概要
現実においてはある種の見世物や芸能性として、男性でありながら誇張した女性語(オネエ言葉)を用い、自身のキャラクター付けとしている者の事を指す。
ドラァグクイーンに代表される「女性らしさ」のパロディとして女性語を用いるケースがよく知られる。
オネエはゲイ(男性同性愛)文化の一部に含まれる事から、オネエキャラの男性はイコールゲイであると見なされがちであるが、「オカマ」とは違い性的少数派であるか否かとは本来関係のない概念である。
よくある混同や誤解として男性の同性愛者や、トランスジェンダー・性同一性障害の女性(生まれ持った身体は男性だが、女性として振る舞い女性として扱われることを望む人)を全般的に示すと考えられがちであるが、実際には女性語を使わない男性同性愛者の方が圧倒的に多いため、比較的特殊な例といえる。
また、性同一性障害の女性の場合、女性が女性語を単に使っているだけなので本来該当しない。
逆に性同一性障害の男性があえて誇張した女性語を用いるケースもあり、こちらは「オネエ」として扱われる。
一方で、シスジェンダーで異性愛者の男性であってもキャラクター付けや見世物としてのニーズに応える為に女性語を用いる場合もある。
また、オネエはあくまで「(誇張した)女性語を使い、時に女性的な仕草をすることを自身のキャラクター性の一つとしている男性」を指すため、必ずしも常に女装をしている、中性装であるということはない。角刈りに髭で筋骨隆々のオネエや、仕事で女装をして普段は一般のメンズ服を着ているようなオネエもいる。
オネエキャラクターの男性は、「美意識が高い」「話が面白い」「女性と男性の気持ちがどちらもわかる」「人生経験が豊富で相談相手に最適」というような部分を売りにしていることも多く、ある種の女性に人気がある。
明確な定義はないものの、「女性」らしさの中にも、元の「男性」らしさが時折見え隠れするのが魅力のようである。
ただしオネエの中には辛辣な物言いを好む者が少なからずおり、それもまた文化の一つの側面ではあるが、口があまりにも悪いオネエは嫌われる場合もある。
「おかまバー」「ゲイバー」勤務以外に、スタイリストやメイクアップアーティストなど「美」に関連する職業に就いている人も多い。もちろん全く関係ない仕事についている人もいる。
本人のジェンダーやセクシュアリティを問わないカテゴリーであるが、パートタイムで言動まで女性になりきる女装を趣味とする男性(例えば、必ずしもトランスであるとは限らない、自身を女性と思い込むことで性的興奮を得るオートガイネフィリアの男性など)を含むのかどうかは意見が分かれる。
なお、特にゲイコミュニティに所属していないような男性でも女性語に似た言葉遣いをする人が時たまいるが、その人の振る舞いによってはおねえキャラ扱いはされないことも多い。
その実例として、俳優の梅沢富美男氏は話し口調だけ見れば女性語を一見使っているように聞こえるが、これは梅沢氏が大衆演劇における女形の役者であることから、いわゆる職業病として女性的な口癖がしてついてしまったためであると広く認識されている。なおかつプライベートでは大の女子好きで浮気症(もちろん妻子あり)というエピソードが知られている事もあり、誰からもオネエとは思われていない。
同様の実例としては志村けん氏などもコントとしての「オネエキャラ」を頻繫に演じてきたことで、コメディアンとして女性的な口癖がついてしまったためと認識されている。こちらもプライベートでは大の女子好きというエピソードが非常に知られており、オネエとは誰からも思われていない。
このような「意図して女性的な口調や仕草をしているわけではない人」のことは「オネエ感がある」という表現がなされることがある。
オネエ言葉
オネエキャラの人が使う言葉。誇張された女性語(てよだわ言葉)であり、少なくとも昭和後期以降の現実的・現代的な女子には使われないような過剰な言い回しが特徴。
例としては「~なのよ」「~わよ」「~だわよ」「~わね」「~なのね」「~ですの」「~ですわ」「~ですわよ」「~かしら?」「~ですかしら?」「~ますかしら?」などで、一人称も「私」や「アタシ」など女性らしい物である。
オネエ言葉はゲイ・コミュニティでは古くから一般的であるが、ゲイの中でもこれを使わない人の方が多く、ゲイ・コミュニティにあってオネエ言葉を嫌う人も一定存在している。
一説では、何故この様な言葉を使うのかは「特に日常であまり意識した事はない」「(主に)新宿二丁目界隈におけるいつの間にか定着した方言のようなもの」といった説がある。
言い難い事を言う際に、普段「オネエキャラ」ではない人(ゲイ・コミュニティとは関わりのない男性や女性)が使う事例が散見される。「オネエ言葉」を話すことで、辛辣な物言いや毒舌をオブラートに包んで表現することが出来るからである。
ただし、オネエ言葉が主に使われるゲイ・コミュニティにおける毒舌は基本は気心知れた仲間の間で挨拶のような感覚で使われるものであり、本来はゲイ・コミュニティに属さない人達に対しては使わないとされている。
フィクション
漫画やアニメ、映画やドラマ、ゲームなどのフィクションにおいても同様の存在を指すが、例えば「性別を持たないが外見上は男性的・口調は女性的」という現実にはなかなかいないようなキャラクターを含むこともあるため、より複雑な概念ともいえる。
なお、女装キャラでも「女性と区別がつかないような外見の男性キャラ(男の娘)」の場合は必ずしもオネエとは言えず、あくまで、普段の発言や振る舞いから定義される。
フィクションでは「オネエは強い」という風潮が広まっているが、実際にオネエキャラは戦闘力の高いキャラクター(凰蓮・ピエール・アルフォンゾや泉京水、ハイグレ魔王、シルビアなど)から、個性の強さに裏付けされたカリスマ性を持ったキャラクター(エンポリオ・イワンコフなど)などが少なくないのが事実ではある。
また、味方になるオネエキャラは上述のイワンコフ、シルビア、ネイサン・シーモア、ボン・クレー、マギー(GBD)等作中屈指の頼りになる味方キャラであることも多い。
「おねえキャラ」の方々
実在する人物
※基本的に一般向けテレビ番組などでタレント活動を行なっている人物のみ。
同性愛、または両性愛を公表している人物
- 美輪明宏
- マツコデラックス(※女装家、ドラァグクイーン)
- ミッツ・マングローブ(〃)
- ナジャ・グランディーバ(〃)
- クリス松村
- IKKO
- 假屋崎省吾
- 楽しんご
- 小椋ケンイチ(おぐねー)
- 山咲トオル(※オネエはあくまでキャラで異性愛と自称していたが、実際には同性愛者であると告白した)
- 三ツ矢雄二(※家族への配慮からセクシュアリティについて「グレーゾーン」と自称していたが、後に「ゲイかストレートかと言われたらゲイ」とカミングアウトした)
- おすぎ・ピーコ
トランスジェンダーやXジェンダー(性転換をおこなった「元」男性も含まれる。なお最初から女性としてメディアに出演している場合は除く)
異性愛者(仕草や口調は女性的だが、性愛の対象は異性。オネエに含まれない場合がある)
不明、非公開
- りゅうちぇる(※元々は女性らしいものが好みの異性愛者であるとしていたが、ぺことの婚姻関係解消後に実際には同性愛者、ないしトランスジェンダーであることを仄めかしている)
- 植松晃士
- 米良美一
- りんごちゃん(※本人は「『りんごちゃん』に性別という概念はない」としている)
架空のキャラクター
※一部ジェンダーやセクシュアリティの設定が明かされていない「女性口調なだけ」のキャラも含む。
イラスト無し
- 有栖院凪(落第騎士の英雄譚)
- 模糊山剛(焼きたて!!ジャぱん)
- 増子寺楠男(武装少女マキャヴェリズム)
- 早乙女泰造、香取(MAJOR)
- 六本木透(アニメガタリズ)
- 雪叢・ベリアル・グランスタイン(舞台仮面ライダー斬月-鎧武外伝-)
- アドラメレク(ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。)
- 大熊結(スタレボ)
- 小野寺保(かげきしょうじょ!!)
- 谷誠二(てっぺんっ!!!)
- デザインマン(それいけ!アンパンマン)
- 藤原虎呂助(いでじゅう!)
- ナルシー・ヒデ(ロックマンエグゼ)
オネエのようだけどちょっと違うキャラ
- 次郎太刀(刀剣乱舞)※twitterにて担当絵師及び担当声優が「女装しているが、オネェという訳ではなく『女形』の格好である」と発言している。
- 女郎蜘蛛(妖怪ウォッチ)※女子力が高くリアクションも女性妖怪と同じだが、オネェと明言されてない。
- 飯島智(アイ★チュウ)※「女の子のよう」とは言われているが、「オネエ」とは言及されていない。
- ヴィル・シェーンハイト(ツイステッドワンダーランド)※一人称が「アタシ」で美意識が高く女性語で話すが、「オネエ」とは明言されていない。
- 花畑チャイカ(にじさんじ)※本人曰く「変態女装おじさん」
- ゲモリー(カルドセプトセカンド)※語尾が「ザマス」で、女性語で話すが、「オネエ」とは明言されていない。
- スミパンダ(SELECTIONPROJECT)※中の人がキャラ作りしており、着ぐるみを着ていない時はアイドル候補生達を親身になって考えている好青年。
- グロッキー、ボヤッキー、トボッケー、セコビッチ、ジュリー・コケマツ、コスイネン、ダサイネン、ヒエール、ツブヤッキー(タイムボカンシリーズの三悪における「頭脳派」)※それぞれ普通に女好き(リーダー役の女性的魅力にベタ惚れで、女子高生好き)であるが、落語家などが使う「江戸っ子らしい話し方」としての「アタシ」という一人称や話し方がオネエっぽく聞こえる。
設定変更があったキャラ
- 田中様(新必殺仕事人以降)※元々はオネエキャラではなかったが、舞台版で何故かついたオネエ属性が本編に逆輸入された。
- ビビアン(ペーパーマリオRPG)、グレース(どうぶつの森)※どちらも日本語版(オリジナル版)では女性的な外見・振る舞いの男性だが、一部海外版では女性と設定されている。
ほかにも、ファイナルファイトのポイズンのように国によって性別の設定が異なるため実質的に「不明」というのが公式見解となっているケースや、ギルティギアのブリジットのように、当初は(性自認が女性かは明確にされていない)「女装キャラ」という位置付けだったのが、シリーズが進む中で「トランス女性」(自身のジェンダーを女性と認めた)と改めて定義されたケースもある。