本記事では主に広義の意味での勇者を解説する。
「各作品特有ならではの勇者」については特殊な勇者、または個別記事を参照。
「キャラクター名としての勇者」は勇者一覧の節を参照。
- 勇者であるシリーズに登場する戦士の総称→勇者(勇者であるシリーズ)
- サンライズ製作のロボットアニメに登場する主役側のロボット→勇者シリーズ
概要
- 勇敢なる者、勇ましい者に捧げられる称号
- 1から転じて、「勇者」と呼ばれているファンタジーの登場人物のこと。
本記事で説明する。
称号としての「勇者」
多くの者が恐れる困難に立ち向かい偉業を達した者。英雄と似た意味で使われる。
「勇気」や「勇敢」という精神面での称賛と「勇ましさ」という単純な力のみを称賛した場合がある。
例
オフレッサー - 「石器時代の勇者」(力のみを称賛した蔑称)
ランディ - 二つ名で「聖剣の勇者」と呼ばれている(二字熟語萌えに近い)
ロック・コール - ある攻略本で勇者と言われていたが、ドラクエ主人公と同様金品を奪うのが特技で、それを「泥棒じゃなくてトレジャーハンターだ」と言い訳しているからだろうか。
ドレッドノートガンダム - 「祖国を護る勇者であれ」という意図で名付けられたが、その仕様を知る者からは「こんな機体に乗る奴は恐れ知らずの勇者に違いない」と揶揄されている。
ファンタジーの登場人物としての「勇者」
その武勇や偉業に対して勇者と呼ばれている登場人物。もしくは、「これから偉業を果たしてくれるであろう」といった期待から「勇者」と呼ばれることもある。最初から勇者と呼ばれている、あるいは勇者という職業を得ているキャラクターはだいたいが後者。
こうしたサブカルチャー上での「勇者」という言葉の扱いはドラゴンクエストシリーズの
初代勇者ロトや、その末裔たちによって定着した部分が大きい。
ドラクエシリーズが爆発的なヒットを飛ばしたことから、
「日本製RPGにおける勇者は(自覚がなくとも)かつての大英雄の血を引く人間である事が多い」
と言われる場合もあるが、この点に関しては実情とイメージにズレがあったりもする。
というのは、たしかにドラクエⅠ~Ⅲで登場する「勇者」とはロトの血筋(最も先代に当たるのはⅢ勇者の父である勇者オルテガなのだが)の人間なのだが、
4の勇者は天空人と地上人のハーフ、5以降では主人公ではなく息子が勇者、
6~10までは主人公は勇者ではなく、そもそも「勇者」という単語が出てこなくなってきている(あるいはただの職業の1つとして扱われている)など、
当のドラクエシリーズにおいても「主人公=勇者=由緒正しい血を引いている者」ではない事が多い
(例外的に、11のみ3よりも前の時代の話であり、ロトの血筋と関係がある)。
ドラクエシリーズの生みの親である堀井雄二氏も複数のインタビューの中で
「勇者は普通の人よりもほんの少しだけ正義感と勇気がある人」「諦めない人」などと述べており、
英雄の血を引いていたり特別な生まれでなくとも、誰しも勇者になり可能性があることや、
勇者でも間違いを起こす事はある(後述の勇者行為など)という事が示されている。
しかしながら、ドラクエシリーズの中でも特に3が社会現象を引き起こしたことから
ステレオタイプなビデオゲームの勇者のイメージとしては勇者(DQ3)が、
RPGのゲームスタート時の流れはDQ1~DQ3における冒頭イベントが連想される事が多い。
あえてレトロな作風にする場合や、こうしたステレオタイプな勇者が悪役や
プレイヤーとは関係のないNPCとして登場するパロディ作品も数多く存在する。
職業システムがある作品で、その職業の一つとして「勇者」が登場する場合もある。
こちらも能力については上記のロトの勇者に影響を受けている事が多く、以下のような特徴がある場合が多い。
- 他の職業から勇者に転職する事はできない(主人公専用)or転職できるが様々な工程を必要とする。
- 戦士ほど重装備ができるわけではないが、幅広く武器や装備を扱え、中程度までの攻撃・回復・補助魔法や移動・冒険に便利な魔法も覚える。
- 勇者専用の強力な装備がある(伝説の剣や鎧など。ストーリーに関わる場合も多い)
- 勇者しか使えない魔法がある(ドラクエシリーズでは「ライデイン」。基本的に勇者か主人公しか習得しないタイトルが多い)。
ステレオタイプな勇者像
上述した「勇者」のパロディキャラクターでしばしば用いられがちな属性。
これらは一般的な傾向なので、必ずしも当てはまらないことがある。むしろ故意に外すこともある。
- 魔王(もしくは相応の邪悪とされる存在の)討伐が最終目標
- パーティという集まりで行動する。
- 基本は女神か精霊などの神聖な存在から、加護を受けている。
- 基本的に武器は剣である。
- ストーリー後半では聖剣みたいな伝説の剣を手にする。
- 所属メンバーが何人であっても戦闘に参加するのは4人。
- 特にチームメンバーの女性は魔法使いである確率が非常に高い。
- 一国の姫様も加わる事もある。やはり魔法が得意。
- 三人目のメンバーは、高確率で冷静沈着である。
- 中でも勇者専門に勤める者は、なぜか青い。
- 民家に無断で上がる。
- タンスやツボ、タルの中まで探り、入っていた金品を勝手に持っていく。
- 壁にぶつかっても歩く。
- 死ぬと王様から「死んでしまうとは情けない」となじられる。
- 『余の部下にならぬか?』と魔王にスカウトされる。
- 勇者自身は何も喋らない。喋る必要があっても会話相手が「えっ!?〇〇かい!?」などと全文聞き返してくれる。
特殊な勇者
個別記事がある作品は喜寿冒頭の誘導分岐を参照。
ファイアーエムブレムシリーズ
その為、特化した技がより高まって、必殺の一撃が出やすくなった。
当初は剣しか使えなかったが、後に剣専門の上級職、ソードマスターが登場した為、
そして斧戦士からも昇格出来るようになった。
異次元オブリビオンに住まう神様的存在であるデイドラに気に入られたドヴァキンは勇者と認められ、彼らの意志を遂行すべく伝説の武具を授けられる事となる。
……が、このデイドラはどちらかというと魔王や邪神寄りの連中が大半で最低でも2名は過去に世界征服に乗り出した前科あり。なので勇者とは名ばかりの鉄砲玉であり、その多くが「サボったり用済みになったら死んでもらう(意訳」と武具を授ける際に警告してくる。
真っ当に勇者と呼べるのはアンデッド絶対殺すウーマンのメリディアに手を貸した時くらいである(授けられる武具もアンデッド特攻の柄に太陽を宿した聖剣といかにもな代物)。
俗語としての「勇者」
上に述べられている「民家に入って勝手にタンスやツボから金品を持っていく」というような
行為が「勇者的行為」あるいは「勇者行為」などと言われる場合がある。
メタ的には用意されているアイテム=すべてプレイヤー用に配置されているとは言え、
世界観的に考えると村々にある民家にある金品は当然住んでいる人のものであり、
勝手に持っていく勇者は泥棒あるいは強盗という事になってしまう。
村人が勇者の為に物資を分けてくれていると考えられなくもないが、
どう考えても泥棒なシチュエーションで物を持っていったり女性用の下着を持っていくようなケースまであるため、
しばしばパロディ作品等では「勇者=人の家に勝手に入って根こそぎ持っていく奴」としてイジられる。
また、オンラインゲーム等では「勇者」という言葉が異なるニュアンスで使われる場合がある。
- 「勇者」的ビルド
キャラクターのスキル振りやステータス振りの要素があるオンラインゲームで用いられる表現。
バランスよく各ステータスを伸ばしていき、全能力が高くなったキャラクターの事を
オールラウンダー=勇者と呼称する事がある。
ゲームによっては類語として「スーパーサマル」という言葉が使われる事もある。
語源はDQ2のサマルトリアの王子で、元祖ファミコン版DQ2にて、彼の
成長曲線が極端に序盤の伸びが悪いことから器用貧乏なステータスが「サマル」と
呼ばれるようになり、苦しい時期を乗り切って高みに達したサマル=スーパーサマル、となったようである
(ちなみにSFC版では彼が呪いに倒れるイベントで特定の手順を踏むと復帰後能力がカンストしてしまうバグ技があり、死の淵から蘇って強化される様がサイヤ人のような事から「スーパーサマル人」と言われたので、語源はこちらかもしれない)。
なお、巷ではサマル=器用貧乏で弱いキャラクターであるとされてしまう事も多いが、
実際には成長ペースが遅いだけで最終的な到達点はDQ1のロトの勇者のステータスと大体同じなうえ、
リメイク版等ではHP以外のステータスは優秀になっていたりするので
わざわざ「スーパー」とつける必要は本当はなかったりする。
- 「勇者様」なプレイヤー/「勇者」プレイ
オンラインゲームにおける、傍若無人なプレイヤーや向こう見ずなプレイを「自分を勇者だと思いこんでいる」と揶揄する蔑称。
大抵の場合、勇敢なプレイをする人やとんでもない戦法を編み出したり無謀な挑戦をする人と区別する意味と、
皮肉を込めてわざと勇者様と付けられる。
「勇者様」とされるプレイヤーの言動行動としては、
・自分が世界の主人公であり他のプレイヤーはNPC同然に扱う(上から目線で命令する、金品を要求・横取りする、思い通りにならないとキレるetc)。
・ロールの概念があるゲームでは職業・キャラの特性を理解せずに無茶苦茶な行為・要求をする。
・陣形を組んで戦わないといけない場合に1人突出して戦おうとして撃沈する(その上で、死んだのは味方が援護しない、ヒーラーが回復しないせいであると責任転嫁する)。
・花形(見た目に派手なアタッカー)職業しか使わず支援や回復などの役回りは他人に押し付けようとする
などが挙げられる事が多い。
また、初心者や低レベルのプレイヤーに対し、
頼まれたわけでもないのに低~中レベル帯のダンジョンやクエスト進行に参加し、弱い敵を瞬殺して
悦に入っていたり、初心者に自分を尊敬させようとするプレイヤーが勇者様と皮肉られる事もある。
度を越した暴言やチートツールの使用、利用規約違反などが無ければ運営側も
こうした勇者様プレイヤーに対処できる事はないため、迷惑をかけられる側のプレイヤー達の間では
私刑的に該当者の名前や情報を晒してパーティーに入れないようにするなど、自衛が講じられる場合が多い。
晒し行為自体にも賛否があるのに加え、そのようにして誰にも相手されなくなった勇者様がますます屈折した問題児プレイヤーとなって最終的に誰彼構わず暴言を吐く・荒らし行為を行うようになったり、
事情を知らない初心者に親切を装って接近し、自身の抱える対人トラブルに巻き込むという
ケースも少なからずあり、オンラインゲームにおける根の深い問題である。
近年のなろう系作品の異世界もの(特に追放もの)に登場する後述の『悪徳勇者』もこれがモチーフと思われる。
関連イラスト
悪徳勇者
本来、モンスターや悪から民を守り、魔王を倒して世界を救う救世主であるべき勇者がその立場を利用して悪事を働く勇者らしからぬ行いをしているもある。
詳細は個別記事を参照。
関連タグ
勇者シリーズ 勇者パース 女勇者 RPG 勇者(まおゆう) 勇者王
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阪急ブレーブス・オリックス・ブレーブス/結城ブレーブス/アトランタ・ブレーブス - 勇者の英訳を冠した球団
狂戦士(バーサーカー) - 勇者と対義的な職業として扱われる事が多い。
勇者の一覧
キリエ・ミナレット(湯沸かし勇者の復讐譚〜水をお湯にすることしか出来ない勇者だけど、全てを奪ったお前らを殺すにはこいつで十分だ〜)
シフォン・ノクス(勇者パーティーを追放されたビーストテイマー)
フィン・ディムナ(ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)
ルーティ・ラグナソン(真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました)
ドラゴンクエストシリーズの勇者
DQ1 : 勇者(DQ1)
DQ3 : 勇者(DQ3)
DQ4 : 勇者(DQ4)
DQ5 : 勇者(DQ5)
DQ10: アンルシア
DQ11: 主人公(DQ11)(スマブラSPでは「勇者」名義)、ローシュ
『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』の勇者
固有名としての勇者
地球から異世界に呼ばれた勇者
マサユキ・ホンジョウ/本条 正幸(転生したらスライムだった件)
光永正義(勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした)
悪徳勇者
アリオス・オーランド(勇者パーティーを追放されたビーストテイマー)
シサンダン(真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました)
闇堕ち勇者
ラウル・エヴァンス(復讐を希う最強勇者は、闇の力で殲滅無双する)
ニセ勇者
ニセ勇者…柴田亜美が「ドラゴンクエスト4コママンガ劇場」で連載していたシリーズ。
でろりん(ダイの大冒険)…『ダイの大冒険』に登場するニセ勇者一行のニセ勇者。後に改心して大魔王による世界滅亡を阻止するのに貢献した。