という実力ある日本人投手が既にいるチーム事情は、獲得に向けて大きなマイナス要素になる可能性が高いと言われている。加えて、ポストシーズンに進出したことは多いがワールドシリーズを未だに一度も制覇したことがないというのもネックとなり得るだろう。
残留という選択肢もあり得るけれど…
当然ながら、エンジェルス側もこれほどまでのスター選手をみすみす黙って行かせるはずもなく、シーズン終了と同時に、大谷選手の引き留めに向けた交渉・工作を本格化するものとみられており、有識者の間でも「二刀流選手としてのキャリアを全うしたいのであれば、エンジェルスに留まるという選択肢も充分あり得るのではないのか」「エンジェルスでしばらくの間治療に専念すると言うのもありなのでは」とする見方も極少数ながら存在している。
「こんな弱小球団にこれ以上留まるなんてとんでもない!」と思うだろうが、よくよく考えてみれば、大谷選手が二刀流選手としてのノウハウを確立することがそもそもできたのは、(スタッフやチームメイトも含めて)チーム側が大谷選手のルーティーンに合わせた登板間隔を調整してくれた上に、怪我や故障で二刀流が一時的にできなくなっても大谷選手を見限らなかったところが大きい。
通常、MLBでは先発投手は中4日での登板が基本であるが、エンジェルス側は大谷選手への身体の負担を考慮して中5日~6日での登板を確約してくれたのである。
もしも他の球団に移籍した場合、果たして移籍先がエンジェルスと同じように大谷選手の意向に沿った登板間隔を調整してくれるのか?
- 例えば、移籍先の最有力候補と言われているドジャースには、MLB屈指な投手の1人であるクレイトン・カーショウ投手がいる。カーショウ投手自身は大谷選手の実力を高く評価しているが、だからと言って、大谷選手に会わせて来シーズンからは登板間隔を変えてくれるのか?と言われればそれは別の話だろう(登板間隔は特に先発投手にとっては自身のルーティーンの一環として非常に重要なものであり、安易に変えられることを嫌がる投手は意外と多い)。
- 加えて、老舗&常勝チームのエースクラスは勝ち星・勝率・登板数・イニング数・QS数・奪三振数・防御率などの出来高の多寡を最重視しており、大谷選手が加入することでそれらの出来高が少なくなり、それが起因となり年俸の下落に繋がる可能性もある。
仮に移籍先でこれまでの中5日登板が認められなければ、大谷選手は他の投手と同様中4日で登板しなければならなくなり、これが結果的にパフォーマンスの低下や選手生命を縮めることに繋がるのではないのかと危惧する意見は多い。
上記の先発投手に関することと同じことがDHにも当てはまる。
老舗&常勝チームには高額で名うてなDH選手が控えている。または守備に難がある選手(若しくは守備の苦手な選手)や、ベテラン選手の身体の負担を軽減させるためにDHを持ち回し・交代制にするチームもある。二刀流をさせるために大谷選手をDH専門にしてしまうと、彼らが割を確実に食うハメになってしまうのである(※)。
仮に移籍先でこれまでのDH専門が認められなければ、大谷選手は他の野手と同様守備に就かなければならなくなる、または他の選手がDHとして出場する試合ではベンチを温めることになる可能性が高く、これも大谷選手のパフォーマンスの低下や選手生命を縮めることに繋がるのではないのかと危惧する意見がある。特に守備も熟さなければならなくなると、かつての松井秀喜氏や2023年シーズンのアーロン・ジャッジ選手のように捕球等の際に負傷したことが原因でシーズンを丸々棒に振ってしまう危険性も出てくる。一方で、持ち回り制にすることで確かに出場機会は減るのかもしれないが、投手も兼業している事情を考えると、試合に出ない=体を休めることができるということになるので、一概にデメリットとも言えないのではないのかという意見もある(大谷選手はこれまでもチームを勝たせようと気負うあまり、無理をしてでも試合に出場したがることが度々あり、実際、2023年シーズンはそれは原因でシーズン終盤をほぼ棒に振ってしまうことになった)。
※ エンジェルスでも、大谷選手がDH専門となったことで、それまでDHとして起用されていたアルバート・プホルズ氏が出場試合数が激減して、割を食ってしまったという実例がある(結局プホルズ選手はその後ロースター枠を外されて事実上の戦力外通告を受け、ドジャースを経て古巣であるカージナルスへと復帰。以降現役を引退するまでエンジェルスに戻ることは遂になかった)。
そもそも、老舗&常勝チームが大谷選手と超大型契約を結びたがるのも、彼を他チームに持って行かれないようにすると同時に大谷選手に対する球団側のマウントを取ること、つまり上記の先発ローテイションとDH枠を大谷選手主導ではなく、球団主導で決めることができるようにするのを最大の目的としている。もし大谷選手が投打の二刀流で周囲が期待しているような結果を残せなければ、それを口実に二刀流を辞めさせ「投手か野手のどちらか一つに絞れ」と要求することができるからである。
もっともそんな事情を知っているからこそ、大谷選手は2017年のメジャー挑戦時に、MLB新労使協定を逆手に取ってエンジェルスとマイナー契約(最低年俸僅か6000万円で、MLBの契約事情を知る識者からは奴隷契約とも揶揄されたほど)を結び、そのマイナー契約と引き換えに二刀流が可能な中6ローテイションとDH枠を確約させるという他の選手にとっては全く信じられない奇策に打って出たことがある。
今回も代理人のネズ・バレロ氏等とも相談して、球団側がこうした要求をしてくることに対する何かしらの対抗策を練っているのではないのかとする見方も多い。
いずれにしても、二刀流を別の球団で継続しようとしても、恐らくそのチームの事情に合わせたエンジェルス在籍時とは全く異なるルーティーンを再構築しなければならないことは明白で、それに大谷選手が対応できるのかどうかは未知数と言える。
エンジェルス側も、こうした事情を見越して、大谷選手の引き留めのカードとして多額の年俸と共に「大谷選手主導の登板間隔の調整並びにDH枠の確保」を提示してくる可能性は大いにあるだろうと言われている。
しかし、来シーズン(2024年度)のエンジェルスは、
- トレードで有望なマイナー選手を悉く放出してしまい、ファームはまっさらな状態
- そのトレードで獲得した選手たちも2023シーズン中に優勝争いから脱落すると同時にチームから放出
- 大谷選手と並ぶチームの主砲とも言えるトラウト選手やレンドーン選手は、ただでさえ故障が多い上に既に年齢的な衰えもあり、最盛期のような実力を発揮することが難しいと思われる。加えて、若手の選手も彼らに比肩しうるだけの選手が育っておらず、結局大谷選手1人に負担がかかることは免れない。
- 大谷選手は、靱帯損傷の影響で2024年シーズン一杯は打者に専念することを明言しており、従って、大谷選手に代わり安定した戦績をあげられるエースピッチャーを用意する必要があるのだが、それも現状では非常に難しい
等々、課題が山積しており、来年度も優勝争いに絡めるだけの戦いができるのかは微妙な状況である(寧ろ今年よりもさらに悲惨な結果になる可能性が大である)。
はっきり言って、このままエンジェルスに留まり続けることは泥船に乗るようなものであり、ポストシーズン進出や優勝を本気で目指すのであれば、残留するメリットは全くないに等しいと言える。
したがって、主要メディアの間でも「たとえエンジェルス側から(主に金銭面で)どれだけ好条件を提示されようとも、大谷選手がチームに残留する可能性は極めて低いだろう」とする見方が優勢である。
まとめ
大谷選手の去就に関して、移籍する場合と残留する場合のメリット・デメリットを纏めると以下のようになる。
FA\効果 | メリット | デメリット |
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移籍する場合 |
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残留する場合 |
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つまるところ、大谷選手は「二刀流選手としてのキャリアを最重視するのか、それとも自分の理念やプライドを捨ててでも自身最大・最後の悲願であるワールドシリーズ制覇を最重視するのか」、今後の現役生活を考える上での最も大きなターニングポイントに立っているとも言えるだろう。
そんなわけで、シーズン終了後に大谷選手がどのような決断を下すのか、日米の野球ファンやメディアは固唾を吞んで見守っていたのだが…?
大谷選手の決断
シーズン終了後にフリーエイジェントとなった大谷選手の出した決断は、ロサンゼルス・ドジャースへの移籍であった。
満票3回を含む通算5回もMVPを獲得した大谷選手(通算2回)とトラウト選手(通算3回)をもってしても、直近9年間でワールドチャンピオン・リーグ優勝・地区優勝はおろか、ワイルドカード獲得未達成・9年連続負け越しを喰らってしまい、彼らの圧倒的なパフォーマンスを以てしてもエンジェルスを世界一に導けないことを否が応でも痛感させられた9年間だったのであろう。
加えて、野球のゲームの勝敗はチームの総合力の高さが結果的にモノを言わせている現実は今も昔も全く変わっておらず、長丁場なMLBではチームを個人軍で勝たせることができるほど決して甘くないし、そもそもチームを個人軍で勝たせようという発想自体が超スーパースターになってしまったが故の奢りであることを図らずも痛感させられたのであろう。
加えて、年齢的な問題もあったと考えられる。
大谷選手は2024年で30歳になる。トラウト選手やレンドン選手を見ればわかるように、プロ野球選手としては高齢の域に片足を突っ込んだ年齢であり、肉体的な衰えもそろそろ見え隠れし始める頃である。ましてや大谷選手は専業選手の倍以上の負担がかかる二刀流でプレイしているのだから、選手生命はもっと短くなったとしてもおかしくなく、大谷選手自身もインタビューで「ボクの選手生命は終わりに確実に近づいている。あと何年二刀流でプレイできるのかは全くわからない」と度々語るようにもなっている(もっとも、二刀流選手として築いたキャリアが凄まじすぎるため、投手復帰が可能となる25年シーズンから再び二刀流でプレイすることになる可能性は大いにあるが)。
弱小チームを自分の実力のみで勝たせるという甘い理想よりも、残された現役生活をこれ以上無駄にしないためにも、ポストシーズン進出を確実に目指せる強豪球団への移籍を最優先事項としたとしても何ら不思議な話ではないし、そんな大谷選手の決断を一概に非難することは誰にもできないだろう。
つまり、彼は今までの甘い理想や老舗球団に対する反骨精神をかなぐり捨てて、良くも悪くも現実路線にようやく舵を切ったということになったのである。
大谷選手の勝利や世界一への執念と渇望、そして9年間一度もプレイオフに進めなかったことに対するフラストレイションはファンの想像をはるかに超えるものであり、その姿勢が契約内容にもはっきりと表れていたのだが、その詳細は別記事・大谷翔平狂騒曲にて。
ドジャース移籍の8大理由
大谷選手がドジャース移籍を決めた8つの要素は…………
- 居心地が良い本拠地
エンジェルスと全く変わらない本拠地がロサンジェルス。1年中温暖な気候で、試合が雨天中止にまずならない。
- 投手の調整、怪我や故障の回避
1年中温暖な気候なので、投手の調整がやりやすいし、怪我や故障を回避できる。
- 常勝球団
ナ・リーグ西地区で2013年から10度の地区優勝を飾り、11年連続でポストシーズン進出中。ただ、ポストシーズンはなかなか勝ち切れず、リーグ優勝は2017、2018、2020年の3度で、ワールドシリーズ制覇したのは2020年のみ。世界一まであと一歩というチーム力。
- DHスポット
2022年はジャスティン・ターナー選手が61試合、マックス・マンシー選手が25試合と複数選手で回していたが、2023年はJD・マルティネス選手を1年契約で獲得。大谷選手獲得後を見据えた動きと言われた。110試合出場して33本塁打、103打点をマーク。打線も故障者を出すことなく、リーグ2位の906得点と機能した。マルティネス選手にはクオリファイング・オファーを提示せず、2024年のDHスポットは空席となった。
- 資金力&予算
2023年のチーム総年俸2億4002ドル(約352億円)は全体6位だったが、近年は全体1位の常連。しかし、来季は大谷選手獲得前まで1億2291万ドル(約180億円)で全体15位。大谷選手に年俸7000万ドルを支払っても、贅沢税の対象となる2億3700万ドル(約348億円)まで余裕はあった。
- 医療サポート
ドジャースのチームドクターであるニール・エラトロッシュ医師は9月の右肘靱帯の手術だけでなく、2018年10月の右肘のトミージョン手術も担当。トミージョン手術のパイオニア、フランク・ジョーブ博士の愛弟子で、アメリカスポーツ界を代表する名医。理学療法士のバーナード・リー氏は、かつてエンジェルスに在籍。大谷選手が2018年10月に右肘のトミージョン手術、2019年9月に左膝の手術を受けた際は、パフォーマンス・ディレクター兼理学療法士として、二刀流の長いリハビリ生活を支えた。しかも2020年オフにプロ投手の靱帯に関する研究で「最優秀調査賞」を受賞した経歴を持つ、いわば「靱帯のスペシャリスト」であり、右肘リハビリのサポート体制や環境も万全で、エンジェルスよりも充実している。
- 高校時代からの縁とラヴコール
花巻東高校1年時(16歳)から大谷選手を熱心にスカウティング。大谷選手も2012年ドラフトで1位指名した日本ハムと栗山氏から説得されるまでは、高校卒業後にドジャース傘下のマイナーチーム入団と投手一本のみで実績をそこで積み上げ、最終的にドジャースとしての投手メジャーリーガーに伸し上がる決意を固めていた。2017年オフのメジャー挑戦時も参戦し、最終面談にはカーショウ投手らスター選手を送り込んだが、当時はDH制ではなかったためにドジャース入団が見送られてしまった。2022年からドジャースのナ・リーグも指名打者制が導入されたことによって、先発投手&指名打者の二刀流として活躍できる幅が広がり、大谷選手のドジャース移籍に対するハードルがなくなった。
- 勝利&世界一への渇望に共感
大谷選手が「ヒリヒリする9月以降を過ごしたい」と常々言うように、世界一を渇望しているのは何も彼のみではない。それはドジャース首脳陣やフロントも同様である。
直近11年間で11年連続のポストシーズン進出を果たしているものの、短期決戦での勝負弱さを露呈してしまい世界一を何度も逃してしまっており、世界一への渇望は彼とドジャースも共感している。
世界一になるためには、彼はお遊び抜きに二刀流のトレイニングにより一層に励み、ドジャースもチーム補強とファーム育成に尽力するなど、最大限な努力を惜しまないだろう。
………………と8つの理由が考察される。大谷選手とドジャースが13年越しに結ばれたのは、ある意味必然的とも言えるだろう。
大谷選手が常勝&銀河系球団に移籍した以上、エンジェルス時代よりも結果が投打で求められるのは至極当然であり、またチームの勝利も求められるため、なおド(なお、ドジャースは敗れました)がくれぐれも誕生しないことを我々野球ファンは是が非でも祈らずにはいられない。
大谷選手退団後のエンジェルス
一方で、今回の大谷翔平選手のドジャース移籍により、エンジェルスが大打撃を受けたことは言うまでもない。
上でも少し書かれているように、現在のエンジェルスは加齢によって衰えが見え隠れしているトラウト選手、今やコスパ最悪な不良債権のレンドン選手、あとは1軍半クラスの選手しか残っていないという惨憺たる有様であり、ファンからは本格的な暗黒時代が到来したとまで囁かれ、ベーブ・ルース氏のバンビーノの呪い、松井秀喜氏のゴジラの呪いのように、大谷選手の退団に伴うショウタイムの呪いという都市伝説が新しく誕生するのではないのかとまで悲観するファンまでいる(もっとも、大谷選手が加入する前からエンジェルスは低迷を続けていたのだが)。
大谷選手はエンジェルスに残留することも一応ある程度は考えていたと言われているが、エンジェルス側が大谷選手側の提示した「年俸総額の97%を無利子後払いにし、浮いた金をチームの補強に充てる」という方針に難色を示したために、大谷選手は三下り半を下した格好でエンジェルスをとうとう去ってしまったのである。
これを知ったエンジェルスファンや地元紙は、球団やオーナーのモレノ氏を当然ながら激しく批判、大谷選手が去ったアナハイムはお通夜ムードが漂うことになった。
エンジェルス時代の盟友であったトラウト選手も、大谷選手の移籍が発表されて以降、クリスマス休暇に入るまで自身のSNSを更新せず、マスコミの取材にも一切応じなかった。また、フィラデルフィアにある実家に帰省して引き籠ってしまい、心配したロン・ワシントン新監督が彼に会いにフィラデルフィアのトラウト宅を訪れたとする報道もあった。
どこまでが真相なのかは不明だが、大谷選手がチームを離れたことに少なからずショックを受けたことは間違いないだろう。
トラウト選手だけでなく、他の選手たちの間でも杜撰な運営を続ける球団上層部や一部の高給取りな選手への不満が燻っているとされており、さらにはそれらが起因となった大谷選手のエンジェルス退団により、チームが危機的な状況にあることは間違いない。
さらに、2024年シーズン前半には待遇改善を求めて球団の売店の従業員たちがストライキを起こすという異常事態まで起きており、選手だけでなく球団スタッフの中にも不満が燻っている実態が浮き彫りとなってしまった。
そして、上記の予想は最悪な形で的中してしまうこととなる。
ワシントン政権下で迎えた2024年シーズンでも、トラウト選手とレンドーン選手など主力選手達が早々に長期負傷離脱するという様式美を披露(レンドーン選手は後に復帰したが、その後も故障者リスト入りした)、その結果、アスレティックスやホワイトソックスとア・リーグの泥沼最弱争いを繰り広げるという全く笑えない絶望的な状況に陥ることとなってしまった。
そして、球団史上ワーストとなる今季96敗を喫する等、アリーグ西地区優勝はおろか、10年連続ポストシーズン無出場、9年連続シーズン負け越し、1999年以来25年ぶりのアメリカンリーグ西地区最下位がついに確定してしまった(しかも96敗の引導を渡したのは、シーズン121敗というMLBワースト記録を叩き出したホワイトソックスであり、しかもそんな最弱チームにすら3連敗スウィープされ、最終的に99敗も喫してしまったという体たらくである)。
トミージョン手術の影響で二刀流を一時的に封印し打者専念で挑んだ大谷選手の2024年シーズンの勝利貢献度を示すWAR(wins above replacement)が「9.9」も達成したことで、彼がエンジェルスにそのまま残留したら、エンジェルスの勝利が約10勝分プラスしてアスレティックスを僅かに上回って最下位転落だけは辛うじて免れていただろう。そのことを考えると、今年のチーム事情がさらに悪化してしまったことがここからも見て取れると言えよう。
対照的に大谷選手がFA移籍したドジャースは、シーズン中に先発投手(山本由伸投手・グラスナウ投手・カーショウ投手も含む)を中心に大量の負傷者を出すという苦難に見舞われたものの、最後は2位のパドレスの猛追を辛くも振り切る形で3年連続通算22回目のナショナルリーグ西地区優勝を果たした。それどころか、その勢いはそのままにポストシーズンも白星を順調に重ねてナリーグ優勝、遂には4年振り通算8度目のワールドシリーズ制覇を達成し、大谷選手に初のワールドチャンピオンの栄冠を授けた。
もしWAR「9.9」の大谷選手がドジャースにいなかったら、今年のドジャースは地区優勝・ナリーグ優勝・世界一はおろか2位のパドレスや3位のダイヤモンドバックスにも抜かれ3位に転落し、ポストシーズン進出に必要なワイルドカードすらゲットできなかっただろう。
大谷選手ひとりの存在そのものがエンジェルスとドジャースの運命をも良くも悪くも変えてしまい、同じロサンジェルスの2球団の明と暗がハッキリと分かれてしまった瞬間でもある。
とはいえ、エンジェルスも暗い話ばかりでもなく、ローガン・オホッピー選手、ジョー・アデル選手、ルイス・レンヒーフォ選手といった若手から中堅の生え抜き選手が結果を少しずつ出し始めるなど、明るい兆しも見えてきている。これらの選手をうまく育成し、起用していけるのかどうかが重要となるだろう。
果たして、エンジェルスは今後どのような道を歩んでいくのか。
それは野球の神様にしかわからないだろう。
関連タグ
大谷翔平 MLB ロサンゼルス・エンゼルス 個人軍 孤軍奮闘 ジエンゴ ムエンゴ
もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな 堕天使球団 人間やめました
その他関連人物
チームの弱小ぶりのせいで割を食ってしまっている、エンジェルスのもう1人の主砲兼MVP選手。なお、彼は2019年にエンジェルスと事実上の生涯契約を結んでしまっているため、大谷選手とは異なりチームがどれだけ低迷しようとも他球団へ移籍することはほぼ不可能な状況に置かれている。そのため、ファンからは“アナハイム監獄(Angels Prison)で終身刑を宣告”と(半ば同情も含めて)ネタにされている(チームの再建のためにトレードで放出すべきではないかという意見もあるが、現時点では球団側は彼のトレード放出に否定的である)。
大谷選手と並ぶエンジェルスを代表するエースピッチャーで、第5回WBCでメキシコ代表に先発投手として出場し、大谷選手を筆頭とする侍ジャパンの打者陣を苦しめたことでも記憶に新しい。
彼も大谷選手やトラウト選手同様「なおエ」に苦しめられている選手の1人で、2022年には27先発で防御率2.91とキャリアハイの成績を残したものの、打撃陣の援護を得られずにシーズンを負け越すという悲運に見舞われている。
2024年は大谷のいなくなったピッチャー陣の中で奮闘するも、あろうことかドジャース戦で左肘の靱帯を損傷して退場となり、そのままシーズンを棒に振るという踏んだり蹴ったりな事態に見舞われた。
大谷選手が大活躍してもエンジェルスが勝てない度に、「なおエ」が連呼されるある意味可哀想な戦国時代の武将。
なお大谷選手の発案で、2023年の本塁打パフォーマンスでは本塁打を打った選手に兜を冠らせる儀式が行われ、彼も3号本塁打を花巻東高校の3つ先輩菊池雄星投手から打った際はそれをかぶり、まさに「サムライ」状態だった。
ところが4/9のブルージェイズ戦で上記の通り11対12でまさかの大逆転負けを喫し、「なおエ」状態と彼の兜姿が「直江兼続」と被り「なおエ兼続」と南海キャンディーズの山里亮太氏から命名されてしまった。
言わずもがな日本人野手メジャーリーガーのレジェンドその①。彼もその業績(日米通算4367安打)に反してチームの成績に最後まで恵まれず、安打をどんなに叩き出してもチームが勝てなかった状況を野球ファンは「なおマ(なお、マリナーズは敗れました)」と称し、これが「なおエ」の起源となっている。
日本人野手メジャーリーガーのレジェンドその②。平成時代を代表する長距離打者であり、こちらは名門ニューヨーク・ヤンキースに移籍していた。そして、在籍7年目にして、ワールドシリーズ制覇および日本人野手初のワールドシリーズMVPに輝くなど、こちらは、大谷選手や先述のイチロー氏と対照的に、個人の活躍がチームの躍動に直結し報われた事例の一人である(もっとも、世界一になった2009年オフに戦力外通告を受け、ヤンキースを退団する羽目になっており、彼がヤンキースを去ってから2024年現在までの15年間、ヤンキースは世界一から遠ざかっており、メジャー関係者とファンはこの都市伝説をゴジラの呪いと呼称している)。
諸事情により、2023年にNPB(横浜DeNAベイスターズ)でプレイしていた、サイ・ヤング賞受賞歴もある元メジャーリーガーの投手。2021年(ドジャース在籍時代)に一度だけだが大谷選手とも対戦したことがあったりする。
それ以外にも、大谷選手とは共通点が多く、
- 「本気で日本一を目指す」と公言し、チームの主力として気迫あふれるプレイで活躍しながらも、チームの援護を受けられなかったり稚拙な守備に足を引っ張られたりして勝ち星を拾えない
- 「最良なパフォーマンスのためには適切な休養と栄養の補給が不可欠」という、大谷選手と同じ持論を持つ
- 野球を科学的に解析して、プレーヤーのパフォーマンスを上げるトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」を活用
といった点が挙げられる。
また、2023年のオールスターゲームでは大谷選手について直接言及しており、「野球界の中で一番、今までにない選手だと思う」とコメントしている。2024年には、水原一平氏の違法賭博問題への大谷選手の関与が否定され、潔白が証明されたことを引き合いに出し、自身のSNS上で「彼は無罪を証明され、MLBでプレイすることができているのに、自分は女性への暴行問題が不起訴処分になってもMLBでプレイすることが認められていない。これは不公平である(要約)」と、自分の置かれた状況に不満を示している。
大谷選手と同学年で、現在はニューヨーク・メッツ傘下のマイナー所属。
大谷選手と同様日本人でも数少ない100マイルボーラーで、かつては大谷選手のライバルとして扱われていたこともあったが、制球難や暴投癖の影響で、大谷選手とは実力の面で大きく水をあけられてしまうこととなった。しかし、皮肉なことに孤軍奮闘しながらもポストシーズン進出を7年間果たせなかった大谷選手に対し、後半から急激に調子を上げたとは言え、フラットに見てもメジャー全体ではそこそこではあった藤浪投手は(シーズン途中で突如強豪球団に変貌したボルティモア・オリオールズにトレード移籍したという事情もあったとはいえ)、MLB挑戦1年目でいきなり地区優勝&ポストシーズン進出を果たすという幸運に恵まれた。
なお、オリオールズ移籍後にエンジェルス戦でリリーフ登板してチームが勝利した際、自身のInstagramで「なおオ(なおオリオールズは勝ちました)」というネタを投稿し、ファンの間で「エンジェルスや大谷を馬鹿にしているのか」と物議を醸したことがある。
「投げる哲学者」の異名を持つ、日本人左腕でも屈指の実力者。大谷選手とは侍ジャパン(栗山ジャパン)でチームメイトだった。大谷・山本両選手がドジャースに移籍した2024年にこちらは鈴木誠也選手の在籍するシカゴ・カブスに移籍した。
彼も横浜DeNAベイスターズ在籍時に度々ムエンゴに泣かされており、それが現在の強靭なメンタルの構築に一役も二役も買ったと(冗談半分ではあるが)言われることがある。本人曰く「援護がないという言い訳は、防御率0点台の投手だけが言える」。
シーズン1年目はそのムエンゴ振りが再発(?)してしまったのか、中々味方の援護が貰えず、好投しながらも1ヶ月近く勝ち投手の権利が貰えないという、ある意味ではエンゼルス時代の大谷選手も真っ青な事態になったこともあったが、後半は打線が持ち直したこともあって徐々に勝ち星を増やしていき、最終的に日本人左腕で最多となるシーズン15勝を挙げるという快挙を達成、さらには継投ノーヒッターも達成するという幸運にも恵まれた(残念ながらチームは序盤の敗戦が響いてポストシーズン進出は逃した)。