概要
本来の意味での「量産型」とは、同じ規格・仕様にて量産(大量生産)される工業製品のこと。
試作および先行量産の過程で不具合を確認する過程で欠点や量産に不向きな点などを洗い出し、それらをクリアした上で、完成品として大量生産に足ると判断されたものが量産型である。
予算にしたがって生産ラインを構築して製造されたものであれば、製造機数がたとえ1機のみであっても「量産型」であるし、数が複数あっても研究開発費で製造され正規の生産ラインで作られたものでない機体は「試作型」である。
文化面における量産型
管理教育確立後の日本では軍隊式管理で個性を削り、社会に出て従順な組織の人間であることを美徳とする「量産型教育」が定着していった。
一時は「時間を守る日本人」のようにメリットが強調されたものの、その後のバブル崩壊と日本社会の停滞を経て、ただの愚民化政策ではなかったかと批判されるようになった。
こうした風潮は21世紀の若者文化にも及んでおり、宣伝に踊らされて動く同質的な人々をなじる「量産型〇〇」のような言葉が生まれている。
量産型コーデ・ファッション
転じて「没個性的」という意味合いで「量産型」という言葉が使われ始め、あえて没個性を目指した「量産型ファッション」が広まっていく。
さらに男性アイドルのライブ会場などに集まる女子が似たような服装をしていることから「量産型女子」「量産型ヲタク」という言葉が生まれ、白やピンクにベージュなど淡い色合いのフリルに黒をアクセントに入れた「量産型コーデ」と呼ばれるファッションが誕生した。
より黒を主軸にしたコーデは「地雷系」と呼ばれ、量産型の対義語とされる。
2022年時点で一般的に「量産型」という言葉の意味する所は「量産型コーデ・ファッション」の略称である場合が多く、pixivにおいても2018年頃から「量産型」のタグに「量産型コーデの女の子」のイラストが混ざり始め、2022年時点では大半が女の子のイラストで埋め尽くされた状態になっている。
これらの現状から、下記の量産型メカ及び量産型機械を指す場合は「量産機」のタグを使うことが推奨される。
フィクションにおける量産型メカ
フィクション、特にロボットアニメ等では試作型が主役機を務め、量産型は相当性能が劣化した廉価版として、ひどい時はやられメカとして描かれていることがしばしばである。
試作型が強力、もしくは量産型が弱体なことの設定上の理由付けとしては「思ったより生産コストがかかったので仕方なく機能を削った」「思ったより操縦が難しかったので、誰にでも扱えるように性能を抑えた」「政治的理由」などがある。また「特定のパーツが量産できない、あるいは劣化」「技術の雛形としてあえてコスト無視した」という理由づけをする事例も。
もっともライバルの乗る機体は量産型の強化カスタム機というパターンはよくある。量産型であったとしても、主要キャラや強敵・ライバルが乗る際はスポット的に大活躍することがある。
『機動戦士ガンダム』シリーズ
・ジム
・ボール
・ザクⅡ
・グフ
・ゲルググ
・ジムII
・ネモ
・マラサイ
・バーザム
・ネロ
・ジェガン
・メッサー
・バタラ
・ジェニス
・クラウダ
・マヒロー
・メビウス
・ジン
・ゲイツ
・ダガーL
・ガガ
・アデル
・ガフラン
・ドラド
・ダナジン
・モラン
・グレイズ
・百錬
その他
・サク
ガンダムタイプの量産型
・ジェモ
・Zプラス
・リゼル
・フリント
その他
スーパーロボット大戦OGシリーズ
量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ(通常型・タイプTT)
量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改(先行試作型・タイプC・タイプG・タイプN)
その他
妹達(とある魔術の禁書目録&とある科学の超電磁砲) ※クローン人間
ボンバーファイターTYPE-90(ボンバーマンB爆外伝)
現実における量産型機械の例
※前者がプロトタイプ、後者が量産型。
103系電車・113系電車(日本国有鉄道)
- 昭和29年頃から出現し始めた私鉄高性能電車群に対し、国鉄も負けじと昭和32年、全金属軽量車体・客用扉両開き片側4扉・全電動車・3.2km/h/sの高加速度・3.5km/h/sの高減速度・定格速度68km/h(弱メ界磁40%)・蛍光灯装備・扇風機装備という超性能電車モハ90系(→101系)を製造する。ところが、まず増大した消費電力の前に給電系がパンク、更に「車両ばかりを高性能化しても首都圏の通勤ラッシュの解消には程遠く、信号など地上設備などの改良・整備も必要」という結果になった。この為、101系では付随車を挿入して性能を低下させた状態で運用した後、後継となる通勤型電車は短距離特化の103系が開発されるが、その分巡航速度については眼をつぶることになった。
- 後、常磐線・鹿児島本線の交流電化に伴い、交直流電車401系/421系が開発されるが、どちらも従来の国電区間よりも駅間が長い区間への投入になるため、こちらは加速度に眼をつぶってそれなりの巡航速度を与えた性能とした。この直流専用版が111系だが、すぐに新型モーター「MT54型」が採用されたため、こちらを採用した113系へとマイナーチェンジする。
- つまり、101系の所定の性能が実現していれば優等列車以外には大抵の用途に満足できる万能高性能電車となるはずが、国鉄の実情から実現できず、結果、101系で実現するはずだった性能のうちいずれかを妥協した103系と113系に分化した形になる。その結果、103系と113系はそれぞれ国鉄電車第1位・第3位の大量生産車となった。
- 101系で断念された万能高性能電車の無念は、国鉄が散った後その後身となるJR東日本において、E231系として結実する。
EF60形電気機関車二次型以降(日本国有鉄道)
- 電車の近代化が進む一方で機関車の方は大増殖したEF58・EF15が使われ続けていたが、新性能電気機関車として、それまでのツリカケ駆動からクイル式という駆動方式を採用して大胆に軽量化を図ったED60形が製造され、更にこれを基礎として東海道本線などの長距離運用につくためのF級ハイパワー機・EF60形が製造された。……が、クイル式は構造上耐久性に難があることが判明し、結局二次車以降ではツリカケ式に戻すことに。
- この時の基本構造が、軽量化の対策を施したEF62形を除く新性能F級機に使い倒されることになり、国鉄電機の決定版とも言えるEF65形・EF81形まで大増殖を続けることになる(EF66形は流石に当時のハイパワーを受け止めるために少し違った構造をしている)。
- その後も国鉄・私鉄問わずツリカケ式以外を採用して刷新を図ろうとする度何らかの不具合が出てツリカケ式に戻すという流れが繰り返され、現在のJR貨物の最新電機に至るまで主力はツリカケ式。
関連タグ
量産型やは(pixivユーザー)