ロシアは革命前後とも科学技術の面では先進的とは言えず、特に冷戦時代は“鉄のカーテン”のために民間の技術交流も妨げられて、電子工学などのいわゆるハイテク分野で大きく立ち後れる羽目に陥った。さらに冷戦終結と連邦崩壊による財政難から、新規開発どころか、既存技術の継承さえ危ぶまれる事態に……。
しかし、必要は発明の母。生産性と堅実さを重視する一方、ありあわせの素材と枯れた技術でブレイクスルーをやってのけるのが“露国面”の真骨頂。また、カーテンの向こう側で、西側とは異なる独自の進化を遂げた分野も数多い。
一方で枯れた技術であるがゆえの問題を引き起こしたり、例によって派手にずっこけたり……。
まあ、失敗も成功の母だしね!
航空宇宙部門
後述のように、宇宙部門はソ連・ロシアの十八番の筈なのだが、それ故にやっちまった感も……。また、広大な国土と厳しい自然環境を反映して、航空機は恐竜的進化(巨大化)を遂げる傾向がある。
第二次世界大戦以前
- イリヤー・ムーロメツ:帝政ロシアの時代に作られた、世界初の四発爆撃機。その巨大な機体から編成された爆撃機部隊は「空中艦隊」と呼ばれたとか。まだ航空機の生産体系が未発達だったこともあり、一機ごとに仕様がいくらか異なっているのもまた「軍艦ぽい」と言えなくもない。なお爆弾は機内に搭載し、乗員が一個ずつ手でポイポイ落とすという原始的な爆撃方法だが、当時としては珍しくない。ちなみに開発者は後にアメリカへ亡命し、シコルスキー社の創業者となるイーゴリ・シコルスキー。
- カリーニン K-7:物凄くゴツイランディングギアが特徴的な、異様な外見の大型航空機。一言で言えばリアルバカガラス。1930年の設計でありながら全長28m、全幅53mという後のB-29に匹敵する機体サイズを誇る。爆撃機ないし旅客機としての使用を計画しており、爆撃機型は最大爆装量9t(やはりB-29に匹敵)、旅客機型は乗客120人(後のボーイング737に匹敵)を乗せるという、まさに当時の人類には早すぎた怪物飛行機であった。
- ポリカルポフ Po-2:1920年代に開発された練習機。錐揉み状態になる方が難しくなっても簡単に回復するという抜群の安定性を誇った。だが何よりすごいのは、練習用に作られた複葉機なのに第二次世界大戦にしれっと参加していた(それも夜間爆撃をしていた)点だろう。まさにソ連版ソードフィッシュ。第588夜間爆撃機連隊という女性だけで構成された部隊が存在したり、それを題材とした映画がつくられたり、スウェーデンのロックバンドが歌を作ったりと様々なエピソードを持つ隠れた名機でもあった。 →その歌(Youtubeへ)
- ポリカルポフ I-195:「究極の複葉戦闘機」と呼ばれたI-153の改良型の計画。複葉機のまま最高速度580km/h出すつもりだったが、さすがにもう複葉機では単葉機に追いつけないと判断され試作機の完成には至らなかった。
- ツポレフ TB-3:第二次世界大戦に参加した古参爆撃機。どれくらい古参かというと固定脚に風防などがないむき出しのコックピットといえばお分かりいただけるだろうか。さすがに爆撃任務にはほとんど使われなかったが、ペイロードを生かして輸送機や空挺部隊の投下、そして以下の珍兵器開発に貢献した。
- ズヴェノー・プロジェクト:TB-3を利用した寄生戦闘機計画。 ただしアメリカのFICON計画と異なり、空中ドッキングには積極的ではなく空中発進のみのものが多かった。
- ズヴェノー2:I-5複葉戦闘機を主翼と胴体の上に3機搭載。 胴体上の戦闘機は5番目のエンジン代わりにエンジンを回していた。
- アヴィアマートカ PVO:主翼の上下に戦闘機を搭載。
- ズヴェノーSPB:主翼下に急降下爆撃機に改造されたI-16戦闘機を2機搭載。 最も実戦投入されたタイプで、子機による精密爆撃も成功している。
- アントノフ A-40:T-60軽戦車をグライダー戦車化するために開発された、外付け複葉翼&双ブーム尾翼。TB-3に牽引されて滑空し、戦地上空で切り離されて着地し即座に戦闘に参加する計画だったが、武装と弾薬とヘッドライトを撤去して燃料をかなり減らした状態で試験したにもかかわらず空気抵抗と重量でTB-3ごと墜落しかけた。元祖ソ連の空飛ぶ戦車である。
- ツポレフ Tu-2:1942年から姿を見せ始め、それまでのPe-2と比べて爆弾搭載量も多く、防御力は機銃・装甲共に高く、機体構造は信頼でき、運動性能もよく急降下爆撃も出来、その運動性でドイツ軍爆撃機を撃墜した事もあるほどの万能爆撃機であった。だが、もっと凄いのはこの高性能機体を産み出した設計者のアンドレイ・ツポレフ博士は怠業の罪で投獄されている中で設計をしたという事実であろう。
- Tu-2Sh:爆弾倉の中に爆弾ではなく短機関銃を88丁も詰めた。 塹壕に立てこもる敵兵を上からの機銃掃射で一掃するが、どう考えても再装填が不可能。
- トマシェビッチ I-110:生産性と整備性を追求した戦闘機。普通航空機は寸法を0.1ミリ単位で設計するところ、生産性向上のためになんとセンチ単位縛りで頑張ってしまった。結果、普通に設計した他の戦闘機に性能で完全に負けて生産すらされなかった。
- トマシェビッチ ペガス:他の飛行機のエンジンが1000馬力を優に超える時代にまさかの140馬力双発で設計した攻撃機。軟鋼製の防弾板まで備えており12.7mm弾には耐えられるらしいが、最高速度172km/hという鈍足っぷりで採用されず。
- ビスノバト SK-1:空気抵抗を減らすためにコックピットを機体に完全に埋め込んでしまった実験機。そのままでは前方視界が皆無なので、離着陸時にはパイロットが機体上に体を乗り出す。結局、失敗とみなされコックピットはオープントップになったとか。
- ペトリャコフ Pe-8:大戦中の赤軍唯一の純粋な4発戦略爆撃機。 内側エンジンのエンジンナセルが外側エンジンよりも大きく膨らんでいるという異様な形態をしている。 というのもナセル前部にエンジン、中部にランディングギア、後部に防御銃座が配置されているため。 居住性とか大丈夫だったのだろうか...? なお、基本設計はツポレフで行われたのだが、途中からペトリャコフも開発に加わった結果、ツポレフ嫌いでペトリャコフ好きの同志書記長によってペトリャコフ名義で命名された。ツポレフ「解せぬ」
- ラヴォーチキン La-7R:単発戦闘機La-7の尾部にロケットエンジンをねじ込んだ試作機。が、このロケットエンジンが度々爆発、さらに重量増加で運動性能も低下してしまい、ジェットエンジンの台頭で開発中止になった。
- シリバンスキー I-220:どういうわけか、飛行機設計素人に戦闘機の設計を任せてしまった。出来上がったものは空戦機動で自壊しかねないほど脆い単発機で当然開発中止。
- RK-I:試作タンデム翼機。胴体から翼が伸びてタンデム翼から一枚の主翼になる。
- ウシャコフ LPL:飛行潜水艦。構想自体はSFではよくあるし後のアメリカもしてみたりしたが、ソ連は真面目に作ろうとしていた。試算の結果、最高速度が飛行中は200kh/h、潜航中は2.3ノットとあまりにも中途半端になってしまい計画中止に。
第二次世界大戦後
- ミグ MiG-9:ジェット戦闘機。空気取り入れ口の中に機銃を取り付けたお陰で機銃を発射するとエンジンが機銃の煙を吸い込んで最悪ストールをしてしまうという欠陥を抱えていた。
- ツポレフ Tu-128:全長30mの超大型戦闘機。あまりのデカさに西側諸国が爆撃機だと勘違いしたほど。もちろんこんなデカブツが戦闘機とドッグファイトするわけはなく、対爆撃機任務に特化された迎撃戦闘機だった。広大な国土をカバーする長距離任務のために作られただけあって、操縦系統も操縦桿ではなく操縦輪が採用されている。
- ミコヤン・グレヴィッチ(ミグ) MiG-25:A-12(後のSR-71)、XB-70など超音速機迎撃のために作られた制空戦闘機。速度向上のためエアインテイクを大きくしてラム圧縮効果を高め、低圧縮比ターボジェットエンジンとの相乗効果で最高速度はマッハ2.83をマーク。冷戦下の情報統制もあって米国と衛星国で構成されたNATOに「ターボファンエンジンを搭載した長航続距離・高機動戦闘機ではないか」という疑念と脅威という名のストレスを(ry。だが……エンジンでやっちまった。マッハ3の速度を出そうとすると、エンジンの燃料吸気パワーが燃料ポンプのパワーを上回り、エンジンの自壊につながってしまう結果となった。そのため超音速飛行には時間制限が設けられていた。1960年代に開発が始まったとあって、電子回路には真空管、音速飛行に耐えるための構造材はニッケルを採用するなど、ガチの露国面も見せつけている。
- ヤコブレフ Yak-38:ソ連版ハリアーとも言うべきVTOL機だが、ハリアーとは異なり垂直離着陸専用のジェットエンジンを組み込むという方式を採る。そのため、水平飛行時にはデッドウェイトとなり、性能面ではハリアーの足元にも及ばず、実戦ではほとんど活躍しなかった(この方式を用いたVTOL機は、他国でもいくつか開発されたものの、前述の問題から実用例はYak-38が唯一)。その代りキエフ級とのセットで西側諸国への宣伝に活躍(?)。そのせいか西側諸国はハリアーを上回る高性能機と考えていた。NATOコードネームは「フォージャー」まがい物という意味で、まさしくその通りだった。ただし、世界で初めてアルミ・リチウム合金を機体に使ったり、優秀な射出座席に助けられて事故率、パイロットの死亡率がハリアーより低いなど、地味にいいとこも見せてたりする。
- ミコヤン・グレビッチ MiG-29:酔っ払いが適当に線を引いたような機体が多いジェット世代のソ連機にあって、西側の同世代機も含めて最も美しいともいわれる戦闘機。その実力もハッタリではないようである。が、トンデモエピソードは1993年のイギリス・エアショーでの空中衝突事故。大勢の観客が大惨事を予想した中で死者ゼロとかどういうことですか? あ、あともう一つ。ソ連時代に日本にセールスに来たこともある。おいこら冷戦どーした。
- スホーイ Su-41:1980年代後半に計画された、前後に分かれる四枚の可変翼を持つ多用途迎撃機の計画。前進翼・後退翼・X字翼に変形できるが、それぞれに可変できる利点が不明(特にX字翼)。
- スホーイ シトゥルモヴィク-90::Su-25の後継として計画された攻撃機。(ソ連軍の分類では襲撃機)
- T-12:前進翼で機首が二つある複座型機。
- ターボプロップ型:Su-25のパーツを流用している...が、エアインテークが機体背面にある。
- ツポレフ Tu-95:二重反転プロペラを採用した強力な4発ターボプロップエンジンにより最高速度920km/hを叩き出す世界最速のプロペラ機。ちなみになぜわざわざターボプロップエンジンなんぞを使ったのかというと燃費がいいから(つまり長距離を飛べるから)である。しかしその高出力エンジンが災いして潜水中の潜水艦がエンジン音をソナーで拾ったとかいう逸話がある。ちなみにツポレフ設計局の名誉のために言っとくと、西側の同世代機であるB-52も企画段階ではターボプロップ案があった(理由も全く同じ)。
- ツポレフ Tu-91:試作艦上爆撃機。「世界で最も醜い軍用機」と呼ばれるフェアリー・ガネットとタメをはる超ブサイク機。外見は翼と二重反転プロペラのついたシシャモにしか見えない。肝心の空母がお蔵入りしたため開発中止となったが、強力なエンジン(Tu-95と同型)に支えられてか、見た目と裏腹に飛行は軽快だった。
- ミグ 301/321:1970年後半に計画された、全長40m、主翼展開時全幅29mの可変極超音速迎撃/爆撃機。迎撃機としてはどう考えてもデカすぎるし可変式の翼が細い。
- アントノフ An-14SH:ランディングギアの代わりに巨大ホバークラフトで離着陸させてみた輸送機。
- 二重反転プロペラへのこだわり:固定翼機もヘリコプターも二重反転プロペラを採用するものがやたら多い。ついでに潜水艦も一時期、二重反転プロペラ(スクリュー)が主流だった(現在はポンプジェット式が主)。
- ボルホヴィーチノフ S:英・独・日・米と先進各国が踏んできた『双子エンジン』の地雷。なんとソ連はこれを回避していた・・・ギリギリで。 高速爆撃機・偵察機として開発されたこの機体、機首にエンジン2基を直列に並べて二重反転プロペラを回している。一歩間違って並列配置したらまんま景雲だったのだ。 じゃあ双子エンジンじゃないこの機体がまともなのかというと・・・エンジンが前後に長く爆弾倉も大きめだったため、写真のアスペクト比を間違えたのかと思うレベルでやたら長い機体になり、視界が悪くなってしまって没。
- カモフ Ka-26:二重反転ローター採用の小型ヘリコプター。汎用のヘリ本体に目的別のモジュールを組み込んで特化した機体を制作するという某機動戦士のようなコンセプトを元に設計されたため、ヘリ本体単体だと操縦席の後ろが怖いほどガランドウだったりする。とは言え設計思想としては理解はたやすくまた実際に成功した例と言えるのだが、問題はエンジン。空冷星形レシプロエンジンを機体の左右に吊り下げたポッドの中に収納している。機体構造だけでみればネタ機のようだが実用性は上々であり、冷戦時代のソ連製ヘリコプターとしては唯一アメリカ連邦航空局の認証を獲得。日本でも農業機として使用されていた機体があった。
- カモフ Ka-50:ヘリコプターながら射出座席を装備している。同軸二重反転ローターは“オートローテーション”が難しい(→エンジン停止、即墜落)から、という側面もあるらしい。なお攻撃ヘリなのにパイロットは一人なのでやたら忙しく、後に複座型のKa-52が開発された。
- 旧ソ連製旅客機:旧ソ連製の旅客機は爆撃機よろしく機首がガラス張りになっている機体が少なからず存在している。これはまともな航法支援装置の無い空港に発着する際に航法士が目視で周囲を確認するためである。滑走路の状態も良くないため、降着装置がやたらに頑丈なのも特徴。Tu-154などは主翼に大きな格納部を設けて、ゴツいランディング・ギアを収めている。
- 巨大ヘリの数々:ロシア(旧ソ連)のヘリコプターは、ひときわ大型化、巨大化していく傾向が強い。シベリア地域などの厳しい気候の地では滑走路は数年で駄目になる一方、僻地故に補修・維持もままならない。なので、滑走路不要のヘリコプターの輸送力を、ひたすら増大させていった。おかげでMi-6に始まり、Mi-12、Mi-26と、ロシアの輸送ヘリには“(登場当時)世界最大”が顔を揃えている。真の世界最大・Mi-12は量産に至らなかったが、“量産型最大”のMi-26は、冷戦終結とともに世界各地に拡散して活躍中(後述)。
- ミル Mi-12:現在に至るも史上最大のヘリコプター。元はミサイルの主要部品を空輸する目的で開発され、An-22輸送機(こいつも当時は世界最大)で運んできた貨物を、そのまんま乗せるために、恐ろしく巨大なヘリコプターとなった。軸出力6,500馬力のターボシャフトエンジン4基で44tの貨物(C-2の1.5倍!)を高度2,000mまで持ち上げるとか、こんなのヘリじゃないわ! ローターのついた輸送機よ!。コスト高と複雑な機構が災いして量産には至らなかったが、そのレコードの一部は未だに破られていない。
- ミル Mi-26:“史上最大の量産されたヘリ”のタイトルホルダー。Mi-12には及ばないとは言え、その搭載量は固定翼機たるC-130をも上回り、航続距離はオスプレイにも匹敵する。初飛行は1977年、量産開始は1981年と旧いが、それ故に信頼性は絶大で、老朽化した機体の代替と米軍のオスプレイに対抗するため、ロシアは2011年から新規製造を再開している。民間型は西側各国にも輸出され、東日本大震災の際には日本にも飛来した。故障した同型機を吊り下げて運ぶなんて朝飯前である。
- V-7:メインローター先端につけた二基のラムジェットエンジンでローターを回す実験へリ。 ソ連版フェアリーロートダイン。
- Kor.SVVP-70:VTOL水上機。 水上でも飛行甲板でも運用出来て便利になる...はずだったがヘリコプターの方が便利だったのでなかった事になった。
- 巨大輸送機の数々:輸送機もAn-22、Il-76、An-124、An-225など、“世界一”が勢揃い。一時アメリカと競り合ったが、突き放して現在に至る。お前のような飛行機がいるか。ただし、ウクライナとの関係悪化により、同国のアントノフのサポートが受けられなくなり、暗雲が漂っている。
- エクラノプラン:ソ連で開発された地面効果翼機の総称。ソ連では1940年代からエクラノプランの開発が続いており、水中翼船中央設計局が主導するようになると開発が一気に加速、他国ではありえないほど巨大でいかつい外見のもの(しかも軍事用)が次々開発された。主にカスピ海で大型かつ高速展開可能な輸送戦力として配備されたものの、どれも造船所で造られていた為、航空機用の半分の強度しかない船舶用アルミ合金しか割り当てられず、強度不足で損傷・墜落事故が発生、また運用のために専用の特殊施設が必要なので運用コストが莫大になると予想されたため、結局順次退役し現在は予備役の機体があるのみ。
- KM:1966年に開発された全長92m(後に延長し100mを超えた)、最大離水重量550tを誇った伝説の超巨大エクラノプラン。西側諸国からは『カスピ海の怪物』と呼ばれた。しかし上記の強度不足が判明し機体を補強したのにも関わらず、1980年に墜落事故で喪失してしまった。
- ベリエフ VVA-14:対潜哨戒版エクラノプラン。エクラノプランでありながら高高度も飛行しようと考えた結果、VTOL能力を付与する事になりメインエンジンとは別にリフトターボファンエンジンを12機も搭載。しかし肝心のリフトターボファンエンジンが中々調達されず、そうこうしているうちに開発者が亡くなってしまい結局開発は終了してしまった。
- ベリエフ Be-2500 ネプトゥーン:しかしVVA-14が頓挫してもベリエフ社は諦めていない。軍用・民間用を問わずジェット飛行艇や小型エクラノプランなどを開発しながら、KMをも凌駕する超々巨大エクラノプランを構想していると発表。全長115.5mm、125.5m、最大離水重量2,500t。カスピ海の怪物は復活の時を待っている、KMよりも巨大化して...。
- プロイェークト08970 セクンダ:しかし冷戦期にはさらに上(の発想)がいた。MiG-25戦闘機を2機搭載する離水重量8000トンの超々々巨大エクラノプラン計画。つかこれもう地面効果翼機じゃなくて水上飛行空母の出来損ないなのでは...。
- N-1ロケット:全高105mの超巨大ロケット(タイトル絵参照)。これで月に行くつもりだった。一段ロケットにNK-15ロケットエンジン(後に下記のNK-33ロケットエンジン)を30基並べたり、あまりにでかすぎて輸送用に複々線の線路が必要だったり、宇宙船と月着陸船のドッキング方法が月着陸船の天井に金網を張った所に宇宙船をそのままブッ刺す方式で宇宙飛行士は宇宙服を着て船外移動する方式だったりで色々とおかしい。なお、30基ものエンジンをろくな噴射テストもせずに“ぶっつけ”で打ち上げたため、4回の打ち上げを全て失敗し、計画中止。
- NK-33:飛行高度に合わせてエンジンノズルがガシャガシャと変形する変態ロケットエンジンにして、これまで古今東西で開発されたロケットエンジンの中で最も高性能なロケットエンジン。前述のN-1ロケットの改良型にも搭載される予定だった。21世紀になってもアメリカのNASAが1960年代に造られた在庫品を買いあさって自国の衛星打ち上げロケットに使用するほど。なお製造技術の継承に失敗し、惜しくもロストテクノロジーになった模様。
- アルマース:有人偵察衛星(宇宙ステーション)。軍事用だが、民間用宇宙ステーション“サリュート”の2,3,5号に偽装して打ち上げられた。偵察機材の他に“自衛用”として23mm機関砲を装備している。公にされている中では、世界初の“武装衛星”。いったい何と戦うつもりだったんだ。(まあ、大体想像はつく)
- TKS:ソユーズとは別にアルマース用に設計された人員・物資補給用宇宙船。軌道船と帰還船の二つからなるという点ではソユーズと同じだったが重量が2.5倍もあり軌道船はちょっとした宇宙ステーション並、さらに帰還船は耐熱シールドの底にハッチがあるというちょっと不安になる設計だった。
- 宇宙用レーザーガン:宇宙ステーションの警備用として実際に試作品が造られた。だからおまえはいったい何と(ry
- スピラーリ計画:下記ブランの前身であるスペースプレーン計画。大気圏突入時の高熱対策にヒートシールドではなく金属版スケイルアーマーを用いる予定だった。
- MiG-105:一人乗りスペースプレーン。
- ウラガン:スピラーリの設計を流用した有人宇宙迎撃機。後にこれはアメリカ軍を警戒させるための嘘情報だったと判明したが、本当だと思っていたアメリカ軍は軍事シャトルに公には手を出せなかった。
- ブランとその周辺機:ソ連崩壊で幻になったソ連版スペースシャトル。だが、自機とエンジンブースターで大気圏を離脱するシステムのために胴体に巨大な燃料タンクを抱えるスペースシャトルに対し、「あんな危険なもんやってられるか」と言わんばかりにオーソドックスなロケットぶら下げ式を採用。そのために超重量機運搬用として低軌道に100tのペイロードを打ち上げ可能な性能を持つエネルギアロケットが作られた。また工場から発射台への機体運搬用に「世界最大の貨物機」An-225が作られ、現在も国際貨物空輸で活躍中。
- ミャスィーシチェフVM-T:An-225と共にエネルギアロケットの部品の運搬用として開発された機体。M-4爆撃機をベースとした機体の上部にカプセル状のコンテナを外付けした設計。………なんだこりゃ。コンテナ搭載中はもちろん素のままでも横風にあおられまくるこの機体が運用中一度も致命的な事故を起こしていないのはひとえに操縦スタッフの腕前と誇りゆえ。ほ、本当だよ?
- ポリウス:全長37m、直径4.1m、重量100tのレーザー兵器搭載型軍事衛星 。しかも最終段ロケットのエンジンが機体上部に上向きについているため上昇段階の途中で機体の向きを180度転換する。打ち上げの前日にロケット打ち上げの見学にきたゴルバチョフが自分の承諾なしにこんなものが造られていたと知って激怒。すったもんだの末、軌道投入後に地上からの指令で落とされる。(ただし公には軌道投入そのものに失敗した扱いになっている)
- ヴァルカン-ヘラクレスロケット:エネルギアロケットの出力強化型。低軌道に200tのペイロードを打ち上げ可能。日本のH-IIAやアメリカのスペースシャトルやタイタンロケットといった各国の大型衛星打ち上げロケットが打ち上げられるのが20t前後だということを考えるとお化けクラスの能力。しかもさらに大型化し500tのペイロードが打ち上げ可能な発展型も構想していた。いったい何を打ち上げるつもりだったんだ?もっともソ連崩壊で全てがおじゃんになり真相は闇の中へ。
- La-350 ブーリャ:東側のICBMの先駆け...なのだが、現行のICBMと異なる点として補助ロケット二基で発射・上昇した後ラムジェットエンジンで飛行する、超音速大陸間巡航ミサイルだった。開発中にちゃんとしたICBMが完成したので廃れた。
- 9M8:直径86cmと対艦ミサイル並みの太さの地対空ミサイル。大きさ故に重いため初期加速にロケットモーターを四本も使う。
- URPK-5 ラストルブ:射程が90kmと変に長い対潜ミサイル。何故かというとこいつは対艦も想定して作られている対潜対艦両用だから。
- やたらと射程の長いミサイル:広い国土を超音速核攻撃機から守ろうとしたり、西側の空母をアウトレンジしようとした結果。目標捕捉のために専用の人工衛星(レゲンダ)まで打ち上げたりもした。
- 3M54E クラブ:超音速対艦ミサイルと呼ばれるが巡航中は亜音速の対艦ミサイル。じゃあどこが超音速なのかというと目標手前でいきなり弾頭がミサイル本体から分離して超音速まで加速する変態ミサイル。
陸軍部門
自走砲、歩兵戦闘車の保有台数は世界一。またナポレオン戦争では唯一単独でフランス軍を撃退し、第二次世界大戦ではドイツ陸軍を打ち破った。しかし当然ながら成功の裏には失敗もつきもので、他にも露国面的兵器がいくつも存在する。
- メンデレーエフの戦車:正面装甲150mm、120mm砲搭載の戦車で車体は完全な直方体。何がすごいって、設計時期がMk.I戦車よりも早かった事だろう。間違いなく世界初の超重戦車だったが、それ故に重量その他で無理がありすぎて採用されなかった。決して開発者は元素周期表のメンデレーエフ博士(後述)ではない...ハズ。
- ツァーリ・タンク:別名レベデンコ戦闘車。銃座の付いた直径9mの巨大な車輪で塹壕を乗り越えて進撃する計画だったが逆に塹壕や軟弱な地盤に弱く、あまりの大失敗に試作車がテストを行ったその場で8年も放置されていた。
- オーボエ:ツァーリ・タンクと同時期に提案された、楽器ではなく対独戦用の要塞破壊車輛。設計者は『敵弾を弾きあらゆる兵器を踏み潰す最強の兵器だ!』と、設計図に同封した手紙で自信満々に語っていたらしいが、その実態は全高600メートル、幅960メートルの超巨大チョコボール。数百人の乗員を乗せ、蒸気機関でフライホイールなどを駆動させ時速300~500kmで転がり敵兵器(というか敵陣)を踏み潰すというあまりにもぶっ飛んだ計画。その上外殻はたった100mm程度の厚さしかなく、敵弾を弾くどころか自重に耐えられるのかすら怪しい。
- というか一次大戦期に軍に送られてきた『戦車』の設計案:寄せられた設計案の多くが空想科学じみたぶっ飛んだ兵器ばかりだったらしく、逆に慣れてしまった担当者は上記オーボエの様な設計案を見ても特に驚かなかったらしい。一応ツァーリ・タンクのように実際に試作されたものもあったが、結果を見ればまぁ…ね?
- 1930年年代に開発された多砲塔戦車の数々:T-28中戦車やT-35重戦車など。君たちは戦車の上に百貨店を造る気かね。
- T-29:装輪装軌式の多砲塔戦車、つまりクリスティー戦車と多砲塔戦車の悪魔合体。
- T-42:ただでさえ車体が長いT-35の倍近い全長を誇る多砲塔戦車。 長さの原因は主にエンジンで、実に車体の後ろ半分が丸々そのスペースだがそれでも出力不足だった。
- SMK:KV-1開発時に一緒に試作してみた重戦車。スターリンから多砲塔戦車への痛烈な批判を言われたのにまだ砲塔が二つあった。
- T-28:500輌も生産してしまった多砲塔中戦車。しかし冬戦争でフィンランド軍が鹵獲したT-28は同軍の貴重な機甲戦力となり、継続戦争では圧倒的な性能差を持つT-34/85を撃破。どうしてフィンランド人が使うと途端に強くなるのか...。
- T-90MS:「同志スターリン、人民のたゆまぬ努力の結果、戦車の中に百貨店が造れるようになりました!
- 快速戦車の派生型:使い勝手がいいと変な派生型ができてしまういつものパターン。
- BT-IS:駆動輪を増やして速度を追求したBT戦車。時速80km/h近く出せたとか。
- BTツィガノフ:今度は転輪を左右60個にまで増やした。 足は速くなったが転輪が多すぎて整備が大変すぎたので不採用に。
- BT-SV:全身傾斜装甲で覆われたBT-7。 宇宙から来たのかな?と言いたくなるフォルム。
- RBT-5:砲塔両側面に420mmロケット弾を搭載。
- ラファエランツァ式飛行戦車:アメリカでミスタークリスティー戦車ことジョン・W・クリスティーが発表した飛行戦車を真似て作った空飛ぶBT-2。風洞実験の結果「あ、ダメだ。まともに飛べそうにない」となって中止。
- MAS-1:そしてまともに飛ばすために空力特性を最適化しようとした結果、翼が車体と一体化しベースになったBT-7の面影が完全に消えた。しかしそこまでやっても実用的にはならず開発中止に。
- KV-1から派生した試作車両群:主にドイツ軍の戦車が主砲・装甲共に当時のソ連軍戦車をはるかに上回っているとした誤情報に踊らされて開発された重戦車たち。どれもKV-1を上回る重量で当時としてはデカすぎる上、いざ開戦したら独軍戦車が大して強くなかったので全部立ち消えに。...しかし1年後に現れたティーガーⅠには既存の戦車の歯が立たず、結果として「ティーガーショック」をより酷いものにしてしまった。
- KV-220(T-150):縦に縮めたKV-2みたいな砲塔をしている。
- Object223(KV-3):砲塔の装甲を傾斜させた結果プリンみたいな頭に。
- KV-4:107mm砲を搭載した重量100トン前後の超重戦車。マウスよろしく砲塔を後部配置にしたり副砲塔を主砲塔の上に載せたりと様々な案が計画された。
- KV-5:KV-4よりもさらに巨大化・重装甲化した超重戦車。こちらも様々な案が出されたが有名なのは某戦車ゲーに登場した計画案で、装甲は車体前面で170mm、砲塔前面で180mmに達し、側面ですら150mm。そしてどういうわけか謎の先祖返りをして多砲塔戦車になってしまった(主砲塔の前と上に銃塔が一つずつ) なお車体前部の銃塔はその見た目からR2D2と呼ばれることも。
- KV-6:延長したKV-1車体の前後にKV-1の砲塔、中央にKV-2の砲塔を搭載した多砲塔戦車。後部砲塔にはカチューシャロケットを搭載していたとする資料もある。上記KV-4、KV-5と比較しても更にぶっ飛んだものである故に設計案が存在したのかすらも曖昧だが、設計段階でスターリンに却下されたらしい。どうしてこんなになるまで放っておいたんだ。
- KV-7:大きな台形の戦闘室に76mm砲1門+45mm砲2門、あるいは76mm砲2門を備える多砲身自走砲。ある意味後の60式自走無反動砲やコアリツィアSVに近い発想。
- KV-13:これ自体は普通の試作中戦車だが、開発コンセプトは「中戦車並みの機動性と重戦車並みの防御力の戦車」であり、それはまさしく後の時代のMBT(主力戦車)と全く同じ発想。
- 大口径砲を搭載した車両の数々:火力こそ正義。成功作があるところが他国との違い。
- T-34-122:T-34戦車に122mm榴弾砲を無理矢理搭載。見た目は車体だけ傾斜装甲になったミニKV-2。SU-122でいいじゃんという話になったので計画段階でボツに。
- KV-9:KV-1の76mm砲に代わり122mm榴弾砲を装備した試作車。うん、SU-122で(ry
- KV-2:巨大で四角い砲塔と驚異の152mm榴弾砲で有名な重戦車。砲塔旋回が手動になっているおかげで重すぎて傾斜地では砲塔が回せなかったり地盤の弱い個所では動けなくなったりし、生産台数は少なかった。一方で後のティーガーⅠに匹敵する装甲を生かして要塞の如き活躍を見せたりもしている。
- SU-152、ISU-152:流石に砲塔をつけると重すぎたので限定旋回式にしました。本職は敵のトーチカを木っ端微塵にする事だが、必要とあらば戦車にも容赦なくぶっ放されて相手を装甲ごと叩き割り、「ズヴェロボイ(猛獣ハンター)」と呼ばれた。全車両がISU-152だけで編制された、方面軍直轄の独立重自走砲連隊という戦線こじ開けの切り札もあったとか。
- SU-100Y:失敗作のT-100多砲塔重戦車の車体を再利用して駆逐艦の130mm砲と魚雷艇用のエンジンを搭載した自走砲。130mm砲は後にISU-152にも試験的に搭載されたりしている。
- S-51:KV-1車体にB-4 203mm榴弾砲を搭載した試作自走砲。試験の結果、発砲すると主砲の反動を吸収しきれず後退してしまい、低射角で砲撃しようものなら搭乗員が慣性で投げ出されるため量産されず。
- B-4 203mm榴弾砲:そもそもこの榴弾砲自体、重量18tもある。あまりにも重いので展開時に地面にめり込まないよう砲架に履帯を履かせている上、専用の砲車で輸送しなければならず分解/組立にそれぞれ45分以上はかかった。しかしそんな扱いづらさを補ってなお余りある火力は『スターリンの大槌』と恐れられ、トーチカを一撃で木っ端微塵に粉砕したとか、敵軍を立てこもっていたビルごと破壊したという。(ちなみにベルリンの戦いでは自走砲でもないのに直射で建物を粉砕しており、発砲時には砲一つ分後退する程のすさまじい反動だったとか)
- Object268:時代の流れで重戦車がお払い箱になったので、T-10重戦車の車体に152mm対戦車砲を搭載して駆逐戦車に改造。ソ連は何故152mm砲にこだわるんだ。
- 2A3 コンデンサトール 2P:核砲弾を発射する為に開発された406mmカノン砲を搭載した自走砲。ソ連の技術では核弾頭を小型化出来なかったため『逆に考えるんだ 「大砲のほうを大きくすればいいさ」と考えるんだ』という発想のもと誕生。だが、弾道ミサイルが発達したために4両で生産は終了し、お役御免に。
- 2B1 オカ:上述の2A3と同じく、核砲弾発射用に開発された420mm迫撃砲を搭載した自走砲。ソ連の技術では核弾頭を小型化出来なかったため(ry。不具合が多発したためたった1両しか製造されなかった。
- S-103:オカと同じ420mm砲を搭載した自走砲。ただしこちらは自走無反動砲である。あまりにもデカすぎて発砲するとバックブラストが後方数百メートルの範囲を吹き飛ばす。そして試射した結果…発射と同時に砲そのものにかかる圧力とバックブラストの反動に耐えられず大破した。
- 2S4 チュリパン:「核撃たなくたって大火力で補うもん!」と圧巻の240mm迫撃砲を搭載した自走砲。他国の倍近い口径…どころか、現在に至るまで(実戦配備されている中では)世界最大の自走迫撃砲である。しかも迫撃砲ながら後装式であり自動装填装置も備えているため大きさの割には使い勝手がよく、実戦ではレーザー誘導砲弾を使用して大きな戦果をあげている。
- T-95:T-14アルマータの前身にあたる試作戦車。極小サイズの砲塔に152mm滑腔砲という第3世代戦車すら装備していない大口径主砲を搭載。だからどうして152mm砲に(ry どう考えても居住性は最悪な上に主砲発砲の反動制御が大変。流石に無理があったらしく今のT-14に落ち着いた。
- IS-2:よくよく考えれば、純粋な『戦車』にカノン砲を乗っけているのも十分おかしい。今でこそ120mmクラスの主砲は主力戦車では一般的な装備だが、大戦当時は敵国ドイツですら口径100mm以上の砲はティーガーⅡで試験している段階、正式に載せたのはマウスだけだった。その火力は同じカノン砲を搭載したISU-122譲りで強力だったが、砲弾がデカいくせに車輛自体はIS-1から変わっていないため、クソ重い砲弾を狭い車内で装填する事になり搭乗員は相当な苦労を強いられた。(しかもその砲弾も28発しか搭載できなかった)
- ST-II:試作重戦車ST-Iの主砲を122mm連装砲にした設計案。
- オデッサ戦車:独ソ戦序盤において電撃戦により工場が疎開し装甲車両がどうしても揃わなかったので、現地の農業用トラクターに装甲板と機銃や軽量な対戦車砲などを据えた即席の装甲車両。進撃してきたのがドイツ軍そのものではなく傘下のルーマニア軍だったのと、見た目が厳ついのが幸いして一部の部隊を後退させることに成功したという。
- KhTZ-16-オデッサ戦車と同じくトラクターに装甲板と武装を備えた即席の装甲車。こちらは時間稼ぎのためにハリコフ戦線に投入され正規のドイツ軍相手に戦う羽目に。
- TP-26改:崖の上から巨大な鉄球を転がして敵を攻撃するというギャグ漫画紛いの発想...と思われたが、実際は物資補給用のものだったらしい。(どっちにしろ転がすのはどうかと思うが...)
- ランドクルーザー:ソ連版ラーテ。しかも戦闘重量2500tに50cm砲3門搭載でラーテよりも巨大。ついでに戦車も18輌担いで進撃する計画だった。
- 超重装甲戦車B型:ランドクルーザーよりもデカい2800t級の戦車...もとい陸上戦艦。連装砲塔4基に装甲されたデカいマストっぽいものまで搭載しておりどう見たって設計からして戦車ではなくなっている。
- コンクリート製戦車:コンクリートで戦車作ったら安上がりじゃね?ということで計画された。ちなみにT-34ベース。
- オブイェークト279(Объект 279):核戦争を想定した130mm砲搭載の超重戦車。左右各二組ずつ計四組の無限軌道構造が特徴。流石にコストが嵩んで試作車一両のみ。
- IS-5、IS-6:よせばいいのに鹵獲したフェルディナントのハイブリッド式駆動装置を改良()して搭載。結果はやっぱり信頼性が低く、IS-6に至っては最初の試験中に過熱して大爆発。
- IS-7:ティーガーⅡに対抗すべく開発された70t級重戦車。ヤークトティーガーの12.8cm砲にすら耐えうる当時最強クラスの重装甲、艦砲から転用された130mm戦車砲、歩兵対策に機関銃6丁搭載などしたが、結局完成したのは戦後、つけ過ぎた機関銃へ戦闘中の再装填が困難、そしてやっぱり車内が狭いという有様。一番の問題は重すぎて駆動系への負担が大きいことで、エンジンは燃えるし転輪は内部ゴムが摩耗して外れ行動不能になるなど足回りで欠点が続出。重量を50tに軽量化するなどの改善も計画されたが、結局手におえず開発中止に。
- Progvev-T:試作戦車。ジェットエンジンによる高圧ガス噴射で地雷や敵戦車(などの敵兵器)を吹き飛ばす計画だった。日本の某鉄道会社の技術部門がある意味大喜びしそうだ。
- KSP-76:装輪対戦車自走砲。76mmと比較的小さめの砲を搭載したが、それ以上に軽すぎて連射に耐えられないことが判明し計画止まりに。
- T-64:当時最強と噂された主力戦車......なのだが、今日では戦闘能力よりも初期型の自動装填装置にあった『砲弾と間違えて乗員の身体を装填して最悪死亡させてしまう』欠陥の方が有名に。運用面でもエンジン周りが問題だらけで技術者や特別の整備員がつきっきりだったり、主砲の命中率が(砲弾のせいで)悪かったりと問題も多かった。
- シュトーラ:T-80やT-90に搭載されている赤外線照射装置。正面から飛んでくる対戦車ミサイルに照射して明後日の方向にすっ飛ばさせてしまう便利な代物だが、照射中の見た目が完全に顔。
- BMP-T ターミネーター:チェチェン紛争の戦訓から、T-72戦車の車体を流用してつくられた装甲戦闘車両。市街戦時に戦車に随伴させる目的で開発されたという。20mm機関砲と対戦車ミサイルが砲塔に外付けされている。乗員は5人だが、歩兵を随伴させる通常の歩兵戦闘車と違い兵員を車内に搭乗させられないため、ロシアは本車を「戦車支援戦闘車」と呼称している。国も規模も全く異なるが、「でかいオントス」と言えるかも。ロシア国防省は新カテゴリーである本車がヨーロッパ通常戦力条約で定められた装甲車と歩兵先頭車の保有台数制限には抵触しないとの見解を出している。条約を回避するために開発された車両との見方もあったが、装備と予算の見直しに伴い2010年で調達は終了した。その後、新型の“BMPT-72”も開発されたが、まだ本格配備には至っていない模様。ちなみに本車とは別に、同じT-72ベースの「兵員輸送車」としては“BMO-T”が存在する。
- TOS-1 ブラチーノ:一見なんの変哲もない自走多連装ロケットランチャーであるが、最大射程が3,500mとやたら短い(後に6,000m飛ぶ改良型ロケットが配備されている。ちなみにWW2当時の有名なロケットランチャー"カチューシャ"ことBM-13の最大射程は8,500m)。何故かというとそもそもこのロケットランチャー、砲戦用に作られていない。近距離の敵にサーモバリック弾頭を直射でありったけぶちまけて面制圧するという、他の多連装ロケットランチャーではありえない運用をするために開発されたのである。近距離戦メインのために高い防御力が必要となったため、車体はT-72のものを流用している。
- コアリツィアSV:新型の自走榴弾砲。開発当初は発射速度を高めるために主砲を縦に連装で搭載していた。
- 1K17 スジャティエ:自走レーザー兵器。高出力のレーザーで航空機やミサイル等のセンサー、もしくは人間の視覚を損傷させて無力化する計画だった。(ただし生身の人間の視覚に対する攻撃は特定通常兵器使用禁止制限条約の附属議定書4に反する)
- 37mmスコップ迫撃砲:柄が迫撃砲になっているスコップ。スコップの持ち手には重すぎるし迫撃砲としても威力は低いくせに照準器がなくて狙いづらいため採用されず。『二兎を追う者は一兎をも得ず』の典型的な例である。
- ゲルマン・A・コロボフ:銃器設計者。AKシリーズとの競争で先進的な構造の銃を開発する一方で、以下のようなゲテモノ銃も開発した。後年の銃マニアからは『(主に中身が)キモい銃を設計する天才』と言われたりしているとか。
- AO-63:銃身が縦に連装されたアサルトライフル。上記TKB-059と共にスペツナズで試験運用された。
- AN-94:それら二つを押しのけて採用されたアサルトライフル。これも2点バースト時に1発目の反動で銃口が跳ね上がる前に2発目も発射されてるという、やっぱりどこか普通じゃない銃なのであった...。
- 80.002:アサルトライフルとグレネードランチャーを合体させた銃器。やっつけ気味な名前とは裏腹にXM29を20年ほど先取りした発想だったが、構造上両方を同時に装填して射撃するのが不可能だった。
- VSS ヴィントレス:アフガニスタン戦争やチェチェン紛争でゲリラに苦しむ旧ソ連軍、とりわけスペツナヅなど特殊部隊のために作られた中距離狙撃銃。既存のライフルの精度を高めつつ、サプレッサーなどを使って消音加工を施すという西欧流のやり方をさらに強化するという、ある意味ロシアが得意なやり方を投げ捨て、「弾頭が音速を超えるとソニックブームが起きて銃声になるんだから、音速超えなきゃいいんじゃね?」との発想で、弾速が遅くなり威力が増す大口径弾薬を従来のライフルで撃ち出すシステムを作り出した。ただ肝心のVSSの動作音はうるさく、また使用弾である9x39mm弾は全くの新規開発のため製造コストが高くなった。AS-VALから派生したものなので狙撃銃でありながら実はフルオート射撃も可能だったり。
- 白兵戦好き:ロシアの頃から銃の発砲練習よりもまず習うは銃剣での白兵戦と言われる程に白兵戦大好き。一説では日本陸軍の銃剣突撃の師匠は日露戦争で相対したロシア軍とも言われ、いたいけな普通(?)の陸軍だった日本陸軍を「列強の戦い方はまず白兵戦なんだ」と騙し、もとい誤解させた元凶ともされる。第二次世界大戦でもやらかしたらしい。まあ、あれだけの犠牲者を見れば……。
海軍部門
ある日のアルメニアラジオ。
Q:ソ連の潜水艦が最長潜水時間の記録を持つことは事実でしょうか?
A:原則として事実です。なぜなら627型(ノヴェンバー級)潜水艦K-8は1970年の潜水以来ずっと潜水記録を更新し続けています。
※ソ連・ロシア連邦の艦艇はNATOコードネーム(またはジェーン海軍年鑑での呼称)と露軍制式名を併記。「○○級」が前者、「nn型」が後者。
- ノヴゴロド級砲艦:帝政ロシアが河川部での砲撃戦を想定して建造された真円形の砲艦。当然ながらその形状からまともに航行する事もできなかったという。
- バルチック艦隊:バルト海のサンクトペテルブルクからはるばる喜望峰まわりの航路でウラジオストクを目指した。 当初はスエズ運河を通る予定だったが管轄していたイギリスが日英同盟で日本の味方だったため主力艦隊は通してくれなかったのが大きな原因。ついでに言うとドッカーバンク事件で一時はイギリスとも開戦一歩手前だった。赤道半径の4分の3の距離を40隻以上の大艦隊で進んできたのは偉業と呼ぶにふさわしいが、その先で待ち構えていたのは...。
- ソビエツキー・ソユーズ級戦艦:全長271.5m、基準排水量59,150tの超弩級戦艦。 ソ連版大和型、モンタナ級。大和型よろしく一隻建造するだけで海軍予算の3分の1が吹っ飛ぶが、ソ連はこれを4隻も建造する予定だった。独ソ戦が始まってしまい全て中止に。
- スヴェルドロフ級巡洋艦:1948~1953年に起工され、1952~1955年の間に14隻が建造され、15cm三連装砲塔四基を搭載したその船体はソ連で初めての全溶接構造を採用し西側諸国にソ連の軍艦建造技術の優秀さを示して驚かせた。というかもっと驚かせたのは、今更なんでこんな軍艦を建造するのという事だった。因みに同じ年にボルチモア級重巡洋艦を改装した世界初のミサイル巡洋艦であるボストン級ミサイル巡洋艦が竣工している。
- A-57:海軍主導で計画した全長70mの巨大水上戦略爆撃機。水上か雪上から発進し、高度20000mを2500km/hで飛行、核弾頭の巡航ミサイルを発射する計画で、給油は洋上で船からする予定だった。
- G-5級魚雷艇:何故か航空機開発局のツポレフが流体力学研究所と協力して開発した魚雷艇。53ノットでかっ飛ばせたが、航空機と同じ要領でジュラルミン製にしてしまったため海に浮かべっぱなしだと一週間で腐食して使えなくなる。
- ケベック級(615型)潜水艦:ソ連軍部の要求「長時間潜水できる潜水艦が欲しい」→技術者の答え「衛星打ち上げロケットみたく液体酸素を積んでそれでディーゼルエンジンを動かせば?」ええもちろん爆発事故を起こしましたとも。
- Project717:超大型の強襲揚陸原子力潜水艦。兵員256名と装甲車20台を格納し揚陸地点に水中から強襲する計画だった。
- 鉛-ビスマス冷却材高速炉を搭載した原子力潜水艦:ノヴェンバー級(627型)とアルファ級(705型)。アメリカでも実用化できなかった溶融金属冷却原子炉を実用化し、これを搭載した原子力潜水艦はかなりの高性能を誇った…が当時のソ連の工業力では無理があり、冷却材の鉛・ビスマス合金の凝固、そしてそれによる放射能漏れに悩まされた。溶融金属冷却原子炉は日本ももんじゅ・ふげんなどで挑戦したがこちらもさっぱり…
- キーロフ級巡洋戦艦(1144/1144.2型重原子力ミサイル巡洋艦):第二次大戦後に建造された水上戦闘艦では際だった巨体で、もともと原潜用に作られた巨大対艦ミサイルP-700グラニート(下記当該項参照)を装備するため巨大な船体が必要となり、さらに大柄で的になるリスクが増したために「それじゃあ装甲もいるんじゃね?」とさらに巨大化し、さらにさらに「原子炉止まって立ち往生したら赤っ恥だから、予備のボイラーも積んどけ」と偉い人が言ったもんだから、原子力艦なのに大きな煙突があるといった「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな」な艦となった。時代を間違ったかのような“戦艦”の登場に冷笑を浮かべる西側関係者もいたが、実はVLSやステルス艦(後述)の先鞭をつけるなど、時代遅れに見えて、実は時代の先を行っていた。最近再評価が進み、1隻が現役、1隻が現役復帰に向けて改装中。
- 情報収集艦ウラル:頭に巨大なレドームを乗っけた情報収集艦。戦闘艦艇でもないくせに上記キーロフ級の船体を基に設計したあげく原子炉まで搭載した結果、ソ連/ロシア史上最大の原子力船になってしまった。ただし肝心の電子機器が故障続きだったため、ドックにいた時間が航海していた時間より長かったとも...。
- スラヴァ級ミサイル巡洋艦:ソ連崩壊後も主力として活動し続けるミサイル巡洋艦。特徴的なのはP-500対艦ミサイルを船体側面に連装8基16門も並べる超攻撃的レイアウト。発射管むき出しで配置されているため当時の西側では防御力を疑問視しており、1991年に2番艦「マーシャル・ウスチーノフ」がアメリカを訪問した際アメリカ海軍の士官がウスチーノフの士官に「ぶっちゃけランチャーに被弾したらヤバくね?(意訳)」と質問。対するウスチーノフの士官は『ご心配なく。あなた方の攻撃が届く前にミサイルランチャーは発射されて空っぽになってますよ。あなた方に向かってね』と答えたという。
- お前のような○○シリーズ
- スターリングラード級重巡洋艦:スヴェルドロフ級と並行して開発・建造していた重巡洋艦。 艦種は重巡だが全長273.6m(戦艦大和に匹敵)に305mm三連装砲搭載。 お前のような重巡がいるか。 スターリンの指示で建造が始まったが建造中に亡くなり、後任のラヴレンチー・ベリヤ書記長に「こんな時代遅れな巨艦なんているか!」と建造中止にされた。
- クロンシュタット級重巡洋艦:上記スターリングラード級の前級にして元祖「お前のような重巡がいるか」。全長こそ前者より短いものの、排水量ではむしろ上回っている。ソ連は重巡だと主張し続けたが欧米諸国からは巡洋戦艦扱い。残念ながら当然である。
- クリヴァク3型国境警備艦:元は海軍ではなくKGBが建造させた艦級。警備艦と言いながら排水量は3,700t、100mm砲・対空・対潜・魚雷完備、艦載ヘリ搭載...お前のような警備艦がいるか。
- キエフ級重航空巡洋艦:艦載ジェット機飛ばせるけど対艦ミサイル積んでるから巡洋艦です。
- アドミラル・クズネツォフ:これもジェット機飛ばせるけどキーロフ級と同じグラニート積んでるから巡洋k(ry
- P-700 グラニート:で、そのグラニートはというと全長10m、重量約7tの巨大対艦ミサイルである。どれくらいデカいかというと運動エネルギー(ぶつける)だけで駆逐艦クラスなら轟沈できるふざけたサイズ。デカさ故に核弾頭も搭載できる。ただデカいだけではなく700kmというちょっとした弾道ミサイル並の長大な射程距離、中間誘導に航空機ではなく偵察衛星を用いるため従来の手段で妨害されにくい、同時発射された複数のグラニートで編隊を組み編隊長ミサイルに率いられて一斉突撃する飽和攻撃が可能(途中で編隊長が脱落すると他のミサイルが自動的に指揮を引き継ぐ)など他の対艦ミサイルとは一線を画す能力を持っていた。というかもう動きが無人攻撃機である。お前のようなミサイルがいるか。
- が、デカい上に誘導システムに凝り過ぎた結果対艦ミサイルにしては運用コストがバカ高い上に搭載できる艦が限られるため、これ以降の新型対艦ミサイルは水上艦への搭載を諦め、より小型にして地上か航空機から発射する方針になった。(ただしグラニートを搭載している艦の多くはなんだかんだあって多くが未だ現役だったりキーロフ級のように現役復帰している)
- VA-111 シクヴァル:世界最速の魚雷。スーパーキャビテーションによる水の抵抗の激減とロケットエンジンの推力によって水中速力は200ノット(370km/h)以上...お前のような魚雷がいるか。
- リデル級原子力駆逐艦:ロシアが現在計画中の次世代駆逐艦。2万tに迫る排水量、某違法建築をモダン化したような前衛的な艦橋、トドメにその名の通り原子力推進と浪漫山盛りである。駆逐艦とはなんだったのか。
その他
ある日のアルメニアラジオ
Q:ソ連の科学技術の業績により、私たちが電話ですぐに食べ物を注文することが出来るようになったというのは事実ですか?
A:はい、私たちの情報筋はそれが事実であると私たちに伝えてくれました。同じ情報筋は、テレビによって食べ物が私たちのもとへ規則正しく伝えられるであろうと私たちに伝えています。
- レオニード・ワシリエヴィチ・クルチェフスキー:1930年代に様々な口径のデイビス式無反動砲を開発し、車両・船・航空機に搭載する試験を行った無反動砲大好き人間。いずれも満足な性能を達成できず、当人も『クソ兵器開発罪(意訳)』で大粛清の犠牲者に...。
- T-26 BPK:双砲塔型のT-26の片側の武装を76.2mm無反動砲に。砲がデカ過ぎて砲塔内が狭く、バックブラストを砲塔後部から放出するので発砲すると後ろにいる兵士が吹っ飛ぶ。
- MPK無反動砲:オートバイに搭載した無反動砲。ソビエト流スミスガン、又はベスパ150TAP。
- BPK大隊砲:この無反動砲を砲兵隊の主力砲にする計画もあったが、薬室内で砲弾が破裂する危険性があったため中止に。
- グリゴロヴィッチ I-Z:単発戦闘機に76.2mm無反動砲を二門搭載し爆撃機を一撃で叩き落とすつもりだったが、砲が重すぎて鈍化し爆撃機に追いつけない結果に。
- ツポレフ I-12:同じ無反動砲を搭載した兄弟(?)ただしこちらは胴体前後にプロペラ、双ブーム式尾翼という奇怪な外見。
- ツポレフ ANT-29:102mm無反動砲を搭載した迎撃機...いや飛行大砲。そのまま撃つと無反動砲とはいえ反動が大きすぎたので機尾からも同じ砲で同じ重量を同時に投射して反動を相殺する。機体が前後に潰れないか心配である。
- 駆逐艦エンゲルス:駆逐艦に大火力を持たせてモニター艦的な運用をするために305mm無反動砲を搭載。見た目も巨大鹿威しみたいでシュール。ただでさえ当時は精度も微妙だった無反動砲を揺れる艦上から撃っても碌に当たらず、さらにあろうことか前装式だったため実用的ではなかった。
- 駆逐艦カール・マルクス:エンゲルスでの試験がうまくいったら同じ砲を5門搭載するつもりだった。
- ツァーリ・ボンバ:実用性を度外視して作った史上最大の核兵器(水爆)。当初は100メガトンの予定だったが50メガトンに縮小した。…それなんて紳士の爆弾?(因みに縮小した理由は100メガトンだと首都モスクワまで被害が及ぶため)あまりにも威力がでかすぎて衝撃波が地球を3周以上もした。
- クラブK:民間企業が開発した巡航ミサイル発射機。民間の輸送用コンテナに偽装している。戦時国際法というものを知っていますかね?
- 黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉:チェルノブイリ原子力発電所の原子炉。原子炉の効率を上げるために制御棒の先端に減速材の黒鉛の棒を取り付けて出力を嵩上げしていた。このため原子炉を緊急停止しようとして制御棒を突っ込むと一時的に出力が上がるという欠陥があった。これは自動車で例えるとブレーキをかけると一時的にエンジンの出力が上がるようなものである。設計者はオペレーターが定められたマニュアル通りに操作すれば問題ないとの結論を出したが欠陥を現場の職員にきちんと説明しなかったため…
- AA20形蒸気機関車:ソ連のあまり耐荷重能力が高くない線路でも走れるハイパワー機関車、という難しい要求に応えようとした結果出来上がった、7軸動輪直結という凄まじい足回りの機関車。走行装置1組としては史上最多の動輪数であり、固定軸距離も当時最長の10m。設計にはアメリカのユニオンパシフィック鉄道9000形が参考になっており、また製造の大部分はあのクルップ社に委託したことから、ある意味米独ソ三国面の融合した機関車と言えるかもしれない…。ここまで動輪数が増えたのは線路への負荷対策に重量分散を狙った結果だったが、直線ならともかくカーブ通過時にとてつもない横圧がかかるため結局走ったカーブ線路やポイントが壊れまくり、わずか1年でお役御免となった。
- M62形ディーゼル機関車:冷戦期にCOMECON加盟国向けに製造されたディーゼル機関車。・・・なのだがどういうわけかソ連国内では台車をゴムタイヤに履き替えてミサイル牽引車に無理やり魔改造された奴が居る。
- ジェット機関車:Yak-40のジェットエンジンを搭載して249km/hで爆走する機関車。鉄道版Progvev-T。
- ロータリーエンジン:……と言えば、日本人なら真っ先にマツダを思い浮かべるが、ソ連・ロシアの“ラーダ”、“GAZ”もロータリーエンジン搭載車を生産していた。スポーツタイプが主だったマツダと異なり、ソ連はセダンなど乗用車タイプが多く、ユーノス・コスモもびっくりの3ローターのセダンやリムジンなどもリリースされていた。ただし、3ローターは一般向けでなく、セダンタイプはKGBや警察の捜査車両として使用されていたという。
- リバースエンジニアリング:完成品から遡って、設計や作動原理、製造法まで解析する手法。技術の後れを挽回するのに、面倒だが、有効にして不可欠の切り札。パクリと言えばそれまでだが、ソ連・ロシアの技は徹底しており、近年ではゼロ戦のレストアにも一役買っている。
- Tu-4:その徹底ぶりがうかがえるのがこの機体。 不時着したB-29をコピーした重爆撃機なのだが、「工作ミスのドリル穴や、弾痕まで複製した」と言われた(真偽は不明)。ただしアメリカがタード・ポンド法を用いたのに対しソ連はメートル法を用いたので寸法に誤差が生じた。
- ちなみにアメリカ本土まで片道飛行の「特攻」であれば攻撃可能だったのでアメリカ空軍はパニックに陥り、レーダーや地対空ミサイルなどの防空設備の開発を急ぐこととなった。まさに日本の広島・長崎に対し行った都市への核兵器による攻撃を自分たちの兵器のデッドコピーにより受けるのではないかという恐怖であった。
- MiG-15(のエンジン):イギリス「まさかエンジンを完コピされるとは...」
- Tu-4:その徹底ぶりがうかがえるのがこの機体。 不時着したB-29をコピーした重爆撃機なのだが、「工作ミスのドリル穴や、弾痕まで複製した」と言われた(真偽は不明)。ただしアメリカがタード・ポンド法を用いたのに対しソ連はメートル法を用いたので寸法に誤差が生じた。
- AF2011-A1:AF社でM1911の誕生から100周年を記念し約半年で作られた、2丁のM1911を横に重ねて合体させた世界初にして唯一のダブルバレル半自動拳銃。しかも半年で作った割にはただ合体させたのではなくしっかり新規設計している。
- ルイセンコ農法:一応、結果的に接木技術の改良に貢献した。間接的にだが。
- トイレットペーパーのミシン目:日本企業の駐在員はトイレットペーパーを持っていくのが普通だった。
- 携帯電話:西側で移動体通信端末が登場するのは1970年代後半以降。だが、ソ連では1957年にすでに、レオジード・クプリヤノフ率いるチームによって一般回線向けを意識した無線電話端末の開発が行われていた。まだ西側でさえDTMF発振器が開発されていなかったので、のっぺらぼうの本体にダイヤル発信機を取り付けた不格好な有様。だが、そのサイズは開発初期で重さ3kg、さらにポケットサイズからハンディサイズにまで小型化する計画で、まさに今日を予見するかのようなプロジェクトだった。
- デザイン電球:発光体部分が渦巻きフィラメントではなく、板細工でできている電球。ソ連時代に造られたもので、点灯すると鮮やかなシルエットが浮かび上がるという幻想的な光景が浮かび上がる。あまり明るくはないようだが、そもそもこういう商品に実用性を求めるのは西と東の真面目にスッとぼけた島国だけで間に合ってるんで……残念ながら現在は製造されていないため、流通在庫はプレミアムがついて日本円換算で1つ2万円以上するのだとか。
- ボストーク:ロシアの誇る名門時計製造メーカー。日本でも有名な「コマンダスキー」と、腕時計としては異常なほど高い耐水性を誇る「アンフィビア」を抱えているのもここ。歴史は微妙に古く、ソビエトが存在していた頃に創設された。当時は軍用腕時計の大半を製造していたが、購入方法が極めて限定的であったため軍に卸されたモデルは未だに入手困難。機械式オーブメント一徹の拘り仕様と適度に安価な価格、確かな信頼性もあって国外でも高い知名度を誇る。文字盤のデザインも大変凝っており、数字と一緒にエンブレムや簡易的なイラストなどが描かれているモデルもかなり多い。
- アネクドート
露国面が世界を変えた例
「ロシアは見た目ほど強くはないが、見た目ほど弱くもない」(オットー・フォン・ビスマルク)
“技術的に遅れている”といっても、全分野で、というわけではない。国を挙げて本気出したら、ロシアってスゴいのである。
- T-34:主力戦車(MBT)の先駆け。これ以前とこれ以後で戦車の世代を分けることができる。(ただし、当のソ連はT-64の頃まで「中戦車」の呼称を使っていた)第二次世界大戦ではソ連に侵攻したドイツ軍に西欧を制覇した自軍の戦車より優れた性能で一大ショックを与え以後の戦車開発を一変させ、ソ連衛星国や第三世界諸国にも多数が輸出され、朝鮮戦争序盤では南側の対戦車兵器のほとんどを跳ね返し、戦線崩壊、パニックに陥れた。さらに加えて、一部車両は21世紀に入っても未だなお現役である。それもそのはず、大量生産で有名なM4シャーマンですら総生産数4万9,000輌なのに対し、T-34は同じく全形式で総生産数8万4,000輌なのである。(余談だが、タマ数が多く維持しやすいので、スクリーンの中でも様々な戦車の“代役”として多数登場している。映画の中に出てくるティーガーは、だいたいT-34を“仮装”させたもの)
- BMP-1:以前の装甲、歩兵の輸送能力は持つが武装が貧弱だった兵員輸送車に、強力な武装を加え歩兵を安全に輸送し車両も戦闘に参加できる歩兵戦闘車の先駆けというべき車両。だが、肝心の武装に問題(主砲は命中精度が悪く対戦車ミサイルは一発撃つごと車外での装填作業が必要)が多く、兵員室のドアが燃料タンクを兼ねているため(燃えにくいディーゼルとはいえ)被弾するとエライことになり、しまいにはタンクデサントで兵員輸送を行うという運用をされ本来のコンセプトが行方不明に。ただ、コンセプトそのものは画期的で、西側諸国はこの車両の登場を期に歩兵戦闘車の開発を急ぎマルダーやM2ブラッドレーに繋がって行く。
- ロケット(宇宙開発部門):「ロケット工学の父」ツィオルコフスキーに始まり、世界初の人工衛星・スプートニク、ボストーク計画によるガガーリンの初の有人宇宙飛行など、宇宙開発の歴史にロシアは欠かせない。かつての敵国から分捕っ……導入した技術に助けられた側面や、先述のN-1ロケットのような盛大な失敗もあったものの、持ち前の粘り強さで地道に改良を続け、いまや唯一の“宇宙定期便”となったソユーズは“最も安全かつ経済的な有人宇宙船”との呼び声も高い。
- ロケット(軍事部門):第二次世界大戦で猛威を振るった多連装ロケット砲“カチューシャ”をはじめ、軍事分野でもソ連はロケット兵器の開発に注力していた。冷戦時代でも、駆逐艦を小型のミサイル艇があっさり撃沈してしまった“エイラート・ショック”や、第四次中東戦争でイスラエルを窮地に陥れた対空・対戦車ミサイルなどは、その後の戦場の有様と、西側の軍事戦略を大きく変えた。まあ、その後精密誘導の分野で西側に追い越されてしまったが。ちなみに、ロシアでは誘導式のミサイルも「ロケット」と呼称する。
- ツィルコン:そしてポストステルスといえる極超音速兵器でもロシアは世界最先端を行っている。2020年10月7日、マッハ8で飛行し命中させる極超音速ミサイルの発射実験に成功した(外部リンク>https://www.youtube.com/watch?v=tnWYTrXNcOA)。中の人の証言によると「従来のミサイルよりむしろ安価(その凄まじい高速から発生する運動エネルギーそのものを標的にぶつけるだけで充分な戦果が期待出来るためか)で、現在生産ラインフル稼働中。2021年より対応艦に順次搭載予定」とのこと。
- 戦術
- ロッテ戦法:ドイツのヴェルナー・メルダースにより考案・発展した戦術で二機がペアとなり長機が攻撃を担当し、僚機は長機を援護するというもので、更にロッテ編隊二組の四機編隊のシュバルムに発展した。スペイン内戦でソ連軍が始めて使用したと言われる。
- ブルシーロフ攻勢:第一次世界大戦でロシアのアレクセイ・ブルシーロフ将軍が指揮した大攻勢。その特徴は攻勢前に兵士達には前線の近距離まで進出させ、更に準備砲撃を短時間にしたもので、従来の準備砲撃は長時間念入りに行うために敵の予備兵力を展開させる時間を与えてしまうという欠点を克服したもので大成功を治めた。だが、この戦法を体系化して活用するのはドイツの浸透戦術だったりする。あれ、どこかで聞いた事のあるような……。
- 作戦術:日露戦争を教訓としたソ連で1920年アレクサンドル・スヴェーチンが提唱したといわれるもので、戦争を戦略・作戦・戦術の階層構造とみなし、個々の戦術の勝利を活用して作戦を成功させ、個々の作戦の勝利で戦略を成功させるという戦略と戦術を繋げる概念で、それぞれの任務を定めた戦役を決め、それらを戦略的成功に導く為に活用するもの。赤軍大粛清による有能な将校の不足などで独ソ戦当初はうまくいかなかったが、軍が経験をつむに従い真価を発揮してドイツを屈服させるに至った。ベトナム戦争での敗北後、アメリカからも注目されるようになる。
- 縦深戦術理論:1930年代にミハイル・トハチェフスキーによって理論化されたもので、圧倒的な火力・兵力で広い範囲で攻勢をかけ第一波で複数個所で突破口を穿ちその拡大に努め、更に第二波も浸透ではなく突破口拡大に努め連携して100㎞以上の破口を穿ったあとに作戦機動部隊を投入しての包囲殲滅を目的とするのを特徴とする。砲兵・空軍は防衛線を麻痺させ、また実際の攻勢では使用されなかったが、敵の退路を断つために空挺部隊の投入も考えられていた。1944年のバグラチオン作戦は典型的な成功例であり、独軍の予備兵力は攻撃第一波・第二波に拘束され、更に広い突破口からの幅と奥行きのある作戦機動部隊を妨げるのは至難であった。
- ステルス艦:飛行機の分野で初めてステルス機を実用化したのはアメリカだが、海では実はソ連。先述のキーロフ級巡洋戦艦は、レーダー・スクリーン上は「2,000t程度の小型フリゲート」程度にしか映らず、「あんなでかい水上艦、良い的(まと)じゃん、ププーッ!」と甘く見ていた西側を慌てさせた。現在のステルス艦ほど“ツルペタ”ではないものの、キーロフ級の上部構造にはことごとく傾斜がつけられ、電波を一方向に反射しない工夫が成されていたのである。
- 元素周期表:いわゆる「水兵リーベ僕の船」。1869年、ドミトリ・メンデレーエフ教授が原子量の順に各元素を並べてみたところ、各々の性質に一定の「周期性」があると気づき、「周期表」という形でまとめた。メンデレーエフが賢明だったのは、当時未発見の元素もあったところを無理に埋めようとせず、あえて「空欄」として、「未知の新元素」の原子量や性質を「予言」して見せたところ。当時は懐疑的な意見も多かったが、その後次々と「予言通りの新元素」が発見されるに及び、「化学のバイブル(基本)」として評価を確立した。「ふふふ、世は全て私の予言通りに進んでおる(マジで)」
- 近視矯正手術:正確には「角膜屈折矯正手術」。先鞭をつけたのは実は日本なのだが、後発障害が多く一旦は廃れた手法を、実用段階まで改良したのはソ連。精度が悪く普及しなかったという説もあるが、実際は「軽度~中度の近視にしか適応できない」という話だったらしい。評判を聞いたアメリカの医師が手技を学んで、西側にも普及。症例(一説には300万人)と改良を重ねた末、現在の“レーシック(LASIK)”に発展する。“鉄のカーテン”も、医学分野ではちょっとだけ開いていた?
- テトリス
- AK47:アサルトライフルのベストセラー。コンセプトはWW2直後としては斬新なものだったが、機械的な設計は枯れた技術を用いている。ソ連の広大な領土、低い工業力を考慮し、多少の命中精度低下には目をつぶって、部品のクリアランスを大きく取り信頼性・製造性を高めた。また、多民族でロシア語すら分からない兵士いることを考慮し、取り扱いが簡単に行えるよう考慮されている。この特徴故、発展途上国で大量に違法コピーされたり、教育水準の低いゲリラや反政府組織に愛用されたりと、世界中で拡散してしまっている。世界中で紛争が止まない理由の一つに「AKの拡散」が挙げられるほどで、悪魔の銃などとも呼ばれる。
- フルコース:「寒くて料理がすぐ冷める」という理由から料理を一品ずつ提供するスタイルがロシアで発達していたが、これをフランスが真似た結果、西洋料理のスタンダードに。