見てろよ、全ての戦隊!!
(本作のキャッチコピー)
概要
2021年度のスーパー戦隊シリーズ作品。
2020年12月21日に東映および各報道機関で初公開された。
2021年3月7日から2022年2月27日までオンエア。全49話。
スーパー戦隊シリーズ第45作記念作品である。
本作のヒーローのモチーフは「スーパー戦隊」。
初期メンバーの構成はこれまでと一線を画した1人の人間と4人のロボット。
シリーズ恒例の巨大戦はヒーローがメカに乗って戦うだけで無く、ヒーローその物が巨大ロボになり戦うと言う、これまでのシリーズと異なった演出が成されている。
作風は『激走戦隊カーレンジャー』を彷彿とさせるスラップスティックが特徴であり、公式からシリアスと明言された回においても笑いを誘うシーンが必ずあるだけで無く、ヒーローも敵の戦いも何所かコミカルに演出されている(公式はこれらの演出について「ゼンカイ脳」と呼称している)。
しかし、一方で本筋のストーリーや物語そのものは一貫して王道路線であり、コミカルな作風をしつつもシリアスな設定やブラックな展開も普通に存在する。同時にギャグを散りばめつつも引き締めるべき所はしっかりと引き締めるので、そこについてもファンからの評価は高い。
また、アニバーサリー作品らしくこれまでに登場した戦隊の要素をふんだんに使っているが、『海賊戦隊ゴーカイジャー』の様なオリジナルキャストの登壇は極僅かで、一貫して本編外の番外編でしか登場していない。これは公式によるとゴーカイジャーとの差別化も意識したらしい。
レジェンドが登場しない作中での理由として、本作は『宇宙戦隊キュウレンジャー』同様、これまでのレジェンド戦隊達とは別世界の戦隊である事が明示されている事が挙げられる。この辺りのゼンカイジャーで明かされた各スーパー戦隊の世界観の設定に関しては詳しくは後述する。
何気にスーパー戦隊シリーズで初めて敵組織に所属する完全な悪の女性キャラが登場しない作品となる。
また『星獣戦隊ギンガマン』以来23年振りに戦隊ヒロインと敵側の女性キャラとの交戦シーンが1度も無い作品でもある。(5年前では秘書を相手にタイガーが行い、(シャークも蹴りはしていた。)2年前も怪人とピンクが刃を合わせていた)。
また最終回で初めてキャストとスーツアクターが同時表記された戦隊作品であり映画をカウントすると『轟轟戦隊ボウケンジャーTHE MOVIE 最強のプレシャス』以来15年ぶりとなる。
さらに、最大の特徴として、シリーズに興味がない、詳しくない人でも持てるほどのイメージでもあり、前作まで、そして次作以降も一貫して守られてきた「主人公は赤」という伝統を初めて破っており、これだけでも歴代でも屈指の異色作となっている。
ストーリー
機械生命体キカイノイドの世界「キカイトピア」を支配する悪の王朝トジテンドは、数多の並行世界を機械歯車トジルギアに閉じ込め征服していた。
それにより、『スーパー戦隊』が活躍する世界を始め、この世に無数に存在する“並行世界”が次々と消えてしまったが、最後の並行世界・人間界だけは何故か閉じ込める事が出来ず、キカイトピアの領土の一部と融合してしまう。
それから一ヶ月後。世界からキカイトピアは消え、残されたキカイノイドたちと人間はしだいに打ち解け、徐々に共存を始めていた。ところが、それを良しとしないトジテンドはトジルギアの封印から武力による制圧へと方針を変更、人間界への侵略を開始する。
人間の青年・五色田介人は、祖母・五色田ヤツデが営む駄菓子カフェ「カラフル」の地下に眠っていた秘密のラボを見つけ、研究者だった両親が残していた「機界戦隊ゼンカイジャー」として戦う為のアイテムを発見する。
介人はゼンカイジャーへの変身アイテムであるギアトリンガーとセンタイギアを使い、トジテンドと戦う事を決意。
そんな介人と共に戦う共存派のキカイノイドをメンバーとして集め、機界戦隊ゼンカイジャーを結成。トジテンドと戦っていく。
これは、この世に沢山存在する「並行世界」をすべて消し去ってしまおうとする敵に「全力・全開」で立ち向かうヒーローたちの活躍を描く物語である。
メインスタッフ
メインスタッフはプロデューサーに白倉伸一郎・武部直美の師弟コンビ、またパイロット監督に中澤祥次郎、メインライターが香村純子の布陣となった。
音楽面では主題歌を『ウルトラマンダイナ』で人気を博したつるの剛士、劇伴(BGM)を昭和東映特撮を支え続けた渡辺宙明らが担当する。
ナレーションは『ニンジャスレイヤー』でお馴染みのゴブリン氏、アイテム等の音声はレニー・ハート(追加戦士の変身ツールのみ関智一氏)が担当。
登場キャラクター
機界戦隊ゼンカイジャー
- 五色田介人/ゼンカイザー(演:駒木根葵汰)
- ジュラン/ゼンカイジュラン(CV:浅沼晋太郎)
- ガオーン/ゼンカイガオーン(CV:梶裕貴)
- マジーヌ/ゼンカイマジーヌ(CV:宮本侑芽)
- ブルーン/ゼンカイブルーン(CV:佐藤拓也)
駄菓子喫茶・カラフル
世界海賊・ゴールドツイカー一家
- ゾックス・ゴールドツイカー/ツーカイザー(演:増子敦貴)
- フリント・ゴールドツイカー (演:森日菜美)
- カッタナー・ゴールドツイカー(CV:鈴木崚汰)
- リッキー・ゴールドツイカー(CV:松田颯水)
キカイトピア王朝・トジテンド
その他
呼称表
が\に | 介人 | ジュラン | ガオーン | マジーヌ | ブルーン | ヤツデ | ゾックス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
介人 | 俺 | ジュラン | ガオーン | マジーヌ | ブルーン | ヤッちゃん | ゾックス |
ジュラン | 介人 | 俺 | ガオーン | マジーヌ | ブルーン | ヤツデ | 界賊のあんちゃん |
ガオーン | 介人 | ジュラン | 僕 | マジーヌ | ブルーン | ヤツデ | ゾックスちゃん |
マジーヌ | 介人(最初はさん付け) | ジュラン(時々おじちゃん) | ガオーン | 自分 | ブルーン | ヤッちゃん | ? |
ブルーン | 介人(最初はさん付け) | ジュラン | ガオーン | マジーヌ | 私 | ヤツデ | ゾックスさん |
主な巨大戦力
各話リスト
話数のカウントは「第〇カイ!」と表記し、サブタイトルは「~かい!」とこじつけてでも終わるのが特徴(第20カイ!のみセイバーに合わせて「……、〜〜かい。」となっている)。尚、サブタイトルはOP開始前にセッちゃん役の福圓女史が読む(最終カイ!のみEDのラストでゼンカイジャーのメンバーと共に読み上げ)。
各エピソードではBパート開始時のみだが、アイキャッチが取り入れられている。尚、戦隊シリーズでアイキャッチが導入されるのは『獣電戦隊キョウリュウジャー』以来8年ぶりである。
音楽
本作は『快盗戦隊ルパンレンジャーvs警察戦隊パトレンジャー』(以下『ルパパト』)以来、エンディングテーマが存在しない。但し、恒例のダンスはまさかのOPでの採用となった。
主題歌
作詩:マイクスギヤマ/作・編曲:園田健太郎/歌:つるの剛士・ことのみ児童合唱団
OP主題歌。
挿入歌
関連作品
劇場版
2021年2月20日公開。
本作の単独作品。時系列はTVシリーズ第6カイと第7カイの間。
2021年7月22日公開。
『仮面ライダーセイバー』及び歴代スーパー戦隊、歴代仮面ライダーとのクロスオーバー作品。また、TVシリーズ第20カイはこの映画の公開を記念した合体スペシャルとなっている。
スピンオフ
2021年3月にTELASAにて配信。本作初のスピンオフ作品。
過去に歴代の戦隊レッドと出会っている点から、『赤い戦い!オール戦隊大集会!!』の後日談と思われる。
2022年6月5日にTTFCにて配信。本作と『海賊戦隊ゴーカイジャー』のクロスオーバー作品。
ゾックスとマーベラスが既に知り合いな点から、『ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー』のより後の時系列となっている。
Vシネクスト
2022年4月29日より期間限定上映、同年9月28日にDVD&Blu-rayが発売。
前作『魔進戦隊キラメイジャー』及び『センパイジャー』とのクロスオーバー作品。時系列は最終カイの後。
2023年5月3日より期間限定上映、同年9月27日にDVD&Blu-rayが発売予定。
次作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』とのクロスオーバー作品。こちらも最終カイの後で、『ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー』の後の時系列でもある。
その他
- 『しくじり先生』
テレビ朝日系列のバラエティ。2021年2月15日放送のテーマは「しくじりスーパー戦隊」で、マンネリから様々な挑戦に挑み失敗してそして復活に繋がった3つのスーパー戦隊についてトークが行われた。
その終盤、ゼンカイジャーについて明かされ(この回の先生役の麒麟・川島曰く1番攻めた)、設定や出演者のヤツデを演じる榊原についてMCであるオードリー若林やゲスト(ガオレンジャーでガオブラック/牛込草太郎役の酒井一圭氏とゼロワンで仮面ライダーバルキリー/刃唯阿役の井桁弘恵氏の特撮経験者。またMCの1人である吉村は4年前の戦隊映画で悪役出演経験があった)と話を繰り広げそしてラストにゼンカイザーが登場して前述の映画との宣伝を行った。そして、ダイ33カイに登場したダイワルドの断末魔がこれを思わせる物であった。
レジェンド戦隊との共演
本作のテレビ放映中、劇場版、スピンオフ等で共演したレジェンド戦隊は以下の通り(テレビ終了後も含めると、『ゼンカイジャー』主演作品でなくても共演歴と無理やり数え事ができるのでテレビ放映中のみ作品カウント)。
作品名 | 登場レジェンド |
---|---|
赤い戦い!オール戦隊大集会!! | |
ゼンカイレッド大紹介! | |
スーパーヒーロー戦記 | |
ゼンキラセンパイ | |
ツーカイザー×ゴーカイジャー |
|
余談
並行世界設定
本作のキーとなる並行世界には過去のシリーズの舞台となる世界も含まれている為、本作は10年前の第35作『海賊戦隊ゴーカイジャー』以来のクロスオーバー作品になるとされており、その関係でスペシャルサンクスとして石ノ森章太郎氏のクレジットが入っている。
ただし、これまでのスーパー戦隊シリーズはTV本編やそれに直接付随する作品は、完全に独立した世界観と設定で描かれながらも、クロスオーバー作品に限っては『キュウレンジャー』以外の戦隊は世界観が繋がっている前提で製作されていたが、今作ではそれぞれの戦隊の世界観が完全に独立した『仮面ライダーディケイド』と同様の設定となっており、同時にゴーカイジャー等のクロスオーバー作品に関しては、複数の戦隊が存在する固有の世界の設定が公開されている。
つまりは、スーパー戦隊シリーズには各作品のTV本編やそれと直結する映画等を基準とする、それぞれバラバラに独立した「各戦隊の世界群」と、複数の戦隊が同一世界上に存在するゴーカイジャーやVSシリーズを初めとした「レジェンド戦隊の世界」の、ざっくりと分けて2種類の世界が存在するのである。
そして、前者のTV本編の世界と同じような事件や出来事が、後者の世界の各戦隊の方でも起こっていた設定である模様。
白倉伸一郎氏曰く「並行世界が無数にある設定の為、各戦隊と各世界が一つ一つ対応する訳ではない」との事であり、おそらくは『ウルトラマン』のマルチバースと似た様な設定だと思われる。まとめると、同じ戦隊でも独立した世界や他の戦隊と地続きの世界など、様々な世界が存在する事である。
また、同じく白倉氏が担当した仮面ライダー側のクロスオーバー作品である『仮面ライダージオウ』でも、当初はライダーシリーズに関しては同一世界であるかのように描かれていたものの、最終的には各ライダーがバラバラに独立した世界群と、ジオウを初めとした複数のライダーが地続きの世界の2つが存在する設定になっており、これがライダーや戦隊の世界観に関する東映側の結論だと思われる。
異色作となった理由
45作品記念作と言う事で、当初から既にモチーフは「スーパー戦隊」と決定していたらしく、当初は『センタイ戦隊センタイジャー』と言うタイトルだった。
しかし、流石にこれは出落ち感があった事もあり、紆余曲折を経て現在の『ゼンカイジャー』となっている。
『ルパパト』以来の異色……と言うより東映上層部がかねてより主張していた戦隊スタッフの意識改革の必要性(詳しくは後述)を反映した結果、主要のメインキャストが主人公と祖母(歴代最高齢ヒロイン)だけであり、それ以外全員人間態を持たないロボット達となっている。
これまでに説明されている通り、「人間一人とロボット四人」と言う異様なスタンスについては、単に注目を集める為の客寄せでは無く、その設定は徹底して貫かれている。
その一例として制作発表会の際、四人は声優等の代理では無く変身前そのままの姿で出席していた(しかもその上でコロナ対策のパーティション席に座って談話していた)。
追加戦士枠であるゾックス・ゴールドツイカーとその妹フリント・ゴールドツイカー(メカニック担当)と弟達が現れてもやはり人間の女性戦士不在のままである(その代わり、本編内で1度だけフリントがツーカイザーに変身している)。
第20カイにて仮面ライダーサーベラと共闘した為他作品の人間の女性戦士の方が先にテレビ出演してしまった。
戦隊スタッフの意識改革とは
スーパー戦隊シリーズは2014年度の『烈車戦隊トッキュウジャー』を最後に毎年玩具売り上げが年商100億を下回っており、特に2018年度の『ルパパト』以降は歴代最低の状況が続いていた。
コロナ禍でも仮面ライダーシリーズやウルトラマンシリーズの玩具売上は好調だったのでコロナ禍は言い訳に出来ない。
2020年11月に開催された東京国際映画祭でのトークショーの際、本作のプロデューサーを務める白倉伸一郎は近年の売り上げ低迷の理由について、「スポンサーであるバンダイとの関係がうまくいっていないからではないか」と言う指摘に対し「むしろ東映スタッフ達の番組に対する意識の問題である」と語っている。(参考動画)
以下、発言の要約
ここ最近メンバーが「常に正しい心と強い身体を持ったイケメン&美女」に拘りすぎて「何のために集まって戦隊となったのか?」という肝心なところを疎かにしていた。
- 「ゴーバスターズ」以降、スーパー戦隊シリーズはロボを重視した作品を作っている(近年の傾向)。
- ロボを消化試合と誤解している視聴者が多く見られるが、スーパー戦隊の放送枠はそもそも長浜ロマンロボシリーズの放送枠である事から分かるように主役はあくまでもロボであり、ロボット特撮をするための枠がスーパー戦隊シリーズである(作らなければならない物)。
- しかし現場はキャスト中心で撮影が回るので、どうしても等身大のドラマパートやアクションを重視しがちである。とはいえ、これは作品のクオリティを高めるために必要な要素ではある(実際に作っている物)。
- 問題なのは近年東映スタッフ自身に「巨大戦は外注のスタッフである特撮班が勝手に作る物で自分達には関係ない物である」考えが蔓延しており、特撮班に対して「同じ番組を作っている仲間」の意識が希薄になっていた事である。(現状の問題点)
要約終わり
この問題点を解決し、また近年のスーパー戦隊シリーズの低迷を打破する狙いもあり、白倉が本作で戦隊に復帰するに当たり、本作で敢えて「人間1人とロボヒーロー4人という構成」や「顔出しの戦隊ヒロインが不在」にしたとの事。
またスタッフの意識も払拭する為に、上記の「等身大と巨大戦の両方で同じ戦士が戦うスタイル」が提案され、本作の独自のスタンスとして導入に至っている。
ネット上での評価
尚、本作自体の人気や評価は非常に高い状態を維持しており、Twitter等のSNSでもトレンド入りの頻度は歴代戦隊と比較しても抜きん出ている方で話題性も非常に高かった。
コロナ過の暗い時代において、コミカルで影のある面もありながらも明るく魅力的なキャラクター達に加えて、本筋は王道でシリアスに締めるべき所は締めながらも、同時にコミカルで型破りなストーリーは、多くの視聴者から人気を得て、物語終結後は随所で「ゼンカイロス」なる言葉が頻出した。
実際に、2021年度のネット流行語大賞では“19位”にランクインしており、スーパー戦隊としては久々にトップ20圏内を獲得する事となった(しかもこの年のランキングはウマ娘、エヴァ、呪術廻戦等のビッグタイトルが乱立した激戦区である)。
単純な玩具の売り上げでは『ゼンカイジャー』よりも上である筈の同期の『仮面ライダーセイバー』や『ウルトラマントリガー』、そしてセイバーと入れ替わる形でスタートした『仮面ライダーリバイス』を優に超える順位でもあり、玩具の売り上げだけが作品人気を示す指標になる訳では無い事を示した事例だと言える(この手のランキングで戦隊が仮面ライダーを超える事自体がかなり久しぶりの快挙である)。
更には最終回が「全世界トレンド1位を獲得する」快挙を成し遂げており、その人気ぶりを最後までキープし続けた。
ゼンカイジャーの人気と話題性の高さは後継の作品にも影響を及ぼしており、後輩のドンモモタロウは本作に客演する形で先行登場した事で、本編放送開始前からTwitterでトレンド入りする等大き題と注目を集める事となった。
話題性の大きさと裏腹に…?
ただし、「Twitterでのトレンド化」などの話題性の大きかったが、芸能ニュースを盛り上げている人が一概に人気がある芸能人とは限らないように、結果的に本作も玩具売上は低迷する事になり歴代最低となる44億円となってしまう。上記では玩具の売り上げだけが作品人気を示す指標になる訳では無い…と書いたが、逆説的に敢えて悪く言ってしまえば「いくらネットで受けても作品の売上に繋がらなかった」証明でもある。
作品自体の問題としては、主力商品である筈のゼンカイオーが中盤以降ほぼ組み換え変形を行わなくなってしまったり、ゼンカイジュウオーの目玉ギミックの一つであるスーパーゼンカイオーがまさかの2回しか登場しない上にその両方が黒星になる展開など、良くも悪くも玩具展開をおろそかにしたストーリーが少なからず存在した事や、視聴者から屈指の人気キャラクターに成長したステイシーのグッズが少ない点も指摘されている。
これは、本来ステイシーは製作陣がステイシー役の世古口凌氏を演じて貰う様に急遽当て書きで作られた都合上、そもそもステイシー関連のグッズは想定されていなかったからであり、実際ステイシーザーの変身アイテムであるギアトジンガーは10月24日予約終了と極めて早い段階で締め切られている。
『ゼンカイジャー』本編でもステイシー(とステイシーザー)は終盤まで活躍する展開を見せただけに、人気キャラとグッズ需要がイマイチ噛み合わなかったのも売上が上手く上がらない一因となった。その教訓を経て次回作ではドンムラサメが誕生する事になった。
また、ネット上で大きくバズった割に売上が伸びなかった原因については、前述した通り良くも悪くも玩具展開をおろそかにしたストーリー展開が散見された事で、「視聴者の内輪のノリの話題性だけで終わってしまい、玩具を購入する訴求力に繋がらなかった為」と見られてりもしている。
更に、他のヒーローの力を使うヒーローとしては珍しく、テレビシリーズ本編中では一切なく(例外として次作『トンブラザーズ』の先行登場のみ)で、子供達からしたらそれらのヒーロー達に対しての説明が無さすぎた事も起因していると考えられる。
本編中、ヒーローの力を使いはするが、『ゴーカイジャー』で言うレジェンド、仮面ライダーシリーズでの先輩ライダー等の様な定形な説明演出が少ないので、いくら吸収力のある子供とはいえ、何の説明も無しに一度に44作品のレジェンドを理解するのが無理があったと思われる。
売上低迷の原因として長い間斜陽になっていた『ウルトラシリーズ』の復権(売り上げは既に『ウルトラシリーズ』に負けている)や、ライバル会社のタカラトミーが『シンカリオン』や『ガールズ×戦士シリーズ』と言った競合作品を出して来た点も考えられる。
特に『シンカリオン』については第一作が放送されていた時点でバンダイも脅威に感じていると語っており、キッズ向けロボット関連が戦隊一強では無くなってしまった事も大きい。
最早この辺の玩具売り上げは総合的には個々の作品ではなく、今のスーパー戦隊シリーズのコンテンツ自体の問題なのではと考える意見も根強く出ており、スーパー戦隊シリーズ自体が根本的に見直されるべき時期に達していると言える。本作のビジネス的失敗は、翌年ではこれらのロボット商法やネット販売路線をより模索する『ドンブラザーズ』で活かされる事となる。
つまりはゼンカイジャーは単体での売り上げは失敗したが、次回作以降にその課題を提起して更なる改善とブラッシュアップに繋げる役割は果たしたとも言える。
しかし、作品人気が無ければ現在ではお馴染みのメモリアルアイテムすら作られない為、やはり作品自体の人気も大事である事が分かる(実際、かなり早い段階でメインキャラのメモリアル変身アイテムは全種類販売された)。
スパロボ参戦
スーパーロボット大戦DD2周年記念として期間限定参戦する事が「鋼の超感謝祭2021」内にて発表され、それを記念して介人役の駒木根葵汰からビデオメッセージが送られた。
尚、スーパー戦隊としてのスパロボ参戦は同じくアプリゲーとして登場した『スーパーロボット大戦X-Ω』に参加した『恐竜戦隊ジュウレンジャー(期間限定参戦)』と『海賊戦隊ゴーカイジャー(正規参戦)』に続く3例目でありDDとしての参加は今回が初である。
因みに、スパロボに放送中の作品の参戦はシリーズ初であるが、前作のキラメイジャーが放送中に戦姫絶唱シンフォギアXDにコラボ出演しているのでアプリゲーに放送中の戦隊が出演すると言う意味では2番目となる。
とは言え、『ゼンカイジャー』はソシャゲのコラボではスーパー戦隊シリーズ史上初の声付き参戦である事も注目出来る点だろう。
開催期間は9月8日から22日。
ストーリーはガオガイガーのストーリーでEI-25が開いたESウィンドウからでてくる。
そのため当初はピッツァに言われるがままガオガイガーと敵対し、ゾンダーと間違われEI-26と呼ばれていた(誤解が解けた後はその記録は抹消されたが……)。
関連動画
ゼンカイジャー初公開スペシャル動画
関連項目
海賊戦隊ゴーカイジャー:本作と同じく全スーパー戦隊の要素が押し出された作品。ツーカイザー×ゴーカイジャーでコラボ。
魔進戦隊キラメイジャー → 本作 → 暴太郎戦隊ドンブラザーズ