概要
番数 | 247番目 |
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使用期間 | 1989年1月8日~2019年4月30日(30年112日) |
天皇 | 第125代 明仁天皇(現:上皇) |
勘申者 | 山本達郎 |
典拠 | 『書経』大禹謨、「地平天成」、『史記』五帝本紀、「内平外成」 |
他の候補 | 正化、修文 |
明仁上皇が天皇として在位した1989年1月8日から2019年4月30日までの元号である。平成13年が西暦2001年に当たったことから、期間中に21世紀がスタートしている。
前の元号である昭和から、昭和天皇の崩御に伴って改元された。昭和は1989年(昭和64年)1月7日までとされ、翌8日より平成元年となった。
2017年(平成29年)6月9日に天皇(=明仁上皇)の退位を認める特例法が成立し、同月16日に公布された。同年12月1日には、2019年(平成31年)4月30日をもって退位、翌5月1日に今上天皇が即位することが正式に決定した。
また、これに伴い、元号法第2項の規定、「元号は、皇位の継承があった場合に限り改める。」により元号を改めることとなり、2019年4月1日に新元号が「令和」に決定したことが発表された。
典拠
『書経』大禹謨、「地平天成、六府三事允治、萬世永頼、時乃功」
『史記』五帝本紀、「父義、母慈、兄友、弟恭、子孝、内平外成」
典拠は『書経』大禹謨の「地平ぎ天成り、六府三事允に治り万世永く頼る」。
「天下の水陸ともに平穏となり、自然の運行は順調で、万物はそれぞれの成育を遂げる。生活の基礎のあんばいも君主のなすべき仕事も共にうまくいき、万世の後までもがこれを頼ることができる」という意味の元号である。
また『史記』五帝本紀の「父は義、母は慈、兄は友、弟は恭、子は孝、内平かに外成る」(父は正義を守り、母は慈愛豊かになり、兄は弟妹を慈しみ、弟は兄姉に敬順になり、子は孝行となり、家庭の内は平和になり、世の中もよく治まる)も参酌されている。
勧申者は東洋史学者の山本達郎であるといわれる。「平成」の他に、「修文」(しゅうぶん)、「正化」(しょうか)という原案が出されている。しかしこの二つの場合ローマ字表記の頭文字が共に「S」になり同じくSで始まる昭和との区別がつかなくなってしまう事から「平成」が選ばれ、宮内庁長官が明仁上皇にこの元号を上奏した。御聴許を得た上で、臨時閣議にかけられて決定され、小渕恵三官房長官によって発表された。
また、「平成」という二字の中には干(盾の意)と戈(鉾の意)という字がある。「干戈」とは武器や戦という意味でもあるが、平成の時代は戦には巻き込まれることはなく済んだ稀有な時代である。
「成」字は、平成改元で初めて元号として採用された文字であるが、「平成」自体も過去の改元時に候補として挙げられていた良号であるし、これまでにも「成功」「成治」「成徳」「成和」「開成」「慶成」「天成」「仁成」「能成」「立成」が提案されたことがある。「天成」は「平成」と同じ典拠(すなわち同じ意味の元号案)である。
主なできごと
詳細は1980年代、1990年代、2000年代、2010年代を参照。
政治経済
世界的には、平成一桁時代にはベルリンの壁崩壊に始まる冷戦の終結とソ連崩壊、およびそれに伴う旧東側諸国を中心とした民族問題の表面化、アメリカ合衆国一極支配の確立、平成10年代以降はアメリカ一極支配の崩壊のきっかけとなる同時多発テロ・アフガニスタン戦争・イラク戦争、中国・インド・ブラジルなどの新興大国の台頭などが主なこととして挙げられる。
日本においては、平成一桁代にはバブル景気の崩壊、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件やオウム真理教のテロなどが次々と起こり、不良債権処理などバブル崩壊の後始末が懸案となった。しかし、政界は55年体制の崩壊→非自民・非共産8党連立→自社さ連立→自民単独政権→自自連立→自自公(自公保)連立→自公連立とめまぐるしく移り変わり、「政治改革」と政界再編にかまけて有効な政策が打ち出されることはなかった。平成8-10年の橋本龍太郎内閣以降はデフレ経済に突入。各企業は採用を絞り込み、超・就職氷河期と呼ばれる就職難の時代が到来した。
平成13年の第1次小泉内閣以降は自公連立政権で安定し、「官から民へ」「行政改革」などのスローガンが叫ばれ新自由主義の考えに基づく構造改革が断行されたが、供給サイド偏重の政策によりデフレが深刻化。さらに社会に広がる経済格差が社会問題となり、消えた年金問題の発覚を契機に自民党の支持率も下落していった。また公務員や公共事業費が大幅に削減され、これは平成20年代以降の自然災害の深刻化と氷河期世代の貧困化に禍根を残した。
平成20年代にはリーマンショックや東日本大震災と福島第一原発事故が起こり、縮小する国内市場に追い討ちをかけた。この頃から日本のお家芸であった電機を中心としたハイテク産業の凋落が顕在化する。再び政界再編の動きがあり、民主党に政権が移るも日米・日中間の外交問題対応に失敗するなどして短命に終わり、自公が政権を奪還し第二次安倍長期政権の時代となる。日本の人口は平成20年(1億2808万人)をピークに減少に転じ、少子高齢化の進行が危ぶまれた。安倍政権は「アベノミクス」として従来タブー視されていたリフレ路線を断行。一定の成果を得るも時既に遅すぎた。各業界では人手不足や消費者不足が問題視されるようになり、移民と外国人観光客という外国人頼みの状況が続き、2020年東京オリンピックが逆転の切り札として期待がかけられていた。
文化
J-POPや漫画やテレビゲームなどの市場は平成一桁にピークを迎えた。
平成10年代には個人サイト、電子掲示板やブログ、SNS、動画サイトなどを始めとしたインターネット文化が隆盛したことで、オタク文化が一般化し、若者に広く受け入れられた。pixivが誕生したのもこの時期である。
平成20年代には従来「サブカルチャー」扱いだったオタク文化やネット文化がメインストリーム化し、テレビ離れやJ-POPに代表される従来型の若者文化の衰退と細分化が進む。
年表
元号 | 西暦 | 日本 | 世界 |
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平成元年 | 1989年 | 手塚治虫死去、ゲームボーイ発売、この年から翌年にかけバブル最盛期 | 天安門事件、ベルリンの壁崩壊、東西冷戦終結 |
平成2年 | 1990年 | 秋山豊寛「宇宙特派員」として宇宙へ、ネオジオ、ゲームギア、スーパーファミコン発売 | 東西ドイツ再統一 |
平成3年 | 1991年 | 雲仙普賢岳火砕流、バブル景気崩壊、スーパーロボット大戦発売 | 湾岸戦争、ソビエト連邦解体 |
平成4年 | 1992年 | 毛利衛スペースシャトルで宇宙へ、新幹線のぞみ運転開始、就職氷河期元年 | ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争始まる |
平成5年 | 1993年 | 皇太子ご夫妻ご成婚、北海道南西沖地震、大不作により米を緊急輸入、逸見政孝死去 | ビル・クリントン米国大統領に就任 |
平成6年 | 1994年 | 松本サリン事件、3DO、ネオジオCD、プレイディア、セガサターン、プレイステーション、PC-FX発売 | ルワンダ虐殺 |
平成7年 | 1995年 | 阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件、『ドラゴンボール』連載終了、漫画の売り上げがピークに | Windows95発売 |
平成8年 | 1996年 | 『ポケットモンスター 赤・緑』発売、ニンテンドウ64発売、『たまごっち』発売 | ペルー日本大使館人質事件 |
平成9年 | 1997年 | 『ファイナルファンタジー7』発売、『もののけ姫』公開、『ONE PIECE』連載開始、ポケモンショック、CD売り上げがピークに | 京都議定書採択、香港が中華人民共和国に返還、英国ダイアナ元妃事故死、Google設立 |
平成10年 | 1998年 | 山一証券自主廃業、長野オリンピック、日本がサッカーW杯に初出場、民主党結党、ネオジオポケット、ドリームキャスト発売 | 北朝鮮がテポドン発射 |
平成11年 | 1999年 | 2ちゃんねる開設、東海村JCO臨界事故、ノストラダムスの大予言騒動、2000年問題、ワンダースワン発売 | NATO軍のユーゴ空爆 |
平成12年 | 2000年 | プレイステーション2発売、有珠山と三宅島噴火、九州・沖縄サミット、大店法廃止 | ミレニアム、ジョージ・ブッシュ米国大統領に就任 |
平成13年 | 2001年 | 21世紀誕生、ゲームボーイアドバンス・ゲームキューブ発売、小泉純一郎内閣発足、不審船事件、『千と千尋の神隠し』公開、敬宮愛子内親王ご誕生 | iPod発売、アメリカ同時多発テロ、アフガニスタン攻撃 |
平成14年 | 2002年 | Xbox発売、日朝首脳会談、サッカーW杯日韓大会 | EU通貨統合 |
平成15年 | 2003年 | 有事法制可決、個人情報保護法が成立 | イラク戦争、スペースシャトルコロンビア事故、SARS、ダルフール紛争勃発 |
平成16年 | 2004年 | 新潟県中越地震、九州新幹線開業、ニンテンドーDS・PSP発売、プロ野球再編問題でストライキ、『ハウルの動く城』公開、ここまでが平成前半 | Facebook設立、米国に超大型ハリケーンが次々襲来、スマトラ島沖地震 |
平成17年 | 2005年 | JR西日本福知山線事故、愛知万博、郵政解散、日本の人口が減少に転じる、ここからが平成後半 | YouTube設立、ロンドン同時多発テロ |
平成18年 | 2006年 | 堀江貴文逮捕、秋篠宮悠仁親王ご誕生、第1回WBCで日本代表優勝、Wii・プレイステーション3発売、ニコニコ動画(仮)実験サービス開始 | フセイン処刑、Twitter設立 |
平成19年 | 2007年 | 郵政民営化、iPS細胞発見、初音ミク誕生、Pixiv設立 | iPhone発売、サブプライム問題が発生 |
平成20年 | 2008年 | 毒餃子事件、麻生太郎内閣発足、『崖の上のポニョ』公開 | 四川大地震、チベット暴動、リーマンショック |
平成21年 | 2009年 | 新型インフルエンザ流行、政権交代で民主党政権成立 | 米国オバマ大統領就任、EU新条約発効 |
平成22年 | 2010年 | 口蹄疫流行、東北新幹線全線開業、尖閣諸島沖漁船衝突事件 | iPad発売、ユーロ通貨危機 |
平成23年 | 2011年 | 東日本大震災、福島第一原発事故、LINE設立、九州新幹線鹿児島ルート全線開業、ニンテンドー3DS・PlayStation Vita発売、島田紳助引退 | 中東民主化運動、英国ウィリアム王子ご成婚、ビンラディン殺害、カダフィ殺害 |
平成24年 | 2012年 | 『パズル&ドラゴンズ』サービス開始、尖閣諸島国有化、WiiU発売、自民党・公明党が政権奪回、東京スカイツリー完成 | ロンドンオリンピック、世界人口が70億人を突破 |
平成25年 | 2013年 | 『風立ちぬ』公開、高知県四万十市で、日本国内観測史上2番目の最高気温となる41.0度を観測、『艦隊これくしょん~艦これ~』サービス開始 | 在アルジェリア邦人拘束事件、2020年オリンピック開催地が東京に決定 |
平成26年 | 2014年 | プレイステーション4発売、消費税8%に、STAP細胞疑惑、赤崎勇・天野浩・中村修二がノーベル物理学賞を受賞 | ソチオリンピック、FIFAワールドカップ ブラジル大会、イラク北部を制圧したイスラム原理主義武装勢力が『イスラム国』として独立を宣言。 |
平成27年 | 2015年 | ISIL日本人拘束殺害事件、北陸新幹線延伸開業、太平洋戦争終戦70年、安全保障関連法成立、大村智がノーベル生理学・医学賞、梶田隆章がノーベル物理学賞を受賞 | シャルリー・エブド襲撃事件、アメリカ・キューバが国交回復、パリ同時多発テロ事件、初の中台首脳会談 |
平成28年 | 2016年 | 民主党と維新の党が合併し民進党発足、平成28年熊本地震、伊勢志摩サミット開催、オバマ米国大統領が広島を訪問、大隅良典がノーベル生理学・医学賞受賞、北海道新幹線開業、『シン・ゴジラ』・『君の名は。』劇場公開、『ポケモンGO』サービス開始、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』連載終了、SMAP解散 | 英国国民投票でEU離脱が賛成多数、蔡英文中華民国(台湾)総統就任、リオデジャネイロオリンピック開催、ラーマ9世(プーミポン・アドゥンヤデート)タイ国王崩御 |
平成29年 | 2017年 | 稀勢の里横綱昇進、Nintendo Switch発売、クルーズトレイン「トランスイート四季島」・「トワイライトエクスプレス瑞風」運行開始、天皇退位特例法成立、組織犯罪対策法改正法(「共謀罪」)成立、北朝鮮弾道ミサイルが日本上空を通過、横綱日馬富士暴行事件で引退 | ドナルド・トランプ米国大統領就任、金正男暗殺事件発生、朴槿恵韓国大統領弾劾成立 |
平成30年 | 2018年 | 西日本豪雨、オウム真理教教祖らの死刑執行、桂歌丸死去、さくらももこ死去、北海道胆振東部地震、安室奈美恵引退、能登沖の日本海上で韓国軍艦艇が自衛隊哨戒機にレーダー照射 | 平昌冬季五輪開催、初の米朝首脳会談 |
平成31年 | 2019年 | 横綱稀勢の里引退、上皇明仁の天皇在位30年記念式典、イチロー引退、新元号「令和」発表、上皇明仁の退位礼(譲位) | 2回目の米朝首脳会談、人類初のブラックホールの輪郭を撮影、パリのノートルダム大聖堂で大規模火災が発生 |
余談
平成の元号発表時に当時の官房長官小渕恵三が掲げた平成の書だが、発表後はどこかの図書館や役所に保管される訳でもなく、時の総理である竹下登の家に存在していた。
それが判明したのは、竹下元総理の孫であるDAIGOが鑑定番組にそれを持ち込んだからである。
当然値段などつけられるはずもない。
その後は家族との相談の結果、国会図書館に寄付する事となった。
...総理とはいえ重要文書をそのまま持ち帰る事ができたあたり、当時の緩さが推測できよう。
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