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解説

より年上を指す語。

「年上の妻」を指す民俗語は広く見出されており、東京のアネニョウボウ、関西のオヒニョウボウ、沖縄のシイザトジ(シイザ=年長、トジ=主婦)、東北のヘラマシなどがある。

古くは家(親)同士の決まりで結婚することが多かったことから、特に将来、家を継ぐことを期待される男子の結婚年齢は低く、より年上のが普通であった(年齢が低い夫に力添えする事が妻に求められたため)。

しかし、時代を経るとともに「年上の妻」が一般的でなくなっていき、その過程においてこうした名称がハッキリと言葉として形になっていったと考えられている。

現在歳の差婚は「夫の方が年上」のケースが圧倒的に多い。「妻の方が年上」のケースは1~2歳差程度ならそれなりにあるが、10歳差以上はかなり珍しいらしい。

年上の妻が非一般化していったのは人間の特に女性の生殖年齢が限られる事も一因ではある。

人間は男女ともに大体、10代後半くらいになると生殖に支障がなくなるが、女性の場合、30代以降になると生殖能力が徐々に衰え始め、40代以降になると歳をとるほど妊娠が難しくなっていき、50代ほどで生殖能力が事実上、なくなる事が多い(男性の場合は、若い時の方が生殖能力は盛んだが、減退はそこまで急激ではなく、50代や60代以上でも生殖能力が高くはないにせよ持続するのも珍しくない)。つまり、女性が子供を多く持ちたければ、この「妊娠がしやすい時期」に早めに結婚したほうがいいのだが、その相手となる夫の年齢が低すぎては意味が無い。具体的に言えば10代後半~20代の早い頃に、ほぼ同年齢か年上の夫を持った方が妊娠の機会も増えるのである(同様に男性の側にとっても自身の生殖能力がまだ高い時期なのに、妻が妊娠しにくい年齢になってしまっている場合は、子供をもうける機会が減ることになる)。そのため、同年齢か妻が年下という事例の方が普遍化していき、特に農業などの産業の発展で労働力等の人手が多く求められる時代になると(昔は子供も家にとって希少な労働力、稼ぎ手であったため、猶更子沢山は歓迎された)、こうした傾向がより一層、強まった。

更に現在の広く普及している価値観では男性が女性を支える、あるいは男女が平等に支え合うことが求められるため、男性の方があまりにも若すぎると、男性は女性と対等以上のもの(地位や経歴、経済力等)を持てず、この価値観と齟齬をきたすのである。

今のところ対義語と呼べる言葉は存在しない(強いて言えば年下夫)。

また、姉さん女房に対する旦那の呼称もまた存在しない(お笑い芸人のアンジャッシュが『弟さん旦那』という造語をボケでしていた程度)。

なお、夫婦が同い年或いは、同学年であり、妻のほうが先に生まれた場合に関しては、姉さん女房と呼ばれるときとそうでないときとがある。

結婚していない年下×年上カップル女性については『年上彼女』の頁を参照のこと。

金の草鞋

その昔は「年上の女房は金の草鞋を履いてでも探せ」と言われ、ありがたがられた。

ちなみに「」は「きん」ではなく「かね」で、金属のこと。

擦りきれない鉄で出来た草鞋を履いてでも、地道に探す価値があるという意味である。

年上の気遣い気配りが上手く、を良く立て子供をよく看る良妻賢母になる事が多いと、当時は思われていたようだ。

同義語に「姉女房は身代の薬(あねにょうぼうはしんだいのくすり)というもある。こちらは夫ばかりでなく、一家全体を盛り立ててくれる年上女房の働きも表している。

もちろん、現在においては必ず当てはまる訳ではないが、人生経験を活かして夫を支える姿は頼もしいばかりである。

ただし、尻に敷かれるリスクも上がるのは御愛嬌。

表記揺れ

姐さん女房

『姉さん女房』に当たる女性

(50音順)

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