スーパー特撮大戦2001
すーぱーとくさつたいせんにせんいち
ラン「みんなのヒーローヴォルテックスの変身プロセスはわずか0.05秒に過ぎない。ではスローモーションでもう一度見てみよう」
エイジ「何言ってんだよお前」
概要
基本的には『スーパーロボット大戦』の特撮版と言うべき内容だが、作品のチョイスは非常にマニアックで、なんと一番新しい作品は1988年発表の仮面ライダーBLACKRXである。コンパチヒーローシリーズで何かとハブられがちなスーパー戦隊もゴレンジャーのみ参戦している。
『スーパー特撮大戦』と銘打っているが、あくまでも参戦作品の基準は『ヒーローが登場する作品』(変身ヒーローかロボットかは問わない)となっており、巨大戦艦に乗って戦う『マイティジャック』や(敵・味方が一定しない)怪獣が主役である『ゴジラシリーズ』などは未参戦である。
プレイヤーは「バイオ編」と「メタル編」のシナリオを選択することになる。バイオ編の主人公、ヴォルテックスは非常に強い(あくまでこのゲームの中では)ので、初心者はバイオ編から始めることをお勧めする。
しかし、本作のシナリオをより深く理解するにはメタル編をクリアすることも必要となる。
変身後の姿で戦う事がほとんどであったコンパチヒーローシリーズとは違い、変身前やメカに乗った状態で戦えたり、防衛隊隊員を操作して戦えるのがこの作品の最大の魅力。
ウルトラ警備隊でショッカー怪人をやっつけたり、ウルトラマンでBF団を倒したり、イナズマンがショッカーと戦うなんて事も出来てしまう。
巨大ヒーローと等身大ヒーローが共存しているので、防衛隊が怪獣を狙撃する原作再現も可能。
ナレーターは中江真司氏で、彼のボイスによるギャバンの蒸着シーンの解説はかなり貴重である。
基本的にキャストはライブラリ出演となっており、一部の演出には原作の映像を使用している。
主題歌は『君は閃光☆THUNDERBOLT~スーパー特撮大戦2001』(歌:串田アキラ)となっている。
あらすじ
近未来、地球は外宇宙からの侵略者に狙われつつあった。
これに対し、国連は「TDF」(Terrestrial Defence Foce=地球防衛軍)、「SIDO」(Space Investigation and Defence Organization=宇宙調査防衛機構)という2つの組織を結成。地球圏の防衛をTDF、火星から太陽系外周の防衛をSIDOに分担させ、侵略に備える。
ある時、冥王星軌道の外側に突如、謎の惑星「ナンバーテン」が出現。SIDOはナンバーテンを調査するべく最新鋭宇宙要塞「ナガー」を向かわせる。しかし、ナガーは音信不通となり、そのまま発見されることはなかった。
それから3年後、ナンバーテンは突如消失。その正体は謎のままとなった。地球では侵略者の攻撃が激化、国連は指揮系統一のためにTDFとSIDOを統合し、新生TDFを立ち上げる。
しかし、外敵のみならず地球そのものにも悪の萌芽が芽生え始めていることに、人類はまだ気が付いていなかった……。
オリジナル主人公
ヴォルテックス
バイオ編の主人公・叶エイジが万能細胞「ヴォル細胞」の力で変身した姿。暴走した他のヴォル細胞の持ち主たちを追う中で仮面ライダーを始めとする多くのヒーローと出会い、共に悪と闘う決意を固める。
腕から伸ばす刃「ヴォルブレイド」、胸から放つビーム「ヴォルカノン・ハウリング」など、言い逃れできないレベルでどっかのヒーロー漫画を彷彿とさせるデザインと技が特徴。最初からマップ攻撃も使える。
ヴェルヴェット
エイジの彼女・日向ランがヴォル細胞の力で変身した姿。黒魔術が趣味という危なっかしい奴。
必殺技は魔法陣を展開して広範囲を攻撃する「ヴェルヴェット・サークル」。
あるシナリオでの問題発言(参照)が原因で、すこぶる評判が悪い。
ルシファード
メタル編の主人公・迫水タクマが未知の生体金属「融機鋼」の力で変身した姿。元は戦闘船団ナガーの大幹部だったが、宇宙刑事ギャバンとの交戦で洗脳が解け、贖罪とナガー打倒を誓う。
超振動ブレードとツインリニアガン、脳波コントロール可能な「メーサービット」を武器に使い、必殺技は敵を超重力で押し潰す「グラビティ・ファントム」。
参戦作品
ウルトラシリーズ
ウルトラ戦士はカラータイマーの設定に則り、3ターンしか戦えない。
セブンの場合は7ターンと長めに戦える。なお、全員離脱イベントがある(ただし、バイオ系だとセブン、メタル系だとジャックは離脱しない)。
なお、この世界ではウルトラ兄弟の概念が存在する。
初代マンは勿論、科特隊メンバーは全員参戦。メカニックはジェットビートル、宇宙ビートル、科学特捜隊専用車、特殊潜航艇S16が使用可能で、ゾフィーも登場している(セブン上司の代役も兼ねている)。
岩本博士も登場。
初代マンの使用技にはウルトラアタック光線、ウルトラ水流だけでなく、ウルトラ霞斬りまである。
なお、初代マンがベムラーにスペシウム光線を使用したかでベル・ヘレンとライダーマンのどれを仲間にするかが変わる。
科特隊は地球防衛軍の外部支援組織という扱いになっている。
セブンは勿論、ウルトラ警備隊メンバーは全員参戦。アンヌ隊員はフジ隊員と同じノリで巨大化。
メカニックはウルトラホーク1号〜3号(1号は三機分割可能)、ステーションホーク、ポインターが使用可能。
友里源三郎博士(アンヌの祖父)や土田博士/ドロシー・アンダーソン博士(第14話/第15話ゲスト)、湯島博士(第5話ゲスト)、前野博士(第26話ゲスト)なども登場する他、カプセル怪獣も使役可能。
地球防衛軍の設定はセブンの設定に則っている。なお、ウルトラ戦士の中ではセブンは最も加入時期が遅い(逆にウルトラ警備隊はかなり早い)。
ジャックは勿論(ウルトラブレスレット装備状態も使える)。MATメンバーは前期メンバーのみが登場。
メカニックはマットアロー1号、マットアロー2号、マットジャイロ、スペースアロー、マットビハイクルが使用可能。
ジャックは自分の意思では変身できない設定で、原作の後半ではそのデメリットは無くなっているが、こちらはずっとそのデメリットが残り続ける。
坂田兄妹も登場。
仮面ライダーシリーズ
仮面ライダー扱いされているユニット同士でダブルライダーキックを放つ事が可能。
1号と2号が登場(旧から新まで登場)し、第1話の追体験が本作のepisode1となる。サイクロン号も初代から新まで3世代分登場。
勿論、滝和也や立花藤兵衛(ジローたちからも「おやっさん」と呼ばれている)、アンチショッカー同盟の面々も登場し、アミーゴが拠点となっているが、ムラマツキャップとの接点はないに等しい…残念。
大田黒博士(毒トカゲ男は出ない)や白川博士(ヤモゲラスは出ない)も登場。
本作では本郷が一文字を救出したという流れになっている。
V3とライダーマンが登場するが、V3のシナリオが始まると同時に風見の家族がナレ死してしまう。
ハリケーン号やライダーマンマシーンにも乗れる。
BLACKとバトルホッパーが参戦。BLACKのまま縛りプレイをする事も出来る。
ロードセクターは犠牲になったのだ…。
参戦作品の中では最も新しい作品。
ルート分岐でBLACKから進化するのだが、ヘリコプターパイロットになる選択肢を回避しなければならないという原作的には支離滅裂な条件が課せられている。
アクロバッターもロボイザーとマックジャバーに変形可能だが、ライドロンは出ない。
なぜかリボルクラッシュの掛け声が「リボルケイン!」ではなく、「リボルクラッシュ!」となっている。
メタルヒーローシリーズ
シャリバンとシャイダーはガニコウモルを1号と2号のうち、誰が倒したかどうかでどちらの専用シナリオをプレイできるかが決まる。
ギャバンとドルギランが参戦する(ドルはムービーにしか登場しない…)。
サイバリアンは犠牲になったのだ…。
ミミーやマリーン、コム長官、ボイサーも登場する。
シャリバンとベル・ヘレンが参戦。
メカはモトシャリアンとグランドバースが使用可能。
リリーやベル・ビリーも登場。
シャイダーとアニーが参戦。アニーはフジ隊員と同じノリで巨大化。
ブルホークやバビロスも使用でき、後者はシューティングフォーメーションでビッグマグナム!する事も可能。
スーパーロボット
ジャイアントロボと草間大作少年が参戦し、田所博士、ユニコーン機関日本支部の通信員も登場。
この二人の距離を離しすぎるとロボが操作不能になってしまうので注意。
さも当然のように参戦しているが、特撮版の提供はバンダイのライバル企業であるトミーである。
尤も、スパロボでもトミー提供のロボットがちょくちょく参戦しているのだが。
掛け声は「マッシ」ではなく、「まっ」表記。物語開始時点で既にユニコーン機関に加わっている設定。
紅健とレッドバロン、松原真理が参戦。
健とレッドバロンは1セット扱いなので、行動不能状態にはならない。
SSIの面々や矢沢博士、三神博士も登場。
南三郎とワンセブンが参戦。ワンエイトや佐原博士、レッドマフラー隊の面々も登場。
ジャイアントロボ同様の弱点を持っているのが難点。
東映スーパーヒーロー
キカイダーとサイドマシーンが参戦。
この他にも光明寺博士や光明寺姉弟、ハンペン(中の人ネタでダブルマンが偽物に変身する場面も)、横江川助教授(第23話ゲスト)、荒木博士(第27話ゲスト)が登場。
01とダブルマシーンの他、ビジンダー、ワルダーも参戦。
キカイダートリプルサークラインも使用できる。
仁王像の封印から解けたという設定は原作通りだが、ダークとシャドウが並行して暗躍している設定なので、彼が戦うハカイダーもオリジナルの個体である(この世界だと悪者が一斉に活動しているので、仁王像の封印が解けても矛盾はない)。
全形態およびライジンゴーが参戦。
逆転チェストのチートっぷりは健在で、シナリオではジャックが苦労して止めたシーゴラスとシーモンスが齎す天災を防いでいる。それだけでなく、分身を使った回避もできる。
少年同盟も存在し、キャプテン・サラーも登場するが、原作通りに途中から出番はなくなる。
バラバンバラから研究所を守り抜くとこちらに強化される。
劇中では強化前と区別して「イナズマンF」と呼ばれている。
原作での相棒である新井誠も参戦。
スーパー戦隊では唯一の参戦。シナリオ開始前から活動していたという扱いなので、イーグル壊滅イベントを追体験する事はできない。
ゴレンジャーなのに「5人揃って!ゴレンジャー!!」できる機会は少なく、個々人の戦闘力は…。
キレンジャーの交代は無いが、アミーゴのカレーを奢るとルート分岐するギミックはある。
バリブルーン、バリタンク、バリドリーンはしっかり参戦しているのでご安心を。
作中でもイーグル所属という設定で、江戸川総司令も存在する。
登場敵キャラクター
有名どころが揃っている作品もあれば、何故それを選んだ、何故このタイミングで出てくるんだというキャラクターがいたり、そもそも参戦数が少ない、特定のシーズンで登場したキャラクターに偏っているなどの格差が見られる。
ライダー怪人
黒十字軍
一般怪人枠は有名どころがそれなりにいるものの、幹部枠は日輪仮面はともかくとして、終盤の要であるゴールデン仮面大将軍が参戦していない。
なお、1番手は機関車仮面だが、この時点でのゴレンジャーの必殺技は「ゴレンジャーストーム」である(原作だとゴレンジャーハリケーンに切り替わった後の必殺技である)。
宇宙犯罪組織
宇宙犯罪組織マクー
原作通り、魔空空間を発生させてくる。
ダーク
参戦キャラは少なめ。バイオレットサザエに至っては戦闘シーンがない(変身できるという原作設定は残っているにもかかわらずである)。
作中では鉄面党やシャドウと組んで、ある巨大ロボの開発を目論んでいるようだが…?
ブレイン党
- ハスラー教授(ストーリーパートのみ)
- キャプテンゴメス(同上)
- チーフキッド(同上)
- ローラーロボット
- ハリケーンロボット
- 戦艦ロボット
- ワンエイト
- ハーケンキラー
- ブレイン
戦闘船団国家ナガー
本作オリジナルの敵キャラ。構成員はオリジナルキャラの身内が殆どである。
身内殺しをするのはある意味で特撮ヒーローらしいか。
ナガーとは元々は謎の惑星ナンバーテンを調査するべく、宇宙調査防衛機構「SIDO」が派遣した最新鋭宇宙要塞艦の事を指す。
- 鋼帝ゼファス
ナガーのボス。正体はタクマの父である迫水キイチ。
部下の邪学者アプファロンは彼の息子である迫水リョウマ、闘姫アテファリナは娘の迫水リョウコが正体である(いずれもタクマの兄と姉)。また、サキはアテファリナが製造した存在であり、名前もキイチの妻から取られた。
- ヴォルフィード
ヴォル細胞を移植されてランの兄である日向サトルが変化した姿。
- ヴァルキュリア、ヴォルハザード
前者は簑島カオリ、後者は藤堂タツヤがヴォル細胞を植え付けられた姿。
いずれもランやサトルの友人だった人々である。
- ギガント、ギガント2
ナガーが保有する戦闘員。
- ケルバーン、ケルバーン2
ナガーが保有する戦闘機。
- ゼファス・コア
本作の黒幕。ゼファスに寄生していた存在であり、星から星へと渡り歩き、惑星と融合しては生き永らえてきた。
富士山地下でヴォル細胞を培養、地球との融合を目論んだ。
だが…
こうして見ると、本作は年配の特撮ファンにとっては夢の作品のように思える。
しかし、残念なことに本作は「バンプレストのキャラゲーの中でも、『ガイアセイバー』に並ぶワースト級のクソゲー」という汚名がかけられている。
驚異的な難易度、呆れ果てんばかりのバグの量、原作準拠とはいえ爽快感皆無の巨大ユニット戦、楯にしかならない自衛隊ユニット、意味不明な選択肢、鬱陶しいだけの弾数制限システム、よく言えば味のある・悪く言えばテキトーなシナリオ、凝縮しすぎな展開などなど、挙げればキリがない大量の欠点が本作には見受けられる。「クリアしただけで褒められる」とまで言われる始末だ。
勿論、このゲームは「何もかもクソ」というわけではない。オリジナル主人公は(約一名除いて)なかなか評価が高く、戦闘アニメは同時期の『スーパーロボット大戦α』と比較してもよく動くし、ミュータンロボットやダークロボットは倒されると破片が散乱する、ショッカー戦闘員は溶けるという芸コマな面があったり、IQ600の本郷がジローを直したりと原作の設定を上手いこと活用しているシーンもあったりする。
BGMに至っては、本家スパロボ以上のカッコよさと称する人もいるほどだ(選曲も『アニーにおまかせ』などマニアックなものがある)。
ただただ、短所があまりに多すぎるが故に、長所がかすんで見えるだけなのである。
近年では東映が仮面ライダーやスーパー戦隊、はたまた昭和のヒーローたちまで大集結するようなお祭り映画を毎年のように公開している。そんなご時世だからこそ、本作のような会社の枠を超えたヒーローたちの共演があったことを忘れないでほしい。
余談
コンパチヒーローシリーズではSD化されたヒーローがクロスオーバーすることは珍しくないものの、スーパーロボット大戦のように原作をベースにしたクロスオーバー特撮ゲーは現状でこの作品のみである。
皮肉な事に現在も続くスーパーロボット大戦には三シリーズも特撮作品が参戦するのであった。
続編が作られていない理由としてはゲームの評価以前にスーパーロボット大戦シリーズでの特撮キャラクターが全て変身後の姿で登場している点、『ロストヒーローズ2』では顔出しの幹部であるマリバロンが登場せず、原作では顔出しだったブラック指令も水晶玉の光で顔を隠されている事から察するに、肖像権の問題があるからだと思われる。
変身前を出す必要のないゲームコンセプトの『コンパチヒーローシリーズ』や登場キャラが基本的にゲーム・アニメキャラであるスパロボならいざ知れず、過去の映像作品それも実写作品をベースにする以上は避けて通れない問題なのである(それも防衛隊などの協力者を出したいというのなら尚更である)。
特に特撮作品の中にはその手の観点から配信が長年見送られたと思しき作品があり、該当作は変身前が登場しない『ロストヒーローズ2』で登場しており、今後も変身前込みで続編を作るとなると、参戦が難しい作品も当然出てくる事であろう(肖像権を抜きにしても、設定が現在の表現にそぐわない作品も一定数ある)。
他にもデモパートに原作の映像を使っている点や、基になったスパロボが今ではロボット・メカ・パワードスーツに関連する作品であれば、アニメ・ゲーム・特撮と幅広いジャンルが参戦でき、幅広い層を取り込めるという懐の深い作品になってしまったからなどの様々な要因が考えられる。
表記ゆれ
関連項目
スーパーヒーロー作戦 スーパーヒーロー大戦 コンパチヒーローシリーズ スーパーロボット大戦
スーパーヒーロージェネレーション:同じくシミュレーションRPGだが、コンパチヒーローシリーズの1作に数えられ、キャラクターの顔出しはない。