🦋概要
蝶(チョウ)とは、昆虫の中の鱗翅目(ガ目・チョウ目とも)のうち、Rhopaloceraに分類される種類の総称。残りの様々の鱗翅類は便宜上に「蛾」としてまとめられてきたが、系統的に蝶は蛾の1グループである。
成虫は鱗粉に覆われる翅とストロー状の口を持つ。幼虫(イモムシ/ケムシ)と蛹を経って完全変態をする。ストロー状の口で花の蜜や果実の汁、水分などを啜る。(中には動物の流血を啜る種もいる。)
幼虫は種によってある程度決まった草や木の葉を食べる。
(例 モンシロチョウはキャベツや菜の花、ナズナなどのアブラナ科植物。アゲハチョウはミカンや山椒などのミカン科の植物。ツマグロヒョウモンはパンジーやスミレなどのスミレ科の植物。ヤマトシジミはカタバミの葉。オオムラサキはエノキの葉を食べる。)
花や茎、アブラムシが出す蜜、アリの幼虫等を食べる種も存在する。
蛾との区別は棍棒状の触角、昼行生など複数の特徴を総合的に見ての区別であり、明確でない。シャクガモドキという糸状の触角をもつ夜行性の蝶もいるため、両者を外見で完全に区分することはほぼ無理である。
一般的には翅の色が綺麗なものが蝶、黒・灰色・茶色など綺麗ではない色のものが蛾と思われているが、鮮やかな柄を持つガも、茶色や黒、灰色のチョウも沢山いるので色で判断は出来ない。
英名の由来
英名「butterfly」(バターの羽虫)およびそれに類似する言葉を言及した文献記載は10世紀以前まで遡り、長い歴史にあることが分かるが、その由来は諸説紛々で明確でない。一例としてヤマキチョウの黄色型の雄による、バターが産する春と夏で草地を飛び舞うことによる、などがある。
蝶のイメージ
平安時代では「死者の魂がこの世に甦った姿」とされ、弔いの詠にはしばしば蝶が使われる。それ故「名前を言うのも気持ち悪い」物だったらしく、日本語では元「カハビラコ」「カービル」(川にいるヒラヒラあるいは皮の張ったびびるもの)と呼ばれていた。後に中国語の「tie」を無理やり日本語の発音にした「てふ」が使われる。なおギリシャ神話においてプシュケも蝶の羽を持つ。
物事が始まる予兆や変化の兆しと例えられることも多い様だ。
中国では「老齢」を表す耄耋(mao tie)との語呂合わせから、長寿=めでたいものの図像として「猫と蝶(mao tie)」の絵が好まれた。
ミャオ族の神話では蝶は人間の先祖とされており、生のシンボルとする国もあるようである。
実在の種類
蝶の種類は約1万5千とも2万とも言われており、ここには書ききれないほど多い。ここでは日本産の種を中心に一部を記す。
日本産はおよそ250種程。
- アゲハチョウ科(翅に黒い筋の模様、多くの種に尾状突起あり。)
シボリアゲハなど。
- シジミチョウ科(体が小さい。一部の種の幼虫は蜜を出してアリを呼び、餌をもらい、敵から守ってもらう。アリの幼虫やアブラムシを捕食する肉食性の種も存在する。)
… ベニシジミ
アリノスシジミなど。
- シジミタテハ科(日本には生息しない。シジミチョウに似ているが、タテハチョウの様に前足が退化している。)
ヒョットコシジミタテハなど。
- シロチョウ科(白や黄色の種が多い)
… モンシロチョウ
スゴモリシロチョウなど。
… アカマダラ
タテハモドキなど。
- ヒョウモンモドキ亜科(タテハチョウ科の一群)
… ヒョウモンモドキ
アトグロヒョウモンモドキなど。
- イチモンジチョウ亜科(タテハチョウ科の一群)
アメリカアオイチモンジなど。
- ジャノメチョウ亜科(タテハチョウ科の一群。翅に眼状紋を持つ。薄暗い場所を好む)
… クロコノマチョウ
ベニスカシジャノメなど。
- コムラサキ亜科(タテハチョウ科の一群)
… コムラサキ
クロオオムラサキなど。
- ドクチョウ亜科(ヒョウモンチョウ亜科)(タテハチョウ科の一群。)
オビモンドクチョウなど。
- スミナガシ亜科(タテハチョウ科の一群)
… スミナガシ
- カバタテハ亜科(タテハチョウ科の一群)
… カバタテハ
ウラモジタテハなど。
- テングチョウ亜科(タテハチョウ科の一群。頭部に長い棒状の突起を持つ)
… テングチョウ
アメリカテングチョウなど。
- マダラチョウ亜科(タテハチョウ科の一群。南方系の派手なチョウ。幼虫が毒をもつ植物を食べ、体内に毒を溜め込む。花によく集まる)
… アサギマダラ
トンボマダラなど。
- モルフォチョウ亜科(タテハチョウ科の一群。ジャノメチョウ亜科に近縁。日本には分布しない)
… モルフォチョウ類
ワモンチョウ類など。
- セセリチョウ科(ずんぐりした体型、素速く飛ぶ)
… イチモンジセセリ
ラッフルズセセリなど。
蝶に関連する作品・キャラクター一覧
関連イラスト
別名・表記ゆれ
チョウ ちょう 蝶々 ちょうちょ チョウチョ てふてふ 胡蝶