概要
怪獣とは未知の生物、怪物の総称。未確認動物(UMA)の事を指す場合もある。
主に特撮では、哺乳類から魚類、昆虫や植物、機械まで、その出自も放射能による突然変異であったり、地球外生命体であったり、下手すると妖怪や超常現象みたいなものまで、実に様々である。怪獣図鑑では特定の会社の作品を特集したものの場合、妖怪などの類も便宜上「怪獣」という括りで掲載している事もよくある事である。
通常の生物に比べて強靭な体組織と高い運動能力、口器等から発射する火炎や破壊光線、傷や欠損部位を短期間で治す再生能力等、驚異的な能力を持つ場合が多い。
怪獣の歴史
怪獣の起源は妖怪より古く、ウルトラ怪獣のデザインで有名な成田亨氏の著書等の資料によると、アルタミラ洞窟の巨大な野牛の壁画が「最古の怪獣」であり、それに続いてメソポタミア・エジプト文明の人と動物が合体して、神格化された人面獣が創造されたという。(『ナリタ・モンストロ・ヒストリカ』より)
「怪獣」という単語自体も驚くほど古い。この単語の初出は、古代中国の地理書『山海経』であり、その中の最も古く成立した「南山経」に記述があるという。この『山海経』は春秋戦国時代、紀元前5~3世紀には成立していたと言われている。
現代人にとってドラゴンやグリフォン等の神話や伝説のモンスターは怪獣という認識を持ちにくいかもしれないが、「創造された時代の世界観や文化をシンボライズしている」という意味で、今日の怪獣との共通点は多いのである。というより、明らかにこれらを元にした怪獣も非常に多く、現代ではこれらも怪獣に分類できる。
怪世界:珍談奇話という明治時代の書物には、アラスカでケラトサウルスらしき生物が目撃されたというUMA、いわゆる「パートリッジクリーク・モンスター(Partridge Creek monster)」の話が「驚くべき怪獣退治」の題で掲載されており、明治時代には恐竜を怪獣と呼んでいた記録が確認できる。
現代的な怪獣の一般的なイメージとして怪獣は市街地に出現して建造物を破壊しながら、暴れ回るイメージで描かれがちであり、実際に『ゴジラ』(1954)、『モスラ』(1961年)、『空の大怪獣ラドン』(1956年)など黎明期の怪獣映画は実際に市街地を破壊するシーンが存在しており、市街地戦はまさに怪獣映画の花形の舞台なのだが、強ち間違ってはいないのだが、実はウルトラシリーズの場合は初めて怪獣が出現した地が市街地ではなく、『ウルトラQ』と『ウルトラマン』ではそれぞれ第1話の舞台が工事現場や湖である。
作品によっては寂れた洋館だったり、夢の中だったり、電脳の世界だったりと意外な場所に出現する例も多々見受けられる。
倒した怪獣はどうなっているの?
怪獣映画や巨大ヒーロー作品では避けては通れない疑問の一つで『大怪獣のあとしまつ』の題材にもなっているが、基本的には防衛隊や政府直轄の機関が処理をするなり、回収して研究に役立てるというケースが多い。
ここでは防衛隊との関係が密接なウルトラシリーズを例に挙げてみよう。
『ウルトラマンティガ』第5話「怪獣が出てきた日」ではGUTSがシーリザーの焼却処分を担当していたり、『ウルトラマンZ』では怪獣研究センターやストレイジのオオタ・ユカが怪獣の死体の破片を回収・分析して兵器の開発などを行なっている。
『ウルトラマンネクサス』ではホワイトスイーパーという事後処理部隊の他、怪獣(本作ではスペースビーストと呼称)に襲われた人々の記憶を消すメモリーポリスという舞台があったりする。というのもこの作品では怪獣の存在は秘匿とされているから。
例外中の例外として『ウルトラマン』第31話「来たのは誰だ」では科特隊が怪獣の死体を燃料として配った例がある。オイオイ…。
公的機関があずかり知らぬところでヒーローや防衛隊の倒した怪獣がとんでもない事態を招く事もある。例えば『帰ってきたウルトラマン』第24話「戦慄!マンション怪獣」ではMATが爆散した怪獣の破片を少年が拾った結果、マンションの壁と同化してキングストロンになったり、『ウルトラマンA』の後半ではエースに敗れたヤプールの破片が超獣を大量に生み出している。
ヒーロー側も宇宙の彼方へ運び去ったり、怪獣の細胞が有害なので必殺光線で分子消滅させたりと処理の仕方は様々である。
怪獣はなぜ現れるのか?
怪獣はその出自については以下のものが挙げられる。
- 「放射能・環境破壊による変異」(ゴジラやヘドラなど)
- 「既存・未知の生物種の進化・変異種」(ドリゴン、ドリゴラスなど)
- 「古代生物の生き残りや子孫」(ラドン、ゴモラなど)
- 「地球外生命体」(ギララ、キングギドラなど)
- 「闇などの概念からの誕生」(クレッセント、バクゴンなど)
- 「いわゆるアンデッド」(ステゴンやムードンなど)
- 「無機物が魂を持ったもの」(ゴルゴスなど)
- 「神話や伝説の怪物・妖怪そのもの」(魔王ヤマタノオロチ、かわのじなど)
- 「いわゆるロボット」(メカゴジラ、ガラモンなど)
- 「生態的あるいは機械的に改造された存在」(ガイガン、超獣など)
- 「合体怪獣」(タイラント、ベリアル融合獣など)
- 「生命ですらない何か」(デスギドラなど)
- 「人工生命体」(M1号、平成ガメラなど)
中には「怪獣がなぜ現れるのか?」という根本的な考えに踏み込んだ作品もある。
『ウルトラマンティガ』第28話「うたかたの…」 では人類の生存圏の拡大という怪獣映画ではありがちな…されども現実的な答えを呈する者や人間たちを武力を持つようになったからという宗教的な考えを持つ者(武力を放棄すれば神様も怪獣を出さなくなると表現するのが正確)もいた。
『ウルトラマンマックス』第29話では古来から人間はドラゴンなどの怪物を夢想しては強い憧れを抱いており、現代になってフィクションが人々の心に焼き付いていくうちに空想を超えて実体化したという空想に絡めた解答を呈していた。
落書きや夢など人の作ったものから実体化した例もあっただけに強ち間違いとも言えないだろう。
変則型として『ウルトラマンマックス』第22話「胡蝶の夢」のように作品の外の存在が作ったからという作品設定の根本を揺るがす禁忌中の禁忌に触れた作品も見受けられたが…。
総括すると、人が夢想する限り、怪獣はどこにでも現れるという事であろう。
一方で人類が怪獣を出現させるための種であったという衝撃的な考察が飛び出た作品も…。
怪獣大百科(怪獣の関連記事)
東宝怪獣
『ゴジラ』に始まる、日本を代表する特撮シリーズに登場する怪獣。
作品数や製作規模は他のシリーズを圧倒しており、様々な怪獣が存在する。
ゴジラ怪獣
その他
大映怪獣
『ガメラ』『大魔神』などのシリーズ。
ゴジラの大ヒットを受け、その人気に便乗した結果誕生した怪獣映画シリーズの一つだが、その中で唯一高い人気を得るという輝かしい功績を残した。
ガメラ怪獣
ウルトラ怪獣
ゴジラで大成功した円谷御大が新たに生み出した怪獣達。ウルトラヒーローや防衛チームに並び、シリーズに欠かせない主役である。
ここに記載するにはとにかく数が多すぎるので、詳しくはこちらを参照。
地方の怪獣
「ご当地怪獣」「ローカル怪獣」「郷土怪獣」など、総称は様々。地方の特色を持つ怪獣であったり、単に地方でしか会えなかったりと千差万別。以下は、映像作品が作られた怪獣。
モンスターハンターシリーズの怪獣(モンスター)
カプコンのゲームモンスターハンターシリーズに登場する怪獣たちで、劇中では「モンスター」と呼ばれている。
○○竜種と分類され、どちらかというと恐竜や翼竜などの古生物に近いものも少なくないが、明らかにドラゴンだったり、とんでもなく強大だったりと(特に飛竜種や古龍種を中心に)怪獣に分類して差し支えないものも珍しくない。後発ではあるものの、上述のゴジラシリーズやウルトラシリーズにも影響を与えるほどの人気を誇る。
あまりに数が多いので、詳しくはモンスターハンターシリーズのモンスター一覧にて。
海外の怪獣
そもそも、怪獣が初めて銀幕に登場したのは、アメリカの初代『キングコング』である。日本での特撮人気を受け、アメリカやオーストラリア、タイなど世界各国で怪獣が登場する作品が製作されている。
怪獣を題材にした創作作品
漫画・アニメ
小説
絵本
映画
他関連
- モカ、アンコラ:『アンパンマン』に登場。
- 怪獣のバラード:合唱曲。
- 壊獣:『遊戯王OCG』のカテゴリ(カード群)。初出は英語版ながらもその時点で『Kaiju』という名称であり、明確に日本の怪獣をモチーフにしたカード群。
関連イラスト
怪獣
怪獣擬人化
最近では、公式公認の擬人化企画も登場した。