モブキャラ
もぶきゃら
概要
モブキャラとはモブキャラクターの略である。モブは英単語の"mob"から。野次馬、暴徒、大衆などなど、あまり良くない意味を込めた「(個性が注目されない)人の集まり」を指す言葉。実写化した作品ではポジション的にエキストラという同義の業界用語が用いられる。
本来は『群衆キャラ』の意味で、アニメ業界用語としてアニメーターなどの間で使われていた。つまりウジャウジャ人間がいるシーンを『モブシーン』と、そのモブシーンに使われているウジャウジャいる人間達を「モブキャラクター」と呼んでいた。
そこから派生し、ネット上では明確な設定のない脇役キャラクターもモブキャラと呼ばれるようになる。呼びづらい(というかそもそも名前がない)ことが多いので、容姿や立場からとったあだ名で呼ばれたりする。
近年では少なくなっているが、1990年代まではアニメではこの類のキャラに作監修正をかけないことも多く、メインキャラとの差異が顕著に目立った。これは原画担当の地の絵柄がそのまま出てしまうため。
かつては怪獣・ヒーロー物やロボット物では大破壊の際、案山子やマネキンのごとく一掴ひとからげでたやすく虐殺されるのが常であった。しかしそれらの直接描写が不快だとの苦情があったのか、いつごろからか減少の傾向にある。
著作権が現在ほどうるさくなく修正も効きづらかった70~80年代アニメではアニメーターのお遊びで、どう見ても他制作会社のキャラクターが劇中にモブとして紛れ込んでいるという例も珍しくなかった。
現代用語としての「モブキャラ」
先述したように、主要キャラ以外の名もなき人々を差す。役割は本来の意味と同じく背景空間を埋めるためや、特殊な力や能力を持つキャラを取り巻く「一般人」などが多い。
だが、物語とは得てして主要人物だけでは成立しないものである。ささやかな、時には本筋に大きく関わるような活躍によって、物語を支える大事な屋台骨。それが「モブキャラ」である。作者によるクローズアップがされていないだけで、「モブキャラ」などと言う人物は元々存在しない、という考え方の人間もいる。実際、『諸悪の根源』と言ってもいい位にとんでもないことをしでかすモブキャラもいたりするので侮れない。
「十人十色」という言葉があるとおり人間というのはそれぞれ皆好みが違うものであり、中には漫画で数コマ、もしくはアニメで数秒出てきただけの脇役に一目惚れしてしまう人もいる。そしてセリフや公式設定が与えられるたび歓喜し、そのまま嫁として愛でているファンも少なくない。
分類・具体例
メインキャラ・サブキャラに昇格
『ヒカルの碁』の奈瀬明日美や『名探偵コナン』の高木刑事などは、最初は脇役のつもりで描かれたものが人気を得て、名前や設定等が後付けされてサブキャラ以上となったパターンである。
モブ常連になる
作中の本筋のストーリーには関わらないがちょくちょく出番があり読者や視聴者からは「またあんたか」と出オチギャグ要員になる。『スマイルプリキュア』のお巡りさんとか。
実は重要人物
中にはモブキャラだと思っていたらとんでもない重要人物だったというパターンも存在したり、また『うる星やつら』の白井コースケは原作でこそ重要な登場人物だが、アニメではパーマにその座を乗っ取られて、時たまモブキャラとして登場するレアなケースとなっている。
『ONEPIECE』のように、伏線蒔きの段階で描かれたモブを、後に重要なキャラとして拾い上げる作劇法もある。
また、ガンダムシリーズでは更にその亜種としてモブ本人は重要人物ではないが、その知り合いが名前付きとして登場することもある(ジオングの攻撃に巻き込まれたジオン学徒兵の戦友が有名)。
初期のみ登場
アニメ初期にはよく見られたメンツというのもある。いまではあまり(めったに)登場しない、もう籍がないという現象もある。が、知っている人は知っている。
- 『それいけ!アンパンマン』…ウサオ
- 『忍たま乱太郎』…音吉、吉松、ごんべえ
- 『ドラえもん』…テレビ朝日版第1話の「ゆめの町、ノビタランド」に登場する安雄の代役
インパクトで有名になる
中には名前も特に設定されず、その後も全く出番が無いというモブキャラの定義をこれでもかと満たしていながらも、作品の内外でインパクトを残した為か有名になってしまったモブキャラも多い。
- 『HUNTER×HUNTER』…団長の手刀を見逃さなかった人
- 『ドラゴンボール』…戦闘力5のおっさん
- 『鬼滅の刃』…サイコロステーキ先輩
- 『ジョジョの奇妙な冒険』…そこにシビれる!あこがれるゥ!を言ったイジメっ子、吉良の同僚
- 『閃光のハサウェイ』…かぼちゃマスク
- 『アンシャントロマン』…理不尽にも吹き飛んだおっさん
- 『プリンセスコネクト!Re:Dive』…クロエの同級生1・2
- 『アクエリオンEVOL』…紙袋
- 『ラブライブ!サンシャイン!!』…果南推しのモブ
- 『ゴールデンカムイ』…正体不明のおじさん
- 『チャージマン研!』…キャロンの後ろ、キャロンの右
- 『淫獣家庭教師』…冒頭で淫獣に陵辱される水色の着物の女性
この場合、まともな人名や「○○の男」など、すでに決まっている役名を使うパターンもあるが、大抵は仮称や愛称がつけられる。『遊戯王』のトムは前者。
良い声や名(迷)台詞のゴリ押し、モブかわ案件
インパクトで有名になる例に極めて近く限りなく遠い亜種、主にテレビゲームで見られる。
やはり名前や役割は特に設定されないが、ゲーム媒体という都合上セリフが幾度となく使い回されるうちに耳に焼き付いてしまうと言うもの。
人気声優の兼役や、洋ゲーにおいて使用頻度の高い汎用ボイスが誤訳まみれだったりと言う例がある。
作品をまたいで登場
一方で、一貫して名無しでありながら複数の作品に登場し続けているモブも存在する。『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ミュウと波導の勇者 ルカリオ』のモブ親子が分かりやすい。
モブと声優
アニメでは「生徒A」「女3」「通行人B」などの役名でクレジットされる。作中における重要度が皆無なキャラであるため、ギャラが最低ランクの新人声優(デビュー3年以内のジュニア)に最も多くふられる役柄である。
どんな人気声優もだいたいモブから仕事がスタートするが、若手と呼ばれる時代を過ぎてランクが上がっていくとモブは卒業となる。そして「あの○○氏も、かつては…」といった具合に語り草となっていく。あるいはモブキャラで才能を見いだされて一瞬で大型新人へ、ということもある。
稀にとんでもない大御所やベテラン声優がモブにキャスティングされていることがあるが、このようなケースはカメオ出演的なお楽しみ要素か、のちの伏線のどちらかである。特にポプテピピックが良い例である。
また、レギュラー出演している声優による兼任でモブに声を当てていることも多々あり、その場合は基本的にクレジットには記載されない(本担当しているキャラクターが当該話で休演の場合にはクレジットされる)が、ネタとしてあえて併記される場合もある。このレギュラー声優によるモブの兼役は、家族や瓜二つの人物などあえて「同じ声」に合わせる目的のほか、制作費削減を目的としていることも多々ある(基本的には、兼役をしてもギャラは増えない)。
COVD-19の影響とモブ
アニメ業界もCOVD-19で大打撃を受けた界隈の一つだが、クール単位での制作遅延の他に例を上げるならモブキャラのキャスティング、ぶっちゃけ新人声優である。収録スタジオという3密空間から可能な限り人を排するため、採算度外視でベテランや大御所、主役級声優にモブを兼役させるという事態が発生したのである。
さらに付け加えるなら、大御所はまだしもベテランや主役級にとってもある意味大迷惑であった。
意図された場合を除き、収録においてモブは主役より目立ってはならない、つまりモブキャラにはモブキャラ特有の演じ方が必要、要するに声優業で家が立つほど主人公役をバンバン受けている声優が、モブを演じきれるとは限らなかったのである。
感染症以前には主役ばかりやっていたベテランが半ばネタとしてモブ役を引き受けた結果、「目立ちすぎ」とNGを出され苦戦した例もあるくらいである。
二次創作における脇役
原作がスポーツ物やバトル物であるなら、試合や戦闘以外のいわゆる「日常風景」を描写する際、原作キャラの絡みだけでは物語の進行が困難な時は名無しのモブを登場させたりする。
無味無臭なキャラ付けだったり、時には原作キャラを上回る濃いキャラ付けだったりと様々。
役割も作者の推しキャラの魅力を代わりに語ってもらう時もあれば、カップリング物だった場合はそれに当てられて「お前ら人の目を気にしろよ!」と砂を吐いてもらったり、腐属性キャラならばネタにしたりと、千差万別。特にギャグ路線だと個性的すぎるモブが複数登場することがしばしば。
成人向けだとアレやコレやするのに大変使い勝手がよいので起用率高め。大体が目もとが隠れていたり、『名探偵コナン』の正体判明前の犯人みたいな風貌だったりする。
舞台が「学校」で「にぎやかで楽しい仲良しクラス」という場合は、クラスメイトが揃いもそろって個性的というパターンもある。この場合も名無しがほとんどであるが、小説である場合は分かりやすくするために、そのモブの個性をニックネーム的につけられたりする。イニシャルの時はモブの頭文字で「M」だったりする時も。
現実世界から転生したモブという設定の場合もある。
分類としてはオリキャラの一種、二次オリの類似例といえるが、以上のように存在感の濃いモブ・薄いモブも全てモブなので、それぞれのジャンルにも入るかはケースバイケースである。
ただし匙加減を間違えると「もうオリジナルでやれよ!」とツッコミが入る場合がある(いわゆるメアリー・スー)。「二次創作でのモブ登場が苦手」というユーザーもいるので、必ず「モブ」や「モブキャラ」タグをつける、最初のページに注意書きを入れたりするなどして、閲覧者への配慮も忘れないようにしましょう。
該当キャラクター
漫画
※主人公達がモブキャラと公式で位置づけられ、ゲストキャラが主役という形でお話が進む。
- ジャンプ作品
アニメ
小説・ライトノベル
ゲーム
特撮・ドラマ
関連タグ
キャラ | 登場人物、キャラクター、オリキャラ |
---|---|
一般 | モブ、モブキャラクター エキストラ |
別名 | チョイ役、脇役 |
属性 | 転生モブ、クズモブ、スーパーモブ、モブ攻め、モブ受け |
モブタグ | モブ顔、モブ姦、モブレイプ/モブレ、モブ視点、フラッシュモブ |
男性 | モブ男、モブおじさん |
女性 | モブ子、体がエロいモブ顔女子、モブおばさん |
集団 | 群集、人ごみ・雑踏、人だかり、野次馬、ギャラリー、エキストラ、その他大勢 |
大衆 | 庶民、市民、一般人、通行人、村人、町人 |
蔑称 | 背景、空気、かませ犬 |
声 | 私語、騒音、黄色い声、クレーマー、誹謗中傷 |
オノマトペ | ざわざわ、わらわら、やいのやいの、ひそひそ、くすくす |
我が身 | 俺ら、私達 |
無し | 顔無し(のっぺらぼう)、名無し |
ゲーム | NPC |
敵 | ザコキャラ/ザコ敵/女ザコ/ザコ女 |
動物 | もふもふ祭り |
バトル系 | 捨て駒、噛ませ犬、喪/ブ、やられメカ(やられ役) |
ジャンル | モブ転生(転生モブとは別) |
外部リンク
国民的アニメのモブキャラにまつわるエトセトラ - Togetterまとめ