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2023-05-09 04:55:57 バージョン

鱗翅目というグループの昆虫のうち、蝶を除いたものの総称。

概要

)とは、鱗翅目(ガ目・チョウ目ともいう)に属する昆虫のうち、以外の全ての種類を便宜上にまとめた総称。英語は「moth」(モス)と呼ばれる。


完全変態幼虫を経て成虫になり、蝶と同じ基本構造を有する。


幼虫は芋虫であり、種類により無毛な青虫やからふさふさな毛虫まで様々である。蛹は丈夫で肢が本体に密着し、多くがに守られる。成虫は体が胴体に密生し、原則として鱗粉に覆われた大きなと渦巻き状に収納されるストロー状の口を持つ。触角は種類により状から羽毛状や棍棒状まで多岐にわたり、雌雄で異なるものも多い。


原則として生涯を通じて草食で、幼虫は植物などを嚙み砕き、成虫は口吻でなどを啜る。


しかし蛾は非常に多様で、前述の特徴から逸脱した例外も少なくない。例えばコバネガなど原始的な蛾の成虫は吻の代わりにを有し、花粉を嚙み砕く。ヤママユガカイコガの成虫は口吻が退化し、摂食せずに余生を過ごす。スカシバガオオスカシバは翅が透明で鱗粉を持たず、ミノガフユシャクのメスは翅が退化して飛べない。ハワイカバナミシャクの幼虫は、鋭い爪でハエなどを待ち伏せる獰猛捕食者である。


蝶と蛾

蛾はよく「と対になる存在」と思われるが、「蛾」は分類学的でなく、あくまで「以外のすべての鱗翅類」という消去法的て雑多な括りである。系統的にも下記の通り、蝶は蛾のごく一部に過ぎない。


以下の系統図はメジャーなグループのみ抜粋して省略化したもの(実際は百以上のグループの蛾が存在する)。


鱗翅目

┗┳━コバネガ

 ┗┳━コウモリガなど

  ┗┳━ヒゲナガガなど

   ┗┳━ミノガなど

    ┗┳━ホソガなど

     ┗┳━マダラガイラガメガロピゲイラガなど

      ┗┳━

       ┗┳━トリバガイカリモンガなど

        ┗┳━メイガ

         ┗┳━カギバガ

          ┗┳━ヤガドクガヒトリガシャチホコガなど

           ┗┳━シャクガツバメガアゲハモドキなど

            ┗┳━カレハガなど

             ┗━イボタガスズメガヤママユガカイコガなど


また、昼行性・棍棒状の触角・翅の縦に閉じる・繭を作らないなどを統合的に見て(それでも例外がいて完璧ではないが)何とかまとめられる「蝶」に対して、蛾は鱗翅類全般に当てはまるもの以外に共通の特徴はない


  • 「地味」と言えども、蝶に匹敵するほど派手な種類がいる(ツバメガ、アゲハモドキなど)。
  • 夜行性」と言えども、蝶のように昼行性の種類がいる(マダラガなど)。
  • 「糸/櫛状の触角」と言えども、蝶の棍棒状に近い種類がいる(スズメガなど)。
  • を縦に閉じない」と言えども、蝶のように縦に閉じる種類がいる(イカリモンガなど)。
  • を作る」と言えども、蝶のように繭を作らない種類がいる。

大雑把に言うと、「鱗翅類における蝶と蛾」はまるで「地球人における日本人と外国人」のように偏った区分である。系統・見た目の両方から見ても「蝶と蛾」という区分や「蛾」という括りがナンセンスであり、実際、鱗翅目の昆虫を「蝶と蛾」に区別しない言語や地域も存在する。


当然ながら鱗翅類はほぼ全てが蛾で、その数はおよそ16万種ほど知られ、1万6千種の蝶を大きく上回る。


同じ昆虫で似たようなケースとして、膜翅目(=以外のすべての膜翅類)が挙げられる。


主な種類

蛾は非常に多様で百以上のグループ(科)に分かれており、ここでは上記の系統図と同様メジャーなグループのみ列挙する(最後に科が表記されないグループ名は科全体を指す総称である)。


蛾の扱い

世間一般におけると同じ鱗翅類とは対照的で、蛾はネガティブ的なイメージが強い。


素直に「綺麗な虫だなあ」と思いながら、蛾だと察する瞬間から評価が一気に「気持ち悪い」まで下がり、控え目でも「綺麗だけど蛾で残念」など、人々が美しい昆虫の「蛾」という身分でガッカリするケースも少なくない。フィクション作品の中でも、蛾は毒々しい悪役や不祥の象徴とされがちである。


世間の蛾に対する嫌悪感が風潮になったのは、おそらく自然界と離れた都市化生活や、規則性がなくパニックを起こしたように飛び回り、稀に人へつく事も一因と思われる(ゴキブリと同じ例)。鱗翅類を「蝶と蛾(butterfly & moth)」に区分する文化を含んだ英語圏の近代博物学の導入と、そこから生み出した世間の蛾に対する誤ったイメージに由来する。これは蛾に限らず、不快害虫全般に当たる話でもある。ちなみにドイツ語やフランス語などでは蝶と蛾の区別が無く、この事情は日本人にも馴染み深いヘルマン・ヘッセの短編『少年の日の思い出』でも窺い知れる。


かつての日本にも明確に「蝶」と「蛾」を区別する観念が無かったことは、例えば平安時代後期に成立したとされる『堤中納言物語』所収の「虫愛づる姫君」において、現代であれば「蛾」に分類されるの成虫が「蝶」と呼ばれていることにも見てとれる。


実際、害虫と言えるもの、有毒の毛虫や体外に毒のある蛾は一握りし過ぎない。そもそも「鱗粉に毒がある」というのも徹底的な誤解であり、毒は鱗粉ではなく(有毒種の)毒針毛にある。体内に毒を蓄える蛾と蝶は存在するが、食べない限り心配は不用である。また、蝶はよく植物の繫殖を支える送粉者として取り上げられたが、多くの蛾も同じ役割を担っている。昼行性の種類は勿論、夜にしか咲かない花は、夜行性の蛾に頼ることが多い。


蛾を嫌がる風潮が無くなれば、彼らも蝶に勝るとも劣らない魅力的な昆虫である事が認知されていくかも知れない。


関連イラスト

カイコの夢セスジナミシャクマダラミズメイガセンシティブな作品

コウモリガさん蛾47923Brahmaea Japonicaイボタガちゃん

もふもふ蛾クプクプ-合作-


蛾をモチーフとしたキャラクター

スーパー戦隊シリーズ

仮面ライダーシリーズ

ウルトラシリーズ


その他特撮

神話・伝承

ポケットモンスター

ゲーム

アニメ・漫画

その他


関連タグ

表記揺れ


生物 動物 節足動物 昆虫 鱗翅目 鱗翅類

 蛾萌え 昆虫擬人化 虫擬人化 ぴく虫 ロリ昆


成長過程

成長過程 完全変態

 孵化

幼虫芋虫/いもむし/イモムシ 毛虫

/さなぎ/サナギ 羽化

成虫 模様 触角 ふわふわ もふもふ  夜行性  昼行性

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