概要
機体先端の巨大なドリルで岩盤を破壊し、それで開けた穴を通って地下を掘り進む車両。
初出は1922年に発表されたアメリカ合衆国のSF小説「地底世界ペルシダー」に登場した探検用の車両で戦車ではない。その後も「サンダーバード」の「ジェットモグラ」等、非武装で兵器ではない機体も多いのだが、わかり易さから「地底戦車」として総括される事が多い。
日本の作品で初めて扱われたのは、おそらく1941年に発表されたSF小説「未来の地下戦車長」。
地底戦車が登場する作品
海外作品
極底探検船ポーラボーラ(ポーラボーラ)※日米合作で特撮は円谷プロ。
ディープ・コア2000(地底掘削機)※『ザ・コア』より数年早かった作品で、続編の2002、2010には地底戦車は出ない。
きかんしゃトーマス(サンパー)※現実のアースドリルのような建設機械だが、外見は地底戦車のそれ。時代設定に合わせてブルドーザーらしい外見になってはいる。
東宝作品
メタルヒーローシリーズ
重甲ビーファイター(スタッガータンク)※ビートルーダーに収納されているドリルアタッチメントが必要。
ビーファイターカブト(重戦車ギドーバ)※ドリルはない。
スーパー戦隊シリーズ
超力戦隊オーレンジャー(バラドリル)※穿孔形態に変形するマシン獣
未来戦隊タイムレンジャー(ライメイ)※ドリルは武装。
特捜戦隊デカレンジャー(アブトレックス/アボトレックス)※地底戦車に変形する怪重機。
海賊戦隊ゴーカイジャー(豪獣ドリル)※ドリルは武装。
快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー(トリガーマシンドリル)
機界戦隊ゼンカイジャー(ゼンカイジュウドリル)※ドリルは武装。
円谷作品
ウルトラマンネクサス(ディグチェスター)※劇中未登場。
ウルトラマンメビウス(ガンスピンドラー)※小説版『アンデレスホリゾント』に登場。
電光超人グリッドマン(ツインドリラー)※世界観上地底には潜っていない。
SSSS.GRIDMAN(バスターボラー)※同上
その他特撮
トミカヒーローレスキューファイアー(レスキュードリルブラックタイプ)
ロボットアニメ
トランスフォーマーシリーズ(ツインツイスト、ノーズコーン、シックスナイト、ガルバトロンその他)※地底戦車に変形。
勇者シリーズ(ドリルマックス、ドリルバロン、ドリルランダー、ドリルダイバー、マイトカイザー、ドリルボーイ、ドリルシルバー、ダグドリル、ドリルガオー、ドリルガオーⅡ、スパイラルガオー、ストレイトガオー)※同上。
電脳冒険記ウェブダイバー(オルトリオン)※地底戦車に変形。世界観上地底には潜っていない。
その他アニメ・漫画
それいけ!アンパンマン(もぐりん、モグラドン、その他派生型メカ)
小さな巨人ミクロマン(ドリルジョー、ジェットモグラー)※地底戦車に変形。
ワラトルマン/ハイスクール!奇面組(ジェットオケラタンク)※バケットで掘る形式というギャグ。敵の地底人側は一般的なドリル形式である。
ゲーム
メタルマックスシリーズ(トンネルボウラー、ビッグモール、クロモグラ)※ギガンテリオンは地底戦車ではない。
ペルソナ2罪(ドリルハンニャ)※ドリル戦車に変身する技を持つペルソナ。
その他のジャンル
ミドリSFシリーズ(キングモグラス、ビッグモグラス、ジュニアモグラス、ウルトラモグラス)
大河原邦男おもしろメカワールド オモロイド(バートロ)※地底戦車に変形。
問題点
- ドリルが小さすぎるなどの構造上、機体が通れるだけの穴を作るのが難しい。
- 硬い岩盤に突き刺さってしまうと、それ以上掘り進むことが出来ず空回りするだけになってしまう。
- 機体を固定する手段が弱く、ドリルを回す反動で機体の側が回ってしまう(ドリルが1つの場合)。
- 地底を単独で掘り進む為、外気などを用いてのエンジン冷却の手段が無く、内部が過熱する。
- ドリルで破砕した礫岩や掘削で生じる土砂を処理するシステムが無い。
- 仮に土砂を何とかしたとしても、ただ単に穴をあけるだけでは岩盤がすぐに崩落してしまう。
- そもそも地底をたった一機の戦車で掘り進むには途轍もない量のエネルギーが必要であり、どんな冷却システムを使おうが中に人が入る隙間が無い。
以上のことから、現実世界で地底戦車が実用化されたためしはない。
もし作るなら、一応崩れる危険はあるが、岩盤を溶解液かレーザー砲で無理矢理溶かしてその中を泳いで進むか、もしくは普通にシールドマシンやボーリングで穴を掘った方が早い。
ちなみに世界最速のシールドマシンでも時速3m(kmにあらず)ぐらいが限界。フィクションの地底戦車連中はどれもこれも速すぎなのである。
現実の地底戦車
そんな地底戦車であるが、大まじめに実現に挑んだ奴らが居た。
敵基地の地下にドリルを使って潜り込み、爆弾を仕掛ける「ミドガルドシュランゲ」という地底戦車を真面目に考えていた。
複数のユニットを連結して構成するという仕様は、後に『空想科学読本』で、現実的な地底戦車の仕様として採用された。実現しなかったとはいえ、現実の計画とフィクションを比べられてもなあ……。
また、1930年代の日本陸軍も「潜行掘鑿器(SK器)」という似たような代物をトーチカ攻略用に計画していたが、こちらは車体の下半分だけ地下に潜らせるという比較的実現しそうな方式を採用している。
結局実用化はされなかったが。