曖昧さ回避
🐊概要
爬虫綱ワニ目に属する爬虫類の総称。漢字表記は「鰐」。
現生種は正鰐亜目の25種(学者によっては28種)で「クロコダイル科」と「アリゲーター科」に大別され、前者にはクロコダイル類とガビアル類、後者にはアリゲーター類とカイマン類が含まれる。現存する爬虫類では最も大型になる動物群で、最大記録で全長7mオーバー、体重1tにも及ぶ。
1億年前から今と外見上はほぼ同じ化石が発掘される生きた化石と言われているが、中生代末の6500万年前にほとんどのワニが恐竜と共に絶滅しており、現生種はわずかに生き残った少数の種から進化してきたものと考えられている。なので、中生代の古代ワニと現生種は外見こそ似ていても遺伝子的にはかなり変化している可能性がある。
中生代三畳紀に出現した当初は陸生で、胴体から下向きに四本の脚が生えた姿で結構敏捷に動きまわっていた。更に二足歩行で後の恐竜にそっくりな姿をもつものまでいた。その後、近縁でもある恐竜との競争に敗れて水辺に逃れ、水辺での生活に適応した結果、今のようなガニ股に変化したと考えられている(というより三畳紀末の大量絶滅でワニの眷属の大半が滅び、その後釜に恐竜が収まった、とも解釈できる。水辺に棲んでいた僅かな生き残りがワニの祖先である)。つまり、彼等はかつて恐竜と同じ特徴をもっていたが二次的に「祖先的」な形質に戻ったと考えられる。鳥類や哺乳類と同様の2心房2心室の仕組みをもつ心臓があるなど、その祖先は鳥類を含む恐竜や哺乳類同様に代謝が高く活発な動物だったことが窺える。
水辺に生活の場を移したあともしばしば陸に戻る種が現れたり、草食種がかなり多かったり、海に進出したり、濾過食(プランクトン食)に適応した種類もいた。特異な姿をしていたワニとしては、全長15mで恐竜を捕まえて食っていたデイノスクスやサルコスクスとか、海での生活に慣れ過ぎて足がヒレになってしまったダコサウルスやメトリオリンクスなどがいたが、いずれも中生代末までに絶滅している。
また、新生代にもワニ類はある程度の多様化を再びみせ、プルスサウルスやグリポスクスのような巨大種が登場している。セベクスのように陸上に戻り、あたかもかつての恐竜のように闊歩していたと思しき種まで一部の地域には出現していた。30~50万年前の日本にはマチカネワニが生息しており、これはワニとしては珍しい温帯性の種であった。
しかし、やがてこれらも地球環境の寒冷化、乾燥化などで徐々に姿を消していった。化石記録から、こうした多様なワニの一部の僅かな生き残りが地球から完全に消えたのは更新世~完新世の、地質学的につい最近と推測される(化石記録からオセアニアがその最後の生息地とされる)。その原因の一つに当時、地球の大半の陸地に進出・開発を開始した現生人類の影響もあったのでは?と推測される。
現生ワニ
全て肉食動物で、基本的に食べるのは魚や鳥。ほとんどの種は川に生息するが、イリエワニのみ海に出没することがある。基本的には日本には生息しないが、ごくまれに東南アジア周辺からイリエワニが漂流してくることがある。体温調節は口を大きく開けて行う。
クロコダイル科、アリゲーター科の2科に分けられることが多いが、ガビアル類をクロコダイル科から分けることがある。
クロコダイル類は現生最大種のイリエワニをはじめ、ナイルワニ、アメリカワニなどがこれに属する。大型で気性が荒い種が多く、ナイルワニはヌーやシマウマ、さらにはライオンを食い殺すほど。大きな獲物は一匹が固定した後にもう一匹がくわえたまま回転するデスロールで引きちぎって解体する。好き好んで食べるわけではないが、スイカなど水分が多い果物をあげると丸呑みしてしまう。その恐ろしさの一方で卵を産みっぱなしにせず、孵化してもしばらくは母親が子ワニを守るという優しい側面もある。ただし、クロコダイル科の中でも魚が主食のガビアル類はとてもおとなしく、ペットとして飼われることがあるほどである(体が大きいうえに特定生物に指定されているので日本で飼うのは現実的ではないが)。
アリゲーター類はアメリカアリゲーターやヨウスコウワニ、メガネカイマンなどがこれに属する。クロコダイルに比べれば大人しいが、アメリカアリゲーターなどはクマやピューマ、さらには人を襲った記録もある。
いずれの種も肉は結構おいしいらしく(肉質は鶏肉に近いようだ)、『東方見聞録』にも、中国(元)でのワニ狩りに関する記述がある。養殖法は確立されたものの、皮革を目当てにした過剰な狩猟圧や乱開発による環境破壊・気候変動に晒されているため、全世界で個体数が減少傾向にある。ワシントン条約にはすべてのワニの種類が掲載され、取引の制限がされている。
またインドやエジプトなど水辺で栄えた文化圏では神聖な動物として崇められることもある。
ただし、メキシコでは創世神話で神々に敗れる立場(シパクトリ)として登場したり、マヤ神話においてはマヤ人を滅亡に追い込むとされる怪物(チャク・ムムル・アイン)として語られるなどあんまりいいイメージでは語られない。
日本神話においては因幡の白兎にも登場するが、この説話に登場する「ワニ」が中国地方の方言におけるサメを意味するのか、それとも爬虫類のワニを指すかについては議論が分かれている。
世界各地で強大な神々やその眷属、あるいは強力な魔物として古代より語られる竜やドラゴン、それに類する幻獣のモデルの一つがワニであったと推測されている(もう一つの大きなモデルはヘビ)。
寿命は大型種ともなると70~80年は平気で生きる奴も多く、飼育下では100年以上生きることも珍しくない。
それを裏付けるように、ワニは人間を超える免疫力があり、AIDSのような有害な菌が体に入り込んでも重篤な感染症になることはないらしい。ただし、そんなワニでさえ、蚊が 媒介するウエストナイル熱で死ぬ事があるという。
種類
アリゲーター科
クロコダイル科
絶滅
ワニをモチーフとしたキャラクター
神話・伝説
- セベク、アメミット (エジプト神話)
- クンビーラ、マカラ(ヒンドゥー教)
- アガレス、ウァサゴ、サレオス(ソロモン72柱)
- ミゴー(ニューギニアの伝承)
- グランガチ(アボリジニの伝承)
- 因幡の白兎、トヨタマヒメ(日本神話、サメ説あり)
- 白いワニ(都市伝説)
- 鼍(山海経)
- 沙悟浄(西遊記)※ヨウスコウカワイルカがモデルの説もあり
絵本・文学
漫画
- スニゲーター(キン肉マン)
- ワニ山さん(クレヨンしんちゃん)
- クロコダイン(ドラゴンクエスト ダイの大冒険)
- サー・クロコダイル・バナナワニ(ONEPIECE)
- ウルチ(鋼の錬金術師)
- ガララワニ(トリコ)
- バララワニ(銀魂)
- 100日後に死ぬワニ
- ワニ怪人(仮面ライダーBlack)
- ベニー(BEAST_COMPLEX)
- シャーロットちゃん(ジョジョの奇妙な冒険ストーンオーシャン)
- アリゲーター氏(バンパイヤ)
アニメ
- デンデンワニ(ジャングル黒べえ・のび太の宇宙開拓史)
- アケミちゃん(機動警察パトレイバー)
- デヴォアクロコダイルのダンディ(レジェンズ)
- ジム・クロコダイル・クック(遊戯王GX)
- 野良ワニ(ブレイブビーツ)
- ガブリーヌ(はりもぐハーリー)
- 下水道のワニ(こちら葛飾区亀有公園前派出所のオープニング)
- ワニスケ(マジカパーティ)
特撮
仮面ライダーシリーズ
- ワニ獣人(仮面ライダーアマゾン)
- 奇械人ワニーダ(仮面ライダーストロンガー)
- ジョーズワニ(仮面ライダースーパー1)
- クロコダイルオルフェノク(仮面ライダー555)
- ヨブコ(仮面ライダー響鬼)
- 仮面ライダーガオウ(仮面ライダー電王)
- アリゲーターイマジン(仮面ライダーディケイド)
- ブラカワニコンボ(仮面ライダーOOO)
- ワニ怪人(仮面ライダーEVE)
- クロコダイコンフォーム、仮面ライダーローグ(仮面ライダービルド)
- クロコダイルゲノム/クロコダイルゲノミクス/仮面ライダーキマイラ(仮面ライダーリバイス)
スーパー戦隊シリーズ
- クロコダクル総統(ジャッカー電撃隊)
- ワニモズー(大戦隊ゴーグルファイブ)
- ワニシンカ(科学戦隊ダイナマン)
- ワニカエルギン(地球戦隊ファイブマン)
- ワニネジレ(電磁戦隊メガレンジャー)
- ガオリゲーター(百獣戦隊ガオレンジャー)
- ヤツデンワニ(爆竜戦隊アバレンジャー)
- 臨獣クロコダイル拳ニワ(獣拳戦隊ゲキレンジャー)
- キャリゲーター(炎神戦隊ゴーオンジャー)
- ゴセイクロコダイル(天装戦隊ゴセイジャー)
- ディノスグランダー(獣電戦隊キョウリュウジャー)
- サファリレッシャーアリゲーター(烈車戦隊トッキュウジャー)
- キューブクロコダイル、ジュウオウザワールド、鰐男(動物戦隊ジュウオウジャー)
- シャドン(魔進戦隊キラメイジャー)
- クロコダイオー(機界戦隊ゼンカイジャー)
ウルトラシリーズ
その他特撮
ゲーム
- クレムリン軍団、キングクルール(スーパードンキーコング)
- ホイール・アリゲイツ(ロックマンX2)
- バイフロスト・ザ・クロコロイド(ロックマンゼクスアドベント)
- クロコプロバー・キーバカイマン(メダロット)
- ラギアクルス(モンスターハンター)
- クロコダイル・ホワイトダイル・アリゲイター・ギガースゲイター(ファイナルファンタジーシリーズ)
- クリスチーナ(花と太陽と雨と)
- しろいわに(星をみるひと・STARGAZER・ロマンシングステラバイザー)
- イブール(ドラゴンクエストⅤ)
- ワニバーン(ドラゴンクエストⅧ)
- ナイフゲータ・ピョコダイル(風来のシレン)
- ピンクのワニ(ペルソナ3)
- ワニ師(ワールド・デストラクション)
- ベクター・ザ・クロコダイル(ソニックシリーズ)
- オッタマゲーター(妖怪ウォッチ)
- ウコンバサラ(ゴッドイーター)
- モンバ(ポポロクロイス)
- アリゲーター(バイオハザードシリーズ)
メタルマックス
ポケットモンスターシリーズ
- ワニノコ・アリゲイツ・オーダイル(ポケットモンスター 金・銀)
- メグロコ・ワルビル・ワルビアル(ポケットモンスター ブラック・ホワイト)
- ホゲータ・アチゲータ・ラウドボーン(ポケットモンスター スカーレット・バイオレット)
ホビー
海外
その他
ネタ
イグノーベル賞
2020年度イグノーベル音響学賞で、日本の生物学者が、
ワニのゲップがヘリウムで音程が高くなる事を発見した。この功績を称え、賞金の10兆ジンバブエドル(170円)を獲得した。
関連イラスト
関連タグ
外部リンク
※第28回目は(第22回天下一武道会の予選でクリリンに負けた)「ワニ」! クリリンと予選で当たってしまったのが運のツキ、その闘いが描かれることなく敗退してしまったワニです。