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ポケモンユナイト

ぽけもんゆないと

株式会社ポケモンとTiMi Studiosが共同開発するチーム戦略バトルゲーム。 正式名称は『Pokémon UNITE』。
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概要編集

株式会社ポケモンとテンセントの開発部門にあたるTiMi Studiosが共同開発する、ポケモンシリーズ初のチーム戦略バトルゲーム。

Nintendo Switch版は2021年7月21日スマホ版は同年9月22日に配信された。

PCゲーム『LeagueofLegends(以下LoL)』に代表されるMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)といわれるジャンルのゲームであり基礎的な部分や概念はLoLと共通点が多い。


MOBAの代表格であるLoLなどこのジャンルの典型例と比べると全体的に簡略化されカジュアルなテイストを呈している。


基本ルール編集

ルール自体はいたってシンプルである。

参加者は5人1組の2チーム同士に分かれ、フィールド内の野生ポケモン等を倒して「エナジー」を集め、敵陣の「ゴール」へに「シュート」することで「ポイント」を溜める。試合終了時に合計ポイントが多かったチームの勝利である。

1試合制限時間は10分であり、延長はない。どちらかのチームが「降参」を選ぶとその時点で試合が終了する。また、合計ポイントが同じであった場合、先にそのポイントまで到達したチームが勝ちとなる。


フィールドは自陣・敵陣に分かれており、外周に沿って「レーン」が設置されていて、レーン内部では味方の移動速度は早くなり、敵は遅くなる。

レーンの各所にゴールが設置されており、シュートすると「耐久値」が減少する。耐久値が0になるとゴールは「破壊」しレーンも消失する。

ただし、両陣地の最奥部にあるゴールだけはいくらポイントを入れても破壊できない。


レーンとレーンの間は「中央エリア」と呼ばれ、野生ポケモンが多く出現する地帯が広がっている。


本作のゲームの流れを規定する大きな存在が、一定時間ごとにフィールド内に出現する「ロトム」「カジリガメ」「サンダー」(マップにより変化あり)である。

これらのポケモンに攻撃を与えて倒すことで自分のチームが非常に有利な状況を得ることができるため、彼らの奪い合いが中盤以降の中心的な流れになっていく。

もし、集団戦で歩調を合わせようとしないチームメイトとマッチングしてしまうと取り合いに負けて試合展開が傾きやすいため、如何に参加者がゲームを理解し、即席で団結(=ユナイト)できるかが鍵となっている。

特に、終盤で登場するサンダーは数百点差のゲームをひっくり返してしまうほど大雑把に効果が強力であり、取り合いに負けると挽回は難しくなる(不可能ではないが)。


テキストチャット機能は存在せず、定型文のクイックチャットのみでコミュニケーションを取る。

敵を倒してゴールドがドロップしたり、集めた資金で戦闘中に装備などを購入するといったロールプレイングゲーム的なシステムも存在しない。


マッチング編集

「ランクマッチ」「スタンダードバトル」「クイックバトル(クイックマッチ)」の3種類がある。


「ランクマッチ」は他のゲームと似たような階級形式で、戦闘実績に応じてランクを付与される。ランクは「ビギナー」「スーパー」「ハイパー」「エリート」「エキスパート」「マスター」の順に昇進していく。

マスターランクになるとレートが勝敗に応じて付与されるようになる。


「スタンダードバトル」はランクマッチと同ルールで対戦するが、階級が存在しない。

「クイックバトル」は制限時間が5分で、1日ごとにマップが変化する。やはり階級は存在しない。

両者合わせて「ランダムマッチ」と呼ばれることもある。


変則ルール編集

クイックバトルは以下の3マップを基本としている。


  • マールスタジアム
    • 基本ルールを縮小したようなマップ。1チームが4人になる、ゴールが1列少ない、カジリガメが出現しないといった違いがある。
  • ゼフィオパーク
    • 随所にムービングウォークのある正方形に近いマップを、1チーム3人で戦う。
    • このマップには自陣・敵陣の概念がほぼ無く、むしろ陣取り合戦の性質を帯びている。2つあるゴールはどちらにもシュート出来、いずれも破壊できないためである。同一チームが連続でシュートするとポイントが2倍になるという特殊設定も、それを助長する。
    • 注目すべき野生ポケモンに「ケーシィ」がいる。出現位置がランダム・獲得エナジーが非常に多い・一定時間以内に倒せないと「テレポート」で逃走するという、いわゆるレアモンスター枠で、ゴールと共にこちらの確保も重要課題となる。
  • ジーヴルシティ
    • ゴールが各チーム1つずつしかない細長いマップを、1チーム4人で戦う。
    • 1つきりなので、当然ゴール破壊は起きない。自陣・敵陣の概念はあるものの、陣地内は敵が侵入出来ない(一部の技は貫通してくる)代わりに野生ポケモンの出現等も無いため、必然的に中央部での乱闘が試合の基本となる。陣地の出入口にゴールが置かれている構造上、いわゆるリスポーンキルも起こりやすい。
    • 野生ポケモンは「マルマイン」「クレベース」などが登場する。マルマインは一定時間以内に倒せないと「だいばくはつ」し、クレベースは倒すと最後に攻撃を当てた側のチーム全員が氷のオーラで強化され、ゴールも凍り付いて暫くシュートを受付けなくなる。

また、期間限定で更なる特殊ルールが追加されることがある。


  • ハロウィンナイト
    • マールスタジアムを基本に、アイテムが「カボチャなげ」に固定される。これに当たると「カボチャ」へ変身してしまい、移動とタックルしか出来なくなってしまう。また、持っていたエナジーを全て落としてしまう。
  • 激戦!ゆきがっせん!
    • ジーヴルシティを基本に、倒されてもリスポーンせず、その場で「ゆきだるま」になって待機するようになる。また、持っていたエナジーを全て落としてしまう。待機中に形を変えることができるが、特に意味は無い。
    • 出現ポケモンも「デリバード」や「フリーザー」に変化する。デリバードを倒すとプレゼントを落とし、中にはこのルール限定アイテムがランダムで入っている。通常アイテム持込みは出来ない。
  • フルスロットルバトル
    • マールスタジアムを基本に、技発動やリスポーンに掛かる時間が大幅短縮される。行動不能を伴うような技もほぼ連射出来るようになるため、何でもありな「バカゲー」に近いイベントといえる。
  • キャッチアンドバトル
    • マールスタジアムを基本に、フリーザーやレジギガスなどが他マップから出張して来る。倒すと最後に攻撃を当てたポケモンの使い手が、交代で一時的に操作出来るようになる。交代中にシュートやアイテムの使用はできない。
    • このイベントは2022年5月30日 - 2022年6月27日とされていたが、その後もクイックバトルへ組込まれて4日に1度の周期で開催され続けている。
  • エブリバディピカピカフェス
    • マールスタジアムを基本に、マップ内のポケモンが全てピカチュウとなる。通常サンダーが出現する場所にはキョダイマックスピカチュウが現れる。
    • 野生のピカチュウには「なみのりピカチュウ」を始めとして通常とは異なる挙動をするものがおり、プレイヤー側のピカチュウも通常とはステータスが変化しているという「手の込んだ手抜き」なイベント。
  • エブリバディブイブイフェス
    • ジーヴルシティを基本に、いわゆる「ブイズ」のみを選出可能。また同一種族の重複選出が解禁される。通常クレベースが出現する場所にはキョダイマックスイーブイが現れる。
    • 野生ポケモンの価値が極端に下がっており、エナジーは基本的に一定時間ごとに提示される「ミッション」をクリアすることで稼ぐ。「ミッション」の中には指定のポケモンを倒すというものもあるため、無計画に野生ポケモンを倒していると寧ろ不利とすらなる。
    • 相手チームのポケモンを倒すと「アピール」が可能。多くのゲームでタブーとされる「撃墜アピール」であるが、このルールでは寧ろ撃墜後にしか出来ない。しかも、暫く無防備となる代わりにエナジーが出現し、アピール回数に応じてゴール速度も変化するため、出来るだけ多く行うことが推奨される。

戦闘システム編集

試合開始時、ポケモンは全てLx.1で、基本的に未進化状態である。ただし、ベイビィポケモンは登場せず、ピカチュウはライチュウにもならない。

時間経過や戦闘での勝利で経験値が溜まり、一定量溜まるとレベルが上がる。レベルが上がるとステータスが上昇し、一定レベルごとに新たなわざやユナイトわざを習得したり、ポケモンによっては進化する点は本編と同様である。

進化キャンセル」や「進化の石」といった概念は実装されておらず、最高レベルが15とされている関係で、レベル進化ポケモンも本編とは全く異なるタイミングでの進化となる。一部の例外を除いて分岐進化も行わないため、最終的にはほぼ必ず選択したポケモンへ進化する。



ポケモンは「通常攻撃」「」「ユナイト技」の3つの戦闘アクションを行うことができる。


「通常攻撃」は無条件で使用可能であり、複数回続けて出すと「強化攻撃」に変化する。一般的に3回目で強化されるが、異なる条件のポケモンもいる。


「技」は概ね本編と同じ意味であるが、覚えられるのは各ポケモン2つまでとなっている。一定レベルまで上がるとそれぞれ2種類の選択肢から片方を選んで変化させることとなる。

「技」には近接/遠隔、単体/範囲、物理/特殊などの設定があり、「発動時に移動する(ムーブ)」「当てた相手を押し戻す(ノックバック)」といった追加効果を有するものもある。

「技」の設定は使用ポケモンに依存しており、本編のように「わざ」ごとに統一の基準があるわけではない。例えばブイズイーブイ時代に全員「スピードスター」を使用しているが、将来の進化先ごとに全て異なる星の飛ばし方をする。

「技」は一度使用すると一定の待ち時間が経過するまで再使用できないクールタイム制である。本編のPPは存在しない。


「ユナイト技」はポケモンのレベルがある程度上昇すると解禁される必殺技である。

「ユナイト技」はチャージ制で、1度使用すると長い待ち時間が存在するが、敵を倒すなどして溜まる速度を早めることが可能。


追加効果によっては、「どく」「まひ」「ねむり」「こおり」「やけど」などの状態異常を付与することが出来る。


本作には「タイプ相性」の概念は存在しない。地面でも普通に電気技が通る(ドラゴン技もフェアリーに通るし、毒技も鋼相手に通る)。


一般的なアクションゲームに良く見られる「ガード」「回避」「ジャンプ」などの生存コマンドは存在しない。これらに類する行動は「技」の追加効果としてある場合にのみ行うことが可能。



ポケモンには「バトルアイテム」と「持ちもの」を持たせることが出来る。


「バトルアイテム」は本編で言う「どうぐ」であり、「キズぐすり」「プラスパワー」「だっしゅつボタン」などがある。任意のタイミングで使用することが出来、1度使うと長めの待ち時間を経てから再使用可能になる。


「持ち物」は本編と同じ意味であるが、同時に3種類まで持つことが出来る。「エオスビスケット」などオリジナルの持ち物も登場する他、「こだわりメガネ」で技が固定されない、「かいがらのすず」に待ち時間軽減効果が付くといった変化が起きているものもある。


「もちもの」は強化アイテムを用いて強化することができ、MOBAにもかかわらずプレイングスキル以外のやりこみが戦闘バランスに影響するという点が特徴的である。

強化アイテムの入手は当初かなり「渋い」設定であったが、悪評を受けてミッションクリアで配布するなどの対応措置が取られたので、メインとするアイテムを絞り込めば比較的早期に最大強化が可能となり、極端なバランス崩壊は生じにくくなった。


登場するポケモン編集

本家MOBA同様、プレイアブルキャラクターは必ず何か1つ固有の「ロール」を割り与えられている。

種類はアタック・ディフェンス・スピード。サポート・バランスの5種類である。

分類は概ね「戦闘時の役割」に基づいており、図鑑設定やいわゆる「種族値」との関連性は薄い。特にスピード型が顕著で、あくまで「敵を倒すのが早い」程度の意味合いである。


前述の通り、本編での「タイプ」はステータスとして存在しない。


  • プレイアブルポケモン

太字はユナイトでの個別記事があるポケモン。

  • 野生ポケモン


太字は「キャッチアンドバトル」で操作可能なポケモン。


キャラメイク編集

プレイヤーのアバターとなる「トレーナー」は、近年の本編同様、プリセット素材組合わせによるカスタマイズが可能。性別のみは後天的な変更を受け付けない点も同様である。

名前に関しては他シリーズより登録基準が厳しく、公序良俗に反するものだけでなく他プレイヤーとの重複も禁止されている。変更の際も事実上の課金に加えて、リアル時間で3日以上の間隔を空けることが求められる。


衣装類はミッションクリア等で配布される「エオスチケット」を用いて「購入」するほか、それ自体が賞品となるミッションや、ランクマッチのランカー報酬、いわゆる「ガチャ」でのランダム排出など、入手方法は多岐にわたる。

本編と比べると、ポケモンをモチーフにした衣装(『USUM』のラランテスジャラランガファッションの系統)が豊富で、トップスボトムスが一体化しているなどの特殊仕様も多数見られる。特に頭部アクセサリーはヘアアレンジ込みのものが非常に多く、着用時に自動的に髪型髪色も変化する(その分基本のヘアアレンジの選択肢は少なめである)。入手方法の兼ね合いで、期間限定の品も多い。

パンツ/スカートや短髪/長髪といった差異は生じるものの、基本的に性別限定のアイテムは存在せず男女同数の選択肢が用意されている。学校の制服をモチーフとしながら女性にもパンツ型のみが渡された「チェックパンツ(グレー)」や、実物がスカート型しか存在しない「キルトセット:ボトムス」など、異性装に使えなくもないアイテムも少数ながら存在する。


カスタマイズ結果は試合の前後に他のプレイヤーに見せる機会があるほか、戦闘中もホログラムとして時々ポップアップするので気を遣っておきたい。



また、本作ではポケモンに関してもホロウェアという形で着飾ることができるようになっている(『ORAS』の「おきがえピカチュウ」といった前例はあるが限定的)。

こちらに関しては項を分けて解説する。

ユナイトトレーナーアローラキュウコン


トレーナ・ポケモン共に着用の有無による能力の変化はない。


本作への評価を巡るあれこれ編集

ローンチ前のアナウンストレイラーはポケモン公式動画の中で最も低評価が低い動画となるなど前評判が圧倒的に悪かった。


ローンチ直後のメタスコアは69/100という評価となっている(参考)。

高評価理由としては無料且つカジュアルで簡便に参入出来る点が言及され、

低評価理由としては先述の強化アイテムに関するP2W要素への批判がかなりを占めた。

これは課金者なら無制限に入手することが出来たためで、現在は直接入手が出来なくなっている。


2021年9月16日に、本作Switch版は900万ダウンロードを突破した。

同10月4日、本作がゲームコンソール、スマートデバイス全て合わせて2500万ダウンロードを突破した。



LoLで面倒くさい1試合当たりの試合時間の長さやミニオン管理などの複雑な部分を排してカジュアル化しシンプルに楽しくするという目標自体は十分に達成している。

しかし簡略化されたとはいえMOBAとしてはしっかりとMOBAなので、特に降格があるランクマッチでは環境把握とチーム内戦力の考慮をする必要があり、現実的にピックできるポケモンには限りがある。好きなポケモンで気軽に遊ぶゲームではないのである。

MOBAは結局のところジャンル自体がカジュアルではないのであり、自分1人が勝利に貢献出来る度合いが低い一方で迷惑なプレイングの味方が敗北を招く度合いが高い。そこを世界的なキャラブランドの力で半ば無理矢理にカジュアル化してしまったことが、逆にネックになっているともいえる。


本作はLoLの不満点を吸収することは部分的にかなり成功した一方で、MOBAガチ勢からゲーム自体のライトユーザーまで様々なプレイヤー層を抱えてしまっている。

マッチング精度は低めであるといわれており、実力に差がある者同士が闇鍋的に組まれてしまいがちで棲み分けが徹底されていない。そもそもランクマッチ階級判定に疑義が上がる程である。結果、初心者が一方的に上級者に倒されたり、初心者利敵行為によって上級者が足を引っ張られるなどの問題が多発しており、双方がストレスを抱きやすい環境となってしまっている。

また、テキストチャットが存在しない仕様上、MOBAにお決まりの煽り行為や暴言に類する問題は比較的起きにくいが、その反面ピック時の相談やレーン宣言、戦闘中の具体的な指示などの意思疎通が事実上不可能で、問題があるピックを防止することができないのも難点である。


放置や切断などのゲーム一般の迷惑行為も決して少なくはなく、通報やペナルティはあるものの、手間の割に認定率は低く(通報自体を迷惑行為に利用されることを警戒しているのだろうが)泣き寝入りに終わりがちである。



なお、各種コミュニティを見る限り、少なくともガチ勢に関しては他MOBAからの流入が多数を占めており、ポケモンシリーズとしては独立性が高い環境となっている。顕著な例として、ウルトラビーストであるマッシブーンの参戦時に「これは本当にポケモンなのか?」という議論が6年遅れで繰り広げられるといった一幕まで見られた。

ルール別では強弱がハッキリと示されるランクマッチの人気が圧倒的で、他のルールに関しては「嫌い」「やりたくない」とまで言い切るプレイヤーもいる程。イベント事はランダムマッチ準拠で開催される傾向にあるため、そうした点でもガチ勢とライトユーザー、あるいはガチ勢と運営の溝が深いゲームになっている。


関連タグ編集

任天堂 ポケモン 株式会社ポケモン テンセント

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