概要
キャッチコピーは「人型可動によるキャラクター表現の追求」。TAMASHII NATIONSが企画開発し、 BANDAI SPIRITS(2018年まではバンダイコレクターズ事業部)から発売されている。
同社が展開する「TAMASHII NATIONS」ブランドの一つでもあり、対象年齢が15歳以上という事からも分かるように大きいお友達や、かつてリアルタイムで特撮を見ていた20~30代がターゲットでもある。
2008年2月に発売された仮面ライダーV3(仮面ライダーTHENEXT)を皮切りに、2020年現在では限定品含め、実に260を超える商品がラインナップされている。また前身とも言える『装着変身シリーズ』の展開が2008年末を最後にストップしていることもあり、同シリーズの事実上の後継という立ち位置ともなっている。
シリーズの誕生
元々バンダイでは、平成仮面ライダーシリーズを中心としたアクションフィギュアとして、『装着変身』シリーズが2000年代前半~中頃にかけて展開されており、これが本シリーズの原型となっている。
この「装着変身」は、1980年代に一世を風靡した『聖闘士聖衣大系』などの所謂「クロス玩具」の流れを汲む形で、素体となる人形にダイキャスト製のアーマーを「着せ替え」することでフォームチェンジを再現可能としたものであった。
そんな装着変身も、シリーズが進むにつれてキャラクター性の再現度や関節可動を向上させるべく素体形状の互換性が薄れたり、頭部や手首といった部位も差し替え式になるなど、ユーザーのニーズに合わせる形で当初のコンセプトから様々な変化が見られるようになっていた。
そして2008年春にバンダイ内部で事業部の再編成がなされ、装着変身も含む従来の男児向け玩具はボーイズトイ事業部に、超合金魂や聖闘士聖衣神話などの大人向け玩具はコレクターズ事業部に、といった具合でそれぞれ開発する玩具の住み分けがなされた。
この事業部再編と前後して、コレクターズ事業部が装着変身の兄弟シリーズとして新たに立ち上げたシリーズが『S.H.Figuarts』である。シリーズの立ち上げに際し、この頃の装着変身で既に薄れつつあった着せ替え要素を完全に廃し、同事業部が展開していた聖闘士聖衣神話や魂SPECなどで培った技術をフィードバックする形で、さらなるプロポーションや可動を重視する方向性が志向された。
こうした経緯から、装着変身の略でS.Hと捉えられることもあり、実際にシリーズ最初期の一部商品ではこの解釈に準じた説明もなされているが、後にSはSimple Style(静)、HはHeroic action(動)の略称とされ、現在ではこちらが正式なものとして用いられている。またFiguartsは、かつて『SDガンダムフォース』の関連商品として展開されていた固定フィギュア『SD-FiGUART』に由来する。
真骨彫製法
「骨格から作る」をコンセプトに、ヒーロー本来の「存在感」とフィギュアとしての「自然な可動」の両立を追求した、新製法「真骨彫」を採り入れた派生ブランド。2014年より展開開始。
ブランド立ち上げ以降はこの「真骨彫製法」シリーズで既存商品のリメイク、つまり事実上のリニューアルがなされる事が殆どとなっている。
また近年は軟質カバーによるシームレス関節搭載の仮面ライダーBLACKやシャドームーン、パーツ換装によるフォームチェンジギミック搭載の電王やオーズの各フォームなどの意欲作も増えた。
この真骨彫製法シリーズは牙狼など一部例外を除き実質的に仮面ライダー専用ブランドともなっていたが、2021年に同ブランドからウルトラマンティガが発売されたことで今後ウルトラシリーズのブランドとしても機能すると思われる。
……のだが、そのティガでは発売から半年も経たない内に、多用された軟質パーツの塗膜剥離や新素材パーツの劣化・破損等の報告が相次いでいる。ブランド自体の先行きを不安視するファンも多い反面、軟質素材を多用したことにより当時のスーツアクターを務めた権藤氏に極限まで近づけたプロポーションを再現しつつ、これまでのどのフィギュアーツよりも圧倒的に広い可動域を破綻なく仕込むことに成功している。改善点はあるものの今後の動向にも注目したい。
ちなみに、仮面ライダーシリーズだけ何故か入手難度がぶっちぎりに高いという現状がある。これは平成ライダーのみではなく昭和ライダーさえも例外ではない。
その事実が判明したのは、同ブランドのゴーカイレッドやウルトラマンダイナが発売から数ヶ月経っても定価以下でネット通販でも入手が容易になったためこれを「ようやくバンダイも生産ラインを安定させてくれた」と購買層が誤解したのが発端。
しかし、その後発売された仮面ライダーファイズは他ライダー同様あっけなく瞬殺となり、いつも通り倍近い値段で転売が相次いだことでこのブランドは仮面ライダーだけ需要が異常である実態が逆説的に判明した。さらにファイズはオフィシャルショップでも再販告知があったがそれを平日に行うという暴挙に出たのもありここでも買えなかった人が多数、「ファイズの再販など都市伝説だろ」とぼやく人すら出てくる有様だった。
半田健人「(真骨彫ファイズは)一度も買ったことのない人にもオススメしたい…」
…以前に、現実はこの異常な需要のせいで、身構えないと買う事すら厳しいのだった…。
そのため真骨彫=仮面ライダーというイメージを持つ人が多く、良くも悪くも仮面ライダーを象徴するようなブランドと化している。
ラインナップの傾向と価格の変遷
前述した背景もあり、ラインナップの主力は仮面ライダーシリーズを始めとする特撮作品であるが、原則として特撮作品に限定していた装着変身とは異なり、Figuartsではプリキュアシリーズなど東映(東映アニメーション)制作の作品に登場するキャラクターもラインナップの中心となっているなど、ジャンルの幅もさらに広げられているのが特徴である。
上記以外ではサンライズ制作、少年ジャンプ原作、藤子不二雄原作、MBS日5枠など、バンダイがスポンサーとして参加している、放送時間が朝か夕方の作品の登場キャラクターからもラインナップされる事が多い。
Figuartsとほぼ同時期に展開がスタートし、深夜アニメやゲームを中心に多様な作品のキャラクターがラインナップされているfigma(グッドスマイルカンパニー)とはある意味対照的な存在であったが、近年はD-Artsとブランドを統合するなどといった取り組みを経て、マリオや映画泥棒、山村貞子といった上記の枠に括られない商品も増えつつある。
また2013年11月に発売されたダフトパンクのように、実在の人物の商品化は当初はシリーズ内における異端と見なされていたが、デジタル彩色の導入により顔の再現度が劇的に向上したことで、俳優やアーティストのアクションフィギュアも、Figuartsブランドとして積極的に製品化されるようになった。
一部の商品はリニューアルバージョンとして、造形や可動を見直す形で再商品化されたり、後続の商品でグレードアップ用のパーツが補完される事もあり、真骨彫製法ブランドにてリメイクが行われることが多い。
価格は初期は2500円前後のものが多かったが、物価の高騰に伴い最近のものは6000円~8000円前後と値上がりが続いている。
また、最近は公式通販サイト「魂ウェブ商店(プレミアムバンダイ)」による受注生産で商品が展開される事も多い。むしろアニメキャラや特撮キャラクターに関しては完全に魂ウェブに市場を移したと言っても過言ではない状態で、現在の一般販売分はハリウッド映画などの実在する(した)人物のフィギュアに重点を置いている。
また、近年はコロナ禍の影響か、試作段階まで企画が進行していたはずの本シリーズでのプリキュアシリーズの新展開及び、既存ラインナップのリニューアルの続報がぷっつり途絶え、代わりに美少女戦士セーラームーンシリーズの展開に力を入れている状況である。例として、2018年前後に公式でアナウンスがなされたはずのYes!プリキュア5GoGo!のキュアドリームの向上した技術でのリニューアルは事実上の頓挫状態であるなど、ファンをやきもちさせる状況が続いている。
ラインナップ(発売前含む)
仮面ライダーシリーズ
- 仮面ライダー
- 仮面ライダーV3
- 仮面ライダーX
- 仮面ライダーアマゾン
- 仮面ライダーストロンガー
- 新・仮面ライダー
- 仮面ライダースーパー1
- 仮面ライダーBLACK
- 仮面ライダーBLACKRX
- 仮面ライダーZO
- 仮面ライダーJ
- 仮面ライダーTHEFIRST・仮面ライダーTHENEXT
- 仮面ライダークウガ
- 仮面ライダーアギト
- 仮面ライダー龍騎
- 仮面ライダー555
- 仮面ライダー剣
- 仮面ライダー響鬼
- 仮面ライダーカブト
- 仮面ライダー電王
- 仮面ライダーキバ
- 仮面ライダーディケイド
- 仮面ライダーW
- 仮面ライダーOOO
- 仮面ライダーフォーゼ
- 仮面ライダーウィザード
- 仮面ライダー鎧武
- 仮面ライダードライブ
- 仮面ライダー3号
- 仮面ライダーゴースト
- 仮面ライダー1号(映画)
- 仮面ライダーアマゾンズ
- 仮面ライダーエグゼイド
- 仮面ライダービルド
- 仮面ライダージオウ
- 仮面ライダーゼロワン
- 仮面ライダーセイバー
- 仮面ライダーリバイス
- 仮面ライダーBLACKSUN
- シン・仮面ライダー
- 仮面ライダーギーツ
- 仮面ライダーガッチャード
スーパー戦隊シリーズ
- 秘密戦隊ゴレンジャー
- 太陽戦隊サンバルカン
- 五星戦隊ダイレンジャー
- 鳥人戦隊ジェットマン
- 恐竜戦隊ジュウレンジャー
- 特捜戦隊デカレンジャー
- 轟轟戦隊ボウケンジャー
- 侍戦隊シンケンジャー
- 天装戦隊ゴセイジャー
- 海賊戦隊ゴーカイジャー
- 特命戦隊ゴーバスターズ
- 獣電戦隊キョウリュウジャー
- 機界戦隊ゼンカイジャー
- 暴太郎戦隊ドンブラザーズ
- 王様戦隊キングオージャー
- 非公認戦隊アキバレンジャー
メタルヒーローシリーズ
ウルトラシリーズ
- ウルトラマン
- ウルトラセブン
- 帰ってきたウルトラマン
- ウルトラマンA
- ウルトラマンタロウ
- ウルトラマンレオ
- ウルトラマンティガ
- ウルトラマンダイナ
- ウルトラマンガイア
- ウルトラマンメビウス
- ウルトラマンゼロ
- ウルトラマンギンガ・ウルトラマンギンガS
- ウルトラマンX
- ウルトラマンオーブ
- ウルトラマンジード
- ウルトラマンR/B
- ウルトラマンタイガ
- ウルトラマンZ
- ウルトラマントリガー
- ウルトラマンデッカー
- ウルトラマンブレーザー
- ウルトラギャラクシーファイト
- ULTRAMAN(漫画)(ULTRA-ACTとのダブルブランド、後に独立)
- シン・ウルトラマン
- ULTRAMAN:RISING
プリキュアシリーズ
- ふたりはプリキュア・ふたりはプリキュアMaxHeart
- ふたりはプリキュアSplashStar
- Yes!プリキュア5GoGo!
- フレッシュプリキュア
- ハートキャッチプリキュア
- スイートプリキュア
- スマイルプリキュア
- ドキドキ!プリキュア
- Go!プリンセスプリキュア
- 魔法つかいプリキュア
- キラキラ☆プリキュアアラモード
- Hugっと!プリキュア
- プリキュアオールスターズNewStage
- この内、2020年代時点では、Hugっと!プリキュアはキュアアンジュが未商品化。魔法つかいプリキュアは企画の立ち消え状態(キュアミラクルの彩色見本は完成していた模様)、ハピネスチャージプリキュアに至っては、未商品化のままである。また、プリキュアでも堅実な売上が見込めるはずのYes!プリキュア5GoGo!のキュアドリームのリニューアル品の発売も続報がなく、事実上の頓挫と思われる。
牙狼シリーズ
ジャンプ系
ガンダムシリーズ
映画
- アイアンマン
- アクアマン
- インディ・ジョーンズ
- 映画泥棒
- エターナルズ
- ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
- キャプテン・アメリカ
- ゴーストバスターズ
- サイボーグ
- ザ・フラッシュ
- ジョーカー
- スーサイド・スクワッド
- STARWARS
- スパイダーマン
- スーパーマン
- ドクター・ストレンジ
- ニンジャバットマン
- パイレーツ・オブ・カリビアン
- バットマン
- ハリー・ポッター
- ハーレイ・クイン
- ブラックパンサー
- 山村貞子
- ワンダーウーマン
- ザ・スーサイド・スクワッド※フィギュアーツのみならず、バンダイが当初から明確にR15+指定された作品をホビー化するのはこれが初
その他
- アイカツ!(星宮いちご&大空あかりには斧が付属する)
- アクセル・ワールド
- 暴れん坊将軍
- イカゲーム
- インジャスティス
- ウマ娘プリティーダービー
- ELDEN_RING(エルデンリング)
- 王様ランキング
- カードキャプターさくら
- 覚悟のススメ
- キングダムハーツ
- 荒野のコトブキ飛行隊
- コードギアス
- 人造人間キカイダー
- SYNDUALITY
- スクライド
- STARDRIVER
- ストリートファイター
- 東映版スパイダーマン
- スーパーマリオ
- 聖闘士星矢
- 葬送のフリーレン
- TIGER&BUNNY
- つば九朗
- ドラえもん
- パックマン
- パーマン
- ばくおん!!(フィギュア+バイクのセットでリリースされる)
- 美少女戦士セーラームーン
- ベルセルク
- ポケモン
- ボディくん&ボディちゃん(デッサン用フィギュア)
- NieR:Automata
- マクロスF
- マクロスΔ
- 名探偵コナン
- ラブライブ!
- ルパン三世
実在の人物
派生シリーズ
ROBOT魂・・・ガンダムなどロボット専門のアクションフィギュアシリーズ。
D-Arts・・・ポケモン、ロックマンなどゲームキャラクター専門のシリーズ。後にS.H.Figuartsと合併した。
Figuarts ZERO・・・S.H.Figuartsの技術を反映した非可動の小型フィギュア。
S.H.MonsterArts・・・ゴジラシリーズやハリウッドモンスター映画の怪獣アクションフィギュア。
関連タグ
アクションフィギュア ニチアサ figma ULTRA-ACT