概要
乗り物の一つ。一般的には自動二輪車のことを指すが、広義には三輪バイクやサイドカーのような3つ以上のタイヤの乗り物も含まれる。
二輪車を意味する英語の【Bicycle】の略語である【Bike】が語源。
英語圏で【Bike】というとマウンテンバイクなどの自転車を指すのが一般的で、自動二輪車は【Motor Cycle】と呼ばれるが、【Bike】も通称の一つとして使われるので十分通じる(例えば市販車ベースのレースの最高峰は「World Super Bike Championship」だし、ダカールラリーの二輪部門の英語名も『BIKE』である)。
日本ではオートバイとも言うが、こちらは和製英語であり、バイクに比べるとタグの付いた作品はかなり少ない。しかし英語圏同様自転車と紛らわしいので、オートバイのほうが推奨できる場面もある。
細い道や渋滞もすり抜けられる・車両価格や維持費が安いといったメリットから、道がメチャクチャ混みやすい・平均所得が低い東南アジアの発展途上国ではうってつけの乗り物で、旅行に行けば道に駐輪場にバイクがごった返しているのを見ることができるだろう。例えばベトナムでは深刻な渋滞や排ガス問題を解決するために政府が四輪自動車の輸入を制限している場合もある一方、バイクの法律は緩いため、1台に3人4人と乗れるし、バイク1台あれば屋台も開けるし海や山の収穫をすぐ市場で売ることができる。バイクさえあればそこそこの生活が維持できる、バイク天国なのである。「家は売ってもバイクは売るな」という格言もあるほどである。
ちなみに世界最多保有台数国はインドで1億5000台(年間生産2000万台、年間販売2000万台も同国が世界一)、一人あたり保有率1位は台湾で100人あたり63台にも及ぶ。
こうした市場の熱さから、東南アジア向けで東南アジア向けに作ったバイクを日本や欧米に輸入して売るというパターンも今や全く珍しくなくないものである。
しかし逆に、四輪自動車が一般的でインフラの発達している現代日本や先進諸国では、上記のメリットよりもデメリットが圧倒的に目立つ。具体的には、
- 身体がむき出しなので肌の露出を無くした上で防具(ヘルメットやプロテクター)が必須だが、それでもなお死亡率が高い
- タイヤが2つしかないので不安定で、風や路面変化に弱い。路面のヒビや落ち葉、マンホールでも踏むと危険なことがある
- 落下物や横断する動物に遭っても死傷する恐れがある
- 自動車では一般的な衝突被害軽減ブレーキやオートクルーズコントロールのような先進安全装備は一切ない
- ワイパーも屋根もないので雨での危険度が自動車の比ではない
- 路面が見えづらい夜も危険度が遥かに上がる
- 雪が降ったら完全にお手上げ
- 強風や急激な風圧にも弱い
- 小さいので他の自動車が見誤ってぶつかってくる確率が高い
- 空調が無いので夏は暑いし冬は寒い
- 2人乗りはできるが、すると荷物が全く載らないし、万一事故れば2人とも死傷する危険性が高い
- 車中泊ができない
- 小さいので窃盗団からすれば盗みやすい
- ただ跨っているだけでも「立ちゴケ」のリスクがある(コケれば当然バイクは傷つき、最悪フレームなどが曲がって使い物にならなくなってしまう)
- タイヤも車両も寿命が短い
など多すぎて、まるでデメリットがタイヤをつけて走っているような存在に変わってしまう。そのため近距離向けで自動車免許さえあれば乗れる50cc以下(=原動機付き自転車、原付)を除けば日常の足として使われることはあまり無い。
しかしそうしたデメリット全てを覆してあまりある魅力、楽しさがあるのもまた事実である。
バイク漫画『ばくおん!!』に出てくる、
「バイクは バカにしか乗れん」
という台詞は、こうしたバイクの本質を端的に言い表している。
ファッション感覚で乗る人も居れば、大量の荷物を積載してツーリングで遠くを目指す人、カスタムを専門に楽しむ人、モータースポーツに参加する人も居たりと、多くは趣味の乗り物として先進諸国では親しまれている。
かつてマナーが啓発されていなかった昭和時代は暴走族が幅をきかせて道路を塞ぎながら爆音を響かせていたため、「バイク=暴走族・不良」といった誤った解釈により「3ない運動(免許を取らせない、買わせない、運転させない)」が全国で展開され、バイク文化を衰退せしめたとされる。
今は暴走族はなりを潜めてはいるものの、マナーの悪いライダーは依然として存在する。しかし決して「バイク乗り=暴走族」ではないので、これからバイクに乗ろうと思っている人には間違ったイメージを持ってほしくないし、現役のライダーにはイメージを下げるような運転は絶対に避けてほしい。
あと人生に支障をきたさないためにも、任意保険や入院保険、ロードサービスといった有事の際の保険はしっかり入っておこう。
pixivでは実在するバイクから架空のバイクまで様々な車種が描かれており、クルーザー(アメリカン)やスクーター、スーパースポーツなどが好まれて描かれている。
人物と一緒に描かれる場合は女性とセットになっていることが多いが、これはバイクの機械的で武骨なカッコよさを引き立たせる効果が大きいことや、しなやかな女性の肉体との対比が大きな魅力を生むからであろう。もちろんそうした事情抜きに単純に、バイクに乗ってる女性は良いぞ。
またライダーの若さや、反対に老いによる渋さを演出するアイコンとして用いられる場合もある。
バイクの種類・区分
法律(排気量)による区分
日本の場合、エンジンの排気量をもとに下記のように分類され、運転免許もそれぞれ用意されている。原付を除くそれぞれのクラスに、AT限定免許が存在する。
- 大型自動二輪:排気量401cc以上。教習を受ける際には普通自動二輪の取得を前提条件とする自動車学校が多いが、免許センターの一発試験なら何も持ってない状態からでも受けられる(受かるかどうかは別のお話)。
- 普通自動二輪:排気量126cc~400cc。最もオーソドックスなクラス。同じ普通自動二輪でも、250ccより上の排気量では車検が必要になる。
- 小型自動二輪:排気量51cc~125cc。道路運送車両法では原付二種に分類されるため高速道路やバイパスには乗れないが、法定時速は自動車と同じ。車検がない、原付一種と同じ保険(ファミリーバイク特約)が使えるなど維持費面で有利な部分が多い。
- 原動機付自転車:排気量50cc以下。原付一種。法定時速は30km/h。一般的にバイクとは呼ばれず、法的にも異なる部分が多い。原付専用の免許もあるが、四輪の普通自動車免許でも乗れる。
自動車と同じ様に排気量によって税金が異なるが、251cc以上は一律6000円である。
ボディタイプの種類
- スクーター:エンジンを座席したに格納したもので、足を揃えて乗るものやATのものが多い。収納が広く、もっぱら日常の足として使われる。当該項目参照。
- ネイキッド:直訳すると「裸」で、カウルのついていない、一般的にイメージされるオーソドックスなバイク。
- ツアラー:ネイキッドにカウルが装着された形状と性能のバイク。カウルのお陰で空気抵抗を身体で受ける必要がないので長距離の移動が楽だが、取り回しがやや重くなるというデメリットが有る。ハヤブサのように、直線でのパフォーマンスではスーパースポーツを凌ぐものもある。
- スーパースポーツ(SS):本格的なスポーツ走行を前提に開発されたバイク。カウルがあるという点でツアラーと同じだが、サーキットでのパフォーマンスを重視しているため比較的軽量で、空気抵抗を減らすために前傾姿勢を強いたり、高回転型のエンジンを搭載していたりもする。ツアラーとの境界線は曖昧で、定義を巡って四輪におけるスポーツカー論争のような議論もしばしば起きる。バブル時代前後に一斉を風靡したものたちは特にレーサーレプリカとも呼ばれる。2010年代に250ccクラスでスーパースポーツブームが巻き起こり、若者のバイク離れを緩和したとされる。
- ストリートファイター:スーパースポーツのカウルを取っ払ったような形状。基本的にはスーパースポーツと同時に発売される。ツアラーとは逆の意味で、ネイキッドとスーパースポーツの中間にある存在である。
- オフロード:読んで字のごとく、オフロードを走るためのバイク。パフォーマンスや整備などの都合上、競技では単気筒や中小排気量がメインである。外観の好みは人を選ぶが、バイクの大きな弱点である路面変化を苦にしないため、これを最強のバイクと考えている者もいる。前輪も駆動する、二輪駆動(=全輪駆動)のオフロードも開発が進められている。
- アドベンチャー:カウルのついたオフロードのような形状で、「冒険」を意味する名称の通り長距離ツーリングが主眼で、舗装路性能も重視されるためオフロードに比べると大排気量が好まれる。ツアラーと混同されることが多い。四輪自動車でいうところのクロスオーバーSUVのような存在。
- アメリカン:大陸の長い直線をゆったり走るために設計された、アメリカスタイルのバイク。ハーレーダビッドソン社が有名で、バイクを知らない人からは「ハーレー」という名のボディタイプと勘違いされやすい。
- 三輪バイク:タイヤが3つついたバイク。転倒の心配が圧倒的に少ない。バイクによっては道路運送車両法上「特定二輪」に区分されるが、これは普通自動車免許で乗れる上、ヘルメット着用の義務がない。
- サイドカー:横にもう一台「側車」と呼ばれる車がついた乗り物で、一見するとバイクではないが、運転には排気量に応じた自動二輪免許が必要となる。
エンジン形式の種類
ストローク数
- 2ストローク(2st):吸気と排気の2つしか行程のないエンジン。パワーと音がよく出るが、吸気と排気に燃料が混ざってしまうため燃費は悪く排気ガスが汚いというデメリットがあり、現在の厳しい排気ガス・騒音規制下では稀少である。またトルクの出方が極めてピーキーで扱いづらい。しかしその刺激の強さは旧くからのバイクファンを中心に信者が多く、2ストロークが主流の時代に戻すことが若者のバイク離れの特効薬だと信じて疑わない者もいる。
- 4ストローク(4st):吸気→圧縮→爆発→排気の4行程を持つバイク。同じ排気量の2stより行程が倍あるのでトルクは半分しかないが、吸気と排気が混ざらないので燃費は良く、排気ガス・騒音規制を通しやすい。現在ほとんどのバイクが4ストロークである。
気筒数
ここでは省くが、四輪自動車同様に並列・V型・水平対向といった置き方が存在する。
- 単気筒:最も燃費がよく下からトルクが出しやすいため扱いやすく、コストパフォーマンスに優れる。しかし振動・騒音が大きい。「芝刈り機と一緒」とバカにされることもあるが、MotoGPの登竜門であるMoto3は単気筒だし、オフロード車は整備性と軽量化の観点から単気筒が主流であるなど、侮れないポテンシャルがある。
- 二気筒:単気筒より振動・騒音が少なく、燃費もパワーもそこそこでバランスが良い。排気量の幅も250~1,800ccと広く、最もバラエティに富んだクラス。
- 三気筒:構造上偶力振動(エンジンが回転するような動き)が発生するため、あまり積極的には用いられない。しかし独特の味があるとされ、ファンが根強いため現在も生産されている。
- 四気筒:各社のフラッグシップスーパースポーツでほぼ必ず用いられる(これはレースのレギュレーションも関係している)。一般的にイメージされるバイクの最高気筒数で、これより多い気筒数はスペースや重量、対費用効果、需要などの観点から極端に少なくなる。
- 五気筒:三気筒同様偶力振動が発生するが、三気筒よりも稀で、現在採用しているバイクは皆無である。
- 六気筒:1970年代の多気筒化競争で、多くの六気筒が登場したが、現在はBMWくらいしか作っていない。
ロードレース世界選手権(現MotoGP)ではモトグッチの8気筒、市販車はダッジ・トマホークの10気筒(!)が最高記録で、ここまで来るともはや高性能自殺マシンの領域である。なおギネス記録ではカスタムバイクの48気筒(!?)が最高である。
代表的なメーカー
四輪同様日本が強い分野で、世界シェアではホンダとヤマハが1-2位を占めている。
モータースポーツでも日本勢は強く、バレンティーノ・ロッシやマルク・マルケス、トニー・ボウといったレジェンドたちは日本メーカー車で記録を築き上げている。
自動車メーカーリストも参照のこと。
架空バイク・バイクモチーフキャラ一覧
仮面ライダーシリーズ
仮面ライダーが「ライダー」たる所以。
ただし平成作品以降、まともにバイクに乗らないライダーも増えている。挙句の果てには仮面ライダーがバイクになるという事案まで。
詳しくはライダーマシンを参照。
ライダーとは別のバイク
作品名 | 画像 | バイク名 | 搭乗キャラ |
---|---|---|---|
仮面ライダーV3 | 名称不明 | 魔女スミロドーン/原始タイガー | |
仮面ライダーBLACK | ヘルシューター | 剣聖ビルゲニア | |
仮面ライダークウガ | | バギブソン | ゴ・バダー・バ |
仮面ライダー剣 | ブラックファング | ??? | |
仮面ライダーウィザード | ブラックドッグ | ヘルハウンド | |
仮面ライダーエグゼイド | モータスヴァイパー | モータスバグスター | |
仮面ライダージオウ | キャピタルローダー | ガーディアン |
トランスフォーマーシリーズ
- アーシー(プライム)
- グルーブ(戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー)
- ダブルフェイス(マイクロン伝説)
- フラクチャー(アドベンチャー)
- レックガー(トランスフォーマーザ・ムービー)
- ロードストーム(ギャラクシーフォース)
その他のバイク
漫画・アニメ
※1:現実のバイクにも強い影響を与えた一台。
※2:パワードスーツ形態に変形するライドアーマー。
※3:陸戦型メタルアーマー。
※5:バイクで走りながらカードバトルをするという斬新な設定。レースとは違うためバイクの速さで勝敗が決まるわけではないが、速い方が先攻を取れる、周回遅れにしまくると相手のスピードカウンターを減らせるなど得なこともある。
ゲーム
作品名 | 画像 | バイク名 | 搭乗キャラ |
---|---|---|---|
Fate/Zero | | セイバー・モータード・キュイラッシェ | セイバー |
FF7アドベントチルドレン | | フェンリル | |
ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド | | マスターバイク零式※1 | リンク |
ロックマン10 | | ニトロマン | |
メタルマックス4 | | サーシャ※2 | |
可変走攻ガンバイク | | ガンバイク | |
ペルソナ5 | | ヨハンナ | 新島真※3 |
戦国BASARAシリーズ | | 馬イク※4 | 伊達政宗 |
魔法少女まどか☆マギカポータブル | | 銀の魔女 |
※1:DLCで配信された。
※2:エージェント・アンドロイドでバイクに変形する。
※3:彼女のペルソナ。
※4:馬とバイクを組み合わせた乗り物(?)。
特撮
※1:相棒ポジション。
※2:バイクに変形する特撮ロボットの元祖。
映画
作品名 | 画像 | バイク名 | 搭乗キャラ |
---|---|---|---|
ダークナイト・トリロジー | | バットポッド※ | バットマン、セリーナ・カイル |
※:バットモービルから分離する脱出用ユニット。
他ジャンル
作品名 | 画像 | バイク名 | 搭乗キャラ |
---|---|---|---|
ペルソナ×探偵NAOTO | | 黒神創世※1 |
※1:正式名称は対シャドウ特別制圧兵装 R零式・コードネーム『GENESIS』。