ドラゴン
どらごん
※曖昧さ回避については関連タグを参照。
ドラゴンの概説
古今東西、世界中の伝承・神話に語られる強大なモンスター。
凡そあらゆる幻獣・魔獣の中でも、特に恐るべき存在として語られる傾向にある。
元々は恐竜の化石を発見した原始人が、その巨体から創作した復元予想図に端を発するのではないかという説もある。地理的な文化の差異など問題外レベルの話ゆえ、各地に点在する化石を見た人々は壮大さとカッコよさに感嘆したであろうことは想像に難くない。
性質や形状から大まかに数種のパターンに分けられるが、「強大な、あるいは超自然的な力を持つ爬虫類状の大型生物」というイメージは概して共通している。
東洋の竜(龍)と西洋のドラゴンは本来全くの別物だが、クマーラジーヴァが仏典漢訳の際に「ナーガ」を「竜」と訳した例が加速度的に伝播した結果今日に至るまで同列に扱われるようになった。
逆に東洋の龍もまた、西洋ではドラゴンと呼ばれている。
ドラゴン: 西洋(地中海周辺地域・ヨーロッパ大陸諸国)の伝説に登場する竜
一般に「ドラゴン」とは、蜥蜴ないし蛇に似た西洋の伝説上の生物を指す。
概して、大型の爬虫類様生物あるいは哺乳類的な基本骨格に、鱗や長い尻尾などの爬虫類的な装飾を施された動物として表現されている。
鋭利な爪や牙を持ち、その多くはコウモリのような翼で空を飛び、しばしば鼻や口から炎や毒の息を吐くとされる。
キリスト教世界では、古代中東の伝統を受け継いで悪魔と同等の扱いで退治されるべき存在として描かれたことが多い。例えば『聖書』の「ヨハネの黙示録」に登場する赤い龍は魔王サタンであると記され、大天使ミカエルと戦って敗れる様が描かれている。また聖人伝説集『黄金伝説』によって聖ゲオルギオスの竜退治伝説が広まり、後の勇者が竜を退治する物語類型へとつながっていった。
一方、泉・宝物・国を守護するとされるもの、紋章用デザインとして作られたもの(ワイバーン)なども存在する。
また一部では竜退治の後にその土地が衰えるという伝承もあり、日本で言う土地神としての側面ももっていることが伺える。そういった意味ではキリスト教が他宗教の神を悪魔化するのと似たプロセスで、自然信仰を怪物化させたとも取れる。
逆に言えば恐竜の化石のような土地神は「ご当地ヒーロー」色が濃く、異なるコミュニティ同士を大きな統一国家にまとめるには別の「自己犠牲の動機」で騙す必要があった。
水木しげるが著書を務める「水木しげるの世界妖怪大百科」では地下世界で誕生し、地下のエネルギーを蓄えたフランス伝承の怪物として登場。尻尾を引っ張って退治するとドラゴンのような強い力が得られるとされている。デザインは東洋の龍をベースに虫のような複数の脚が生えたものとなっている。
ある意味で上記の土地神説が反映されているのかもしれない。
龍: 東洋(中国文明文化圏諸国)の伝説に登場する龍
鹿の角・駱駝の頭・鬼(幽霊)或いは兎の眼・大蛇の体・蛟(みずち)の腹・鯉の鱗・鷹の爪・虎の掌・牛の耳の「九似」の特徴を持ち、風雲雷雨を司るとされる。
ごく一般的には、(應龍のような例外を除いて)翼は無く、角・髭・タテガミ・短い手足を有し、
宝珠を手に雲間を泳ぐように飛ぶ大蛇状の生物として表現されている。
古くからアジア文化圏で鱗虫の長として神聖視される瑞獣であり、吉事のモチーフとしてしばしば描かれている。
cf. ブータンの国旗
龍が地に落ちるといった伝承もあり、瑞獣であっても正邪・上下などがある。そのあたりは太極の思想の影響とかんがえられる。
蛇、鯉などの魚(滝登り)、馬(参照)が転身したり竜が様々なものに化けたりするという伝承もある。鯨と竜・竜王にも繋がりがあり(参照)、たとえば牛鬼のように両者の特徴を揃えたものもいた。
仏教ではあまり重んじられず、密教の尊像としては龍単体のヒエラルキーはせいぜい天部止まりであり、それ以上となると明王や菩薩の付属アイテム扱いがほとんど。
しかし神道や儒教ではかなり重視される。四神では青龍として春と東方を守護し、転じて東海の竜宮城を統べる龍王となる。
日本では、天孫である山幸彦ことヒコホホデミノミコトが龍王オオワタツミの娘である豊玉姫と結婚し、神武天皇の父であるウガヤフキアエズノミコトを儲けている。つまり皇室の祖先の一つにあたるわけだ。
また中国では、漢の初代皇帝、高祖劉邦は赤龍の子であるという伝説がある。その父が、妻に龍が乗っている夢を見た後に生まれたというのだ。劉邦の鼻が高く髭が立派な異相も龍の証とされた。転じて皇帝の顔を龍顔と呼び、龍は皇帝の象徴とされるようになった。
先述の劉邦の例にもあるように、西洋龍とは違って東洋の龍は肯定的なイメージが強く、力強く偉大な英雄が龍に例えられたり、子供がそういった偉大な人物になるように龍の名を付ける事例は数多い。
(前者は「独眼竜」と呼ばれる伊達政宗、後者は坂本龍馬など。また「龍虎相搏つ」ということわざにもその影響が見られる)
その他の地域の伝説に登場するドラゴン
また、インド文化圏のナーガ(龍王)や、オセアニア(ex. ユルルングル)・アメリカ大陸(ex. ケツァルコアトル)等の
ギリシア・ローマ文化圏以外の土着の伝説にも同様な生物が登場する。
往々にして「倒すべき怪物」「信仰するべき瑞獣」など、地域によって正邪の二面性が現れているのも面白いところ。
近現代におけるドラゴン
ファンタジー世界のモンスター・クリーチャー・幻獣の代表格として、文芸・映画・漫画・アニメ・ゲーム等の数え切れない程の作品に登場している。トールキンの神話体系の竜族を皮切りに、特にTRPGの元祖の一つとされる『ダンジョンズ&ドラゴンズ』ではタイトルにも起用され、モンスター、ラスボスの代表格としてその後のファンタジーでの立ち位置に影響している。
様々な作品での活躍に伴ってアレンジやデフォルメが施され、西洋的な外見でかつ神聖なイメージを持つものや、柔和なイメージで描かれるものなども多く見られるようになった。
太田煙火製造所の有名な花火の名にもなっており、同タイプの花火の代名詞のようにもなっている。
無印のものは平成20年度に生産中止された。
ドラゴンの分類
「西洋竜」と「東洋龍」
便宜上の分類として、西洋的な特徴を持つドラゴンを「西洋竜」あるいは常用漢字の「竜」で表し、東洋的な特徴を持つドラゴンを「東洋龍/東洋竜」あるいは人名用漢字の「龍」で表す傾向がある。
なお、「竜」は「龍」の略字・新字体ではなく、両者とも篆書以前から存在する異体字である。
著名なドラゴン・竜(蛇神なども含む)
西洋・南米
ファフニール ヒュドラ ラードーン バラウール ガルグイユ(ガーゴイルの原形) リンドブルム ズメイ ケツァルコアトル リヴァイアサン ジャバウォック バハムート アジ・ダハーカ ミドガルズオルム(ウロボロスの原形) ニーズヘッグ ル・カルコル スパルトイ ヴィーヴル タラスク ムシュフシュ ティアマト バジリスク 中つ国の竜(スマウグ等)
東洋・中東
さらに細かい分類
サブカルチャー用語も含めて、おおよそ以下の様に区分される。
外皮 | 被鱗竜{鱗ドラ(ゴン)}, 被毛竜{ファードラゴン), けもりぅ/ケモ竜(けもりゅう, 獣竜)}, 被羽毛竜, 被膚竜(つるつる, つるぷに) |
---|---|
その他 | 機竜,機龍,機械龍,機械竜,メカドラゴン |
人半身 | 伏羲・女媧、燭陰、イツァムナー、雷神(『山海経』「海内東経」)、共工など |
頭 | 多頭竜、人頭(神社姫/大神社姫、肥後の竜など、人魚とも取れる存在もいる) |
脚 | 四脚, 二脚{竜人(ドラゴニュート), (竜)獣人}, 無脚, 多脚 |
翼 | 二枚翼{ドラゴン(四脚三対), ワイヴァーン(ワイバーン, 前肢翼二対), ワイアーム(前肢翼一対)}, 無翼, 多枚翼 |
翼形 | 蝙蝠翼, 鳥翼, 鰭 |
色 | イエロードラゴン, グリーンドラゴン, ゴールドドラゴン, シルバードラゴン, ピンクドラゴン, ブラックドラゴン, ブルードラゴン, ホワイトドラゴン, レッドドラゴン |
性別 | オスドラ, メスドラ |
pixivにおけるドラゴン
固有名詞を持つもの以外では、「ドラゴン」「竜」「龍」などのタグがあるが、
上記の通り、これらは明確に区別されているわけではない。「ドラゴン」が最も汎用的に使われている。
なお、「ドラゴン」で検索すると(デフォルトで「部分一致検索」)あまりドラゴンと関係ない版権作品が多数誤検出されてしまうが、
登録タグから移動すると(デフォルトで「完全一致検索」)それらの誤検出を避けることができて閲覧しやすい。
関連イラスト
関連タグ
ドラゴンが大いに関連するジャンル名
美女と竜/少年と竜/青年と竜 竜娘/ドラゴン娘/ドラゴンメイド
竜使い/龍使い/ドラゴン使い/ドラゴンマスター/ドラゴンテイマー
竜騎士(ドラゴンナイト) 竜騎兵(ドラグーン) ドラゴンライダー
ドラゴンに関連するサブカルチャー用語
ケモノ(Furry) けもりぅ(獣竜) ファードラゴン(ファードラ) 擬竜化(竜化/龍化)
ドラゴンが主体となっている企画
ドラしぶ2/ドラしぶ イラコンドラマガ/イラコンモンコレ 【ぴくドラ図鑑】 飼い竜 悪竜王マグナガラム ピクファンドラゴン
ドラゴンを「主題」とした版権作品
- パンツァードラグーン
- エラゴン
- ブレスオブファイア
- ドラッグオンドラグーン
- BLUE DRAGON
- セブンスドラゴン
- ドラゴンドライブ
- サンサーラ・ナーガ
- FAIRY TAIL
- 小林さんちのメイドラゴン
- スパイロシリーズ
- コーセルテルの竜術士
- ヒックとドラゴン
- 星刻の竜騎士
- 銃皇無尽のファフニール
- ドラゴンハーフ
- クロスアンジュ
- ひそねとまそたん
版権作品に登場するドラゴン系の種族
- ドラゴンタイプ(ポケットモンスター)
- 飛竜種・獣竜種・古龍種等(モンスターハンター)
- ドラゴン族(遊戯王)
- アーマード・ドラゴン等(デュエル・マスターズ)
- OTF(ひそねとまそたん)
- 龍族(魔法使いと黒猫のウィズ、白猫プロジェクト)
ドラゴンの異名を持つ/名を冠するもの
タツノオトシゴ コモドドラゴン ドラゴンフライ ドラゴンフルーツ リュウゼツラン ブルードラゴン 竜胆 竜巻 龍脈 登竜門 ドラゴン曲線 ドラキュラ(竜の息子)
中日ドラゴンズ 昇龍拳 ドラゴンスクリュー ドラゴンスレイヤー
ドラゴンをモチーフとしたキャラクター
非常に膨大な数となる為、当記事では割愛とする。
ドラゴンという名のキャラクター(曖昧さ回避)
- 『Magic: The Gathering』→ドラゴン(MTG)
- 『ドラゴンクエストシリーズ』→ドラゴン(DQ)
- 『風来のシレン』→ドラゴン(風来のシレン)
- 『pop'n music』→ドラゴン(ポップン)
- 『魔物娘図鑑』→ドラゴン(魔物娘図鑑)
- 『ONE PIECE』→モンキー・D・ドラゴン
その他の関連タグ
オリジナル 版権 爬虫類/恐竜/大蛇 鳥類 哺乳類 魚類 ヨッシー 花火 逆鱗 鯉の滝登り 竜に定評のあるmichiさん
pixivisionでの特集記事
その他派生
関連動画
(ドラゴンの生態を科学的に考察したドキュメンタリー動画で、洋の東西の竜の起源は同一だという説や鉱物も含めた竜伝説の特徴を抑えている、字幕つきはこちら)