MARVEL
まーべる
アメリカ合衆国でアメリカン・コミック(アメコミ)を出版する企業。DCコミックと並びアメコミ界の2台巨頭の1つ。現在はディズニー傘下。
2000年代からは自社のスーパーヒーローを実写映画化した数々の作品が成功を収めており、特に『アイアンマン』から始まる「マーベル・シネマティック・ユニバース」は世界規模の一大フランチャイズと化している。
持ち株会社である「マーベル・エンターテイメント」を頂点として、コミック事業を手掛ける「マーベル・コミック」、アニメ事業の「マーベル・アニメーション」、テレビ作品の「マーベル・TV・スタジオ」など、事業ごとに多数の企業に分かれた巨大グループを形成している。
自社の作品間でのクロスオーバーが大変盛んであり、シリーズ単体よりもクロスオーバーで魅せる作品が多く、世代や世界観の枠を超えた壮大なストーリーを展開する。
一方、ヒーローたちの世代交代や復活など、キャラクターの浮き沈みもとても激しく、いわゆる“大人の事情”で波乱万丈な人生を歩まされるヒーローが絶えない。中には丸々“なかったこと”にされた設定や作品も多く、担当漫画家によっては収拾不可能な“カオス地獄”に陥ることもあった。
しかし裏を返せば、それは「個性的なヒーローが多い」ことを意味するところでもあり、“硬派な肉体派ヒーロー”の多いDCコミックとは対照的に、“超能力や超科学によるファンタスティックな技巧派”の多さこそMARVELの特色といえる。
創立80年で産み出したヒーローの数は現在8000体に上る。
アメコミの常で、同じキャラクターでも作品(担当クリエイター)が違うと設定が違ったり、時にはキャラクターが全員動物になっていたり、キャラクターがゾンビになっていたりする。
こうした設定の矛盾を解決する意図もあり、正史とは異なる設定のコミック・アニメ・ゲーム・実写作品はすべて並行世界(マルチバース)であるという設定が導入されている。(こうした世界設定は、アメコミにおける先駆者であったDCコミックを参考にしたらしい)
数多ある並行世界のうち、主要なコミックで描かれる世界「マーベル・ユニバース」は「アース616」とナンバリングされ、他の並行世界も同様にナンバリングされている。
詳しくはマルチバース(MARVEL)を参照。
※それぞれ五十音順。ストーリーや作品媒体によって敵味方が激しく入れ替わるので、分類はあくまで参考である
ヒーロー側
ア | アイアンハート / アイアン・フィスト / アイアンマン / アダム・ウォーロック / アントマン |
---|---|
イウ | イカリス / インビジブル・ウーマン / ヴィジョン / ウェアウルフ・バイ・ナイト / ウルヴァリン |
エ | エージェント・ヴェノム / エイジャック /X-23 / エゼキエル・シムズ /エマ・フロスト / エレクトラ |
カキ | ガモーラ / ガンビット / キックアス※1 / キャプテン・アメリカ / キャプテン・マーベル / ギルガメッシュ / キンゴ |
クケコ | クイックシルバー / クエーサー / グルート / ケーブル / ケイザー / ゴーストライダー / コロッサス |
サ | サイクロップス / サイロック / ザ・シング / サンファイア |
シ | シーハルク / ジーン・グレイ / ジェシカ・ジョーンズ / シャン・チー / ジュビリー / シルバーサーファー / シルク |
ス | スカーレットウィッチ / スクイレル・ガール / スター・ロード / ストーム / スパイダーウーマン / スパイダーグウェン / スパイダーマン |
セソ | ゼウス / セナ / セルシ / セントリー / ソーズマン |
テト | デアデビル / デッドプール / ドクター・ストレンジ / ドミノ / ドラックス・ザ・デストロイヤー / ドルイグ |
ナニヌネノ | ナイトクローラー / ニック・フューリー / ネイモア・ザ・サブマリナー / ノヴァ |
ハヒ | ハーキュリーズ / ハイペリオン / バッキー・バーンズ(ウィンター・ソルジャー) /パニッシャー / ハルク / ハワード・ザ・ダック / ヒットガール※1/ ヒューマン・トーチ |
フホ | ファストス / ファルコン / ブラック・ウィドウ / ブラックキャット / ブラックパンサー /ブラックボルト / ブルーマーベル / ブレイド / ホークアイ |
マミム | マイティ・ソー / マダム・ウェブ / マッカリ /マンシング / Mr.ファンタスティック / Ms.マーベル / ムーンナイト |
ルロ | ルーク・ケイジ / ローグ / ローニン / ロケット・ラクーン |
ワ | ワスプ / ワンダーマン |
※1 厳密にはMARVELの子会社『アイコン・コミックス』が出版するコミックのキャラクターだが、便宜上ここに記載する。
ヒーローチーム
長年の連載の間に多数のヒーローたちが存在するため、有名なチームメンバーの組み合わせや創立メンバーはいるものの、時期によってメンバーは脱退したり死亡したり行方不明になったり、追加加入や入れ替わりなどをしたり、あるいは解散後に名前こそ同じだがまったく別のメンバーが新たに結成したり、大人の都合(人気が出なかったのでテコ入れや連載終了など)で振り回されたりと多くの場合チームメンバーは一定していない(これはヴィランのチームも一緒)。
ちなみにチームを維持していくにはチームメイトの装備や移動手段(クインジェットなど)の確保、新装備の開発、本拠地や訓練用施設の維持に、本拠地や市街が襲撃され破壊されるのでその修繕などで多額の資金がかかるため、アングラで活躍するダークヒーローではない正統派なヒーローチームの場合、チーム内に一人は金持ち(アベンジャーズならアイアンマンやアイアンフィスト、ファンタスティックフォーならMr.ファンタスティック、X-MENならプロフェッサーXやエマ・フロストなど)がいないとチーム存続の危機に陥るというパターンも多く見られる。というか金持ちキャラが居ないチームは現実での人気もなぜか振るわないことが多い。
またチームは掛け持ちすることが可能であるため、人気キャラクターはマーベル世界で起きているあちこちの事件に対応している別チームの一員として顔を出していることもある。もちろん体は一つであるため、スパイダーマンのように「今4つチーム掛け持ちしてて忙しい」、ウルヴァリンのようにNYを主に活躍の場にするアベンジャーズとサンフランシスコを拠点とするX-MENの両方を掛け持ちした結果、アメリカの両海岸を往復するはめになるなど、忙しさからヒーローとはいえ愚痴を漏らしたこともある。
なお、下記の中にはチームというより種族を指す(インヒューマンズなど)ものもいる。
ヴィラン側
ア | アイアンモンガー / アポカリプス / イエロージャケット / ヴァルチャー / ウィンター・ソルジャー(バッキー・バーンズ) / ヴェノム / ウルティモ / ウルトロン / エレクトロ / オンスロート |
---|---|
カ | カーネイジ / ギャラクタス / キングピン / グラビトン / グリーンゴブリン / グリム・リーパー / クレイヴン・ザ・ハンター / ゴア・ザ・ゴッド・ブッチャー |
サ | サノス / サンドマン / ジャガーノート / シュマゴラス / シルバーサムライ / スーパースクラル / スパイラル / セイバートゥース / 征服者カーン / センチネル |
タ | タスクマスター / ドルマムゥ / ドクター・オクトパス / Dr.ドゥーム / トリックショット |
ナ | ヌル / ネビュラ |
ハ | ハイ・エボリューショナリー / バスチオン / バロン・ジモ / フィン・ファン・フーム / ブラックハート / ブルズアイ / ヘラ |
マ | マグニートー / マンダリン / ミスティーク / ミステリオ / ミスター・シニスター / ミスターネガティブ / ムーンストーン / メフィスト / M.O.D.O.K. / モービウス・ザ・リヴィング・ヴァンパイア |
ヤ | ヨウカイ |
ラ | ライノ / リザード / レッドスカル / レディ・デスストライク / ロキ / ロナン・ザ・アキューザー |
ヴィランチーム
クリー:MARVELにおける宇宙三大列強の1つ
シニスター・シックス:スパイダーマンの宿敵の集まり
シャイア(シーア):宇宙三大列強の1つ。X-MENとの関係が深い
スクラル:宇宙三大列強の1つ。変身能力を持つ緑色の異星人
ハンド:日本発祥の悪の忍者組織
マスターズ・オブ・イービル:アベンジャーズと敵対するヴィランが集まったチーム
A.I.M.:ヒドラから分派したマッドサイエンティスト集団
ブラザーフッド・オブ・イービル・ミュータンツ:マグニートー率いるミュータントテロリストグループ
レッキング・クルー:パワー系ヴィラン4人組組織
ラトベリア:Dr.ドゥームの支配してる国。ここではDr.ドゥームとその軍隊をさす。
※1:結構、設定がコロコロ変っており、上記のハンドの友好団体で発祥の地は日本、ナチスとは一時的に手を組んでただけとなった事も(現実改変が起きたエピソードでの話なので、今でも生きてる設定かは不明)
古くは70年代のテレビ映画に始まり、2000年代初頭に大きな人気を得た『スパイダーマン』3部作や『X-MEN』シリーズ、そして上述の『マーベル・シネマティック・ユニバース』と、マーベル社のヒーローは数多くの実写映画が制作されており、大人気を博している。
しかし、実写映画を製作する権利が複数の映画会社に散在しており、クロスオーバーが人気なマーベルヒーロー作品なのに「"全ヒーローが一堂に会する作品"を作れない」という状況が長らく続いている。
これは、80年代にマーベルが深刻な経営危機に陥り、これをしのぐために権利を映画会社に売りまくったため。例えば、スパイダーマンの権利はコロンビア映画(現:ソニー・ピクチャーズ)、X-MENとファンタスティック・フォーの権利は20世紀フォックス、ハルクの権利はユニバーサル・ピクチャーズの手にそれぞれ渡っている。
人気キャラの権利から売却していったため、マーベルが独自に立ち上げたMCUはいわゆる不人気組で始めざるを得ず(ユニバーサルと話がついたのでハルクは使えたが)、「こんな残り物みたいなメンツで人気が出るのか?」という声も小さくはなかったほど。
最近では、スパイダーマンがソニーとマーベルスタジオの共同利用という形でMCUに合流したものの、権利問題で揉め、一時はMCU離脱もやむなしという事態にまで至る騒ぎも起こっている。
ただし最近では、これらの権利がマーベルスタジオの元に集まりつつある。
上述の通りスパイダーマンについては引き続きソニーに権利がありつつもマーベルスタジオが共同利用できるようになったほか、ハルクの権利はユニバーサルからディズニーに返却されたと報道されており、さらにX-MENとファンタスティック・フォーに至っては、20世紀フォックスそのものをディズニーが買収したことでマーベルスタジオに権利が渡っている。
将来的には、80年代から続く権利散逸が落ち着き、マーベルヒーローが真に集合する実写映画が観られるかもしれない。
シリーズや作品については、それぞれのキャラクターの記事の当該項目も参照のこと。
ちなみに勘違いされやすいが、「MCU」を手掛ける映画製作会社「マーベル・スタジオ」とマーベル本体(マーベル・エンターテイメント)は、独立した別会社である。
名前の通りもともとはマーベルの一部門だったが、ディズニーによる買収を経た2015年、ディズニー(ウォルト・ディズニー・スタジオ)直属の一部門へと移行されたため、マーベルの傘下から外れている。
アメリカの巨大エンターテイメント企業。2009年にマーベルを買収し、子会社化したことでマーベルの面で大きな変化はない。
同じくアメリカの巨大エンターテイメント企業。X-MENシリーズの実写映画版を製作。2017年にディズニーに買収され、X-MENおよびファンタスティック・フォーとアベンジャーズの合流が実現することとなった。
日本の映画会社。1978年から1981年まで提携関係にあり『スパイダーマン』などを制作。東映動画時代に『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』や『地上最強のエキスパートチーム G.I.ジョー』と合作、2014年には東映アニメーションで『ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』を制作し、久々に再提携。
日本のアニメ制作会社。マーベルアニメとして2010年から『アイアンマン』『ウルヴァリン』『エックスメン』『ブレイド』を制作。
日本のゲームメーカー。1993年ごろからベルトスクロールアクションとしてパニッシャーを制作。1994年アニメのタイアップとしてX-MENのゲームを制作。後にマーベルと自社キャラクターとのクロスオーバー『MARVELvsCAPCOM』も作られ、シリーズ化。
日本の映像会社。2020年にMARVELから『ウルトラマン』のコミックが刊行されている(2021年に日本語訳も刊行された)。2019年に行われたイベント「円谷コンベイション」ではMARVEL編集長であるC.B.セブルスキー氏が挨拶した。また、MARVELコミック版『ウルトラマン』の続篇として、2022年よりMARVELコミック版『ウルトラセブン』が刊行された……が、ウルトラマンとウルトラセブンがシビルウォーをやらかすと云う「よくも悪くもMARVELらしい……にも程が有る」「それ、円谷作品じゃなくてアギト以降の仮面ライダーでよく有るっぽい」展開に……一応、ウルトラマン同士の戦いは無いわけでは無いが。ただし、日本の特撮に比べて「何故、ヒーロー同士が対立しているのか?」の構図は判り易くツッコミ所は少なくは有る。
ちなみに、偶然ではあるが、ライバル会社のDCには「ウルトラマン」という悪役キャラが存在する。
なお、本作の2巻までの日本語訳版を発売していたヴィレッジブックスが2022年に出版事業から撤退した為、第3巻の「ザ・ミステリー・オブ・ウルトラセブン」の日本語訳版は小学館集英社プロダクションから出版される事になったが、2023年3月に諸事情により発売延期となり、2024年2月にようやく発売される事になった。
ただし、ウルトラマンとアベンジャーズやスパイダーマンとのクロスオーバーコミックは2024年8月に日米同時発売予定。
小ネタ
- コミック版における正史世界「アース616」にもMARVEL社が存在していてヒーロー・コミックを刊行していると云う設定が有り……
- 「キャプテン・アメリカ本人が描いた『キャプテン・アメリカ』の生原稿」というメタな物品が登場するエピソードが有る。
- なお、正体を隠してMARVELコミック社で『キャプテン・アメリカ』誌のイラストレーターをやっていたスティーブ・ロジャースが、『キャプテン・アメリカ』誌の脚本家に「いくら何でもキャプテン・アメリカを美化し過ぎでは無いのか??」とクレームを付けた所、あっさり無視された。
- シーハルクの勤務先である法律事務所は、スーパーヒーロー/スーパーヴィラン関係の裁判を多く手掛けているので、地下倉庫に資料としてMARVELコミックの出版物が全部有る、と云う設定。
- 100万個の爆発する太陽と同等というチートパワーを持つヒーロー、セントリーはかつて地球でマーベルヒーローらと共に活躍したが、とある事情から全世界の人類から自身の記憶を消してしまっていた。しかしニューアベンジャーズ関連で再び表に出てきたので、アイアンマンやキャップが彼の正体を調べようとした結果、とあるライターが想像して創作したはずのMARVELコミックにのみ彼そのものが描かれていて…というエピソードもある。メタ的にはセントリーが2000年代になって作られたキャラなので全てそういう設定という話。
- 「MARVELコミックの世界内で悪の大企業ロクソンが『マイティ・ソー』の版権を獲得し、『マイティ・ソー』誌を自社のプロパガンダ・コミックに変える」というエピソードも存在する。
- なお、ロクソン社のプロパガンダ誌と化した「マイティ・ソー」のコミックは現実世界でも発売された。
- ちなみに、これは何げにマズい事態で、ソー達地球の神々の大半が、人間の信仰により力を得ているせいで、ロクソン社が広めたソーのイメージを信じる人が増えると、本物のソーもその影響を受けて弱体化・悪堕ち・バカ堕ちなどが発生してしまう可能性が有る。
- なお、このせいで本当にバカ堕ちしてしまった後のソーの思考パターン・行動パターンは……MCU版のソーそのもの。
- 「キャプテン・アメリカ本人が描いた『キャプテン・アメリカ』の生原稿」というメタな物品が登場するエピソードが有る。
ちなみに公式では1970~80年代には「マーベル」と表記されていたが、90年代には「マーヴル」となり、2000年代にはまた「マーベル」に戻っている。
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