おやっさん
おやっさん
概要
昭和ライダー第1作『仮面ライダー』において、主人公の本郷猛を演じた藤岡弘(現:藤岡弘、)が、小林昭二演じる立花藤兵衛の事を「親父さん」と呼んでいたのが「おやっさん」と聞こえる独特のイントネーションだった事から同人物の愛称として定着(諸事情で一時期納谷六朗氏や市川治氏が1号の声を担当した時はハッキリ「親父さん」と言っている)。
以降の『仮面ライダーV3』・『仮面ライダーX』・『仮面ライダーアマゾン』・『仮面ライダーストロンガー』に立花藤兵衛が登場した際も親父さんの愛称として使用され、『仮面ライダー(スカイライダー)』・『仮面ライダースーパー1』の谷源次郎ら、主人公を支え見守り、時には思い悩む主人公を励まし叱咤激励する、同シリーズの年上の人物の共通の愛称としても使用されるようになった。
視聴者及び旧ライダーの配役から「おやっさん」と明確に呼ばれるようになったのは、パロディコント『仮面ノリダー』の影響が強いと思われる。
その後、仮面ライダーシリーズから派生して、主人公をサポートする年上ポジションキャラの愛称としてアニメ作品等でも使用されるようになった。
また、このようなポジションの演者はキャストクレジットの最後の方に表記されることが多い。
なお、昭和ライダーの中でもV3・風見志郎を演じた宮内洋氏は小林氏とは実際に劇中のおやっさんと志郎のような間柄の親交を持っており、小林氏の死去の際は宮内氏は男泣きを見せた程だった。
後続作品への影響
平成ライダーでは、上記の条件に該当する人物を、作品中で「おやっさん」と呼ばないケースもあり、また積極的に関わる姿勢は描写されないようになり、中には該当者が登場しない例もある。これは、「いかにも年の功を重ねた年長者に恭しく接する好青年」という昭和ライダー恒例の型をあえて取り外し、「自分たちで苦しみ悶え、迷いながら答えを探しに行く」という平成ライダー流の瞬瞬必生を体現した出来事かも知れない。
しかしながら、“おやっさん”とは呼称されないものの、「主人公をサポートする年上ポジション」というキャラクター自体は数多く存在しており、自分たちの世代では本当に糸口のつかめない問題に直面した際に、部外者だからこそ指摘できる客観的意見や経験に基づく提言や厳しくも重みのある諌言など、ターニングポイントではしっかりと光る役回りを演じており、単なるモブとして埋もれない輝きを放っている。
それらをひっくるめて“おやっさん枠”と呼称する向きも一部ではみられ、「主人公よりも年上」「主人公にとって身近な存在で、活動を見守っている」「主人公が困った時に相談したり、解決法を(直接・間接問わず)教える人物」の条件を揃えて、該当する人物を「おやっさん枠」として視聴者が扱う場合がある。平成以降の作品では女性が該当することも多い。
『仮面ライダージオウ』の放送中に更新を開始した東映公式「仮面ライダー図鑑」の登場人物図鑑は特徴で絞り込むことが可能であり、その特徴の中に「おやっさん枠」がある。これをもって「おやっさん枠」の扱いが公式で明示されるようになった。
これらは仮面ライダーに限らず、様々な作品でも昇華していき、物語の核心には触れないが主人公を決断的な選択に導く役回りを「仮面ライダーにおけるおやっさん枠」と例える者もよく見受けられる。
撮影における「おやっさん」復活?
近年ではこのポジションのキャラクターに脇役キャリアの長い俳優や名優、俳優としても活動しているお笑い芸人が起用されるケースも増えている。
基本が児童向けということもあり、コメディーリリーフ的立ち回りはウケが取りやすい。しかしこれは現代のTVドラマではまれに見る4クールの通年撮影(Vシネや前映画も含めると一年半)という異次元にハードな現場をモデル上がりか未経験者で固めたキャリアの浅い主演陣で乗り切る際に必要不可欠なポジションである。結果、当人も体を張ることが出来て、若手のメンタルケアも充分に行える芸達者が要求される。現場での役回りは現場が演技しやすい場を整える潤滑剤でもあるため、実のところ芸人は芸人でも生半可なコミュ力では全うできない重役でもある。
実際、クランクアップ後のインタビューやファイナルステージでのトークショーなどでも該当者の功績を讃える場面は好例となりつつある。
奇妙なことだが、作劇の都合や実験的試みで影を薄くした『おやっさん』が、現場の必要性から自然発生的に復活し、元々の役割へ回帰していくという流れは瞬瞬必生以外の何者でも無いように思える。
おやっさんの一覧
作中で「おやっさん」と呼ばれているキャラクターを指す場合と、先述の主人公をサポートする年上ポジションのキャラクター「おやっさん枠」を指す場合の両方がある。
両方に該当するキャラクターもいれば一方にしか該当しないキャラクターもいる。
作中で「おやっさん」と呼ばれているキャラクター
「おやっさん枠」に該当するキャラクターは太字表記。
おやっさん枠
実は怪人側に通じていたり、あるいはその正体が怪人だったりラスボスだったりする場合も存在する。
仮面ライダー図鑑が公開されている作品については、先述の「おやっさん枠」の絞り込みに準拠する。
- 『仮面ライダーアギト』の美杉義彦(演:升毅)
- 『仮面ライダー龍騎』の神崎沙奈子(演:角替和枝)と大久保大介(演:津田寛治)
- 『仮面ライダー剣』の烏丸啓(演:山路和弘)
- 『仮面ライダー電王』のオーナー(演:石丸謙二郎)
- 『仮面ライダーキバ』の木戸明(演:木下ほうか)
- 『仮面ライダーディケイド』の光栄次郎(演:石橋蓮司)
- 『仮面ライダーW』の刃野幹夫(演:なだぎ武)
- 『仮面ライダーオーズ/OOO』の白石知世子(演:甲斐まり恵)
- 『仮面ライダーフォーゼ』の大杉忠太(演:田中卓志<アンガールズ>)
- 『仮面ライダー鎧武/ガイム』の阪東清治郎(演:弓削智久)
- 『仮面ライダードライブ』の本願寺純(演:片岡鶴太郎)
- 『仮面ライダーゴースト』の仙人(演:竹中直人)
- 『仮面ライダーエグゼイド』の鏡灰馬(演:博多華丸<博多華丸・大吉>)
- 『仮面ライダービルド』の石動惣一(演:前川泰之)
- 『仮面ライダージオウ』の常磐順一郎(演:生瀬勝久)
- 『仮面ライダーゼロワン』の福添准(演:児嶋一哉<アンジャッシュ>)
- 『仮面ライダーセイバー』のソフィア(演:知念里奈)と富加宮隼人(演:唐橋充)と尾上亮(演:生島勇輝)
- 『仮面ライダーリバイス』の五十嵐元太(演:戸次重幸)と五十嵐幸実(演:映美くらら)と狩崎真澄(CV:藤真秀)
- 『仮面ライダーギーツ』のギロリ(演:忍成修吾)とチラミ(演:山崎樹範)
その他の作品のおやっさんポジション
作品によっては女性がこの枠に当てはまることもある。また性別問わず近年、部活ものの作品の顧問もおやっさんポジションに当てられている。
実際に「おやっさん」と呼ばれている人物は太字で強調する。
メタルヒーローシリーズ
- コム長官・大山小次郎(『宇宙刑事』シリーズ)
- 小山大五郎(『時空戦士スピルバン』)
- 古賀竜一郎(『超人機メタルダー』)
- 山地哲山(『世界忍者戦ジライヤ』)
- 五十嵐健三(『機動刑事ジバン』)
- 正木俊介(『特警ウインスペクター』・『特救指令ソルブレイン』)
- 桂木重吉(『特捜エクシードラフト』)
- 老師グル・向井健三(『重甲ビーファイター』)
- 老師※・小山内勝(『ビーファイターカブト』)
- 高円寺寅彦(『ビーロボカブタック』)
- 杉薫(『テツワン探偵ロボタック』)
※上記の老師グルと同一人物だが、諸事情により劇中では"老師"とだけ呼ばれている。
- イルマ・メグミ(『ウルトラマンティガ』)※1
- ヒビキ・ゴウスケ(『ウルトラマンダイナ』)※1
- 石室章雄(『ウルトラマンガイア』)※1
- ヒウラ・ハルミツ(『ウルトラマンコスモス』)※1
- 和倉英輔(『ウルトラマンネクサス』)※1
- ヒジカタ・シゲル・トミオカ・ケンゾウ・ヨシナガ・ユカリ(『ウルトラマンマックス』)※1
- サコミズ・シンゴ(『ウルトラマンメビウス』)※1
- 礼堂ホツマ(『ウルトラマンギンガ』)
- 神木正太郎・橘さゆり(『ウルトラマンX』)※1
- 渋川一徹(『ウルトラマンオーブ』)
- 久米ハルヲ・朝倉錘(『ウルトラマンジード』)
- 湊ウシオ(『ウルトラマンR/B』)
- 佐々木カナ(『ウルトラマンタイガ』)※1
- イナバ・コジロー・クリヤマ長官・ナツカワ・マサル(『ウルトラマンZ』)※2
- タツミ・セイヤ・シズマ・ミツクニ・サクマ・テッシン(『ウルトラマントリガー』)※1
- ムラホシ・タイジ・アスミ・ダイシロウ(『ウルトラマンデッカー』)
※1 主人公の所属する組織における直属の上司であり、所謂“隊長”ポジションも兼ねた存在。
※2 イナバは主人公の所属する組織における整備員のトップで、クリヤマは組織の創設者。ただし、隊長ポジションは別に存在しているため、両者が実質的なおやっさんポジションと言える。ナツカワ・マサルは主人公の父親で、11話および14話のゲストキャラである。
- 花咲薫子(『ハートキャッチプリキュア!』)
- 調辺音吉(『スイートプリキュア♪』)
- ジョー岡田・セバスチャン(『ドキドキ!プリキュア』)
- ブルー(『ハピネスチャージプリキュア!』)
- 校長(『魔法つかいプリキュア!』)
- 長老(『キラキラ☆プリキュアアラモード』)
- 空見遼太郎(『スター☆トゥインクルプリキュア』)
- ローズマリー(『デリシャスパーティ♡プリキュア』)
ペルソナシリーズ
大河ドラマ
- 真田昌幸・矢沢頼綱・高梨内記(『真田丸』)
- 南渓和尚(『おんな城主直虎』)
- 嘉納治五郎・緒方竹虎(『いだてん~東京オリムピック噺~』)
- 明智光安・斎藤道三・望月東庵・松永久秀(『麒麟がくる』)
- 平岡円四郎(『青天を衝け』)
- ロウ(『ドラゴンクエストXI』)
- ブーゲンハーゲン(『ファイナルファンタジー7』)
- シド(『ファイナルファンタジー8』)
- スティルツキン(『ファイナルファンタジークリスタルクロニクル』)
- 難波恭二・村丘吾郎(『レーシングラグーン』)
- 賢者アンセム・イェンジッド(『キングダムハーツ』)
ガンダムシリーズ
龍が如くシリーズ
実は意外と少ない。年配の頼れる戦士こそ多いが、主人公が物語開始時点から人間的にほぼ完成している場合もそこそこあり、その場合年配戦士が「主人公を支え見守り、時には思い悩む主人公を励まし叱咤激励する」といった行動をとる意味が無くなるためである。
- ジョースター卿、ウィル・A・ツェペリ(『ファントムブラッド』)
- エリナ・ジョースター・ロバート・E・O・スピードワゴン・リサリサ(『戦闘潮流』)
- 空条承太郎(『ダイヤモンドは砕けない』・『ストーンオーシャン』)
- ジャイロ・ツェペリ(『スティール・ボール・ラン』)
ジャンプ系
マガジン系
きらら系
- 城石丈雄(『七星闘神ガイファード』)
- 堀口一郎(『超星神グランセイザー』)
- 大滝吾郎(『ゴジラS.P』)
テレビドラマ
- 和久平八郎・スリーアミーゴス(『踊る大捜査線』)
- 黒田龍一郎(『ごくせん』)
- 中野渡謙(『半沢直樹』)
- 森宮源(『超速パラヒーローガンディーン』)
- アカレンジャー・天利清春・真中瑠璃子(『ザ・ハイスクールヒーローズ』)
- 宗方猛(『超光戦士シャンゼリオン』)
オリジナルアニメ
- マダム・ルゥルゥ(『荒野のコトブキ飛行隊』)
- 風鳴弦十郎(『戦姫絶唱シンフォギア』)
- リチャード・フリードマン(『刀使ノ巫女』)
- カトリーナ・トビー(『RELEASE_THE_SPYCE』)
- ホウメイ(『機動戦艦ナデシコ』)
- 丸川正人(『SHIROBAKO』)
- ミカ(リコリス・リコイル)
任天堂系
- キノじい(『スーパーマリオサンシャイン』)
- フランクリ(『ペーパーマリオRPG』)
- 赤獅子の王(『ゼルダの伝説風のタクト』)
- ハイラル王・インパ(『ゼルダ無双厄災の黙示録』)
- アンドーナツ博士(『MOTHER2』・『MOTHER3』)
- ウエス(『MOTHER3』)
- ポケモン博士(図鑑や御三家をくれる博士限定。それ以外の者はゲスト的に登場するのみであることが多く、中には倫理的に問題のある行動を起こし主人公と対立する者すらいる)
- ナマズン・フーディン(『ポケモン不思議のダンジョン青の救助隊・赤の救助隊・救助隊DX』)
- プクリン(『ポケモン不思議のダンジョン時・闇の探検隊・空の探検隊』)
- デンリュウ(『ポケモン超不思議のダンジョン』)
CLAMP作品
- 旋風寺裕次郎・青木桂一郎(『勇者特急マイトガイン』)
- 冴島十三・藤堂俊助(『勇者警察ジェイデッカー』)
その他
- 榊清太郎(『機動警察パトレイバー』)
- 西園寺レイカ(『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』):女性だが「おやっさん」が愛称。
- テオロ(『うたわれるもの』)
- おやっさん(戦国BASARA):まごうごとなき鹿。こちらもメス。
- ノーヴェ・ナカジマ(『魔法少女リリカルなのはViVid・ViVidStrike!』)
- 赤岡(『オーバーレブ!』)
- アルフレッド・ペニーワース(バットマンシリーズ)
- 金城タケル(『放課後さいころ倶楽部』)
- 沖田十三(『宇宙戦艦ヤマト』)
- エギル(『ソードアート・オンライン』)
- ホーク(『サガフロンティア』)
- 手塚治虫(漫画版『サンダーマスク』)
- 早乙女博士(『ゲッターロボサーガ』、『ネオゲ』、『新ゲ』)
- 神隼人(『ゲッターロボアーク』)
- ハカセ(『サルゲッチュ』)
- 橘照二(『予言の島』:澤村伊智)