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ポストアポカリプス

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ぽすとあぽかりぷす

英語としては「黙示録の後」の意味。転じてSF作品において文明が退廃した後の終末的な世界観を主とする作品やそのようなジャンルを指す言葉。

概要

大規模な災害戦争によって人類の文明が崩壊し(→アポカリプスも参照)、文明が依存していたライフラインが絶たれた世界において、人間はどう生きるのかについて描く、SFのサブジャンルのひとつ。

終末もの」や「破滅もの」とも呼ばれることもある。特に日本では『北斗の拳』がヒットした影響もあり世紀末という呼称が定着している。

学位や社会的地位、経済力などといった社会制度に由来する要素が意味を成さず、サバイバル知識や技能、原始的な道具をいかに使いこなすが重要となる世界である。

「パニックもの」と違うのは世界秩序や公的機関が完全に機能を失っており、外部からの助けが全く期待できない点。文明の崩壊からの経過時間設定によって世界観の描写も異なってくる。

このため「崩壊後の世界」と「崩壊しつつある世界」の作品が混在している。

描写例

  • 崩壊直後は混乱や暴動が予想されるため、序盤にパニック要素を持つ作品もある。また現代社会なら犯罪にあたる略奪や殺人が横行し弱肉強食が世の掟となったバイオレンス要素の強い作品も多い(例:『バイオレンスジャック』・『北斗の拳』)。
  • 建造物の大半は維持されることなく廃墟となり、時間が経つにつれて汚損・倒壊していくが、疫病の蔓延などで短期的に人類が死に絶えた場合などは綺麗な町並みが残る。前者は自然に還る建築物、後者は誰もいない綺麗な町並みなど、取り残された人間の孤独感や虚しさや静けさ・寂しさの描写をメインとする作品もある(例:『ヨコハマ買い出し紀行』)。
  • 文明崩壊の主原因が消え去っておらず、生き残った人類がこれらから逃避したり対抗するという設定も多い(例:『ゾンビ』)。
  • 崩壊前の技術が利用できる設定もあり、生き残った人類の一部がこれらを独占したり、逆に排斥されるなどの設定もある。これは特定の存在や勢力が作中でイニシアチブを握った理由付けとしても用いられる(例:『未来少年コナン』)。
  • 文明社会ではありふれた物(化学調味料発泡スチロール発動機等)が「もう生産不可能な前文明の遺産」として高額で取引されるという、終末世界観ならではの物資事情が描かれる作品も多い(例:神坂一短編『O・P・ハンター』等)
  • 環境の変化により交通手段が大きく変わっていることもある。例えば2以降の『マッドマックス』シリーズの場合海が干上がり、空港も砂に埋まってしまった為役に立つ乗り物は車両のみという設定だが、『ウォーターワールド』では逆に海面上昇で人工島を除き陸が無くなってしまった為、主な移動手段は船舶と航空機になっている。また『BLAME!』ではロボットにより複雑に入り組んだ都市が拡張され続けているため乗り物が使用できず、移動手段は徒歩のみとなっている。
  • 終末トレインどこへいく?』では道路は危険化し、空港は消滅したため西武池袋線のみがまともな交通機関になっている。
  • 作品によっては現生人類の文明崩壊後、新たに登場した別の種族が人類に代わって社会、文明を形成している場合もある。作品によっては新勢力から駆逐される側になることも。(例:『火の鳥未来編』、『猿の惑星』、『アイ・アム・レジェンド』)。
  • 既存の文明社会が崩壊し、治安は無秩序、日常生活にサバイバル技術などの知識も求められる状況ではあるが、辛うじて臨時政府や自衛隊の残存部隊などが存在し、世界が崩壊しつつも文明社会が首の皮一枚で存続している作品もある(例:『塩の街』)
  • 核シェルターなどに避難した人々の様子を中心とする作品では、崩壊に関する情報は断片的に提示される。『ザ・ラストシップ』は主な舞台が「洋上の艦内」であるため、崩壊の様子は救援を求める無線や上陸時に遭遇した人の描写やそこから得る情報が中心である。
  • 地質学者のドゥーガル・ディクソンは人類滅亡後の地球の生態を推測した作品を発表している(『フューチャー・イズ・ワイルド』『アフターマン』『マンアフターマン』)。これらは創作であるが未来の環境を予測するという科学教育の面もある。
  • 世界や文明が終末を迎えているのにもかかわらず主人公たちは安全な場所に避難してそれを傍観したり新しいコミュニティの建設に精を出すという、ロビンソン・クルーソーのポストアポカリプス版のような作品は「心地よい破滅もの(コージーカタストロフ)」と呼ばれる(例:『トリフィドの日』)。
  • 高度な文明が起きては滅び、文明が起きては滅びるという多重構造になっている場合もあり、その場合現時点より過去の文明ほど高度である事が多い。(例:同じ脅威が滅ぼす場合→ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド系列、人間同士の争いで滅ぶ場合→少女終末旅行

派生

「終末」から長い時間が経ち、新しい秩序・文明が現れた世界を描く作品もポストアポカリプスに分類されることがほとんど。

「終末」が起こった事実が忘れられたり故意に隠されたりしているため、物語の序盤ではそうだとわからない作品も多い。

類似ジャンル

  • 「偏った価値観が支配する現在」を描くディストピアとは似て非なるものだが、ポストアポカリプスの条件は「文明崩壊に至る破局が過去にあった」ことであるため、例えば文明崩壊によって秩序がリセットされ、新しく興った秩序がディストピアという設定、逆にディストピアが崩壊し秩序がリセットされるという展開ならば両ジャンルが共存する。またシリーズものであれば、続編では復興していることもある。
  • 明確な定義は決まっていないが、新日常系と呼ばれるジャンルは『悲惨な世界での日常系』というポストアポカリプスの変則とされる。
  • ファンタジー作品の場合にはダークファンタジーと呼ばれることが多く、『進撃の巨人』や『終末期の赤い地球』などが該当する。
  • 生き残った人類を探して旅をする設定も多く見られ、その場合メインではないもののロードムービーやストーリークエストの要素が多くの作品に入っている。
  • タイムスリップものには、世界崩壊の原因を突き止める・除去するため過去へ行くという設定の作品も多い。これらは過去の世界での活動が中心となることが多く、崩壊後の描写は最初と最後に少しだけしか描写されないという作品もある(例:『12モンキーズ』)。
  • 人類絶滅を免れた一部が地球を脱出し新天地を目指すという設定は「エクソダスもの」とも呼ばれ、オーバーラップする作品は多い(例:地球最後の日・14歳)。
  • 文明崩壊後に幸せな文明が再建されたならば、ユートピア作品も作品属性に入る場合あり(例:スタートレック)。

題材にしている作品(国内)

※作品名五十音順。

小説

ゲーム

RPG

アクションRPGシミュレーションRPG
-
ダンジョンRPGテーブル・トークRPG

メディアミックス

題材にしている作品(海外)

映画

余談

  • ポストアポカリプスや終末モノの中にはハルマゲドン(最終戦争)や最後の審判など、ヨハネの黙示録からの引用や匂わせる演出が入る作品が見られる。だが、元のヨハネの黙示録ではハルマゲドンの後に神が地上を直接支配する千年王国の時代が来る。つまり、悔い改めた者に限るのはともかく、筋書きそのものは実はバッドエンドではない。
  • 地獄の黙示録』の原題は「Apocalypse Now」=「黙示録来たれり」。向うの"敬虔な"キリスト教徒が街中でプラカード持って叫んでるソレであるが、実際彼らは「明日にでも黙示録の世界が来るから悔い改めて」と言う意味で叫んでいる。
    • これはキリスト教が確実化した2,3世紀頃からずっと言われ続けている事なので、キリスト教徒にとっては「いつでも明日は黙示録」=「いつでも明後日はポストアポカリプス」なのである。

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