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フリーダムガンダムの編集履歴

2024-03-14 03:22:22 バージョン

フリーダムガンダム

ふりーだむがんだむ

ZGMF-X10A フリーダムとは、『機動戦士ガンダムSEED』及び『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場するモビルスーツ(MS)である。

キラ・ヤマト「それでも!守りたい世界があるんだ!!」


機体データ

型式番号ZGMF-X10A
全高18.03m
重量71.5t
装甲材質フェイズシフト装甲
動力源核エンジン(MHD発電)
開発ザフト(プラント・統合設計局)
所属ザフト→三隻同盟→無所属
パイロットキラ・ヤマト

初登場話:『機動戦士ガンダムSEED』PHASE-34「まなざしの先」


概要

プラント国防委員長パトリック・ザラの勅命の下、国力・物量に劣るザフト単機で絶対多数の敵を殲滅する程の圧倒的戦闘力を示すための対地球連合軍の切り札として、鹵獲した4機の初期GAT-Xシリーズ(GAT-X102 デュエルGAT-X103 バスターGAT-X207 ブリッツGAT-X303 イージス)の設計データ(ビーム兵器・フェイズシフト装甲などの新技術)と鹵獲し損ねたGAT-X105 ストライクとの交戦データを注ぎ込み、兄弟機であるZGMF-X09A ジャスティスとともに開発されたザフト製の試作型モビルスーツ


自由と正義僕らの知ってるガンダムSEED

極秘に開発計画が進行し、C.E.71年4月1日にロールアウトした本機は、同日にプラント最高評議会議長へ就任したパトリックの「ナチュラルに“正義”の鉄槌を下し、コーディネイターの真の“自由”を勝ち取る」という過激化した反ナチュラル思想に基づき、自由を意味する英単語「Freedom」を由来とし「フリーダム」という名を与えられている。つまり、ザフト以外の手に渡った時点で本来の機体名の趣旨は破綻していることとなり、異なる方法で自由を手に入れる為に利用されたという点は中々に皮肉である。


正規のパイロットは不明。イザーク・ジュールもしくはその他のザフト赤服が務める予定だったと言われているが、本機はラクス・クラインやそれを支援するクライン派の手引きによりキラ・ヤマトに譲渡(ザフト的には強奪・盗難)され、アークエンジェルオーブ連合首長国国防軍と共に三隻同盟の一翼として大活躍した。なお、強奪された側のプラントでは発生後すぐに「フリーダム強奪事件」として極秘裏に対応が進められていった(当該記事参照)。

ちなみにザフトでは本機(とジャスティス)の専用運用艦としてエターナルという戦艦が建造されており、こちらも後にラクスやアンドリュー・バルトフェルドらによって奪取され三隻同盟に参加しており、陣営こそ異なるがフリーダムは奪取された機体にもかかわらず本来の母艦で運用されている。


続編である『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』にも登場する。

再びアークエンジェルと行動を共にし、大西洋連邦と同盟を結んでしまったオーブ軍の戦闘行為を止めさせつつザフトからオーブ軍を守るため、さらには2年前(『SEED』)の惨状を繰り返さないために、連合とザフトの戦闘に武力介入する。

第一次連合・プラント大戦終結後に技術革新が起こっているが、核エンジンに裏打ちされた性能を持つ本機はセカンドステージシリーズをはじめとするC.E.73年のMSとも互角以上に渡り合う性能を持ち、続編での活躍そのものが本機のオーバースペックぶりを示すものとなっている(装備単位では旧式化している。詳しくは後述)。実際にその戦いぶりは異常なレベルであり、パソコンを使って熱心に本機との戦闘シミュレーションを行っていたシン・アスカは「フリーダムのパワーはインパルスより上なんだ。それをここまで操るなんて…」「俺の知る限り、今MSで1番強いのはこいつです」と自身との格差を実感しつつ悔しさ混じりの感嘆を見せており、それを傍で見ていたレイ・ザ・バレルも「カメラが向いてからの反応が恐ろしく速いな」「スラスターの操作も見事だ。思い通りに機体を振り回している」「フリーダムは確かに動きが速い。射撃も正確だ」と、正規軍人であり後に戦術統合即応本部隊員(FAITH)にまで任命されたザフトのトップエース2人がそのように評している。

ただし、機体としてセカンドステージと比較した場合の優位性は稼働時間と出力程度で、他は技術進歩によってほぼ互角ないしやや劣るといったレベルであり、『DESTINY』での化け物染みた活躍はシンとレイの評価通りパイロット(キラ)の技量に依る部分が大きい。


後継機(系列機)として、C.E.73年にロールアウトされたZGMF-X20A ストライクフリーダム、C.E.75年にロールアウトされたSTTS-909 ライジングフリーダムが存在する。なお、前者はファクトリー(ターミナル)製、後者はモルゲンレーテ社(オーブ)製と、本機の設計データないし運用データは継承しつつも開発・製造元が異なる。

なお、ストライクフリーダムについては、ザフトにて本機と同時期に開発されていた原型機(後に諸事情により開発が中止され封印)をクライン派が奪取し、ファクトリーにてキラ専用のワンオフ機として仕上げた機体であり、性能としては紛れもなく後継機でありながら機体そのものとしては兄弟機に近い。また、「クライン派により開発・製造元の組織から持ち逃げされ、キラにより運用された」という共通点も持つ(勘違いされやすいがターミナルはあくまで非戦派組織として思想の近いキラ達へ協力しているだけであり、キラ達もターミナルへ所属しているわけではない)。


型式番号

型式番号「ZGMF-X10A」の読みは「ゼットジーエムエフ エックスワンオーエー」。

ZGMF」は「Zero - Gravity Maneuver Fighter」の略で、ザフト製の全領域型MSであることを示す。

「X」は初期GAT-Xシリーズと同様に試作機であることを示す。

「10」は、ザフトで制式化したMSの中で本機がジンから数えて10番目であることを示す。

最後の「A」は核を意味する英単語「Atomic」の頭文字を取ったものである。


設計・性能・開発経緯

MS用のニュートロンジャマーキャンセラー(NJC)搭載型核エンジン(核分裂炉)を採用している。この核エンジンは設計データ上で「E-Battery NUCLEAR-Re」「NUCLEAR REACTOR」と表記されている。絶えず核エンジンの発電によって電力が賄えるため、C.E.ではバッテリー機の場合は母艦のカタパルトから飛び立つ直前まで給電ケーブルを接続しているが、本機はそれを必要としない。

前述の通りストライク以外の鹵獲した初期GAT-Xシリーズの設計データを取り入れつつも、外見は初期GAT-Xシリーズの内ザフトが唯一鹵獲できなかったストライクに類似している。

ザフト製MSの分類においてZGMF-Xシリーズに属する。後にセカンドステージシリーズが開発された事でファーストステージシリーズとも呼称される。


性能としては、ZGMF-600 ゲイツ量産の折に省略されたオーバースペックを解禁した上で、核エンジンを前提とする燃費度外視な高火力装備を取り揃えることにより、連合の最新型である後期GAT-Xシリーズをも含めた同時期のMSを圧倒する性能を獲得している。

核エンジンの搭載により実現された大火力と、それを制御する高度な火器管制システム「マルチロックオンシステム」を最大限駆使することで多数の敵機を同時に攻撃することが可能であり、全領域戦闘が可能な機動兵器と近代戦におけるミサイリアー機双方のコンセプトを併せ持った機体と言える。そのため、別称(分類)も「殲滅型対MS戦用MS」と物騒なものとなっている。ちなみにコンセプトそのものが新機軸とされ、既存コンセプトの発展形となるジャスティスとは兄弟機ながら対照的な関係性となっている。


詳細は後述するが、機体構成や装備に核エンジンによるゴリ押しが多分に含まれており少々荒削りな点は散見されるものの、それでも従来のMSでは考えられない大火力と単独での大気圏内飛行を可能とするレベルの高い推力と機動性を併せ持つ複雑な機体を高レベルにまとめ上げた、正しく当代(C.E.71年時点)最強のMSの一機と言える。核エンジン搭載により実現されたほぼ無制限の高出力稼働というアドバンテージは非常に大きく、ユニウス条約ありきとはいえ技術革新後のC.E.73においてもサードステージシリーズ登場までは1機のMSとしてC.E.世界最強格を保っていた。


開発系譜(経緯)を見る限り、開発当初はバッテリー駆動を想定した機体だったようであり、バッテリー駆動であるYFX-600R 火器運用試験型ゲイツ改で本機とジャスティスに搭載予定だった装備群の評価試験を行い、その火力は開発陣を満足させたものの稼働時間が最長でも5分に満たない(追加バッテリー込みでも約10分しかもたない)という実用面において散々な結果から、エネルギー消費の激しいビーム兵器(ビームライフル等)についてはバッテリー駆動に合わせて性能を引き下げたものを搭載する、あるいは搭載自体を見送ることが検討されていた。つまるところ、元は初期GAT-Xシリーズの技術を使ったフルスペック版ゲイツのカスタム機だったと言える。しかし評価試験直後、同時期(2月中旬から下旬)に行われていたYMF-X000A ドレッドノートを使った核エンジン搭載型MSの基礎データ収集が終了し、パトリックが核エンジンの搭載を決定したことにより、ビーム兵器類はそのまま(高火力・劣悪燃費)の性能にて搭載されることとなっただけでなく、その圧倒的出力からエネルギーに余裕が生まれたため追加でさらなる高火力・劣悪燃費なビーム兵器が搭載されることとなった(詳細は後述)。

そして、当時のプラントでは血のバレンタインを経験したことで反核感情が高まっておりザフトの軍人や高官でさえ核兵器の使用を忌避していた中、核エンジン使用の要と言えるNJCの開発者であるユーリ・アマルフィ息子の戦死した4月15日以降に過激派であるザラ派へ転向してNJCの実戦投入に踏み切った(転向前から本機の開発に関与していたりと試験機への搭載までは承認していた様子)ため、ドレッドノートのように開発された上でお蔵入りになるということはなかった。しかし、踏み切るタイミングが遅かったためにロールアウトされたのが4月1日であるにもかかわらず、常に戦力不足に悩まされているザフトから公式発表も実戦投入もされないどころか、戦局を大きく左右する大規模作戦「オペレーション・スピットブレイク」の戦力にさえ数えられず、5月5日に強奪されるまで最高機密のまま1か月以上開発ドックの肥やしになっていた。

なお、息子の死に直面したユーリは「これ以上同胞が犠牲にならないように戦争を早期終結させる」という考えから断腸の思いでNJCの実戦投入に踏み切ったが、その産物の一つである本機に乗ったのが息子や同胞を殺したかつてのストライクのパイロット(しかも一応同胞)というのはあまりにも皮肉である。さらに言えば、詳しくは後述するが本機の機体設計にも大きく貢献しているため尚のことである。


「ZGMF」の名が示す通り全領域型であることに偽りはないが、その上で高機動砲撃戦(正確には引き撃ち・撃ち逃げ)を主眼に置いた機体コンセプトであることもあって近接戦に適した装備がビームサーベルとシールドしか無く、操縦難度(火器管制)の観点からビームサーベルとシールド以外の近接戦用装備を持たない量産機と同レベルである。加えて、機体コンセプトである固定火器(バルカン以外)がデッドウェイト気味になる(重心制御には使用できるため完全なデッドウェイトではない)ため、近接戦が得意な機体構成とは言えない。しかし、後述する圧倒的な機動性と白兵戦を得意とするキラの操縦技術が合わさり、ビームサーベルとシールドだけでもトップクラスの白兵戦能力を持つ。



キラとの相性

キラにとって近接用装備がビームサーベルとシールドしか無いこと自体はエールストライク時代から続いている(一応あちらには最終手段があるが)ことであるため大した問題になっていない。

キラの戦う理由は基本的に「仲間(身内)を守るため」であり、ストライカーパックシステム採用により一度に搭載できる装備に制限がある(例外はあるが重量過多により機動性が犠牲となる)ストライクと異なり、バルカン・ビームライフル・ビームサーベル・シールドの基本的な装備が揃った上、ストライクでは不可能だった大気圏内飛行を可能とする高い推力や砲撃戦の幅を大きく広げるプラズマ砲とレール砲が全て標準装備な上稼働時間制限やランチャーストライクのような大出力砲の使用制限もない本機は、本機を受け取った後のキラの立場上多数の敵機を相手取らなければならない状況とキラの信念に非常にマッチしていた

ラクスはキラに本機を託した際「今の貴方に必要な力と思いましたの」という言葉をかけているが、どこまで考慮していたかは不明とはいえラクスの先見の明は非常に高かったと言えるだろう。


一方、事実上の専属パイロットであるキラからは一貫して殆ど愛着を持たれていなかった。例として、『DESTINY』PHASE-13にて2年ぶりに本機と対面したキラからは「とうに捨て去ったと思っていた剣」「二度と手にはするまいと誓った力」と認識されていた。さらに、エンジェルダウン作戦にて本機を撃墜されたことに対してラクスから本機を託された時のことを思い出してどこか寂し気な表情を見せていたが、その直後に「あれを墜とされちゃったら僕は…」と気落ちした様子で呟いていることから、本機を失ったことよりは本機を失ったために誰も守れなくなってしまったことを嘆いており、キラが本機に対して「ラクスから託された大事な力」「身内を守るために必要な力」程度の愛着(認識)しか持っていなかったことがうかがえる。実は、発進シーケンスなどの格式ばった状況以外のキラからは殆ど一貫して「あれ」呼ばわりされていた

そもそも『SEED』シリーズにおいて機体に強い愛着を持っているパイロットは少なく、「所詮は人殺しの道具に過ぎない」という認識を持つパイロットが殆どである。加えて、キラは作中でもかなり戦意そのものは薄い人物であり、MSパイロットとなったこともヘリオポリスでたまたまストライクに乗り込んでいたことに起因している。実際に明確な戦意ないし殺意を持って敵を攻撃したのはイージス戦とプロヴィデンス戦程度であり、それ以外はどの戦いも「身内を守るため」に戦っていた。そう考えればある種この程度の扱いで妥当と言えなくもない。

ちなみに、本機に乗り換えた後にオーブにてストライクと再会した際も、真っ先に思い出したのはストライクを駆って潜り抜けてきた数々の戦闘と、その期間身を置いていた孤独と苦悩という、嫌な思い出の象徴的存在となっており、キラの乗機で愛着を持たれていなかったのは本機のみというわけでもない。


出力・推力

SEED系のMSは基本的に出力やスラスター総推力が不明となっている場合が多いのだが本機の場合、出力は作中にてラウ・ル・クルーゼムルタ・アズラエルが入手した設計データに8,826kWと記載されており、総推力は一部書籍にて527,000kgと記載されている(総推力の出典の1つはサンライズの監修が入った「『機動戦士ガンダムSEED』コズミック・イラ メカニック&ワールド」であるため公式設定である可能性が高い)。


ちなみに、本機と同じく出力と総推力が明確な数少ないSEED系のMSとして兄弟機のジャスティスが存在する(出典も本機と全く同じ)。なお、出力は本機と全く同じ8,826kWでありながら総推力は本機を超える603,200kg、単純計算した推力重量比も本機は7.37(527000/71500)なのに対してジャスティスは8.0(603200/75400)と、数値上の推力はジャスティスに軍配が上がる(元々ジャスティスは初期構想時点で本機より機動力が上という設定)。


操縦適性

その高いスペック相応に操縦難度も非常に高く、パイロットにはコーディネイターの中でも特に高度な操縦技能が要求される。核エンジンの誘爆リスクがありつつも常に一対多を想定して最前線で戦うことを要求される機体でもあるため、フルスペックで戦うにはそれに順応できる高い空間認識能力が必要となる。パイロットとなったキラはストライク時代で図らずも培われた高い操縦技術を持ち合わせたスーパーコーディネイターなこともあり、フルどころか最終的には性能限界を超えるレベルにまで使いこなしたが、前述したシンとレイの反応的にも仮にザフト内でパイロットが選定されていた場合、そのスペックを最大限に扱えたかは疑問が残る。


知名度

停戦という形とはいえ地球連合とプラントの長きに渡る大戦を終結させたその活躍ぶりに反して、戦績が異常だった点とパイロットの素性が一切不明だった点から誇張あるいは伝説の存在と認識されており、本機を一目見て即座にフリーダムであることを認知できるのは極一部の人間(暗殺部隊の隊員の一人、旧赤服を着たザフトパイロットの一人など)に限られている。ただし、伝聞情報に限れば「フリーダム」と聞くだけでその伝説がすぐに思い浮かぶほどの知名度があり、実際に本機とアークエンジェルを目の当たりにしたシンの反応的に、教本か何かでジャスティス(アスラン)と同様に第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦にて活躍した英雄としても伝わっているようである。

一部のオーブ軍人やモルゲンレーテ社の技術者からはオーブ解放作戦に際して共闘した経緯があるからか、パイロットの大まかな素性を含めて正確に認知されており、後述するカガリ・ユラ・アスハ拉致の際もオーブ軍港の「アンノウン接近中。アンノウン接近中。スクランブル!」というアナウンスに対して、オーブ軍本部のオペレーターたちが「『アンノウン』って、これアークエンジェルだよな?」「ああ。それにフリーダムだ」と落ち着いた様子で話している。また、アスランやカガリのようにキラと親しい者は、本機を一目見ただけでキラが乗っていると判断するほどに本機=キラの機体という認識を持っている。


一方、当代最強クラスの機体(しかも主人公機)でありながら本編中ないし本編直後に設計データが各勢力に渡った珍しい機体でもある(開発元のザフトは当然のこと、クルーゼがフレイ・アルスターの返還経由でNJCのデータとして本機とジャスティスの設計データを連合に横流しした他、オーブは一歩遅れて戦後になって第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦にて大破したフリーダムを修復した際に設計データを入手している)。

下手をすればストライク以上に事実上のフリー素材と化した機体であるが、直系と言えるのはこの機体のフレームのデータを基にした内部構造を有している、ユニウス条約締結後にオーブが開発したエクリプス程度である。一応、ザフトでは各装備やウイングバインダーの発展型が開発されているが、連合では全くと言っていいほど本機のデータは活かされていない(ジャスティスの方はファトゥム-00の構成を参考にしてジェットストライカーが開発された)。これは連合上層部がNJCにしか興味がなかったことの現れであり、それも殆どはMk5核弾頭ミサイルに使用されている。ただし、ナチュラルの操縦技術で本機のような核エンジンによる高出力・高性能なMSを乗りこなすのは余程の天才でもなければ不可能なため仕方ないと言える。


また、ロールアウトしてから数か月間はNJCを搭載しているということもありザフト内でも最高機密扱いとなっており、前線部隊もその存在を全く知らされていなかった。例として、アラスカにて本機を目にしたイザークは(キラの言動も要因だが)初期GAT-Xシリーズに酷似したその風貌から連合の最新鋭機と勘違いして攻撃を加えていた他、オーブ解放作戦を遠方より哨戒中だったクルーゼ隊ボズゴロフが「見慣れないMS」として本機と後期GAT-Xシリーズのデータを取っていた。しかし、C.E.73年(2年後)の『DESTINY』では敵性勢力となった上にNJCの存在を秘匿する必要もなくなったため、ザフトのデータベースに残っていた本機のデータはほぼ公開・共有されているようであり、ミネルバがベルリンの戦場にて戦闘中だった本機に対して熱紋照合を行ったところ、表示された本機のデータに戦闘において全く無意味な情報である型式番号・全高・重量までも表示された他、これを用いてシンが個人端末にて戦闘シミュレーションを行っていた。


本機が世界に残した知名度は後継機にも影響を与えており、外観が酷似していることもあって後継機のストライクフリーダムやライジングフリーダムも戦場では単に「フリーダム」と呼ばれがちな他戦場にて敵に危険視される要因となっていたりする。


所有権・所属と取り扱い

本機はラクスの手でキラへ譲渡された時点からキラ個人の所有物となっており、ザフトから強奪という形で抜けた後の本機の所属はあくまで本機を使用している時のキラが属している陣営に過ぎない。なお、ザフトからは何故かオーブに渡ったもの、連合からもオーブ製MSとして認識されており(ウィリアム・サザーランドだけは「プラントの技術も相当入っていたようですからなぁ」と前置きした上で「実はザフトのものだったのかも知れない」という所感も述べている)、事情を知らない大多数からはオーブ保有のMSという認識を持たれている(厳密には、ザフト側は「ザフト製だがオーブへ渡った機体」、連合側は「オーブ製の機体」と認識している)。

『DESTINY』ではアークエンジェル共々どの陣営にも属しておらず、無所属扱いである(一応協力組織としてターミナルはあるが)。


キラは「あれを託された、僕の責任です」として本機に搭載されているNJCのデータ流出と悪用だけは絶対に阻止する覚悟を決めており、仲間であるアークエンジェルの搭乗員に対しても自身がザフト所属でも連合所属でもない(なお連合の書類上ではMIA扱いなため連合所属)ことと、NJCの存在を明示した上で「フリーダムに一切手を触れない」ことを約束させている。この時、「データを取りたいと仰るのなら、お断りして、僕はここを離れます。奪おうとされるのなら、敵対しても守ります」と厳しい態度を取っており、仲間思いなキラが友人や仲間が乗るアークエンジェルを守るよりも優先度を高く置いていた。また、モルゲンレーテ本社の工廠内にてアスランからNJCの取り扱いについて問われた際も「ここで、あれを何かに利用しようとする人がいるなら、僕が討つ」と返している。

一方、オーブへ入港して以降に、コジロー・マードックと共に機体の調整を行っているシーンやオーブ技術者たちがメンテナンスしているシーンがあり、そもそも一個人によるMSの保守作業は困難を極めるため、実際には「自身が見ていない場においてフリーダムに一切手を触れてはならない」というニュアンスだった可能性が高い。

なお、連合へのNJCのデータ流出と、それによるMk5核弾頭ミサイル発射(C.E.71年9月23日)後は流出阻止の意味が薄くなったため、キラの見ていないところでメンテナンス等が行われていることが多くなった。


第一次大戦時に連合から奪取されたデュエルとバスターが戦後に返還されたのに対し、本機はプラントへ返還されることはなく戦後はオーブに身を置いていた。ただし、ユニウス条約を締結したプラントにとって今更NJC搭載機を返還されようと面倒なだけであり、プラント側からして行方不明の本機をわざわざ探し当てるメリットは(この時点では)1つもなかったための対応と思われる。


機体構成

核エンジンの詳細はこちら


頭部

ザフトの制式機としてはジャスティスと共に初めて初期GAT-Xシリーズを参考としたデュアルアイを採用しており、計4本のアンテナなど全体的な外見はストライクに類似している。また、敵機の位置を正確に捉え戦況把握を的確に行うための高精度なメインカメラやセンサーを備えており(このメインカメラやセンサーの色までもストライクと同じ)、これによってマルチロックオンシステム(後述)の使用を可能としている。なお、作中描写的に頭部以外にもカメラを搭載しているようで、頭部を失ってもモニターがブラックアウトすることはない(ただしモニターにノイズが走り高画質ではなくなる模様)。

また、作中描写を見る限り、その高性能さからレーダーの索敵の範囲と精度は量産機のそれを凌駕しており、一方的な捕捉を可能としている。


人体で言うこめかみの部分に「MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御機関砲」を左右1門ずつ装備しており、これの弾倉も頭部内に備えていると思われる。


額には型式番号を示す「X-10A」とイタリア語で10を意味する「DIECI」の文字が刻まれている。


胴部

核エンジンを腹部(厳密には腰関節の直上)、NJCを機体中央となる腰部(つまり核エンジンの直下)に内蔵している。そのため、一般的な機体と異なりコクピットが腹部でなく胸部に存在し、それに伴い胸部上面の装甲が前方にスライドすることでコクピットハッチが現れる構造となっており、シート自体が昇降し乗り降りすることになる。また、コクピットハッチ上部には橙色の誘導灯が存在し、コクピットハッチが開いている間は常に点灯することで暗所等での搭乗を補助する(ハッチが開いていてもパイロットが搭乗している際は消灯している描写もある)。これは同じく核エンジンを腹部に搭載しているドレッドノートから採用された構造であり、他に同様の構造を持つ同時期のMSはドレッドノートとジャスティスに限られる(同じく兄弟機であるプロヴィデンスはドラグーンシステムとの兼ね合いにより胸部に核エンジン、腹部にコクピットとなっている)。この独特なコクピット配置により、インパルスによって腹部を貫かれても核エンジンや下半身を全損したもののパイロットは生還できた(ただし、貫かれる直前にNJCをオフにして核エンジンを停止させていなければ核爆発していた)。また、核エンジンは腹部側面の装甲が前後にスライドすることにより露出する。


重力下で使用する乗降用設備としては大掛かりなクレーンを備えており、コクピットハッチの両側に存在する収納スペースに折り畳まれている(『SEED』の第3・第4オープニングやPHASE-39で使用場面を確認できる)。キラが右利きなためか、専ら右側のクレーンが使用された。


胸部

コクピットブロックの前面両側にはほぼ同サイズの制気口(水平羽根付き)が内蔵されており、ここから定期的に排熱を行っている。

また、この制気口上部にバルカン砲と思わしき形状の機構も存在するが、これは「SEED」本放送時には未使用なまま(一部書籍では機関砲としても記載されていた)、放送後の2004年版のマスターグレードが発売された際にセンサーとして扱われた。その後はMS動画図鑑 コズミック・イラ編のパッケージにて先端を緑色にカラーリングされている。後継機のストライクフリーダムやライジングフリーダムでは小型の制気口に取って代わられたことから、搭載予定だったバルカン砲(の設定)の名残だと思われる。ちなみに、ジャスティスにも同じような機構が存在していたが、そちらはインフィニットジャスティスにて「MMI-GAU26 17.5mmCIWS」という機関砲となった(さらに言えばプロヴィデンスにも似たような部位はあったが、そちらは最初から「MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御用機関砲」という機関砲であり作中でも使用された)。C.E.では他にもハイペリオンの頭部に機関砲のような形状のパーツがあるが武装設定はないという例が存在する。


腰部

腰部側面を守る装甲は「ウエストガード/クスィフィアス・バインダー」と呼ばれており、その下部に吊り下げるような形で「MMI-M15 クスィフィアスレール砲」を装備している。腰部との接続には可動軸が設けられており、クスィフィアス収納時にはAMBAC(姿勢制御)ユニットとして機能する。また、この部位の上部分にはサーベルラックが存在しており、左右で計2本の「MA-M01 ラケルタ・ビームサーベル」がマウントされている。このマウント位置がマニピュレーターの位置と近いため円滑な抜刀をはじめ逆手抜刀というテクニカルな戦法を取ることすら可能である。

腰部後面を守る装甲には「腰部ライフルマウントラッチ」が備えられており、この部分に「MA-M20 ルプス・ビームライフル」をマウントして携行することもできる。なお、このマウントはゲイツから継承したものである。


コクピット

前述の通り、C.E.の機体としては珍しく胸部に位置する。乗降の際には開いたコクピットハッチの空洞部分にシートがせり上がるため、スムーズな乗降を行うことができる。

内部は球状で、シートは機体の傾斜に連動してパイロットの操縦を補佐する他、攻撃時や高速機動中の衝撃を和らげる役目を担っている。仮にパイロットスーツを着用していなくても問題なく高機動戦闘を行うことができる(それでも安全性の観点からパイロットスーツの着用は推奨されている)。寝心地も悪くないようであり、内部でキラが仮眠を取る場面がある。

戦場を幅広く視認できる全天周囲モニター(厳密にはパイロットが振り向かないと見えない背部はモニター化されていない)を採用しており、モニターが前方に1枚・側方に2枚だった従来MSのものと比べてパイロットが得られる視界を大きく広げている。ヘッドアップディスプレイとしての面を持っており、正面には橙色のターゲットスコープが表示される。さらに、機体の参照データが存在する場合は熱紋照合および画像認識を行って自動的に機体を識別する他、遠距離の友軍・敵軍を自動的にズームしたものを四角いウィンドウでピックアップ表示し続ける(このウィンドウの枠部分に距離と倍率を、ウィンドウ下部に識別結果を表示する)。しかし、その情報量は通常のMSとは桁違いであることを意味し、フルに活用するには高度な技術が必要となる。なお、パイロットから完全に死角となるシートの裏下部が接地している。

操縦系を見ても、セレクターやスイッチを多数備えたHOTAS型のスライダー式グリップや、グリップ直下に置かれたスロットルレバー、4枚となったペダル類、コックピット上部からアームによって保持された照準器、同じくアームによって保持されたキーボードなど、旧来のザフト標準コクピットと異なる構成をしており、こちらは鹵獲したGAT-Xシリーズを解析・改良した痕跡がうかがえる。

また、コクピット正面上部にはビデオ通話用ディスプレイ2枚を含む、通信用インタフェースが存在し、これについては旧来のザフト標準コクピットと同様である。


同じコクピット位置を持つ機体はドレッドノートとジャスティスしかないが、内装に関してはZGMF-Xシリーズで共通している他ストライクフリーダムやインフィニットジャスティスにも受け継がれている。


メインコンソール

正面のメインコンソール中央には大型球状による立体型表示のメインパネル「マルチレーダーセンサー」が存在し、機体各部のセンサーと連動し戦場にいる友軍・敵軍問わず機体やミサイルの位置情報を正確に表示する。このメインパネルはマルチロックオンシステム起動時に少しせり上がり、捕捉した敵機のロックオン状況を迅速に表示してパイロットへ情報を提示して本機の殲滅力に貢献する。また、マルチロックオンシステム起動時にはパネルに表示されている「集中ターゲットスコープ」が形状と共に緑色から黄色に変化する。ちなみに、参考にした初期GAT-Xシリーズの名残か、開発初期ないし火器運用試験型ゲイツ改時代はバッテリー機だった名残か、メインパネル上に「バッテリー残量計」も存在する。

他の計器としては、メインパネルの上部左右に「警報灯」、メインパネルの右側に「一次出力計」「燃料計/推進剤計」とその下部に「機体データ/外部環境データ」「D.S.C」、左側に「兵装セレクターパネル/マルチ表示モニター」(このマルチ表示モニターにOSの起動画面等が表示される)とその下部に「ビーム兵装実弾兵装残量表示」、一次出力計の下に「フェイズシフト装甲スイッチ」(左隣にニュートロンジャマーキャンセラーの停止スイッチ)、メインパネルの下部に「速度計」「姿勢指示器」「高度計」が存在する。また、マルチロックオンシステム起動時のせり上がりに合わせてメインパネルの左右に「二次出力系(ブースト計)」が出現する。なお、これらの配置は初期GAT-Xシリーズに非常に近い。

計器の数と大きさにより従来機に比べて大型なメインコンソールとなりコックピット正面を占めているが、シートが昇降する形で前方ではなく上方から乗り込む形式となっているため、搭乗時の障害にはなっていない。同じく大型なメインコンソールを持ちながら前方から乗り込む形式のサードステージシリーズでは、メインコンソール自体が専用の保持アームにより上下する構造が採用されている。


マルチロックオンシステム

火器運用試験型ゲイツ改に搭載されていた火器管制システム「NWQ403-E」をさらに改良したプログラムにより、複数の火器を連携して扱いつつ10機の標的を同時かつ正確に捕捉することが可能な機能。

この機能の搭載に伴い、上述した立体型表示パネルがメインコンソール中央に設置されることとなり、従来機ではその場所に設置されていたメインモニター(マルチ表示モニター)が別の場所に移された。

詳細は当該記事を参照。


キラはこの機能を使った上で複数の敵機の頭部や腕部、武装のみを同時かつ正確に撃ち抜くという神業を見せている(一部書籍にはロック後にマニュアルで照準をずらしてコクピットを外しているとされるものもある)。なお、この機能が無いストライクルージュ(オオトリ装備)でも同じような芸当を披露しており、部位を絞った同時射撃はキラの高い技量によるものであることがわかる。

システム起動時にメインコンソールがせり上がり、それに合わせて計器の種類や位置が変化することに加え、ロックオンに時間を要するため、システム使用時は若干の隙が生じる。キラはロックオンを行いながら敵機の射線に入らないように位置取りし続ける形でこの隙を埋めているが、雑兵相手にしか通用しない手法なためか、1~3機程度ならわざわざマルチロックオンする必要がないためか、エース級を相手にしている時にシステムを使用したことはない。

ちなみに、この機能を使用せずともフルバースト(後述)自体は可能であり、エース級を相手にするなどで速射が要求される場面では度々行っていた。


OS

G eneration

U nsubdued

N uclear

D rive

A ssault

M odule

(Complex)


核エンジンを運用するための新型OS[MOBILE SUIT NEO OPERATION SYSTEM]を搭載する。

表示される英文の意訳は「抑制されていない核駆動を使っている強襲モジュール複合体」、さらに意訳すれば「ニュートロンジャマーの影響を受けない核エンジンを用いた強力な兵装群を搭載したMS」となる。

コクピットに備え付けられているキーボードを用いて調整することができる。ストライク搭乗時と違いOS調整のシーンが存在しないため詳細は不明だが、本機のコクピット内で作業するシーンが定期的に存在することからキラによってかなり個人用な調整を施されていると思われる。

また、キラは本機のOSを初めて起動した際、真っ先にマルチ表示モニターで本機の動力とその出力を確認している。


ちなみに、作中では一瞬しか映らなかったり見切れていたりと分かりづらいが「Series AVIC-T1 Freedom LA-SE3P」とも表示されており、「Freedom」という表記から搭載時点で本機用の調整が施されていることがうかがえる。後継のストライクフリーダムでは「Series SD100-09 SF/IJ 01-34152」にアップデートされ、インフィニットジャスティスと共通になった。


フレーム

ベースとなったフルスペック版ゲイツの設計が優秀だったためか、デュエル・バスター・ストライクに採用されていたX100系フレームと類似した可動域を持っており、この時代のMSとしてはかなりの運動性を持つ。全体的な構造は非常にシンプルかつ洗練された形状でありMSにおける一つの到達点とされる。

フレームの可動速度・反応速度は非常に機敏な方であり、同じくキラが操縦したストライクルージュの射撃攻撃は量産機相手にある程度見切られ回避ないし防御されていた一方、本機の射撃攻撃が量産機相手に回避ないし防御されるようなことは滅多になかった。『DESTINY』TV版ではストライクルージュがビームライフルによる目にも留まらぬ早撃ちを披露しており、本機においてはその速度、あるいはそれさえ凌駕する速度が標準となっていた可能性が高い。

また、X100系フレームよりも高い耐久性を持っているようであり、ストライクを委託製造した際にX100系フレームの設計データを入手していたオーブ(モルゲンレーテ社)が、可変機なためフレームの脆弱性が問題視されていたエクリプスのフレーム構造のベースとして、アストレイ系列アカツキの開発で慣れ親しんだX100系フレームではなく、設計データを入手したばかりだった本機のフレーム構造を採用している。加えて、作中での言及こそないが、キラが過去に搭乗したストライクのオーバーホール時の状態、および後年に搭乗するストライクフリーダムのフェイズシフト装甲製フレームの発光現象の多発などを見るに、本機のフレームにもキラの乱雑な操縦によって多大な負荷がかかっていたものと思われる。しかしながら、『DESTINY』で使用された頃にはキラの反応速度と操縦に追いつかなくなっていたとはいえ、耐久面に限れば途中で故障することもオーバーホールを要することもなく撃墜されるまでキラの操縦に耐えきっており、MSのものとして非常に頑強なフレーム構造だったことがうかがえる。


腕部

肘部分にスライド式分割装甲を備え関節部の対弾性能を向上させる等、X100系フレームには無いザフト独自の改善が行われている。マニピュレーターは既存のザフト製MSのものと異なり角ばっているが、その可動は人間の手とほぼ同様の動きをすることができるほどに多彩であり、ビームライフルやビームサーベル等の手持ち装備を正確に扱える。また、腕部側面には装甲カバーを取り外すことで露出するハードポイントを備え、肘部にはアームガードを持ち、このどちらかをマウントラッチとしてシールドを接続できる。

後継機であるストライクフリーダムでは、このスライド式分割装甲が肘部分だけでなく全身の関節部分に採用されている。


脚部

脛部分はX100系フレームと同様にスライド装甲によって関節部の対弾性能を向上させ、足首の可動域にはアンクルガードを備えることで対弾対策としている。また、足裏は兄弟機のジャスティスと異なり奪取した初期GAT-Xシリーズに近い形状をしている。

フレームの耐久力に加えてこの対弾性能向上が功を奏したのか、キラが定期的に行う蹴り攻撃の反動や負荷により故障することはなかった。


装甲と重量

機体データに記載の通り、フェイズシフト装甲を採用している。初期GAT-Xシリーズでは展開するだけで常時エネルギーを消費し、実弾攻撃を受ければさらにエネルギーを消費する欠点があったが、これも核エンジンからの無尽蔵のエネルギー供給によるゴリ押しで解決している。装備面と違い、後々ヴァリアブルフェイズシフト装甲という改良型が登場しても結局常時エネルギーを消費することに変わりはないため、フェイズシフトを採用する場合はこれが最適解と言える。

核エンジンによって常時展開が実現したため、実弾攻撃をいくら受けようとエネルギー切れに陥ることはない。ただし衝撃とそれによるノックバックは無効化しきれないため、機体に損傷が起きないからといって無策に実弾攻撃に対する防御や回避運動を怠るのは悪手となる。

本体装甲の強度は中々に高く、実弾攻撃による損傷を完全に無効化するだけでなく、ドラグーンのような低威力のビームなら装甲表面の破損程度で済み、核爆発に巻き込まれても本体の原形が残るほどである。


当時のザフトは大気圏内での飛行能力を獲得させようとする場合に機体を可能な限り軽量化する傾向があり(その代表例が37.33tのディン)、本機もそれに倣いストライクにて採用されていた「フェイズシフト装甲への依存度を高め軽量化する」手法を用いていると思われ、後述するバックパックの図体の大きさがあっても同時期のMSとしてはかなり軽量な部類に入る。本来この手法の欠点であった「フェイズシフトダウン時の防御力低下率が他の機体に比べて高くなってしまう」点も、理論上フェイズシフトダウンが起きない本機では黙殺されている。

なお、本機より軽い同時期のMSは、デュエル(61.9t)・ストライク(64.8t)・ストライクダガー(55.31t)・ハイペリオン(54.7t)・ディン(37.33t)・バクゥ(69.3t)・ラゴゥ(70.18t)・グーン(70.5t)・ゾノ(69.42t)・ドレッドノート(67.5t)・テスタメント(46.4t)・アストレイ(49.8t)・M1アストレイ(53.3t)となっており、大気圏内を飛行可能なMSの中では最軽量なディンの次に軽くガンダムタイプの中ではドレッドノート(バックパック無し)の次に軽い。『DESTINY』まで通しても、大気圏内を飛行可能なMSの中では8番目(ディン、ムラサメ、エクリプス(モビルアーマー形態)、シュライク装備M1アストレイ、バビ、ジェットストライカー装備ダガーL、ジェットストライカー装備ウィンダムの次)に軽い。つまり、C.E.74年まではMS形態にて大気圏内を飛行可能なC.E.のガンダムタイプとしてはシリーズを通して最も軽い機体だった。なお、C.E.75年にライジングフリーダム(67.90t)が登場し、最軽量の座を譲っている。

一方、その軽量さから核エンジンによる圧倒的な出力があっても質量の乗った攻撃に対して力負けする傾向がある。作中では、103.47tデュエルアサルトシュラウドに4倍以上の出力差がありながら腕力で拮抗された上に頭突きで体勢を崩され、84.01tレイダーの突撃をシールドで迎え撃った上で大きく仰け反り、77.13tセイバー相手にも(セイバーが大気圏内空中戦を得意とするMSであったことに加え、本機はシールドを捨ててさらに軽量になっていたということもあり)押し負けている。この点はキラの操縦技術によりある程度カバーされており、基本的には敵機と物理的接触する前にビームサーベルで切り払うか蹴りによる牽制をかけている。また、フォビドゥンのニーズヘグに対しては、初戦時にその直撃を正面からシールドで受けて大きく弾き飛ばされた反省から、次に似たような状況になった際は勢いが乗り切っていない刃部分の中程にシールドを滑り込ませることで受け止めるという対応を見せている。


スラスター

メインスラスター

背面にメインスラスターとなる噴射ノズルを2基備えており、これが生み出す推力だけで地球環境下を自在に飛び回れるだけの能力を持つ。最大出力ならジン1機を牽引した状態(合計150.0t)でもジンが乗ったグゥル以上の速度で直線飛行でき、マスドライバーによる初期加速状態であるもののクサナギやロケットエンジンタイプのものではなく低加速で持続加速を行う往還機タイプのスペースシャトルに追いつける程度の加速力を持つ。

特に言及はないが、後述するオーブ解放作戦にて補給無しで半日以上飛び回っていたことや海中でも問題なく動作していたことから、大気圏内における推進方法はストライクらと同様の超伝導電磁推進(吸入した空気や水を電気伝導体に見立てて電磁的に注排出する)のようである。推進剤の代わりに電力(エネルギー)を消費する推進方法だが、半永久的にエネルギーを供給し続ける核エンジンを搭載している本機の場合、スラスターやエンジンに異常が起こらない限りは半永久的に大気圏内を飛行し続けることができる。そのため、最高速度こそ脱出速度には到底届かない(音速を超える程の速度を持るMA形態のエクリプスでさえ到底届かない)が、時間をかけて高度を上げ続けることにより大気圏離脱を行える可能性が高い(加速力がなくても常に推力重量比が1を超えていれば大気圏離脱自体は可能)。実際、前述したスペースシャトルに追いついた際、キラはそのまま宇宙まで同行しようと提案しており、それに対してザフト製の兵器に精通しているバルトフェルドは口を出さなかった。また、本機は飛行し続けることによるリソース消耗が無いため大気圏内において空中以外で戦闘を行ったことが殆どない。

一方、大気圏外における推進方法はロケットエンジンと同じ推進ガス方式である。推進剤の搭載量もそこまで多くないようで、宇宙を長距離移動する際は慣性航法によりL5宙域からアラスカまで(約40万km)を3日間かけて移動していた他、宇宙では一戦行うごとに旗艦から補給を呼びかけられていた。なお、これらの推進方法はスラスター内で自在に切り替えることができ、空気・水・推進ガスを同じノズルから噴射する。

近い形状のものが(リフターに隠れていて見えないが)火器運用試験型ゲイツ改に搭載されており原型と考えられる(本機に採用されたものはゲイツ改のものから一回り小さくなり噴射ノズルの口径が大きくなっている)。


サブスラスター

メインスラスター脇、脛後面、ショルダーガードの内側、ウエストガード後部(厳密にはクスィフィアスの砲身後端)、足裏と、機体の至る場所にサブスラスターを内蔵しており主に姿勢制御に用いられる。

ショルダーガードの内側のショルダースラスターは機体側方を向くという唯一性を活かして繊細な姿勢制御とそれによる大気圏内外での運動性向上に貢献している。

足裏とウエストガードのサブスラスターも可動域が広い(ショルダースラスターと異なり機体前方に向けることもできる)ため逆噴射による急停止や咄嗟の後退(間合い確保)に適している。また、足裏のサブスラスター群は爪先にある1基と踵にある1基の計2基により構成されており、その推力の高さから急停止に重宝されている。

サブスラスターの中でも比較的大型な脛後面のレッグブースターには推力を逃がさず最大限利用するためのカバーが併設されている。また、レッグブースターの両側面にもサブスラスターが内蔵されている。これらも急停止に用いられている。


ウイングバインダー

小型スラスター群を内蔵した長さが異なる左右5対(計10枚)の翼の広域可動によって姿勢制御を行う、背部の複合可変翼。能動性空力弾性翼(Active Aeroelastic Wing)とも呼ばれる。


構造

片翼あたり2枚の大型翼と3枚の小型翼により構成され、大型翼と小型翼が1枚ずつペア(計2ペア)となって根元部分にて繋がっており、実質的な翼はペア翼2枚と小型翼1枚の計3枚となる。また、翼の根本部分に薄型かつ小型なスラスターを表裏に2基ずつ(計12基)搭載しており小型スラスター群を構成している。さらに、これらの翼は小型のジョイントアームによりメインスラスターの側面と接続されている。この接続部の可動軸は2軸となっておりどちらも90度以上の可動範囲を持っていることに加え、各翼を一点で留める要部分も可動軸として機能する。

2枚の大型翼の間に挟み込む形で「M100 バラエーナ・プラズマ収束ビーム砲」(砲身は大型翼とほぼ同じサイズ)が収納されており、機体の重心バランスを保ったまま長い砲身を保持することに成功している。また、「ウイングバインダー」と呼ばれているのはこのためであり、バラエーナを収納する役目に焦点を置いた「バラエーナ・バインダー」という呼称も存在する。一方、バラエーナを挟み込んだ欠点として、相応の操縦技術がないと簡単に攻撃されやすい図体の大きなウイングを破壊されるとバラエーナも誘爆してしまうため、フェイズシフト装甲でも殆ど吸収できないほどに本体に加わる衝撃が大きくなってしまっている。

翼自体はその表面積の広さに対して本体装甲より薄く頭部のアンテナ程度の厚さしか持たないものの、フェイズシフト装甲により十分な強度は確保されているようであり、実弾兵器の直撃で破壊されることも負荷に耐えきれずに空中分解するようなこともなかった。しかし、本体装甲の強度には遠く及ばず、核爆発の直撃を受けた際、本体は最後まで原形を残しきったのに対して数秒ともたずに消し飛んでいる


機能

コンピューターのリアルタイム制御によって小型スラスター群の推力や翼全体の形状・位置・角度を緻密に変化させることができ、大気圏内では空力制御、宇宙空間では重心制御をそれぞれ行うことにより航空機以上の高い急旋回・急制動能力を発揮する。また、高速かつ直線に飛行する際は翼を揃えて進行方向の逆へ伸ばすような形態を取ることにより小型スラスター群の推力を姿勢制御ではなく加速に転用することもできる。

放熱板としての役割を持ち、翼の内部には温度の安定機能を持たせ表面には排熱用の特殊加工を施すことによって宇宙空間の激しい温度変化に対応しているだけでなく、バラエーナ発射の際に発生した熱を翼へ逃がすことで排熱効率を向上させ、プラズマ収束時に余剰エネルギーを赤い粒子として小型スラスター群から放出する機能まで備えている。特にバラエーナの排熱については、ほぼ同時期に開発されたシグーディープアームズの「試製指向性熱エネルギー砲」が(信頼性重視で既存技術しか使えなかったとはいえ)砲身の冷却に四苦八苦していたことを考えると、新技術により頭一つ抜けた冷却性能となっている。

一方、ジャスティスのファトゥム-00やディンの翼と異なり揚力を得られる仕様にはなっておらず、敢えて抵抗を受けることによる空力制御と重心制御に特化している。


サイズと重量

同時期のMSと比較すると非常に大型なバックパックとなっており単純な図体はかなり大きいが、そこから発揮される余りある推力と機動性や前述した本体の軽量化追求により大した問題にはなっていない。また、ベース機が同じであるドレッドノート(バックパック無し)の重量を参考にした場合、このバックパックの重量は4t程度しかなく(ちなみにエールストライカー20.3tソードストライカーでも9.3t)、翼の薄さも相まってか見た目に反してかなり軽い。ただでさえ軽いその重量の大半もおそらくバラエーナのもので翼だけ見れば非常に軽量であると思われる。


弱点

このウイングバインダーは連合・ザフトを問わず既存のMSに見られない大掛かりかつ複雑な構造とされ、総じて本機の機体性能はこの翼によって保たれているに等しい

裏を返せば翼が最大の弱点ということであり、前述の通り攻撃された場合にバラエーナの誘爆を招くという欠点がある他、後述するエンジェルダウン作戦でも左翼を失ってから一気に防戦一方となっている。なお、前述の通り揚力を目的とした機構ではないため、たとえ全損したとしても大気圏内を飛行できなくなるということはない。


後継

デスティニーのウイングユニットは、このウイングバインダー(の能動性空力弾性翼要素)を発展させたものである。本機のものと比較すると、翼の開閉構造が若干簡略化されており、片方計5枚の翼(大型翼1枚、小型翼3枚、中型翼1枚)が全て一列に並び、大型翼を一種のバインダーとして他の翼を包み込む形で閉じる構造になっている。さらに、バラエーナの不採用により不要となった排熱・排エネルギー機能の代わりに、スラスターとしてヴォワチュール・リュミエールの近縁種である光の翼が搭載され、推進機構としての性能が格段に向上している(ただしエネルギー消費量も格段に増加している)。また、背面にメインスラスターとなる噴射ノズルを2基備えている点も本機と共通している。

ライジングフリーダムのウイングバインダーも本機のものをベースとしたものになっており、計10枚の翼やプラズマ砲である「MA-BBF75 400mm超高インパルス砲 シュトゥルムスヴァーハー」の挟み込みなど本機と共通する点が非常に多く、機構はとても似通っている。一方、MA形態時に使用する機首と衝突するためか、背面にある噴射ノズル2基は機首を挟むように配置された2基のスラスターに変更されている。

大掛かりかつ複雑な構造であるためか、発展型が量産機へ採用されるといったようなことは一切無く、上述の通りデスティニーやライジングフリーダムといったエース専用のワンオフ機への採用に限定されている。

ストライクフリーダムも似たような形状の「EQFU-3X スーパードラグーン (可変式)機動兵装ウイング」を持つが、こちらは姿勢制御用の機構というよりもドラグーンシステムのプラットフォーム、およびヴォワチュール・リュミエールによる高推力スラスターとしての側面が強く、このウイングバインダーの発展型とは言い難い。実際、ウイングの重量が大幅に増加したことでメインスラスターとの接続部が強度の高い大型マウントアームに変更されたため可動域が狭まっており、翼の方も単純な枚数が左右で1枚ずつ減少しただけでなく形状が均一化された上で全てが2枚で1ペアとなって実質的に2対の翼となったため形状の多様さも失われている。それでもウイングにマウントしているドラグーンの子機を活かしてある程度の空力制御と重心制御は行えるようであり、本機と同様にウイングの開閉(変形)を行いながらの高機動戦闘を行っていた。

C.E.75年にキラにより設計されたMDE262S プラウドディフェンダーも本機のウイングに似た構造を持ち、本機やライジングフリーダムをベースにしたと思われる。


ハイマットモード

フリーダム

全ての翼を放射状に広角展開し、これらをリアルタイムで動作させることで姿勢制御を行い機動性および旋回性を大幅に向上させる形態。

上述の通りウイングバインダーに放熱機能があるからか、大気圏突入時もシールドと合わせて展開し、機体を熱から保護する役割も持つ。

詳細は当該記事を参照。


フルバーストモード

ZGMF-X10A フリーダム

ウイングを縦並列させたままクスィフィアスと、バラエーナを同時展開することで絶大な火力を誇る一斉射撃形態。

勘違いされがちだが、前述の通りメインスラスターだけで飛行可能なためこのモードであっても当然飛行可能である。作中でも初使用回である『舞い降りる剣』にてアークエンジェル目がけて飛んできたミサイル群を撃ち落とす際にこのモードへ変形してから前進していくシーンが存在する他、オーブ解放作戦にてM1アストレイに対して優勢気味だったストライクダガーを一掃する際にもこのモードに変形して空中から射撃している。


画的に映える後述のモードがよく取り沙汰されるが、バンク以外で一斉射撃を行うシーンが描かれる際には原則このモードが使用されている。加えて、このモードによる一斉射撃では後述の「ピクウス76mm近接防御機関砲」が使用されている。よって、本機の全射撃武装を使用した本当の意味での一斉射撃を行っているのはこのモードのみである。

派生としてはバラエーナ二門での「大気圏内での逆さ撃ち」なども行っている。


劇中ではこのモードについて説明が無い。また、設定画にもフルバーストモードの呼称は無いが、フリーダムの初期稿とされる新型ガンダムには「FULL BURST MODE」と明記されていた。


ハイマットフルバーストモード

FREEDOM

翼を全開にし、全ての火器を一斉発射する両方のモードを合わせた「必殺技」。

詳細は該当記事を参照。


武装

殆どのZGMF-Xシリーズ機(主に本機、ジャスティス、プロヴィデンス)に言えることだが、本機の装備もエネルギー効率の劣悪さを核エンジンによるゴリ押しで解決したものが殆どであり、量子コンピュータによるシミュレーション評価を通過した装備一つ一つは実戦運用に耐えうるとはいえ、主にエネルギー効率的な観点において試作段階の側面が強い。そのため、ザフト製の後発MSにはZGMF-Xステージシリーズ機の装備の発展型や改良型を搭載したものが数多く存在する。

詳しくは後述するが、ザフト製MSの開発史において、固定式バルカン、ビームライフル、ビームサーベル、対ビームシールドは本機(およびジャスティス)から搭載されるようになった装備である。


MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御機関砲

頭部に2門固定装備されている機関砲。「ピクウス」はラテン語で「キツツキ」を意味し、名の通り連射力は高い。マイウス・ミリタリー・インダストリー社製。

接近する敵MSの分散、または対空防御及び牽制において効果を発揮する。所謂バルカンなので威力は低いが、初期GAT-Xシリーズの「75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン」よりは大口径な分高威力であり、ミサイルの他にも戦闘機や戦闘ヘリも撃墜できる。


ZGMFを冠するザフト製汎用型MSに搭載されるようになった初の固定火器である(それまで固定火器を持つザフト製MSはバクゥ系列・グーン系列・ザウート系列といった、装備を保持できるほど器用なマニピュレーターを持たない局地戦用機体のみだった)。

本機以降に開発されたMSの内、ジャスティスを除くZGMF-Xシリーズ機とゲイツ系列、セカンドステージシリーズのセイバーとカオスにも本装備が採用されている。このうち、セカンドステージの2機のものはどちらもMA形態専用装備になっており、MS形態では後述の後継種を使用している。


実運用

作中では主に対空防御用としてミサイル迎撃に使用されたが、ノーモーションで使用できるためレイダーのミョルニルを減速させるなどの咄嗟の牽制に使用されたこともある。


後継

ほぼ同時期に開発されたジャスティスの「MMI-GAU1 サジットゥス20mm近接防御用機関砲」と共に、ザフトにおける内蔵式機関砲の系譜(MMI-GAU系列)の元祖となっており、多くの後継モデルが存在する。

具体的には、コアスプレンダーの「MMI-GAU19 20mm機関砲」、全セカンドステージシリーズ機とドムトルーパーの「MMI-GAU25A 20mmCIWS」、インフィニットジャスティス・デスティニー・レジェンドの「MMI-GAU26 17.5mmCIWS」、後継機であるストライクフリーダムの「MMI-GAU27D 31mm近接防御機関砲」、カオス・ガイアアビスの「MMI-GAU1717 12.5mmCIWS」、バビの「MMI-GAU2436 22.5mm4銃身機関砲」、ライジングフリーダムの「MMI-GAU30 31mm近接防御機関砲 シュラークファング」、イモータルジャスティスの「MMI-GAU27Q 20mm 近接防御連装機関砲 ヴァンダーファルケ」が該当する。また、型番と名称を見るにジャスティスのファトゥム-00に内蔵されている「GAU5 フォルクリス機関砲」も後継モデルの一つだと考えられる。

実弾兵器は弾倉によりスペースを圧迫する割に威力がないということで、ビーム兵器の普及に伴い小型化(小口径化)ないしオミットされるようになり、MMI-GAU系列もモデルを経る毎に小口径化が進んでいる。また、本装備が開発されてからの2年間で推定20種類以上の後継モデルが開発されたにもかかわらずセイバーとカオスにも採用された辺り、本装備は他の系列モデルにはない唯一無二の要素を持っている可能性がある(MA形態専用装備であることから、高速移動中の連射力と威力に優れるモデルであることなどが考えられる)。

また、ガズウートの「MMI-M19 14mm2連装近接防御機関砲」、インフィニットジャスティスの「MMI-M19L 14mm2連装近接防御機関砲」という、MMI-GAU系列とは別系列の内蔵式機関砲も存在する。


余談

火器運用試験型ゲイツ改での試験運用の際、搭載箇所で競合したためか、本装備の試験運用は行われたものの、ジャスティスの「MMI-GAU1 サジットゥス20mm近接防御用機関砲」は試験運用を経ずに直接採用・搭載されることとなった。


MA-M20 ルプス・ビームライフル

ジャスティスと共通のビームライフル(カラーリングは異なる)。開発はマティウス・アーセナリー社が担当し、機体本体よりも先(火器運用試験型ゲイツ改と同時)に完成していた。「ルプス」はラテン語で「オオカミ」を意味する。

取り回しと連射性能に優れる携行火器であり、威力の方もGAT-Xシリーズ等のビームライフルを上回っているどころか、完成から2年後のC.E.73年においても本装備の改良・発展型と遜色ないほどに高い。

形状はストライクの「57mm高エネルギービームライフル」に酷似しており、そこからカバーを被せたような見た目をしている。このカバーの差し色がジャスティスと異なる。


意外にも、ザフト製では初めて実用化されたビームライフルである。一応、携行可能なビーム射撃装備としてはジンの「M69バルルス改 特火重粒子砲」が初だが、これは内蔵電源型で機体側からの電力供給を必要としていない上に、ビームライフルと比較すると銃尻に設置された電源カートリッジによって大型化してしまっており、ライフルというよりバズーカといった風貌である。


開発経緯

バッテリー駆動の火器運用試験型ゲイツ改(本機と同じカラーリングのものを使用)での試験結果により採用見送りかスペックダウンによる採用が検討されていたほどにエネルギー消費が激しかった(稼働時間が5分未満となっていた主原因が本装備だった)が、試験結果が出た直後に核エンジンの搭載が決定したことでエネルギー消費を無視できるようになったため、そのままの性能で搭載されることになった。


実運用

本機が搭載するビーム射撃装備は本装備以外だと大味なバラエーナしかないことも相まって、本機のメイン火器としてあらゆる場面において終始重宝され続けた。その重宝具合は、プロヴィデンス戦にて本装備を使い続けるために左手のシールド(=防御)を捨ててビームサーベルを握ることを選択するほどだった。


後継

ザフト初のビームライフルということもあり、本装備をベースにした発展・改良型、およびその系譜は複数存在する。

系譜の一つとしては、本装備の量産発展型(スペックダウン型)にあたるゲイツの「MA-M21G ビームライフル」から始まるものがあり、ザフト量産機としては初めて機体側からの電力供給方式が採用され、ザフト製ビームライフルとして試験的なものとして位置付けられた。そのMA-M21Gからドレッドノートの「MA-M22Y ビームライフル」に派生し、MA-M22Yからプロヴィデンスの「MA-M221 ユーディキウム・ビームライフル」に発展、2年後にMA-M221からプロヴィデンスザクの「MA-BAR76T 高エネルギービームライフル」を経由してレジェンドの「MA-BAR78F 高エネルギービームライフル」へと発展した。

他の系譜としては、2年後に本装備をベースとして設計されたセイバーの「MA-BAR70 高エネルギービームライフル」から始まるものがあり、バッテリー搭載機においても遜色のない威力と連続発射でもエネルギー切れしない性能を実現している。このMA-BAR70から搭載機の特徴に合わせる形でガイアの「MA-BAR71XE 高エネルギービームライフル」とインパルスの「MA-BAR72 高エネルギービームライフル」へそれぞれ発展、さらにMA-BAR72からカオスの「MA-BAR721 高エネルギービームライフル」とデスティニーの「MA-BAR73/S 高エネルギービームライフル」へとそれぞれ発展した。また、ハイパーデュートリオンエンジンに対応したMA-BAR73/Sの登場により、ザフト製ビームライフルの最大威力が本装備のものから更新された。

他には、後継機であるストライクフリーダムの「MA-M21KF 高エネルギービームライフル」、インフィニットジャスティスの「MA-M1911 高エネルギービームライフル」という直接の改良型も存在する。前者は連結機能が追加され必要に応じて威力と射程を強化できるようになっており、後者は格闘戦重視な本体に合わせフォアグリップを廃し取り回しを向上させたものとなっている。なお、どちらも機構追加や改修が主で威力の方は本装備から据え置きのようである。また、直接の改良型でありながらラケルタと異なりペットネームを付けられていない。

詳細な系譜は不明だが、ライジングフリーダムとイモータルジャスティスの「MA-M727A3 高エネルギービームライフル」も型式番号的に本装備の後継の1つと思われる。

ザフト系列以外には、オーブのエクリプス2号機の「R2-W1 ビームライフル」も本装備をベースに開発されている。


MA-M01 ラケルタ・ビームサーベル

ザフトではバクゥやラゴゥで初めて実用化されたザフト製ビームサーベル「2連装ビームサーベル」の発展型。「ラケルタ」はラテン語で「トカゲ」を意味する。マティウス・アーセナリー社製。ジャスティスとの共通装備(カラーリングも同じ)であり、前述したウエストガード上部に1本ずつ(計2本)装備している。

核エンジンからの莫大なエネルギー供給により初期GAT-Xシリーズのものより遥かに出力が高く、刃渡りが長いビーム刃を長時間形成できる。その出力は通常のビーム射撃を切り払うことができるほどに高い。高出力ながらも砲撃系のビーム兵器よりは消費エネルギーが少ないためか、同じくビーム兵器であるルプスやバラエーナと異なり開発・搭載過程においてバッテリー駆動に合わせた性能の引き下げ等が検討されることはなかった。

原型の2連装ビームサーベルから継承したのか、2本のビームサーベルの柄頭同士を連結させて両剣とする「アンビデクストラス・ハルバード」形態を取ることができる。この形態では内蔵ジェネレーターも連結されるためか、通常時よりも刃渡りが延長され片方のビーム刃だけでも本体の全高より長くなる(双方からビーム刃が伸びているため全長は40mを超える)。

上記の高威力化や近接戦闘を多様化させる連結機能は、ビーム兵器開発においてナチュラルに先を越されたザフト技術者が、その汚名を返上しようとした結果の産物である。

特に言及されていないが、作中描写ではライフルやシールドと異なりフェイズシフト装甲起動時に本体と共に色が変化しているため、フェイズシフト装甲が施されていると考えられる。また、小型バッテリーを内蔵しているのか、短時間であれば手から離れてエネルギー供給が途絶えてもビーム刃を維持し続けている。なお、これについてはエールストライクのビームサーベルでも同様であり、そちらを基にした本装備も引き続きこの仕様になっていると思われる。

非使用時は両腰のクスィフィアス上部のラックにマウントされる。


実運用

ジャスティスと異なり、アンビデクストラス・ハルバード形態は『SEED』最終回の1度しか使用されず、本機では右手のみでの使用や二刀流が頻繁に行われた。また、プロヴィデンス戦での一度だけだが、右手にビームライフル、左手に本装備というスタイルを披露した。

また、キラの操縦技術も合わさってドラグーンやライフルのビームを切り払うという用途でも何度か使用された。

急旋回をはじめとする高機動を行った際に意図せず本体を切ってしまう危険性からか、回避行動を取る際に握っていた場合は意図的にビームを発振しないことがある(『DESTINY』PHASE-13で確認できる)。


後継

本装備の改良型の一つが、アビス以外のセカンドステージシリーズが共通で装備する「MA-M941 ヴァジュラビームサーベル」であり、ユニウス条約の締結に伴うミラージュコロイド技術応用型の従来サーベルの使用禁止を踏まえて行われていた技術研究を礎としていながらも本装備に対して出力では勝っている。その出力は当たり所が良ければ量産機の対ビームシールドを両断できるほどに高い。

もう一つが、ストライクフリーダムとインフィニットジャスティスに搭載された「MA-M02G シュペールラケルタ・ビームサーベル」であり、こちらはヴァジュラへ対抗するために強化された後発の改良型となる。ヴァジュラではなくラケルタから直接発展しているためミラージュコロイド技術応用型である可能性が高い。

また、ライジングフリーダムに搭載された「MA-FZ51 ヴェルシーナ ビームサーベル」についても現状直接の言及はないものの、開発元が同じであることや機能の酷似からヴァジュラ系列のようにラケルタ系列から派生した新系列モデルであると推測されている。

連結機構の方も、ソードインパルスの「MMI-710 エクスカリバー レーザー対艦刀」やレジェンドの「MA-M80S デファイアント改ビームジャベリン」に採用されている。


余談

初期GAT-Xシリーズのビームサーベル同様、ビーム刃の形成にミラージュコロイド技術を応用しているため、C.E.73時点ではユニウス条約違反にあたる装備である。そのため、本装備を搭載する本機もまたNダガーNと同じく(連合かザフトが運用した場合)二重の条約違反を犯している機体と言える。

なお、ビームサーベル関連まで禁止するのは両陣営にあまりにも不利益であるという理由から、最終的にユニウス条約からビームサーベル関連へのミラージュコロイド技術の使用制限は除外されており、C.E.73年に製造・運用された105スローターダガーはストライクダガーと同型の「ES01 ビームサーベル」を引き続き搭載している。ただし、ザフトの方は非ミラージュコロイド技術をもとに「MA-M941 ヴァジュラビームサーベル」を開発したり、主力量産機にビームサーベルを採用しなかったりと、可能な限りミラージュコロイド技術に頼らない兵器開発を行っていた。


M100 バラエーナ・プラズマ収束ビーム砲

背部ウイング内に計二門装備された高出力プラズマビーム砲。「バラエーナ」はラテン語で「クジラ」を意味する。開発元は不明(型番的にプラントの兵器メーカーではなくザフトの設計局製と思われる)。

一門でもランチャーストライカーの「320mm超高インパルス砲 アグニ」に匹敵する出力を誇り、本機の火器の中では最大の破壊力と射程距離を持つ。その射程距離は推定2km程度の長距離射撃も可能なほどであり、長距離射撃の際には照準スコープが用いられる。作中でもアークエンジェルへ向けて発射された対艦ミサイルに対してそのコースを遮るように遠方から照射を行い一部を破壊している。さらに核エンジンからのエネルギー供給が続く限り何発でも発射、あるいは照射し続けることができる。フルバーストにおいて高出力な本装備は特に重要であり、その貫通力により同時攻撃可能な数を増やしている。

また、その砲身の長さ故か、高出力のビーム砲でありながらアグニと同じく発射前にチャージが不要なため連射性能も比較的高い(作中ではルプスの40~50%ほどの連射速度を披露していた)。


構造

本装備を保持しているウイングバインダーとの接続部と、ウイングバインダーを保持するジョイントアームとメインスラスターの接続部の可動域(計3軸)を殆ど使用でき、さらに砲身の根本にあるヒンジにより左右にも可動域が存在するため、内蔵式ビーム砲としてはかなり広い射角を有している。また、このヒンジの存在により、ハイマットモードでも本装備を展開することができる。

後部上側に排熱用の吹出口が存在し、ハイマットモードにて連射した際は排熱を行っている。


開発経緯

開発陣はその破壊力にロマンを感じたのか、核エンジンの搭載決定に伴い追加可能となった装備の中で本装備を真っ先に採用しようとした。元々はバッテリー駆動である火器運用試験型ゲイツ改(リフターを搭載したものとは別モデル)に搭載して発射試験を行った際に僅か二発でバッテリー切れを起こすほどのエネルギー消費量が問題となり事実上の失敗作の烙印を押されていた武装であった。しかし、試験後に無限に近いエネルギーを供給できる核エンジンの採用が決まり、核エンジン搭載による再度の発射実験にてその威力が証明されたことで搭載許可を取り付けたという経緯を持つ。そのため、搭載が決まったのは本機の装備の中で最も遅いながらも、同時に特に核エンジンに依存している装備と言える。

しかし、実際に搭載するにあたっても、開発当時のMS設計局と武装機器の設計局が反目しあっていたためにMS本体の設計局から砲身が大き過ぎるため機体バランスが崩れるという声が上がるというトラブルが生じた。その解決案として機械工学の権威でもあったユーリの提案した姿勢制御用の能動性空力弾性翼に挟み込む形で砲身を保持するという形が採られた。

ちなみに、比較対象とされるアグニ(ランチャーストライカー)の重量は18.9t(ソードストライカーとの重量差を考えるとアグニ単体でも13t以上)あり、砲身も後端に追加バッテリーを搭載していることもあり約20mと搭載MSの全高より長い。そんなアグニと同等の破壊力を推定2~4t程度かつ十数mの砲身で実現した本装備の技術力はかなり高いと言える。


実運用

フルバーストにおいてはメイン火力の一角として多用された。

一方、発射の際は長い砲門を前方に突き出す必要があり、それによる重心の変化から得意の急旋回が行えなくなるためか、高機動戦闘では射撃を回避した際のカウンター以外で殆ど使用されなかった。逆に、長距離射撃やカラミティ相手のように高機動を必要としない戦闘では比較的重宝されていた。ただし、キラは中遠距離での射撃戦よりも高機動戦闘を主とするため、その戦闘スタイルと合っているとは言えない。


後継

本装備の改良型が、セイバーの「M106 アムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲」とアビスの「M107 バラエーナ改・2連装ビーム砲」であり、変換ユニットの改良によってバッテリー駆動機においても本機のバラエーナと遜色のない威力を持ち、連続発射でもエネルギー切れしない性能を実現している。なお、バラエーナ改はプラズマ収束ビーム砲ではなく省電力タイプの一般的なビーム砲になっている。

また、前述のようにキラの戦闘スタイルとあまり合わなかったためか、あるいは「EQFU-3X スーパードラグーン 機動兵装ウイング」との併載が困難だったためか、ストライクフリーダムに本装備の発展型は搭載されず、高火力ビーム砲枠は「MGX-2235 カリドゥス複相ビーム砲」へと置き換えられた。こちらは砲門が腹部に内蔵されているため本装備の欠点だった重心バランスの変化を物理的に解消し、かつノーモーションで放つことができ、さらには接射も可能なため高機動戦闘においても格段に扱いやすくなっている。一方、可動域が胴部に依存しているため機体正面にしか発射できない問題もある。

ライジングフリーダムにおいてはウイングバインダー内蔵の高火力ビーム砲が復活し、本装備と同じ位置に「MA-BBF75 400㎜超高インパルス砲 シュトゥルムスヴァーハー」が装備されている。製造元や原理が違うためバラエーナとの技術的接点は薄いが、大まかな形状や後端の排熱用吹出口といった共通点は多く、実運用上は後継と言って差し支えない。


余談

  • 威力が高すぎて並みの対ビームシールド程度なら貫通してしまう事実上の必殺装備なためか、作中ではフルバースト以外でまともに命中したシーンが殆ど存在せず、回避されずともフォビドゥンにはゲシュマイディッヒパンツァーで、デストロイには陽電子リフレクターで防がれており、本機の実質的な機体コンセプトにまでなったその破壊力の割にはネームド相手に目立った戦果を挙げられていない。
  • 本装備の搭載に反対した「MS設計局」については、当時のザフトでZGMFシリーズ(純人型MS)を開発していたのがハインライン設計局のみなため、この局である可能性が高い。
  • ザフトがビームライフル(緑ビーム)に次いで実用化したビーム兵器だが、当時のザフトが持つ高出力ビーム砲(赤白ビーム)の技術はイージスの「580mm複列位相エネルギー砲 スキュラ」のみなため、スキュラを参考にして開発されたものを思われる。

MMI-M15 クスィフィアス・レール砲

折り畳み式(3つ折り)の砲身を持つレールガン。砲身後端にはサブスラスターも備える。前述したウエストガードに装備されている。「クスィフィアス」はラテン語(またはギリシャ語)で「メカジキ」を意味する。マイウス・ミリタリー・インダストリー社製。

ザフトにおいて後期主力携行装備としてデュエルアサルトシュラウドに搭載させていた「115mmレールガン シヴァ」を発展強化させた装備で、展開時の砲身全長がシヴァよりも長くなったことでより高速に弾丸を電磁射出できるようになった。その威力は実弾かつ小口径でありながら通常装甲のMSを一撃で破壊できるほど強力であり、フェイズシフト装甲であっても砲門部やスラスター部のように装甲が薄ければ部分的に破損させることができる。また、弾丸自体も高速で水面に撃ち込まれて粉砕しない程度の強度を持つ。

ウエストガードの可動の広さにより広い射角を有しており、携行弾数も膨大であるため、マルチロックオンシステムとの連携では広範囲の標的に対して攻撃することも可能な他、速射性にも優れている(フルバーストの描写ではライフル以上の速射性・連射性を披露している)。そのため、中距離からの牽制用火器としても有効であり対MS戦闘における戦術を広げている。

サブスラスターはウィングバインダーのように排熱用吹出口も兼任しているのか、フルバーストなどで連射した際に度々ここから排熱を行っている。さらに、砲身側面にサブグリップが存在しマニピュレーターで保持して砲身を安定させることができる。


搭載経緯

ザフトにおいて電磁レールガンはMS用小型ビーム兵器の実用化の目処が立ったことにより次期主力武装の座を奪われていたが、ラミネート装甲が一般化した戦闘における対艦船攻撃用武装としての重要性や、連射性を活かした複数の標的への同時攻撃能力の高さ等を声高に主張した兵器メーカー(マイウス・ミリタリー・インダストリー社)のゴリ押しにより搭載されるに至った。


実運用

曰くのある搭載経緯ではあるものの、フォビドゥンのゲシュマイディッヒパンツァーの上から衝撃を通してノックバックを狙えたり、水中にいるアビスのスラスターを空中から狙撃したり等と、開発陣の想定以上に活用することとなった。しかし、本来の仮想敵であるラミネート装甲相手に使用されたことは一度もなかった(そもそも本機が行ったまともな対艦戦はミーティア装備時のみであり、胴体部にラミネート装甲を持つ105ダガー系列と戦う機会も無かった)。

また、バラエーナ同様、発射の際は長い砲門を前方に突き出す必要はあるが、砲身の細さから重心の変化度合いはバラエーナより小さいためか、高機動戦闘でもビームライフル・ビームサーベルに次いで使用された。

一方、固定火器として手持ち装備との同時使用が基本だったため、サブグリップは殆ど使用されなかった(作中では、オーブでのフォビドゥン戦とミーティア装備時のプロヴィデンス戦のたった2回)。


後継

本装備の活躍により有用性が実証されたためか、少数ながら系列モデル(発展型)が存在し、ゲイツRの「MMI-M20S ポルクスIV・レールガン」とブラストインパルスの「MMI-M16XE2 デリュージー・超高初速レール砲」が該当する。特に後者は実弾だけでなくプラズマまで投射できるようになっている(つまり実弾とビームを撃ち分けられる)。また、アビスにも系列モデルの「MMI-M15E クスィフィアス改・レール砲」が搭載される予定だったが、変更されてバラエーナ改が搭載されている。

後継機であるストライクフリーダムの「MMI-M15E クスィフィアス3・レール砲」という直接の改良型も存在し、こちらは砲の格納形体が従来の3つ折り式から2つ折り式に小型化されつつ威力も向上している。一方、2艇のビームライフルをマウントする際に背部へスライドして使用不能となる。この点は劣化したと言われがちだが、実は本機でもライフルをマウントした際クスィフィアスの後部が干渉するため完全に展開するにはサイドスカートの可動を駆使する必要がある。作中ではライフルをマウントした状態で本装備を使用するシーンが一度だけ登場する※が、砲身を若干上向きに可動させることで干渉をギリギリ避けている。そもそも、キラがビームサーベルと本装備を併用したのはプロヴィデンス戦最終盤にてドラグーンを撃ち落とした一瞬のみであるため、本機時点の実運用上に限れば劣化とは言い難く、ストライクフリーダムをキラ専用のワンオフ機として見れば殆ど問題にならない欠点だった(実際、キラがほぼ使用しなかったサブグリップが廃されたり、銃身が短くなり稀に行っていた接射に適するようにするなど、他にもキラに合わせた調整が行われている)。

ストライクフリーダムの改修機のストライクフリーダム弐式では形状が若干変更されたほか、背部へのスライド機構が無くなり、ビームライフルはサイドアーマーへマウントする方式に変更されたため、ビームライフルのマウント時にレール砲が使用できない問題点が解消されている。この際サイドアーマーの形状は本装備に近いものに交換されている。

さらに、ライジングフリーダムにはクスィフィアス3をベースにしたと思われる新系列モデル「MMI-M2020 ヴァイパー3 レールガン」が装備されている。こちらは基本的な形状はクスィフィアス3の方が近いものの、砲身の伸縮機能追加により本装備にも似たシルエットになるなど、事実上本装備とクスィフィアス3のハイブリッド版となっている。


※『SEED』PHASE-44のOP直後。なお、サブグリップを両手で握って使用したシーンではそもそもライフル自体がどこにも描かれていない。


余談

  • HDリマスター版ではレールガンの砲弾エフェクトが変更されており、ビームのようなエフェクトから弾丸発射のようなエフェクトに変更されており、実弾兵器であることがわかりやすくなっている。
  • 『SEED』シリーズにおいてネームドが駆る機体は実弾兵装が効かないフェイズシフト装甲持ちが殆どであるにもかかわらず、本装備は装甲が薄い部分あるいは欠けている部分を狙って破壊したり対ビーム兵装への対抗手段として用いられたりしたことにより、ネームド相手(フォビドゥン、プロヴィデンス、アビス、デストロイ)にも一定の戦果を挙げている。
  • 本装備の開発後年には主流となったビームへの耐性を主軸としたヤタノカガミフェムテク装甲といった技術が登場しているが、これらにレールガンは効果覿面であり、一度はビーム兵器という強力な装備によって不要の烙印を押されたレールガンの需要は再度高まっており、「対ビーム装甲への対抗手段」という兵器メーカーの主張が時を経て実証された。

ラミネートアンチビームシールド

アークエンジェル等の戦艦の外装に採用されているラミネート装甲製の対ビームシールド。ジャスティスとの共通装備(カラーリングは異なる)。左手に持って使用する他、肘のプラグに接続して左手を自由にすることもできる。

上半身を覆うほど大型ながら、視認性を損なわないための視察窓に加え、ビームライフルの防護のためにシールドを構えた状態から銃口を覗かせるための銃窓がシールド右上に用意されている(『SEED』PHASE-40で一度だけ使用された)。

ビーム直撃時にそのエネルギーを熱に変換した上でシールド全体に分散させダメージを無効化する。一般的な対ビームシールドに施されている対ビームコーティング(ビームを吸収拡散する特殊塗料)を部材単位で実現しており、部材単位なだけあってビーム耐性は非常に高く、作中ではドミニオンのゴットフリートやフォビドゥンのフレスベルグといった一般的な対ビームシールドでは数発で破壊されるような強力なビーム(実際フレスベルグはデュエルの対ビームシールドを2発で破壊可能な威力を持つ)を何度も受けきっている。また、部材単位のビーム耐性であることから多少変形しようと耐性を損なうことはなく、ビームによるダメージが破損ではなく熱融解による変形として表れるため比較的長持ちする。高いビーム耐性を持つ本装備と実弾攻撃を無力化する本体のフェイズシフト装甲により、本機は高機動・高火力のみならず非常に高い防御力をも持つに至った。実弾への耐性に関しても通常装甲と同程度とはいえMSの装甲よりは分厚いため、MSに搭載可能な大きさのミサイルであれば難なく防御可能であり、作中ではディンやムラサメのミサイルを防ぎきる姿が何度か見られた。

ちなみに、初期GAT-Xシリーズやダガー系列が使用している対ビームシールドの部材は命中したビームを屈折あるいは反射させて防ぐという、同じ対ビーム部材であるラミネート装甲と対照的な特性を持つ。また、この部材は併用されている対ビームコーティングも含めて劣化が激しいことに加えて同一カ所で受け続けることが非推奨な点も対照的である。


意外にもザフト製MSに初めて搭載された対ビームシールドである。ビーム兵器が未普及だった当時の連合製MAの火力であれば通常装甲で十分と判断したのか、それまではシールドを装備しているMS自体がほぼ無く、装備していたとしてもビーム耐性が無い上に武装を内蔵した複合装備といった形であり、ビーム耐性の有無以外に純粋なシールドとしても初である。


他の装備と異なり型番が存在しないため開発元は不明だが、この時期にザフトMS用のシールド(主に複合兵装の方だが)を開発していたのは、艦船に用いられる外装甲技術に強いという設定を持つマティウス・アーセナリー社であるため、本装備もこの企業が開発した可能性が高い。


弱点

装甲材の関係上、一般的な対ビームシールドと同じく戦艦の分厚いラミネート装甲すら容易く斬る対艦刀が天敵であり、ソードインパルスのエクスカリバーで貫通されたり、対艦刀と類似する構造を持つフラッシュエッジ(ビームブーメラン)によって傷つけられたりした。また、高出力のビームを浴び続けると盾全体が熱を持って分散能力が低下し、高温となった部材の融解が始まって変形してしまう恐れがある(同装備を持つジャスティスの方で実例がある)。加えて、実弾耐性の低さからウィンダムの対装甲ナイフで簡単に破壊された事例もある。

物理的な衝撃を軽減することも苦手であり、作中ではフォビドゥンのニーズヘグ、レイダーのクロー、ソードインパルスのフラッシュエッジの直撃によって機体バランスを崩されている。衝撃の吸収という観点で見れば本体のフェイズシフト装甲の方が優れてはいるが、それでも胴体部にレイダーのミョルニルを食らってバランスを崩されているため、機体として物理攻撃が弱点と言える(フェイズシフト装甲なので損傷はないが、パイロットにかかる衝撃を完全には抑えられない)。

また、ドミニオンからスレッジハマーを撃たれた際も、本装備で防がずにわざわざフルバーストで全て迎撃している(もっとも、本機はこの時に限らず戦艦やMAから放たれた大型ミサイルは一貫して射撃兵装による破壊を選択している)。重厚なラミネート装甲を持つ戦艦同士でも対艦ミサイルはCIWSで迎撃し命中した際には確実に損傷しているのを見るに、本装備の厚さでは対艦ミサイルに耐え切れない可能性がある。

総じて、シールドとしては高水準な部類だが必ずしも鉄壁というわけではない。


実運用

左手でサーベルを握って振る際に邪魔なため度々投げ捨てられていた(具体的には、オーブ解放作戦序盤、L4コロニーでのカラミティ戦、プロヴィデンス戦、セイバー戦の4回)。前述した通り手持ちでなくても肘プラグで保持はできるのだが、それでは本装備の重さで左腕の動きが鈍重になるのに加えて、攻撃範囲が狭くなってしまうためか、定期的に投棄が選択されている。ジャスティスでもビームブーメランを使用する際一時的に左手でビームサーベルを保持するのみで、左腕でのシールドと手持ち武装の同時使用は本機・ジャスティス共に行っていない。

ちなみに、初めて投げ捨てられたのはオーブ解放作戦序盤にて上空から二刀流でストライクダガーへ斬りかかった時であり、この時だけは本装備を回収している(すぐそばに落下したため回収が容易だったのも大きい)。


後継

ビームに対する防御力は確かでありライフルと同じくザフト初の装備であったが全く普及せず、後発のZGMF-Xシリーズであるプロヴィデンスや2年後のセカンドステージシリーズなどには一切採用されず、代わりに対ビームコーディングが施されたシールドが採用された。また、本装備は大型すぎて腕部の可動域を狭める、あるいは重量過多と判断されたのか、セカンドステージ機のシールドは本装備より一回り小型化されたり伸縮機能が搭載されたりなど、小型化や軽量化が図られている(なおこれらのシールドを開発したのはマイウス・ミリタリー・インダストリー社)。その後のサードステージシリーズでは、核エンジンの再解禁に伴ってより強力・軽量かつ自由度の高いビームシールドへと移行した。特にフリーダム系列の場合、前述した二刀流高速戦闘の足枷になることや重量の観点から、後継のストライクフリーダムでは両前腕装甲に装備されたビームシールドに置き換えられ、ライジングフリーダムでは本体にビームシールドを搭載した上に実体盾は飛び道具として使用できるよう設計された。総じて、本機の持つ機構や装備の中では唯一後継ないし発展型が存在しない

後述するL4コロニー群での戦闘にて、ジャスティスが変形したシールドを交換せずにエターナルから再出撃していたことを考えると、開発元の陣営を離れているとはいえ専用運用艦でさえ予備を用意できないくらい生産性に難があった可能性がある(新品のシールドが使用された次の戦闘までは75日間も空いており、その間にプラントに残留したクライン派やジャンク屋組合から補給も受けている)。一応、本機用としてはモルゲンレーテで修復された際に製造された予備の本装備がアークエンジェルに艦載されており、セイバー戦での投棄とウィンダム戦で破壊された際の2回(投棄は回収した可能性もあるため最低1回)交換されている。


余談

技術的接点はないが、実運用上は後継であるライジングフリーダムの「RQM73 フラッシュエッジG-3 シールドブーメラン」は本装備のカラーリングを踏襲したものを配色に使用している。ちなみにこちらは多機能を詰め込んだ関係上本装備以上の大きさを持っている


M.E.T.E.O.R.01

オプション装備。

モビルスーツ埋め込み式戦術強襲機(Mobilesuit Embedded Tactical EnfORcer)、通称「ミーティア」の1号機(ナンバー01)。未使用時はエターナルの艦首に接続されている。

兵装や各種機能はリンク先を参照。ここでは本機に関連するトリビアを主に解説する。


ミーティアとの接続の際、本機はライフルとシールドをミーティア側の収納スペースに格納の上、腹部に接続してくるミーティアの接続マウントとメインユニットに干渉しないようにウイングバインダーを畳んだ状態で上にせり上げて固定、ミーティアのアームユニット(ウェポンアーム)に付いているハンドルをマニピュレーターで掴むことにより、一連の接続シークエンスが完了する。

接続状態でもバラエーナとクスィフィアスは使用可能であり、ミーティアの各種兵装と合わせ総数85門のミーティアフルバーストを行うことができる(一応ピクウスも使えるが効果があまりにも薄いため作中未使用)。本機のマルチロックオンシステムもこの砲門数に対応しており、もはやいくつロックオンしているのかわからないレベルに同時ロックオンする


ミーティアを接続すると、本機の核エンジンは機体出力を維持しながらミーティアにも電力を供給する形になるが、膨大な電力を消費するミーティアのビーム兵器を多用すると流石に発電量(供給量)が追いつかなくなるようであり、ミーティアの運用試験を行った際にビームソードを想定の3倍の長さにまで延長したところ一瞬とはいえ理論上あり得ないとされていたフェイズシフトダウンが発生した。これにより、無尽蔵の核エンジンとは言えど、流石に限界があることが証明されることとなった。なお、後継のストライクフリーダムでは新型核エンジンであるハイパーデュートリオンエンジンによりビームソードの延長を行っても問題なく稼働できるようになっている。


後期主人公機として

ガンダムシリーズでは、主人公が物語の後半に新型に乗り換えるのが定番となっているが、それらの機体は前半の主人公機を元に、所属している組織が開発した後継機の場合がほとんどである。

しかし本機の場合は、味方側が開発した機体から敵側が開発した機体に乗り換えるという珍しいパターンであり、当然同系列機ではないため形番からしてまったく違う。しかも本機の外見、特に頭部はストライクに酷似しているため誤解されがちだが、本機は前半に登場した5機の初期GAT-Xシリーズのうち強奪された4機のデータを基に開発したものであり、むしろ強奪を免れた主人公機であるストライクのデータだけが入っていない(さらに言えば、前期主人公機であるストライクと類似した機体コンセプトを持つのは相方のジャスティスの方である)。本来ストライクと共に運用される予定だった4機のシステム内にストライクに関するデータが皆無だったとは考えにくいが、それでも直接鹵獲した4機と比べれば圧倒的に少ないデータ量だったことは想像に難くない。

また、前期主人公機のストライクが「ナチュラル陣営が開発し奪取を免れた機体」なのに対し、後期主人公機の本機は「コーディネイター陣営の基地から奪取した機体」と正反対な特徴と持っている。

このように前期主人公機と技術的に繋がりがほぼない機体に乗り換えるのは、ロボットアニメにおいては非常に珍しいケースである。


本機のフェイズシフト装甲のカラーリングがストライクに似ていることから、ネットと一部では「電圧調整によるものでは」と言われることがあるが、本機の装甲はヴァリアブルフェイズシフト装甲ではないためカラーリングの変更は不可能である。同作品におけるストライクルージュがヴァリアブルフェイズシフト装甲の雛形であり、技術流出は地球軍のオーブ解放作戦後のため時系列的にも合わない。カラーリングがキラのパーソナルカラーである青の比率が高いのも勿論たまたまである(本来搭乗予定だったとされるイザークの奪取した機体であるデュエルが青色だったためこれに合わせていた…?)。この説にはザフトが4機の初期GAT-Xシリーズを奪取した際にストライクに関するデータを奪っていてもおかしくないという反論もあるが、ザフトがストライカーパックシステムのプラグ規格のデータを入手した経路はリジェネレイトによって鹵獲された連合機であるため、少なくとも本機やジャスティスを設計している時点でストライクに関する詳細データを有していなかったのは間違いない(ルプスビームライフルの造型などを見るに細々としたデータがあった可能性はある)。


ちなみに、敵勢力から奪う形で後期主人公機となった機体はガンダムダブルエックス、後継機でない同系列機はウイングガンダムゼロ(ウイングガンダムのプロトタイプ)、開発陣営が違うものはΖガンダム(本機とは逆にこちらが味方側で開発された)が挙げられる。


関連動画


劇中の活躍

SEED編

宇宙に目覚める蒼き自由の翼(PHASE-34・C.E.71年5月5日)

SEEDの格納庫

アスラン・ザライージスとの死闘で心身ともに深い傷を負い、ラクス・クラインの元で療養生活を送っていたキラ・ヤマトがオペレーション・スピットブレイクからアークエンジェルを救うために再び戦場へ戻る決心を固めた際、彼女の手引きによって本機が格納されている開発ドックへと案内され、本機を目にする。この時、キラは自身が「ガンダム」と称していたストライクに本機がよく似た風貌をしていたことから咄嗟に「ガンダム!?」という反応を見せている。そのまま本機はキラの新たなる剣としてラクスから託され(ザフト側からしたら強奪)、ザフト基地より発進する。付近を哨戒中だったジン2機と遭遇し迎撃に遭うもその機動力で振り切り、前方から追加で現れたジン2機を通り過ぎざまのビームサーベルの一振りで無力化して地球へと向かう。この時、プラント帰国用のスペースシャトルに乗っていたアスランとすれ違っている。


オペレーション・スピットブレイク(PHASE-35~36・C.E.71年5月8日)

熱対策のために翼とシールドを展開して大気圏突入をやり過ごし地球へと降下した本機はザフトがオペレーション・スピットブレイクを展開中の地球連合軍アラスカ基地(JOSH-A)へ到着、アークエンジェルの艦橋を捉えたジンの「MMI-M8A3 76mm重突撃機銃」を発射寸前のところでビームライフルで破壊し、次いでビームサーベルで頭部を切断する。アークエンジェルの艦橋を守るかのようにその翼を広げ、連合・ザフト両軍の前へ姿を現す。

フリーダムガンダム


キラはアークエンジェルへ本機に乗るのが自分であるということを明かし、退艦を薦める。しかし、キラはイージスとの戦闘で戦死したとばかり思っていたアークエンジェルクルーはキラの生存に驚愕するばかりであり、そんな彼らをよそにキラはSEEDを発動、本機はハイマットフルバーストでザフトのMSを多数無力化する。キラはなおも退艦するよう勧告するが、艦長マリュー・ラミアスからアラスカ基地地下に仕掛けられた大規模戦略兵器サイクロプスの存在を聞かされる(この間にディンからアークエンジェルへ放たれたミサイルをシールドで抑え、その頭部をライフルで破壊して無力化している)と、アークエンジェルへ飛んできた無数のミサイルをフルバーストで迎撃しつつこの戦場から1人でも多くの命を救うために全周波数の通信にて陣営問わず全軍にサイクロプスの存在を伝え撤退を勧告した(勘違いされやすいが、キラがこの戦闘に介入した主目的はアークエンジェルの救出であってこの戦闘を止めるためではなく、この勧告も「死にたくなければ撤退しろ」という意味合いが強い)。

そんな中、勧告に耳を傾けないイザーク・ジュールデュエルからのライフルとサーベルによる攻撃をシールドで防ぎ、殴りかかってきたデュエルの左腕を右腕で抑え込む。至近距離から顔面に向けて放たれたシヴァを避けた隙に頭突きを食らってバランスを崩されるが、その反動をも利用してデュエルのビームサーベルによる追撃を宙返りで避け、ビームサーベルで脚部を切断してこれを退ける(この時キラは、デュエルがエル達避難民を乗せたシャトルを撃墜した事を思い出し、一度はコクピットを狙おうとするも、寸前ですぐさま脚部へ狙いをずらしている)。なお、脚部を切断したことでグゥルを使用不可能にしてしまった(=撤退能力を失わせた)ため、ディンの手前に蹴り落として回収させている。

アークエンジェルのCICであるサイ・アーガイルによってサイクロプスの起動を知ると即座に離脱を開始、途中グゥルが故障して逃げ遅れそうになったジンを発見し、その首根っこを掴む形で牽引して共にその場から離脱する。


戦闘宙域離脱後、宙域から然程離れていない海岸沿いに牽引してきたジンとムウ・ラ・フラガの駆るスカイグラスパーと共に着陸し、アークエンジェルと合流する。この時、キラは本機に搭載されているニュートロンジャマーキャンセラーのデータ流出を危惧し、アークエンジェルの搭乗員(=脱走兵とはいえこの時点では一応連合の軍人)に対してニュートロンジャマーキャンセラーの存在を明かした上で本機に手を出した場合は見捨てるないし敵対することを明言し、それを受けたマリューが機体に一切手を触れないことをその場で約束、他の搭乗員に周知・徹底したことにより、本機はキラ個人の所有機体という位置付けでアークエンジェルの艦載機となった。


中立国・オーブ入港(PHASE-37・C.E.71年5月15日)

アークエンジェルに艦載されたままオーブ連合首長国へ入港する。

その後、ドックに収容された本機の眼前でキラとカガリが近況報告を行っている。


ストライクとの模擬戦(PHASE-37・C.E.71年5月25日)

本格的なメンテナンスのためか、ライフルとシールドを外された状態で収容された本機の前でムウがキラに対して戦争に向かい合う覚悟について問う。

その直後、イージスとの死闘で中破し、オーブ国防軍が回収(鹵獲)、モルゲンレーテ社が修復していたストライクがアークエンジェルへ返還され、既に本機に乗り換えていたキラの代わりにムウが搭乗することがその場で決定し、ムウのMS慣らしおよびナチュラルOS版ストライクの試運転として行われた模擬戦(形式はビームサーベル型のダミースティックとシールドを用いた白兵戦)の相手役を務めた。なお、キラはMS操縦の年季と機体性能の差から「いきなり僕と模擬戦は、いくらなんでも早すぎると思いますけど…」と忠告したが、ムウは「うるせぇ!生意気言うんじゃないよ!いくぞぉ!」と聞き入れなかった。


オーブ解放作戦前日(PHASE-38・C.E.71年6月14日)

ライフルとシールドを外された状態で収容された本機の前で、オーブ解放作戦に際しての地球連合軍第8機動艦隊の対応についてのブリーフィングが行われた。


オーブ解放作戦第1戦(PHASE-38~39・C.E.71年6月15日)

大西洋連邦の展開したオーブ解放作戦に際し、オーブ側の戦力(義勇軍)としてアークエンジェルからエールストライク(HDリマスター版ではパーフェクトストライク)と共に出撃する。当初は唯一無二の大気圏内飛行能力を活かした遊撃担当として、オノゴロ島沿岸部を巡回しながら多数のストライクダガーを撃破していきオーブ国防軍・M1アストレイ隊を援護する。ストライクダガーから助けられる形でその戦いぶりを目の当たりにしたM1アストレイパイロットたちは呆然とするばかりであり、アサギだけは一言「すごい…」と感嘆を漏らし、ストライクダガー数機を撃破しつつそれを遠目から見ていたムウも「おーおー、かっこいいねぇ。どうせ俺は新米だけどね!」と冗談半分の嫉妬混じりに賞賛している。

後期GAT-Xシリーズ3機が参戦したことに一早く気づくと、アークエンジェルやオーブ艦隊が戦っている港口近海へ急行し、それらと対峙する。この時、レイダーはアークエンジェルの艦橋に「2連装52mm超高初速防盾砲」を突きつけており、飛び蹴りでのインターセプトが間に合っていなければアークエンジェルは沈んでいた。

単機の性能としては優りながらも3機(ただし、カラミティは唯一オノゴロ島沿岸に降ろされ地上のM1アストレイ隊を蹂躙しストライクをもいなしつつ片手間に援護射撃をしただけであり、実質的にはレイダーとフォビドゥンの2機)の後期GAT-Xシリーズの猛攻で次第に追い詰められていき、フォビドゥンのニーズヘグをシールドで受けバランスを崩したところにレイダーのツォーンを食らいそうになるが、乱入したアスランのジャスティスに庇われることで難を逃れる。その後はジャスティスと共闘し、息の合ったコンビネーションで3機を圧倒、そのまま薬切れによる撤退を余儀なくさせる。また、大西洋連邦側の実質的指揮官であったブルーコスモスの盟主ムルタ・アズラエルも後期GAT-Xシリーズが撤退したことで本機とジャスティスがフリーとなった現状ではストライクダガーで応戦しても全滅すると即座に判断し、全軍を一時撤退させたため戦闘は一旦終了した(なお、あまりに迅速な撤退判断だったためオーブ側からは撤退理由がよく分かっていなかった)。


連合が一時撤退した後、空中で暫くジャスティスと向かい合っていたが、日が傾き始めた頃に戦闘終了後の疲労困憊と被害確認のためにアークエンジェルやオーブ軍が一時駐留していた港口へジャスティスと共に着陸する。乗降用クレーンでキラを降ろし、フェイズシフト装甲を展開したままキラとアスランの再会を見届けた。

その後はモルゲンレーテ本社の工廠に収容され、コンテナを椅子代わりに休憩するキラの眼前でオーブ技術者たちからメンテナンスを受けた。その後、休憩を終えたキラからも調整を受けた他、戦闘と調整の疲れからそのままキラがコクピット内部で仮眠を取った。


オーブ解放作戦第2戦、そして宇宙へ(PHASE-40・C.E.71年6月16日)

早朝から戦闘再開となり、キラが出撃前にアスランと会話したりなどで少し出遅れ工廠から直接出撃、侵攻するストライクダガーを次々と戦闘不能にし、対地・対艦ミサイルも迎撃していく。しかし、その戦いぶりにより所在がバレ、今度は相手側から絡まれる形で後期GAT-Xシリーズと交戦することになる。前回と違いカラミティも最初から本機に狙いを絞っていたために3機の猛攻によりすぐ防戦一方に押し込まれるが、途中参戦したジャスティスにより形勢が変化、ジャスティスがカラミティとレイダーを同時に相手取っている間はフォビドゥンと集中的に交戦し、ゲシュマイディッヒパンツァーを多用させてエネルギー切れまで追い込み、ダメ押しと言わんばかりにビームサーベルで斬りかかりニーズヘグを投棄させる(最初フォビドゥンはニーズヘグで応戦したがそれをシールドで絡み取ることで投棄しなければ回避できない状況を作り出した)ことでこれを退ける。

この時、ボズゴロフから遠巻きに観戦していたクルーゼ隊により後期GAT-Xシリーズ共々データを採取されていた。当時の本機はザフト内でも最高機密だったため前線部隊にも存在が周知されておらず、隊長のラウ・ル・クルーゼも採取したデータを指して「いずれどれかと相見える時が来るのか来ぬのか。まぁいいさ、ザラ議長の喜びそうな土産話にはなる」と述べている(7月1日にこの土産話を聞いたパトリックは本機がオーブに渡ったものと判断した)。


この戦闘の直後、ウズミ・ナラ・アスハからの離脱命令を受けてカグヤ島のマスドライバーへアークエンジェルや残存のオーブ軍共々集結する。ウズミから宇宙への脱出作戦を聞かされた後、数少ない大気圏内飛行能力を持つ機体として、ジャスティスと共にアークエンジェルおよびクサナギの発進援護を担当する。先に発進したアークエンジェルを狙う後期GAT-Xシリーズ3機を牽制しつつ、クサナギの発進を確認したと同時に、3機の攻撃を避けつつマスドライバーで急加速するクサナギへ追いつこうとする。その機動力の高さを活かしてクサナギの甲板へ掴まることに成功し、後行していたジャスティスへ手を伸ばして引き上げる形で着艦させる。なおも追ってくる3機に対しては、ジャスティスのフォルティスと同時にバラエーナとクスィフィアスを海面へ向けて発射することで大量の海水を巻き上げて攪乱し、甲板に掴まったまま宇宙へ上がった。

自由と正義


宇宙への帰還(PHASE-41・C.E.71年6月18日)

クサナギの合体シークエンス完了まで同陣営のMS全機と共に護衛につき、終了と共にクサナギへ着艦する。クサナギ内にて行われた今後に関するミーティングとM1アストレイの調整が落ち着いた後、クサナギがM1アストレイで一杯だった(作中描写でもMS用ハンガーではなく人や物資が往来するための空スペースに直立する形で強引に収容されていた)ため、パイロットのキラ、ジャスティス(アスラン)と共にアークエンジェルへ移乗した。


アスラン護衛(PHASE-42・C.E.71年6月27日か28日)

水源を求めてL4コロニー群へ移動している最中、父であるパトリックと話すべくプラントへ帰国するアスランのシャトルを護衛するため出撃する。


エターナル護衛、三隻同盟結成へ(PHASE-42・C.E.71年7月1日)

ヤキン・ドゥーエの防衛網に引っかかる直前でシャトルを見送った後、そのまま近隣にあった小惑星の影で待機していたが、突然レーダーが大量の敵影(ヤキン・ドゥーエ防衛軍のジン50機)を捕捉したためその場へ向かい、ラクスやアンドリュー・バルトフェルドクライン派が搭乗してザフト基地から脱走の上アスランとマーチン・ダコスタの乗るシャトルを収容したエターナルを発見する。大量のジンの「M66キャニス 短距離誘導弾発射筒」から放たれたミサイルをエターナルがそのCIWSとミサイル弾幕で迎撃しきれず直撃を覚悟したところに駆けつけ、ビームライフルによる正確な射撃で直撃コースだったミサイルを全て撃ち落とす。その後、ハイマットフルバーストで追っ手のジンを軒並み無力化して追撃を断念させ、エターナルと並走してL4コロニー群にあるコロニー「メンデル」へ向かう。この時点ではアークエンジェル組とエターナルは連絡を取り合っていないため、キラかアスランがメンデルへ誘導した可能性が高い。


なお、6月26日にプラントへの召還命令を受けたラウも同日に帰国しており、パトリックに前述の土産話をしたその足で密会用のバーへ向かい本機とジャスティスの設計データを極秘裏に入手している(実は、目的としていたのは本機とジャスティスの設計データの方であり、ニュートロンジャマーキャンセラーのデータの方は意図せず手に入ったに過ぎない)。その後、ヴェサリウス内でラウがデータを閲覧した際、ディスプレイに本機とジャスティスの全高(Height)・重量(Weight)・出力(Capacity)・動力(E-Battery)の情報が表示されている。


メンデルへ帰還(PHASE-42・C.E.71年7月5日)

エターナルへ一時着艦した状態でメンデルに到着する。その後、アークエンジェルへ収容される。


キラ運命の地での死闘(PHASE-43~46・C.E.71年7月12日)

メンデルの宇宙艦船用ハッチ内にてエターナルからアークエンジェルやクサナギに対して物資提供が行われている際に、キラ・アスラン・マリュー・ラクスの間で艦載機についての相談が行われ、エターナルが本機とジャスティスの専用運用艦であることからそちらへと移乗することが決定し、迅速に移乗しようとする。

しかし、その直後にドミニオンが襲来したため、移乗を中止してそのままアークエンジェルからジャスティス・ランチャーストライクバスターと共に出撃、ジャスティスと共に前衛を担当し、ほぼ同時にドミニオンから出撃した後期GAT-Xシリーズ3機と交戦する。この時、ランチャーストライクとバスターはアークエンジェルの援護に回っていたことに加え、宇宙戦に不慣れだったクサナギがデブリ(テザー用のメタポリマーストリング)に引っ掛かって身動きが取れなったところをフォビドゥンに狙われたためにジャスティスが援護へ回り、結果として単機でカラミティとレイダーを同時に相手取ることとなる。今までの戦闘の癖からアークエンジェルの安否を気にしながら数的不利な戦闘を行ったために苦戦し、さらには小惑星群を駆使した奇襲によってアークエンジェルを一時的に無力化したドミニオンからも狙われ始めた(アズラエルの意向によってドミニオンと後期GAT-Xシリーズは本機の鹵獲を狙っていた)ことでキラがSEEDを発動してもなお劣勢となる。そんな中、レイダーの突撃でバランスを崩して無防備を晒したところをカラミティのスキュラに狙われるが、フォビドゥンを一時的に無力化して駆けつけたジャスティスが間一髪で割り込んだため難を逃れる。その後は、ジャスティスとそれを追ってきたフォビドゥンも加わりオーブ解放作戦時と同様の2機vs3機という状況となったことに加えキラもアスランもSEEDを発動していたため、比較的優勢に立ち回り3機をエネルギー切れ寸前まで追い込み、デブリから脱出したクサナギの参戦により不利を悟ったドミニオンが友軍と共に一時撤退することで戦闘は中断された。

そのまま補給等を受けることなく、戦闘の途中にラウの気配を感じてメンデル内に向かったまま戻らないランチャーストライクとそれを追ったバスターの救援へ向かう。バスターがデュエルと対峙していたため援護しようと接近しデュエルもそれに応じようと構えるが、ディアッカ・エルスマンがデュエルのパイロットであるイザークとの対話を望んだことでその場を離れ、ストライクのもとへ急行する。ストライクは既に戦闘不能にされ地表に墜落しており、ラウのゲイツも止めを刺そうとライフルを向けていたギリギリのところに駆けつけ、ライフルと頭部を撃ち抜きすれ違いざまに両脚を切断して無力化、地表に墜落させる。その後、メンデルの研究施設内に逃げ込んだラウをムウが追いかけ、それを見たキラがムウの援護に向かおうとしたため研究施設前に着陸し、フェイズシフト装甲を展開したままキラが戻るまで待機した。

なお、前述の通りラウは既に本機とジャスティスの設計データを入手していたため本機を見た瞬間に「フリーダム!」と驚いており、この研究施設内でのキラとムウのやり取りからラウはキラの生存とキラが本機のパイロットであることを知った。


肩を組み合う形で中破したストライクを牽引してアークエンジェルまで戻り、ストライクを着艦させたその足で後期GAT-Xシリーズの3機と単機で交戦していたジャスティスに合流する。合流してすぐにキラがSEEDを発動し、エターナルへ飛んできた対艦ミサイルをフルバーストで迎撃したり、カラミティに対してシールドを囮にした急接近でトーデスブロックを切り落としたりと善戦する。しかし、キラは自身の出生の秘密を知ったことに加えザフトまで参戦して混沌化した戦場による精神的負荷で追い詰められており、そこへザフトから脱出ポットにて解放されたフレイ・アルスターの声が国際救難チャンネルから聞こえてきたことが追い打ちとなって戦意を喪失してしまい、その隙を突いたレイダーのツォーンによって左翼を破壊される。それでも一心不乱にフレイのポットを回収しようと単機で先行するが、フォビドゥンのフレスベルグで顔の左半分を消し飛ばされ、それにより残った顔部分のフェイズシフト装甲がダウンしたためレイダーのミョルニルで顔全体を吹き飛ばされ、ほぼ無力化される。その状態になり、さらにはアークエンジェルから撤退を告げる信号弾が放たれてもなおポットの回収を諦めなかったところにジャスティスからの援護と注意が入り、バッセルにてレイダーの右脚を破壊し、フォビドゥンのニーズヘグを避けたジャスティスに右手を引かれる形で漸く後退する。それを追うフォビドゥンを殿を務めたバスターが抑えたことによりその場を切り抜ける。そのままアークエンジェルの上部デッキに着艦して戦闘宙域から離脱し、その後ジャスティスと共に移乗先であるエターナルへ帰投する。この時、エターナルの整備員が「シナプスが焼けるぞ!蓄熱剤の交換急げ!」(C.E.世界のMSはバイオコンピュータを搭載している)と叫んでいたことから、機体内部にも相応のダメージがあったことがうかがえる。


この後、後述する第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦までの2か月の内にジャンク屋組合協力のもと修復された他、強化モジュールミーティアの運用テストも行っており、実戦投入に備えている。


また、本機とジャスティスの設計データを所持していたクルーゼはフレイ・アルスターの返還時にこれを持たせており、連合(ドミニオン)によるフレイの回収と共にアズラエルに渡っている。アズラエルから連合上層部にも共有されたそのデータから連合でもNJCの製造が始まり、2か月間で大量生産の上Mk5核弾頭ミサイルの再解禁に繋がっている。


第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦(PHASE-47~FINAL-PHASE・C.E.71年9月26日~27日)

9月23日の連合によるボアズ攻略戦を契機に開戦された第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦では、ジャスティス・エールストライク・バスターと共に出撃する。さらに、エターナルの前方でジャスティスと共にミーティアを装着し、その加速力をもって一足先に最前線へ急行する。急行後、プラントに向けて放たれたMk5核弾頭ミサイルを同じくミーティアを装備したジャスティスと共にミーティアフルバーストで迎撃する。その直後、戦場に居合わせたイザークからガンマ線レーザー砲ジェネシスの発射を勧告され一早く射線上から離脱したことで無事回避に成功するが、ジェネシスが直撃した連合は艦隊の半数を失い撤退を開始する。それに合わせて三隻同盟も撤退を開始するが、撤退する連合に対してプラントへ核を撃ち込まれかけた怒りから執拗に追撃を行うザフト兵を目撃したため、ミーティアをパージしてこれらの無力化を行う(なお、エターナルから離れた場所でのパージであったためミーティアは自力で帰還することができず、本機の周囲で被弾を避けながら待機していた)。その結果、ザフト側からヘイトを買い、無力化に協力していたジャスティス(とパージしたミーティア)と共に集中砲火を浴びたため撤退する。

エターナル内で整備員から最低限のメンテナンスと補給を受けた後、日を跨いだ連合とザフトの再衝突に合わせて核ミサイルとジェネシスの発射を防ぐために再び三隻同盟の全MSと共に出撃し、ミーティアと接続して最前線へ向かう(この時は先行せず友軍と足並み揃えて進軍している)。


再出撃後はジェネシスの破壊を第一目標として友軍と共に連合とザフトの部隊を次々と無力化していく中、アズラエルの指示によりドミニオンとピースメーカー隊の母艦数隻が核攻撃のためにジェネシスからプラントへ進路を変更したことを受け、マリューの指示によりクサナギとエターナル、ストライクとM1アストレイ隊にジェネシスを任せ、アークエンジェルと他MSと共にその後を追う。ピースメーカー隊を確認した際には急加速して急行、SEEDも発動し、プラントへ放たれた無数の核ミサイルをミーティアフルバーストにより撃ち落としていく。さらにジャスティスとの連携によりピースメーカー隊を護衛していたカラミティを撃破する。最後まで残ったピースメーカー隊の運用母艦をビームソードによる真向斬りで真っ二つにして撃沈し、核ミサイルの脅威を完全に排除する(このタイミングでSEEDは解除されている)。

その後は、補給を受けることなくその場(ドミニオン)をアークエンジェルとバスターに任せ、ジャスティス・ストライクルージュと共にジェネシスへと向かうが、その途中でキラがクルーゼの気配を感じ取ったためにアークエンジェルのもとへ引き返す。そして、ドミニオンとの死闘により中破状態のアークエンジェルに狙いを定めていたプロヴィデンスを抑えるべく対峙する。ドラグーンによる全方位攻撃をミーティアの圧倒的な推力で強引に回避するも翻弄され続け、その隙を突かれる形でプロヴィデンスのライフルやサーベルの一撃によってミーティアのウェポンアームを両方損失する。それでも本機の装備とミーティアの推力を駆使して食い下がるが図体の大きいミーティアでは分が悪く、右側のエリナケウスと左スラスターをドラグーンで撃ち抜かれ、止めと言わんばかりにサーベルで残った右スラスターも破壊され航行不能となったため即座にパージする(パージしたミーティアは直後にドラグーンの集中砲火を受けて爆散した)。時を同じくして、フレイの乗るドミニオンからの救命艇とそれを狙うプロヴィデンスを確認し、すぐに救命艇のもとへ駆けつける。プロヴィデンスのライフルから放たれた一撃はミーティアが爆散直前に射出したシールドが割り込むことで間一髪防ぐことができたものの、そこで安心(油断)してしまったために上方向からのドラグーンの一撃を見過ごしてしまい、目の前でフレイを殺されてしまう。しかし、その後悔と怒りによってキラのSEEDが再度発現する(ちなみに同戦場で2回目のSEEDを発動したのはキャラを問わずこの場面のみ)。


その後、M1アストレイを蹂躙し、エターナルに狙いをつけていたプロヴィデンスへ追いつき、再度交戦する。怒りに燃えるキラの猛攻により、ドラグーンによるビームの雨を避けつつ次々とドラグーンを破壊していく。その際にプロヴィデンスからの反撃で損失したのは右脚膝下(と投げ捨てたシールド)のみ、さらには最優先破壊対象であるジェネシスとの距離も着実に詰めていっており、(パイロット同士の舌戦とは対照的に)戦闘を優位に進めていく。ジェネシスへ突入するジャスティスとストライクルージュを目撃して意識を奪われた隙を突かれて右ショルダーガードと左クスィフィアスの砲身を損失するが、一切動揺することなくカウンターのライフル射撃で左腕の付け根を正確に狙い撃ち複合兵装防盾システムごと破壊し返す。その後、プロヴィデンスのライフルで右腕をライフルごと破壊され射撃戦が行えなくなった(バラエーナは2門とも残っていたが近距離の射撃戦では取り回しが悪く、クスィフィアスはフェイズシフト装甲に対して有効打にならない)ため、ビームサーベルをアンビデクストラス・ハルバード形態で起動して残った左手に握り特攻を敢行する。


フリーダムガンダム

プロヴィデンスからライフルによる迎撃が行われるが全てを回避して肉薄し、その右腕をライフルごと切り落とす。窮地を悟って即座に距離を取ろうと後退するプロヴィデンスを追いかけ、その間に割り込んできた残ったドラグーン2機による迎撃を受けて頭部を失いコックピット脇の右制気口を損傷するも、一切怯むことなくその腹部(コックピット部)を突き刺して機能停止に追い込んだ(前述の通り、プロヴィデンスの核エンジンは腹部ではなく胸部にあるため、この時点で核爆発することはなかった)。

最后一击


しかし、その場所がジェネシスの砲口眼前であり、直後にジェネシスが発射される。発射を察知してビームサーベルを刺しっぱなしにするほど迅速に離脱を開始するが、ガンマ線レーザーが直撃したプロヴィデンスの核エンジンが誘爆、その核爆発からは逃げ切ることができず、装甲表面を焼かれながら両翼と右クスィフィアスを損失し(結果的に残ったのは胴体と左腕・左脚のみで武装は全て損失)、爆風(衝撃)に煽られるままに吹き飛ばされた。加えてフェイズシフトダウンまで起こして機能を停止、(ジェネシスによる通信障害の可能性もあるが)友軍も本機のシグナルをロストして所在を見失った他、核爆発の衝撃のせいか閉じ込め防止のためか、コックピットハッチが開いてキラも宇宙空間へ投げ出された。そうして残骸同然となってキラと共に宇宙空間を漂流していたところ、トリィの後を追うように小破したストライクルージュでキラを捜索していたアスランとカガリ・ユラ・アスハにより発見され、ラストカットを飾った。この後エターナルに連絡を取って回収されたものと思われる。

なお、この時の本機は地球の影から覗く太陽の直射日光からキラを庇うように漂流しており、機能を停止していながらも自身のパイロットを守り続けていた。

無題


終盤で満身創痍になることの多い主役機ではあるが、大抵の場合は左腕を損失するのが多い(多くの人にとって左腕は利き腕でないためか)のに対し、本機は主役機にしては(特攻で決着をつける都合上右手のライフルが邪魔だったため)珍しく右腕を破壊され、残された左腕で連結ビームサーベルを使用して決着をつけている。


SEED DESTINY編

詳細な日時は定かでないが、PHASE-13~39はC.E.73年12月中の話である。


オーブ解放作戦回想(PHASE-1)

『SEED』で展開されたオーブ解放作戦に参加していたMSとしてシン・アスカの回想の中で登場する(キラの登場はなし)。この時、地上にいるカラミティを攻撃した際の流れ弾が原因でシンの家族を死なせてしまう(ちなみにこのシーンは『DESTINY』のTV版第1話及び連ザ2のPLUSモードではそのままだが、TV版第20話ではカラミティの砲撃が要因となっており、リマスター版ではカラミティに撃ったか定かではないハイマットフルバーストになっている。なお、『SEED』ではこの時カラミティとは一切交戦しておらず、一方的にカラミティの対空砲撃に晒され続けていた)。


時を経て蘇る自由の翼(PHASE-13)

第一次連合・プラント大戦終結後、その最終戦である第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦にて大破した本機はアークエンジェル共々オーブに回収され、モルゲンレーテによって修復を受ける。この際、同時に修復に入ったアークエンジェルやストライクルージュのオオトリのように最新技術による改修が行われるでもなく、完成当時の状態に復元された。完全体へと戻った本機はラクス・マリュー・バルトフェルドの手によってアスハ家別邸の地下シェルターに動態保存されつつも厳重に封印・秘匿されていた埃をかぶっていなかったことから定期メンテナンスはされていた模様)。このことはマルキオ導師とキラの養母であるカリダ・ヤマトも知っており、当時アスハ家別邸に住んでいた者(孤児は除く)の中でキラだけが本機の現存を知らなかった。しかし、ラクス暗殺を意図したザフト軍特殊部隊の襲撃に際して最新鋭MSアッシュが使用され、その対応を話し合うバルトフェルドとラクスの様子からキラはその存在を察する。キラがこの場にいる全員を守るべく再び本機に乗る覚悟を決めて最後まで渋るラクスを説得し、キラとバルトフェルドによって封印が解かれ実に2年(と2か月)ぶりに再起動し、出撃する。この時、シェルターがあくまで封印・秘匿用であり発進を想定していなかったため、シェルター上部の丘陵ごとライフルのビームで吹き飛ばして地上に姿を現している。

2年のブランクを埋めるためか、キラが戦闘開始直後にSEEDを使ったこともあり、かなりの訓練を受けているはずのザフト特殊部隊が駆る最新鋭機アッシュ5機を圧倒的な機動力と殲滅力をもって一蹴し、2年経とうと全く色褪せない戦闘力の高さを見せつけた。この際、普段は頭部・四肢・武装の内、数か所しか破壊しないところ、ラクス達の安全を最優先したのかパイロットたちを捕縛するためか、どのアッシュもほぼ達磨状態になるまで破壊している(特に最後の1機については、ビーム砲のある両腕はまだしも背中の発射済ミサイルランチャーと特に武装のない両脚すらも撃ち抜き完全に行動不能としている)。なお、アッシュは機密保持のために隊長主導で全機自爆したため、結局捕縛は叶わなかった。

小説版ではキラの心理描写が追加されており、本機が自分の意志に従って高速かつ正確に反応することへ無意識に小気味よさを感じていることに気づき自己嫌悪に陥っていた。裏を返せば、モルゲンレーテが本来ザフト製である本機を完璧な形で修復してみせたことの証左でもあり、その技術力の高さがうかがえる(別勢力製であるストライクも修復しているが、こちらは元々モルゲンレーテにて委託製造された機体であるため本機の修復よりは難度が低い)。


カガリ拉致、オーブ脱出(PHASE-14)

一旦元いたシェルター内に戻されメンテナンス用ケーブルも接続されていたが、アークエンジェルの発進が決まったためストライクルージュと共にそちらへ艦載される。アークエンジェル発進後に出撃し、カガリとユウナ・ロマ・セイランの結婚式に乱入する。護衛に配備されていたM1アストレイ4機を正確無比なライフル射撃で即座に無力化し、カガリを左右のマニピュレーターで掴んで式場を飛び立つ。しばらくカガリをそのまま掴んでいたためカガリの安全を考え低速で飛行していた(周囲のカモメより少し低い程度の速度)が、前方よりスクランブル発進したムラサメ2機が現れたためカガリをコクピット内に回収、一気に加速してビームサーベルを抜刀し、ムラサメ側の反応より早くウイングを斬り飛ばして無力化、アークエンジェルへ向けて逃走する。

FREEDOM & MURASAME


海上で待機していたアークエンジェルに着艦後、大西洋連邦との同盟締結を目前に控え情勢不安なオーブをアークエンジェル共々脱出し、スカンジナビア王国へ旅立った。この際、オーブ軍本部からはカガリの救出命令が出ていたが、現場でそれにあたっていたオーブ護衛艦隊の指揮官であるトダカやその他高官はアークエンジェルと本機にカガリと世界を託す意思があったこと、他の軍人らも困惑こそしつつも現在の情勢に不満を持っていたことで何もしなかったため特に追手や追撃に悩まされることなく脱出できた(ユウナは憤慨していたが、トダカらは「逃げられた」で通した模様)。

この噂は世界中に流れており、本機は改めて世界にその名を轟かせることとなった。


なお、C.E.73時点では前大戦後に地球連合・プラント間で締結されたユニウス条約によりNJCの兵器利用が禁止されているが、この条約はあくまで地球連合・プラント間のものであり、オーブ国民であるキラ個人の所有物としてそのどちらにも属していない本機は条約対象外となり、条約違反にはあたらない(さらに言えば、本機が再起動する約1か月前に連合はMk5核弾頭ミサイルをプラントに向けて発射し、それをザフトもニュートロンスタンピーダーで迎撃していたため、この時点で形骸化していた上に、ザフトは型番をセカンドステージシリーズに偽装してNJC搭載型最新鋭MS群サードステージシリーズの開発を行っており、条約はもはや機能していなかった)。


ダーダネルス海峡戦(PHASE-22~23)

オーブ軍の戦闘行為を止めさせる目的で地球連合第81独立機動軍とオーブ派遣軍との合同艦隊がミネルバと対戦するダーダネルス海峡の戦場に向かい、オーブ艦隊に向けられたミネルバの陽電子砲タンホイザーを発射寸前でライフルで破壊、戦場に姿を現す。


伝説の機体が突如現れたことに戦場は混乱する中次いでアークエンジェルより出撃したストライクルージュに乗るカガリの呼びかけにオーブ軍はさらに動揺するも、総司令官であるユウナが偽物と言い切った(ユウナ含めオーブ軍の全員はカガリ本人であることを理解していたが、連合との同盟がある手前ユウナはそう言う他なかった)上で撃墜を命じ、ストライクルージュに向けてオーブ空母タケミカズチから放たれた対空ミサイルをハイマットフルバーストで迎撃する(トダカは本機が全弾撃ち落とすことを信じた上で発射を命じており、キラも撃たれることを想定しており冷静に対処した)。

その後しばらく静観するも戦闘は再び激化してしまい、ストライクルージュに放たれたムラサメのビームを防いで即座にそのライフルを破壊する。これによりキラが言葉による戦闘停止は不可能と確信したことで、カガリとアークエンジェルをバルトフェルドの駆るムラサメに任せ、最終手段であった両軍のMS部隊に対する武装や局所的な部位破壊による無力化を開始する。キラが早々にSEEDを発動したのも相まって短時間で連合のウィンダムダガーL、オーブ軍のムラサメやM1アストレイを多数無力化していく。その後も戦場を駆け巡り、すれ違いざまにインパルスの右腕を切断し、水中にいたアビスに対してクスィフィアスでそのスラスターを破損させ、突撃してきたガイアをもビームサーベルで簡単にあしらい、ハイネ・ヴェステンフルスグフイグナイテッドからのドラウプニル連射を軽々と避けきって右腕を切り飛ばす(この直後接近してきたセイバーを目撃する)。再度突撃してきたガイアを蹴り飛ばして対応、戦闘終了を確認し撤退した。


戦場に残した爪痕(PHASE-24)

ダーダネルス海峡戦後のミネルバ隊の会話ではハイネの戦死が本機のせいであるかのように語られていたが、ハイネのグフを撃墜したのは本機に向けて突撃していたガイアであり、本機は先述の通り右腕を切り飛ばしたのみである。つまりガイアの射線軸上に入ってしまったハイネの自業自得ともとれるが、ハイネの意識が本機にばかり向いてしまい注意力散漫になっていたのは事実で、本機がハイネ戦死の遠因であるのは確かであり、後にキラを糾弾したアスランもそのように認識していた。


その後、ミリアリア・ハウを介しアークエンジェルへ送られてきたアスランの呼び出しに応じ、同行を希望したカガリを乗せて発進する。

立場上こういった場面で表に出るわけにはいかないため、待ち合わせ場所へは海を進む形で移動、キラ達が地上へ上がる際はコクピット付近まで海から顔を出している。

キラはここで先の戦闘で目撃したセイバーのパイロットがアスランであること、そして彼がザフトへ戻っていたことを知る。


ディオキア急襲、ラクス護衛(PHASE-26)

ラクスとバルトフェルドがザフト軍ディオキア基地から強奪して搭乗・宇宙へ上がるシャトルへ向けてディオキア基地のモビルスーツ(バビ)部隊から放たれたミサイルをハイマットフルバーストで全て撃ち落とし、モビルスーツ部隊を一蹴する。さらにガズウートの対空砲火を物ともせずにディオキア基地へ追撃を加えてから既に飛び去っていたシャトルに追いついてみせる。キラがラクスのことを心配するあまり、そのまま共に宇宙へ上がろうとするが、ラクスにアークエンジェルやカガリのことを託されたためシャトルを見送りアークエンジェルへ帰還する。


ミリアリア出迎え、そしてクレタ沖海戦(PHASE-27~28)

アークエンジェルへ再び乗艦することを決めたミリアリアの迎えに出撃し、ミリアリアを乗せて海中に待機していたアークエンジェルへ帰投する(本機が海中を進んでいる姿が見られる唯一のシーンである)。直後、クレタ沖で火蓋が切られた地球連合・オーブの同盟軍対ミネルバの戦闘に再び介入することを決める。


戦場到着時、ミネルバのブリッジを撃とうとしたババ一尉のムラサメが構えたビームライフルをピンポイントで撃ち落とした上でミネルバ接近中のムラサメ2機を無力化し、ダーダネルスでの武力介入とは逆にミネルバを救う形で介入を開始。

カガリの通告に際し一旦静観に入っていたが、ストライクルージュに向けてブラストインパルスがミサイルを撃ったためこれをバルカン砲で撃ち落としビームサーベルで突撃、そのままインパルスを無力化しようとするもシンがSEEDを発動することで動きに対応してきたため未遂に終わり、逆にビームジャベリンを振りかざされたため回避、直後こちらへ向かってきたアスランのセイバーとの交戦に入る。その際に横槍を入れてきたカオスをビームサーベルの一撃でバックパック上部と右腕を切断して撤退に追い込むと、再びインパルスを狙うがセイバーに妨害される。そのまま数合の衝突を繰り返していたところ、アビスを撃破しフリーとなったインパルスがオーブ艦隊の蹂躙を開始、ストライクルージュがそちらへ向かっていったため本機もこれを追う。なおも追ってくるアスランに対しては、自分の立場とカガリの思いを理解せず一方的にカガリを責め立てるその態度に激怒したキラがSEEDを発動、シールドを捨てた左手による逆手抜刀という奇策を用いてセイバーの右腕を切り落とし、さらに達磨状態にすることでこれ以上の戦闘行為が不可能となるほどに大破させる。

フリーダムガンダムvsセイバーガンダム

その後はタケミカズチを攻撃するミネルバへと向かい、甲板にいたレイ・ザ・バレルザクファントムの右腕(ライフルごと)とミネルバの左舷トリスタンを破壊した。しかし、この戦闘のほとんどはセイバーに足止めされていたため、結局フォースソードと換装してオーブ艦隊を蹂躙するインパルスを止めることはできなかった。


運命のベルリン・対デストロイ戦(PHASE-32)

GFAS-X1 デストロイ

親プラントを表明したユーラシア連邦管轄内西側の都市を次々と殲滅していくデストロイを阻止すべく、ベルリンでこれと交戦する。当初はデストロイと、その僚機であるカオスとネオ・ロアノークのウィンダムの3機を単機で同時に相手取ったため劣勢を強いられるが、そこにカガリやアマギらの意向によってムラサメ隊とストライクルージュが途中参戦する。ムラサメ隊にカオスを、民間人の避難支援をストライクルージュに任せて再度デストロイへの攻撃を試みる。陽電子リフレクターに苦戦する中、ミネルバとインパルスが戦場に現れ、利害の一致により事実上の共闘が行われる。インパルスがビームサーベルで切りつけたコクピット部分にクスィフィアスを撃ち込んでデストロイの機体バランスを崩させることに成功する。追撃を阻止しようとするウィンダムに対しては対装甲ナイフでシールドを破壊されるも即座に下(死角)へ回り込んで両腕とジェットストライカーをライフルで破壊して撃墜(この時、キラはウィンダムのパイロットがムウであることに気づいており、撃墜直前にマリューへ事後処理を任せている)。再びデストロイに向かって攻撃するが、そのパイロットであるステラ・ルーシェを守ろうとするインパルスに妨害される。状況を把握しかねる中でデストロイが戦闘を停止、ステラがインパルスに乗るシンと会話していたためサーベルを持って臨戦態勢を維持しながらも静観していた。しかし、意図せずステラの視界に入ってしまったことでデストロイが再び動き出し、スーパースキュラを放とうとしたため砲門にビームサーベルを2本とも突き刺して発射を阻止する。その爆発と行き場を失ったスーパースキュラのエネルギーによる自壊も発生しデストロイは倒れた。度重なる調整によって既にボロボロだったステラの身体はデストロイ撃墜に伴って遂に限界を迎え衰弱死してしまい、彼女を救おうとしていたシンは本機=キラに対し深い憎悪を抱くこととなる(なお、ステラの最終的な死因が本機の攻撃であることに偽りはないが、ミネルバに捕虜としてだが乗艦していたステラを連合に返したのは他ならぬシン自身であり、ステラがデストロイに乗ったのもシンに責任の一端がある)。


迫る宇宙からの陰(PHASE-33)

アークエンジェル艦内でストライクルージュと並んで整備されている姿が描かれた(五体満足のディアクティブモードが見られる最後のシーンである)。


プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルによって前話の対デストロイ戦がロゴスの存在と共に世界中に報道されるが、戦闘記録映像は徹底的に編集され本機の姿はなかったことにされており、キラ達は勿論のことミネルバでその報道を見ていたアスランもこのことに気づき、デュランダルへの不信を募らせるきっかけとなる。


エンジェル・ダウン作戦(PHASE-34)

ザフトはアークエンジェルと本機をエネミーと認定、「フリーダムとアークエンジェルを撃墜せよ」という内容のエンジェル・ダウン作戦を発令する。近隣を哨戒していたザフト軍ウィラード隊のバビによる空襲、バクゥによる砲撃からなる波状攻撃にさらされるアークエンジェルを護衛するため緊急発進、単機で護衛を担う(この際アマギらはムラサメ隊で支援しようとしたが、キラとマリューはオーブ軍の機体による攻撃事実を作らないようにするためにそれを断固拒否、ストライクルージュも発進しなかった)。いくら本機といえど非常に不利な状況である上、この時点で本機の性能はキラの反応速度に追いつかなくなっており、そういった意味でも不利な戦闘となっていた。

それでもバビやバクゥを次々と無力化、アークエンジェルへ放たれたミサイルも可能な限り撃ち落とすなど奮戦するが、そこにウィラード隊の支援(ウィラード隊自体は後退している)としてミネルバとインパルスが出現する。レイの協力の下で本機=キラの弱点および戦闘パターンを把握し尽くし、乗機の機体特性をフル活用する戦法を準備した上、デストロイのパイロットであったステラを本機に殺されたことで怒りと復讐心に燃えるシンが駆るインパルスとの戦闘に入る。


キラとしてはインパルスへの応戦よりもアークエンジェルの護衛と戦闘宙域からの脱出を主眼に置いており、ミネルバ艦長タリア・グラディスから投降するよう申し入れられた際には、アークエンジェルに対し「海へ。カガリをオーブへ、それを第一に」とメッセージを送っている。これを受けマリューは海への脱出を決意、本機への援護をすることなくひたすらに海を目指す。


だが、ここでタリアの対応に業を煮やしたウィラード隊が攻撃を再開する。本機はアークエンジェル護衛のためそちらへ向かおうとするが、悉くインパルスに妨害される。キラは止むなく応戦し、シールドを用いたビーム反射による奇襲で左肩上部を削られつつも、斬りかかってきたところにカウンターを合わせ頭部と左腕を斬り飛ばして無力化する。そのままアークエンジェル護衛に戻ろうとするが、インパルスが破壊されたチェストフライヤー部分をフォースシルエットごと分離して突撃させてきたためこれをシールドで防ぐも、コアスプレンダーの機関砲によって眼前で爆破され機体バランスを崩してしまい雪山へと落下、これによりインパルスに別個体のチェストフライヤー・フォースシルエットを再ドッキングさせる隙を与えてしまう。再度インパルスの方から斬りかかってきたため今度は宙返りで避けつつその腰部を切り裂こうとするも分離機能によって避けられ、隙だらけの背後を晒してしまったことで左翼を破壊される。その後は防戦一方となりビームライフルも破壊され、アークエンジェルと共に海中への逃亡を選択するが、猛追するインパルスがミネルバから呼び出したソードシルエットのフラッシュエッジで体勢を崩され、さらにはミネルバのタンホイザーがアークエンジェルに直撃したことにキラが気を取られた隙を突かれ、遂にエクスカリバーでシールドと左腕ごと腹部を貫かれ撃墜された。この時最後の抵抗とばかりにビームサーベルを突き立てており、インパルスの頭部と左腕を破壊している。

ANGEL DOWN


本機とインパルスがいた位置はアークエンジェルにミネルバのタンホイザーが直撃したため発生した大爆発・津波に呑まれているため、本機がどの程度の爆発を起こしたかは明確にされていない。目の前にいたインパルスの破損状況で判断すると(本機が直接破壊した頭部と左腕は除く)、爆発によりエネルギー消費が増えた結果フェイズシフトダウンを起こしていたとはいえど本機に突き刺したため1番近い位置にあった通常装甲素材であるエクスカリバーの刀身半分が残っていたり、フォースシルエットも翼が融解しかけていたとはいえ原型は残っており自力飛行も行えていたことから、そこまでの規模と威力ではなかったものと思われる。

爆発と津波が晴れたその時、戦場に残っていたのはインパルスと海面に浮かぶ本機の残骸と思われるパーツのみであった。本機は完全に撃破され、そのパイロットであるキラも死亡したと思われていたが…。


自由の翼、極寒の海に散る(PHASE-35)

本機は今際の際、胸部(コクピット)ではなく腹部をシールドで守っていたことに加え、ビームサーベルの突き立てもインパルスがそのままの姿勢で腹部より上を貫こうとすれば頭部ではなくコクピットに命中する位置取りにあった。この絶妙なサーベルとシールドの位置取りが功を奏したのか、攻撃を腹部へ誘導してコクピットブロックを守ることに成功した

これに加え、腹部を貫かれる直前にキラがニュートロンジャマーキャンセラーを停止し意図的にニュートロンジャマーの影響下に入ることで核分裂反応を即時停止させたため核爆発を避けることができた(爆発したのはパーツが確認できない下半身や内部にあった推進剤、あるいはMHD発電に用いていたプラズマ流体と思われる)ため、機体の爆発後に頭部と胸部はどうにか残った。残った部分で最後まで機能していたフェイズシフト装甲は自機の爆発の影響で電力を消費し、ニュートロンジャマーキャンセラーを切った時点で実質動力を喪失した(エクスカリバーの刺突で完全に喪失)ためこれ以上展開できずフェイズシフトダウン。コクピットの一部以外は完全に機能を停止して海中へと沈んでいき、アークエンジェルの擬装(被弾したエンジンを切り離して爆破させ、アークエンジェルが撃沈したと思わせる)に紛れて出撃したカガリのストライクルージュにより回収される。この擬装によりインパルスやミネルバによる即時追撃がなかったのもキラの生還に繋がった(戦闘後にAWACSディンによって海中探査が行われているが、それより前にアークエンジェルは本機とストライクルージュを収容して離脱している)。アニメのカットで本機が映るのはここまでだが、その後はストライクルージュに抱えられアークエンジェルへ収容された。本機は撃墜されようとギリギリでキラを生き残らせ、仲間達の働きによってどうにかキラの命を守り抜くことができたのだった

周辺海域には本機のものと思われる腕パーツなどが浮遊していた他、本体から外れた右翼やもはやどの部位かも判別できないパーツたちが胸部と共に沈んでいくことが確認されており、これらは海の藻屑となった。コクピット内部もモニターが全損した他、海水が流れ込みキラは吐血して気絶していたため、直撃こそ避けたもののコクピットにも相応のダメージがあったことがうかがえる。コクピットへの直撃と核爆発を避けたことでキラは軽傷で済んだが、本機は頭部と胸部以外全損という残骸と言って差し支えないレベルの大破だったため、修復不可能と判断され失われた。


本機撃墜の報はウィラード隊の報告によってすぐにデュランダルの耳に入り、自身の計画の最大の障壁の1つを排除できたと一定の安堵を見せていた。

また、エンジェル・ダウン作戦発令と本機撃墜によって(シンが煽ったのもあるが)アスランは本機を撃墜したシンに激昂し、彼との確執が更に広がり艦内で孤立。また、ジブラルタル基地でのデュランダルとの会話によって彼への疑念は確固たるものとなり、後に脱走事件を起こすことに繋がる。


エンジェル・ダウン作戦はアークエンジェルに対して最大戦力である本機の損失という大きな影響を与えたものの、標的の一つであるアークエンジェルは取り逃したため、結果的にキラの機転によって作戦の半分は失敗に終わっている。特にデュランダル視点ではアークエンジェルやフリーダムというMSよりもキラの排除が主目的であったため、そういう意味では完全に失敗している。つまり、ザフト側にとって試合に勝って勝負に負けた状態となった。


キラを降ろした後の本機の残骸の処遇は不明だが、修復はおろか部品の再利用も不可能な状態だったため、アークエンジェルが逃げ延びたオーブで降ろされて解体されたと考えるのが妥当だろう。


本機損失の影響(PHASE-39)

エターナルがザフトに発見されてしまったことを知ったキラはアスランの進言もあって救援へ向かうことを決意するが、既に本機を失っているアークエンジェルに残っていたのはストライクルージュと数機のムラサメのみであり、この中で単独での大気圏離脱に耐えうる機体(フェイズシフト装甲搭載機)はストライクルージュのみであったことから、キラはカガリからストライクルージュを借り受け、追加でストライクブースターを装着して宇宙へ向かった。

ストライクルージュは既にザフトの主力量産機であるザクウォーリアにすら性能を抜かれるほど型落ちしており、最終的にエターナルを庇い大破、本機の損失はストライクルージュが使用不能となる遠因にもなってしまった(幸いにもカガリの搭乗機としてはアカツキが存在したため大した問題にはならず、ストライクルージュも後に無事修復された)。


ストライクルージュをボロボロにしながらもエターナルの救援には間に合い、どうにか着艦したキラ。そして…


自由の翼は、祈りと覚悟を乗せ、再び天空へ飛び立つ。

Strike Freedom Gundam


シンのトラウマ(FINAL-PHASE・HDリマスター版ではPHASE-50)

メサイア攻防戦にて、シンのデスティニーがアスランのインフィニットジャスティスに対しパルマフィオキーナで突撃するが、そこにシンの仲間であり恋人でもあるルナマリア・ホークが乗るフォースインパルスが間に割り込む。このままでは大切な人を自ら手にかけてしまう状況に陥ったシンは、かつて守れなかったステラや妹のマユ・アスカ、そしてフリーダムの幻影を見た。元々抱いていたこの戦闘やデスティニープランへの迷いも相まってシンは遂に錯乱状態となってしまい自力では機体を止められず、アスランによって止められた上デスティニーは撃墜された。


戦前からPTSDを患っているほど精神的不安定なシンにとって、本機は様々な形で悪影響を与えてしまったと言わざるを得ない。戦後、そのパイロットであるキラとの和解によって、シンの症状は解消ないし軽減されていることを願うばかりである。


その他『SEED』シリーズ

SEED FREEDOM

時系列がC.E.75であるため既に現存しない本機そのものは登場しないが、前大戦時にインパルスを駆って本機を撃墜したシンに「フリーダムキラー」という異名がついていたことがアグネス・ギーベンラートの口から判明している。なお、現在キラとシンは世界平和監視機構コンパスで上司と部下の間柄になっており、シンは和解したキラを慕っていることもあってこれを不服としていたり、「これが原因で信用されてないのではないか」と苦悩している。


また、本作には新型のライジングフリーダムの他、ストライクフリーダムを改修したストライクフリーダム弐式が登場。改修において本機をベースにしたと思われる部分が含まれており、オーブにある本機のデータ(後述)も使用されたと思われる。


SEED C.E.73 Δ ASTRAY

『DESTINY』第14話におけるカガリの結婚式乱入の一幕として、視認できるギリギリの距離まで接近したデルタアストレイと随伴していたムラサメを遠方から撃墜している。

ちなみに、このキラの行動に対して、本作の主人公のアグニス・ブラーエは「世界に向けて振るうべき力だろうに、個人(カガリ)を助けるためだけに使うのは理解し難い」と言う感想を述べている。

一方で、アグニスに本機の追撃を止めさせたロンド・ミナ・サハクは「それはキラ・ヤマトの表面しか知らぬからだ」と返している。実際、キラは良くも悪くも身内を守るために戦い続けているため、その評価は適切である(唯一世界のために戦ったのは第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦くらいだが、これも戦わなければオーブ本土にいる義理の両親や友人のカズイ・バスカークが死んでいた)。


SEED ECLIPSE

第一次連合・プラント大戦の後、大破した本機がオーブ国内に回収された上、モルゲンレーテ社の秘密工場で修復されていることが描写されている。

この際に、修復に必要と言う理由からモルゲンレーテが本機の詳細なデータを取る許可を「フリーダムの所有者」から得ているとも語られている。ちなみに、C.E.の機体は内蔵されている記憶媒体(ないしOS)内に手持ち装備も含めた自身の設計データが存在するため、完全に損失した部位であっても問題なく修復できる。本機の場合、胴体と左手足以外を全損していながらも完璧に修復されている。

先述の通り、キラは許可どころかそもそも修復自体を知らなかったこと、「フリーダムはラクスから託されたもの」と発言していたことを考慮すると、この場合における「フリーダムの所有者」とはキラではなくラクスと思われる。後に本機の封印を解く事態になった際にラクスがキラを再度戦場に出すのを最後まで嫌がっていたことを鑑みれば、その場合でも「所有者は不服だったと思う」と言う発言に矛盾は無い。


なお、ここで採取された本機の詳細データのうち、フレーム構造がエクリプスへ、フレーム構造・ビームライフル・ニュートロンジャマーキャンセラー搭載型核エンジンエクリプス2号機へと、どちらも無断で流用されている


バリエーション

基本的に詳細はリンク先を参照のこと。

『SEED』シリーズ

ZGMF-X20A ストライクフリーダム

本機の後継機。雛型は本機と同時期に開発されていたZGMF-Xシリーズの1機だったため兄弟機にもあたる。この機体は後にZGMF/A-262B ストライクフリーダム弐式へと改修され、さらにMDE262S プラウドディフェンダーとドッキングすることでZGMF/A-262PD-P マイティーストライクフリーダムへと進化する。


STTS-909 ライジングフリーダム

もう一つの後継機。上記のストライクフリーダムの運用データを使用した機体だが、どちらかと言えば本機からの強化・発展的要素が目立つ。


MVF-X08 エクリプス

当時のハイエンドである本機のフレーム構造を(無断で)徹底解析したことにより完成したオーブの極秘建造MS。

フレーム構造やコクピット内装に限れば兄弟機・後継機と呼んで差し支えないような出自となっている。


MVF-X08R2 エクリプス2号機

核エンジン駆動型のエクリプスで、オーブ版ZGMF-Xシリーズと言える機体。

ルプスをベースにした新型ライフルも搭載されている。そのため、装備・動力・フレーム構造・コクピット内装と、本機との関係性が1号機より強くなっている。


改造ガンプラ

フリーダムガンダムフェーダー

ガンダムビルドファイターズ炎トライ』に登場。

型式番号ZGMF-X10Afe。ソウマ・ツバサがRGフリーダムガンダムをベースに、部分的にRGストライクフリーダムガンダムのパーツを流用し、強化したガンプラ。

当初はツバサによって「俺のフリーダム」と名付けられていたが、そのネーミングセンスに異を唱えたコウエン・ユウカによってドイツ語「翼」を意味する「フェーダー」の名を与えられた。

パーツを換装する事で機体特性を任意に変更する事が可能。

また、シールドの裏面にもウエポンラックが増設されており、対戦相手に併せてグランドスラムなど様々な武装を装備する。

そのカラーリングはコウエン・ユウセイのウイングガンダムゼロ炎にリスペクトを受けて赤と白を主体としており、またウイングゼロ炎が使用した炎システムを擬似的に再現した物も使用可能。

その後、ツバサが謎の男マスター・ジャパンとの修行の果てにウイングガンダムゼロフレイムフェーダーを完成させた事でツバサの愛機としての座をウイングゼロFFに譲ったが、ツバサはいずれウイングゼロFFをも越えるフリーダムガンダムフレイムフェーダーを作り上げる事を目標にしていく事になる。


フリーダムガンダムフレイムフェーダー

『ガンダムビルドファイターズ炎トライ』に登場。

ソウマ・ツバサが、ウイングガンダムゼロフレイムフェーダーの制作で得たノウハウを基にHGCEフリーダムガンダムをベースに改修した、フリーダムガンダムフェーダーの後継機。

射撃・機動戦を得意とするフリーダムガンダムに格闘機としての性質を付与するコンセプトで作成され、各部関節は強度を重視して強化されている。

最大の特徴としてツバサが習得した「拳征剣」を効果的に活かすべく制作されたフェイダトンファーを両腕に装備している事が挙げられ、このフェイダトンファーはビームサーベル、ライフルとしての機能に加え、複数種類のブレードを装着する事が可能な複合兵装として機能する。

また、これまでツバサが使用して来た擬似炎システム「FFシステム」は調整によって青白い光を帯びるようになった。

両肩に備えられた追加パーツはブレードを装備する為のアジャスターとフィンビットとの選択式となっており、これによってベース機となったフリーダムガンダムと比較した際により攻撃的なシルエットを成している。


フリーダムガンダムトライフェーダー

『ガンダムビルドファイターズ炎トライ』に登場。

フリーダムガンダムフレイムフェーダーの後継機であり、ツバサがそれまで得た経験の全てを盛り込み、「フジガンプラフェスティバル」の必勝を期して制作した。

通称フリーダムF3。

基本シルエットはフリーダムFFから大きく変化している訳ではないが、各部パーツ形状は大きく見直され、インフィニットジャスティスガンダムを参考にした脚部ビームサーベルの追加などが行われている。

携行武装も変更されており、ルプス・ビームライフルを標準装備として復活させ、フェイダトンファーは取り回しを考慮した改良型を一基左腕に装備する形に改められた。

また、脚部ビームサーベルの追加に併せて、ツバサが拳征剣をベースに編み出した「拳征脚」を必殺技とする。

フリーダムFFと同様にFFシステムを搭載するが、特徴的な炎はバラエーナ・プラズマ収束ビーム砲からフレームが展開し、炎の翼のように展開する。


ガンダムダブルオースカイメビウス

ガンダムビルドダイバーズRe:RISE』に登場。前作主人公のリクが使用する。

ガンダムダブルオースカイからの改修においてフリーダムガンダムのパーツが使われているわけではないが、フリーダムのウイングとバラエーナ・クスィフィアスから着想を得た「アームドウイングバインダー」を装備しており、ハイマットフルバーストが使用可能となっている。


ガンダムヘリオス

ガンダムブレイカーバトローグ』に登場。フドウ・リュウセイが使用する。

前駆型であるガンダムアレウスに搭載されていたデスティニーガンダムのウイングをフリーダムガンダムのウイングに変更し、その他様々な改修を施したガンプラである。形状に変化はなく翼内のバラエーナもそのまま装備されているが、フリーダムとは逆さまに取り付けられているのが特徴。これによりバラエーナの展開位置もセイバーガンダムのアムフォルタスに近いものになっている。


SDガンダム関連

諸葛亮フリーダムガンダム

『SDガンダムワールド 三国創傑伝』および『SDガンダムワールドヒーローズ』に登場。

諸葛孔明とフリーダムをモチーフにしたキャラクターである。


ゲームにおける本機

ガンダムvsガンダムシリーズ

アーケードゲーム「ガンダムvsシリーズ」第7作品目「ガンダムvsガンダム」(通称ガンガン)に本機は登場する………が、「特異点」「存在自体がバグ」と言われる最凶最悪の機体となっている。


諸悪の根源は、キャンセル覚醒と呼ばれる特殊射撃。

入力することで、 ほぼ全ての動作を高速移動でキャンセルする事が出来る。

弾数は3発でリロードが10秒。

「たったの3発」と思うかも知れないが、そうではない。3回もキャンセルできるのだ。

vsシリーズにおいて射撃や着地などにより発生した硬直に攻撃するのが、セオリーである。

しかし、本機はそれを3回も「なかったこと」にできてしまう。

耐久力を落としてバランスを取ろうとしたのだろうが、結局かの赤い人も言っていたように「当たらなければどうということはない」ので、バランスが全くと言っていいほど取れていない。


さらに、本機はキャンセルを絡めたコンボも非常に凶悪。

ゲームシステム上連射が不可能なビームライフルを、本機は「ビームライフル→キャンセル→ビームライフル」のような連続攻撃が可能であり、他の機体が格闘コンボにより出せるダメージが200程度の中で

250ダメ近く出すことができる。(この時点でサテライトキャノンを凌駕する火力)


これだけ汎用性も攻撃性も頭2つ分もとび出て高い「キャンセル覚醒」

他の機体は弾切れを狙う他ない………が、本機は素の機動性がトップクラスである他

特格をキャンセル空撃ちでキャンセルし慣性を利用し上昇し逃げる技(通称:特格空キャン)

で上空に逃げることができる。

そうこうしているうちに10秒が経過し、特殊射撃が完全にリロードされる。


この強さから、ガチ対戦においてはフリーダムを使わない理由が無い

普通、全国大会のような多数のプレイヤーが集まる場所では、いわゆる「強キャラ」は場慣れや対策研究が進むことなどから数が少ない事が多いのだが、全国大会においてほぼ全てのチームが採用していた。

そしてその相方も8割近くがキュベレイMk-IIという、あまりにも代わり映えしなさ過ぎる組み合わせばかりだった。

本作のゲームバランスがどのようなものかを物語っているこの事態は、後に「全国大会の悲劇」と名付けられた。

大会のゲストとして呼ばれたアムロ・レイ役の古谷徹氏も、出場した組み合わせがフリーダムとキュベレイMk-IIばかりだった事に疑問を呈している。(スタッフは「コストによるものです。」と誤魔化したらしいがどう考えてもおかしい)

古谷氏は本作のプレイ経験はあるが、自分が演じたアムロの乗機である初代νガンダムしか使っていなかったため、いかに本作のフリーダムがぶっ壊れていたかを知らなかった。


このようなことから「互いにフリーダムを使って、どちらが先に相方の機体を6000コスト分落とせるかを競うゲーム」と皮肉られている(あながちというか実際そうとしかいえない)。


何も知らない初心者プレイヤーが何気なくフリーダムを使っただけで、対戦相手からリアルファイトの被害に遭ったという事例や、そういったトラブルを防ぐために一部のゲーセンではフリーダムを使用禁止にするという独自のルールを設けていた所さえもあった。それ程までに壊れた機体なのである。


さすがに強すぎたのか続編では全機体が覚醒キャンセルに類似した仕様(NEXTダッシュ)を標準装備するのに伴い、覚醒が撤廃。代わりに消費ブースト量が一定時間軽減する「S.E.E.D.」という武装になった。リロード時間が長く低耐久も災いして、下手したらゲージが貯まる前に撃墜されてしまう等、相対的には大幅な弱体化を受けることとなった。


家庭版の追加DLCとして参戦し、フルブーストより復帰参戦を果たす。2500コスト。

耐久値が同コスト帯の平均よりも低めだが、その分機動力は高め。プラズマ収束ビーム砲とクスィフィアス・レール砲は弾数共有しており、前者は威力重視・後者は発生重視と使い分け可能。

ハイマットフルバーストは原作のような複数同時攻撃技ではなく、ビームを一方に収束して放つゲロビのような武装となっている。

EXバースト中は防御補正が悪化する反面、種割れし機動力が大幅上昇する。


特徴的な武装は特殊格闘のバレルロール。主な用途は足掻きや着地ずらし等々。メイン射撃やフルバースト等々がこの動作の最中でも行え、専用のアクションに変化する。


手堅く射撃戦をこなせる武装に加え、格闘も良好なものをいくつかもつ生粋の万能機。

反面、強誘導武装のような分かりやすい押し付け武装に乏しく、着地狩りやブースト切れの瞬間をキチンと狙いつつ丁重な射撃戦が求めれる、プレイヤーの腕が反映されやすい機体となっている。


EXバーストアタックはジャスティスガンダムと共に攻撃する乱舞技(バーサスエクバ2以降は切り抜けからビーム連射の単独乱舞技に変更)。

そしてSEED放送25年記念の一環で、機動戦士ガンダムSEEDおよびDestiny関連機体のモデリングを大幅改善。その際にまさかの新バーストアタック追加ミーティアとドッキング、ビーム・ミサイルの一斉発射を行う射撃派生か、巨大ビームサーベルで縦に一刀両断する格闘派生と使い分ける技となっている。派生があるので実質2つも追加されたと同じである。


コンパチヒーローシリーズ

長らくシリーズそのものが音沙汰なかったのだが、フルブラストで主人公の一人に抜擢された。

必殺技はやはりハイマットフルバースト。


スーパーヒーロージェネレーション

SEEDの原作シナリオが無く、ジンやシグー、ストライクダガーのような量産機どころか、ジャスティスとプロヴィデンス以外のMSが登場しないので実質いるだけ参戦だが、ウルトラマンティガ仮面ライダー電王仮面ライダーBLACKRXガンダムF91と共に初期メンバーの一人として登場。

初期兵装からマルチロックオンが可能で、育てたら最大六体までマルチロックオンすることができる。CVはフリーダムのパイロットであるキラを演じた保志総一朗


Another Century's Episodeシリーズ

ACE3』で参戦。OP映像で活躍しているが実際はストーリーに関わらないいるだけ参戦である。

SEEDはAP(他ゲームでいうところのHP)が10%以下になると性能が上昇する専用アビリティとなっている。

ハイマットフルバーストやクスィフィアスが前方に非常に広い攻撃範囲を持ち、本編に関わらないながらも非常に強力。


実はフリーダムの経験値が2/3に達するとミーティア装着のフリーダムが使用可能になる。しかもこれが使用可能になったあとは地上であろうと宇宙であろうと出撃途中にいつでも脱着可能。


スーパーロボット大戦シリーズ

ここではガンダムSEED名義で参戦時を解説する(Destinyでは原作通り撃破され乗り換える、あるいは原作終了後ゆえに登場しないパターンが多い為)。


やはり高い機動力を持つ優秀なモビルスーツとして登場。パイロットであるキラもコーディネイターやSEEDといった優秀なスキルを持つため一線級の活躍ができる。

ハイマットフルバーストは移動後使用可能且つ高火力な武装となっているものの、ENの燃費がイマイチであり改造や強化パーツ等での補完が必要。

ミーティア装着状態への換装や、アスラン搭乗のジャスティスガンダムと合体攻撃もあるので火力面も高い。


なお、『J』以外ではストライクの改造から引き継がれるのだが、なんとフリーダムだけではなくストライクルージュやジャスティス等々の加入時の改造段階にまで反映されている

そのため、ストライクの念入りな改造は特にゲーム攻略に推奨されている。


Gジェネレーションシリーズ

ガンダム作品が多数登場し、クロスオーバーするGジェネレーションシリーズにはフリーダムもかなりの頻度で登場している。

開発ではジャスティスやプロヴィデンスに進化、更にはストライクフリーダムにまで発展可能。


SDガンダムGジェネレーションアドバンス

そんなGジェネシリーズの中でも機動戦士ガンダムSEEDのアニメ最終話から3ヶ月後に発売された『ADVANCE』ではフリーダムはかなりぶっ飛んだ設定となっている。

まさかのラウ・ル・クルーゼの搭乗機体として初登場する。しかも設定が「キラのストライクを参考にロームフェラ財団が開発した地球連邦軍の最新鋭MS」「ザフトの内部情報の見返りとして、地球連邦軍のヤザンがフリーダムを引き渡しに来る」と言うクロスオーバー物である。

イベント戦闘シーンとしては、NT試験用ジム・ジャグラーからナチュラル対応のエールストライクに乗り換えたムウ・ラ・フラガとの一騎打ちが挿入される。

死力を尽くて激しい戦闘を繰り返したのち両者はビームサーベルを構えて突撃し互いの機体を貫くというもの。

これによってお互いの機体は爆散しムウ・ラ・フラガとラウ・ル・クルーゼは死亡するというものだった。

ムウ・ラ・フラガ以外でフリーダムにとどめを刺せば、イベントを阻止することも可能。

フリーダムとエールストライクは爆発してユニットごと消えたように演出されるがビームサーベルが貫いた場所が機体の致命傷になるほどではなかったのか爆散しておらず、ピースミリオンのドクターJによって回収され修理後フリーダムとエールストライクはその後も使用可能となる。

ちなみにこのステージのキラはアムロからお下がりとしてもらったリ・ガズィに搭乗する。

修理後のフリーダムにキラが搭乗した場合は、必殺技『全弾発射』が追加される。


その他の外部作品

モンスト

キラ・ヤマトの獣神化形態の搭乗機体として描かれている。

  • 獣神化「キラ・ヤマト&フリーダムガンダム」
種族ロボット
タイプスピード
ボール反射&ゲージ
アビリティ超アンチワープ/アンチ転送壁/超レーザーストップM/パワーモード
ゲージショットアンチブロック/SSターン短縮
ラックスキルクリティカル
友情コンボ超絶ソリッドバレット/攻スピアップ
SS〈ハイマットフルバースト〉スピードとパワーがアップ&停止後にハイマットフルバーストで攻撃(14+12ターン)

特筆すべきは水属性転送壁キャラのスピードアップ友情持ちという点。モンストにはこれまで多数のキャラが実装されてきたが、

  • 属性が『水属性』
  • アビリティ『アンチ転送壁』を持ち
  • 友情コンボに『スピードアップ』

というキャラは実装当時、キラ・ヤマトしかいなかった。加えて彼のSSは、敵のHPからダメージを算出する割合ダメージとなっており、どんなクエストでも安定してダメージを出せる。モンストの高難易度クエスト攻略において、スピードアップ割合ダメージ最も重要な要素と言っても過言ではないため、主にコラボ超究極で活躍した。

また原作再現要素として、キラのSS発動時には画面下のキラのアイコンの絵が、種割れを想起させるハイライトの無い目に変わる。


立体物

2000年代を象徴するガンダムということで立体物のバリエーションは非常に幅広い。

ガンプラ

1/144規格がコレクションシリーズ、HGSEED1/144(+ミーティア付属の色違い版)、RG、HGCE、1/100規格はSEED1/100、MG、MG Ver.2.0、フルメカニクスどちらも同スケールで四種類以上もの別ブランドが存在するという非常にややこしいこととなっている。

このうちHGSEED版では、ジャスティスとは異なり、付属するビームサーベルが右握り手と一体化された1本しかない(サーベルのグリップ自体は2本分ある)。

最初のフリーダムのMGは2004年7月と、放送からわずか一年というハイスピードで発売された。


そしてこれらに加えてもちろん1/60とSDもある。

ただし非常に知名度が高く人気も高いモビルスーツにもかかわらず意外にもパーフェクトグレードでは発売されていない。その前機と後機なら出ているのだが…


ハイマットフルバーストは当初予定されていなかった形態のため、バラエーナの砲身に可動軸が追加されたMG以降に発売された商品でないと再現が不可能となっている(1/60もMGより前に発売されたため再現が出来ない)。

逆に言えばフリーダムのギミックは最初のMGで完成されてしまったと言っても良く、フレームの可動自体も当時としては最高クオリティのものだったため、ホビー誌の作例で他の機体の移植元の素体に使われることも珍しくなかったほど。


以後のフリーダムの可動自体もMGを踏襲しており、優秀ではあるもののどれも似たようなものとなってしまっている。

そのため後年のフリーダムは外装や武装の方に後付されたアレンジに偏りがちで、RGではウイングに冷却機能の新規ギミックが追加され、MG Ver.2.0ではデザインそのものがやや悪乗りとも言えるほどに有機的なアレンジなうえ、一部の関節が脆く干渉するなどの指摘を受けており、賛否両論を呼んだ。

そして、フルメカニクスに関しては最新商品にもかかわらず同シリーズのカラミティガンダムと比べて出来の差が酷いと指摘され、発売早々不評を受けている(MG Ver.2.0のようにアレンジしすぎてないだけマシ、という意見もあるが)。


ちなみにフリーダムの立体物は何かとフェイスが不恰好と呼ばれがちで、それがようやく改善されたのがこのMG Ver.2.0だったのだから何とも皮肉である(それでもアンテナが大きくアレンジしすぎてハイマットフルバースト時に干渉する、といった欠点も発生してはいる)…


一方、既発のRGを改修した上海ららぽーと限定販売の「RGフリーダムガンダム Ver.GCP」は非常に出来が良く、バランスが見直された他、強度面で問題のあった箇所の殆どがKPS関節に変更され評価が高い。

惜しいのが上海現地限定のため入手はガンダムベースでの数量限定販売やプレミアムバンダイの抽選販売に限られてしまうところ。「フルメカニクスなんかを通常販売するならこちらを日本でも売ってほしかった」という声も多い。


またDESTINYでの最期を再現するために、インパルスガンダムの立体物ではフリーダム討伐用のエクスカリバーパーツも付いてくるのもお約束になっている。


SDはBB戦士とクロスシルエットがラインナップ。

クロスシルエットでは、ハイマットフルバーストが再現可能。

意外にも人気機体は早いペースで出る傾向にあるSD EXスタンダードでは長らく出ておらず、2021年9月にようやくガンダムベース限定バージョンでラインナップ。

そして、2023年1月にはSDガンダムにMG級の情報量を詰め込んだハイエンドモデルをコンセプトとした新ブランド「MGSD」の第一弾として抜擢。「どうせまたRX-78-2だろ?」と予想していた人が多かっただけに意外な選定だった。


アクションフィギュア

こちらもMS IN ACTION、EXTENDED MS IN ACTION、ROBOT魂、METAL ROBOT魂、METAL BUILD、HCMPro、GUNDAM UNIVERSEなどと幅広く出ている。


舞い降りる剣

放送時期に発売されたAdvanced MS in ACTIONを除けばガンプラよりも時期を置いて出たため、MIAからハイマットフルバーストが再現可能。

ROBOT魂は重田智監修のため、上下と横からの見栄えを重視しへの字スリットが横に細長くなっているのが特徴で、好き嫌いが分かれがち。


ROBOT魂とMETAL BUILD共にストライクフリーダムとはかなり間が開いて発売されたため、同系列とは思えないほど体型が全く異なるものとなってしまっている。


ちなみに、ROBOT魂フリーダムは上述したHGCEフリーダム、そして同じ福田監督作品「クロスアンジュ天使と竜の輪舞」の主役機ヴィルキスのROBOT魂とまさかの福田作品主役機三作同時発売であり、その発売日も本来のパイロットだったイザークの誕生日である8月8日となにかと当て付けを感じてならない…


HCMProはデストロイガンダムも発売されたため、ステラ機のコックピットにとどめを刺すシーンのビームエフェクトも付属した。


GUNDAM UNIVERSEは元々の商品のコンセプトもあって、リアルタイムに先祖返りしたような設定画に近いバランス体系になっている。

ただし顔の造形は他の立体物と比べると良い方。

バラエーナもクスィフィアスも差し替え無しで展開するが、ハイマットフルバーストの再現は不可。またルプスビームライフルとビームエフェクト付きのラケルタビームサーベルは付くがシールドはオミットされている。


カプセルフィギュア

SDガンダムフルカラーシリーズにラインナップ。※現在、入手困難


中国とフリーダムガンダム

上海にフリーダムガンダム立像建設

上海旅行センシティブな作品

2021年5月に中華人民共和国上海市浦東新区のららぽーと上海金橋に実物大フリーダムガンダム立像が建てられた。

サンライズ監修による現存する実物大ガンダム立像はお台場ユニコーンガンダム横浜(厳密には少し異なるものの)ファーストガンダムに続き三体目となる。

見た目はテレビ本編劇中のフリーダムからは少し変更されており、MMI-M15 クスィフィアス・レール砲のカラーリングの変更、背面のウィングパーツが閉じられている状態かつ、2枚羽から1枚羽に変更されており、立像オリジナル設定としてウィングにランディングギアが搭載されている。

これはウィングパーツを建物の支柱として使用しているが故の設定である。


中国でファーストガンダムとして定着したシリーズがSEEDだったが故のチョイスであるが、色々と規制の多い中国に「自由」の名を掲げたモビルスーツを建てたことに関しては色々危ないのではないかと突っ込まれがちである。

ただし、良い見方をすれば、不自由さの多い中国が、本当の自由を勝ち取れるようにという、エールにも見える。


なお、背面にウィングがあるため、建築基準法の関係で日本では建造不可である。


余談

元ネタ

元ネタは『SEED』の監督福田己津央が以前に携わった「GEAR戦士電童」のフェニックスエール。

主人公機である電童にインストールされることで無限の電力と放射線状の羽根を複数展開し、複数のビームを同時に発射する事が可能である。


機体名について

英語において「自由」を意味する単語は「freedom」の他に「liberty」が存在する。

ニュアンスの違いとして、前者は「内的自由」「生得的自由」を意味し、後者は「勝ち取った自由」「後天的自由」を意味する。そのため、「自由を得る(勝ち取る)ための戦い」という意味においては前者の方が適切であり、「フリーダム(freedom)」という名は英語的にも極めて妥当なものとなっている。

また、EUの条約にて市民へ提供する義務があるものとして「Justice, freedom and security」と書かれていたり、人権デーのキャッチコピーが「Freedom, and Justice for All」であったりと、「Justice」と「Freedom」はよく並べられて使用される。


この機体名を発案した福田は戦争兵器に対しての皮肉を込めており、脚本会議の場においては「語呂が悪い」という理由で全員に反対されながらも、全員反対したが故にこの機体名に決定したという経緯がある。

また、脚本の吉野弘幸と設定担当の森田繁は、この名称はあくまでパトリック・ザラがプロパガンダ重視で決めたものであり、開発現場では別の名称だったと理論武装していた。加えて吉野は「米軍では実際にそんなノリ作戦名※をつけたりしていますから」とも語っている。

※『SEED』放送の前年2001年9.11同時多発テロ事件に対するアフガニスタン攻撃時の作戦名が不朽の自由作戦であった。これにも宗教上の理由になった旧名称があり、その名はなんと無限の正義作戦だった。


初期構想について

福田が大河原邦男へ提出したフリーダムのデザインコンセプト(仮称は『10号』)は「ストライクガンダムが追加・換装によって使い分ける「エールストライカー」「ソードストライカー」「ランチャーストライカー」という3つの装備を1つMSの中にまとめ上げ、なおかつ機能を使い分けるごとにシルエット変化する」というものであり、デザイン的に可能であればコアファイターによる分離機能まで備える予定だった。加えて、発注メモの段階では形態を問わず空を飛べない設定であった(なお、その発注メモ段階ではハイマットモードおよびフルバーストモードに関する記述は一切存在しない)。つまり、初期構想時点の本機はエールストライカーの機動性を据え置いた核動力版パーフェクトストライク(コアファイター付き)、あるいは光の翼とビームシールドがなく空を飛べない核動力版デスティニーインパルスだったと言える。

それに対して大河原は当初「格好が悪くなりますよ」と進言しおり、その後のデザイン作業で改稿が繰り返されていくうちにソードストライカーの要素は影を潜め、最終的に両腰に装備されたレールガンへ変化した。つまり、エールストライカー要素としてハイマットモードが、ランチャーストライカー要素として砲撃形態が残り、監督の構想に反して高機動砲撃機となった形である。

ちなみに、その改稿の経過で出たデザインの1つは「背部にI.W.S.P.の様な大型バックパックを抱えた重砲撃型ガンダム」になっていた(ちなみに、フルバーストモードと言う呼称がこのデザインの段階から確認できる)。

『DESTINY』で高機動近接戦砲撃戦の各形態を使い分けてコアファイターを内蔵した主人公機としてインパルスが、その後継機が文字通り全部乗せのデスティニーになったのは、ある意味上記の『SEED』での初期構想がほぼ形になったと言える。実際、発注メモに描かれているアイデアデッサン段階の『10号』の翼はデスティニーのウィングユニットと若干似ている。


また、同時にデザインが発注されたジャスティスとはライフルやシールドなどの装備も大きく異なっていた(本機のライフルの砲身が長かったりジャスティスが複合兵装を二刀流してたり)が、最終的には兄弟機と設定された事で共通装備となっている。


フリーダム自爆

『SEED』最終回の約1週間前にリリースされたガンダムSEEDサウンドトラックの中に、「フリーダム自爆」という何とも物騒な名前の曲が収録されているが、本編において本機は自爆していない。これは『DESTINY』の企画立案前(2003年夏頃まで)に考案されていた展開の名残であり、続編制作にあたって本機を現存させておく必要があったために自爆はジャスティスに変更されている。

20周年記念オフィシャルブックにて吉野が「最初の企画書だと、キラとアスランが最後に命を懸けて戦う予定だった」と語っていたことを考えると中々の方針転換である。

もっとも、自爆しなかったとは言え胴体ブロック以外はズタボロであったため、オーブ連合首長国で回収・修復される事になる、その結果…。


ストライクフリーダムとの関係性

本機の後継機はストライクフリーダムだが、前述の通りストライクフリーダムの原型となる機体は同時期に開発されていたため、後継機でありながら直系機ではなく兄弟機に近い関係性を持つ。また、この原型機は量産が前提となっており、大部隊を形成してその圧倒的火力によって敵を殲滅する(要するに隊列を組んで全員でフルバーストし続ける)という運用思想を元に設計が開始されたが、新規に第二世代ドラグーンシステムと高機動スラスターを開発・搭載しようとした結果、停戦およびユニウス条約締結に間に合わず開発は中止され、そのアッセンブリーと開発データも封印された。

その後クライン派によってアッセンブリーと開発データを奪取される形で開発が引き継がれ、開発開始から2年の歳月をかけて完成したものの、その間にキラに合わせた魔改造が施されたためどこまで原型が残っているか定かでないが、ファクトリーが本機ではなく原型機の方をベースとして開発(魔改造)した結果がストライクフリーダムであることを考えると、その類似点(頭部・背部ウイングバインダー・クスィフィアスなど)からフリーダムの仕様を一部変更した機体だった可能性もある。本機自体が「殲滅型対MS戦用MS」の別称通りZGMF-Xシリーズ内でも(急遽仕様変更されたプロヴィデンスを除いて)特に敵の殲滅に長けた設計であることに加え、対MS想定だと本機のバラエーナは過剰火力かつ過剰射程なため、その分をドラグーンという形で手数に変換して殲滅能力を底上げするのは理に適っている。

ちなみに、作中世界においても本機のことを知っていれば一目で同型機ないし直系機と判断してしまう程度によく似ている。


フリーダム系列機の開発元

前述の通り、本機の系列機は機体毎に開発元・製造元が異なる。具体的には、本機はザフト製、ストライクフリーダムは(原型はザフト製だが)ファクトリー(ターミナル)製、ライジングフリーダムはオーブ製といった具合である。

さらに言えば、キラが本機の前に乗っていたストライクは連合製であり、結果的にキラは常に別勢力製の機体へ乗り換え続け、ライジングフリーダムへの乗り換えをもってどの主要勢力製の機体もメイン乗機として運用したことがあるパイロットとなった。


開発時期・期間について

この機体がロールアウトされたのはC.E.71年4月1日だが、開発において参考にされた初期GAT-Xシリーズの奪取が起こったのは同年の1月25日、そのレポートをパトリックが読んだりその性能をアスランがプラント最高評議会で証言したりしたのが2月3日なため、最長でも58日間で開発されている。機体本体の基礎設計にゲイツ(の原型)を用いている他、他の機構や武装も既存の発展形な上に燃費を度外視した試作状態のものが殆どであるとはいえ、ジャスティスなどの他のZGMF-Xステージ機(ストライクフリーダムの原型とインフィニットジャスティスの原型、ザク量産試作型を含めて最低でも7機)と並行して設計・開発されたと考えると、驚異の開発・製造スピードである(ちなみに、核動力機第一号であるドレッドノートに至っては2月の中旬にはロールアウトしており、核エンジンの搭載が決まったのは時系列的に2月下旬から3月頭である)。しかし、設備の限られるガモフ内で本来ジン用であるアサルトシュラウドをデュエルの右腕を修復しつつほぼ1日でデュエル用に改修していたことを考えると、ある意味妥当な開発スピードにも思えてくる。


現役期間

アニメには計30話近く登場しているが、現役だった時間はC.E.71年5月5日から9月27日までの146日間とC.E.73年12月の約1か月間の計170日(6か月弱)ほどであり意外と短い。それにもかかわらずC.E.世界に非常に大きな影響を与え伝説を残しているというのだから、恐ろしい話である。


OP映像

初登場は第3クールの後半だが、OP映像では第2クールOP『moment』から登場しており(これについてはジャスティスも同様)、ほとんどシルエットの状態で翼のみ金色に輝くカットが描かれていた。この金色を監督がパワーアップないし最大パワーの描写として捉えていることもあり、プロヴィデンス戦ラストで本機全体が金色のオーラを纏っていたり、初期案のストライクフリーダムが関節どころか全身金色だったりした他、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』ではこのカットをイメージモチーフにした可能性のある後継機が登場することになる。ちなみに、全身金色については、後年監督が関わった別作品『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』にて、主人公機AW-CBX007(AG) ヴィルキスウリエル・モードで実現された。


登場回と退場回

本機が初登場したのは『SEED』PHASE-34「まなざしの先」、退場(大破)したのは『DESTINY』PHASE-34「悪夢」(厳密なラストカットはPHASE-35『混沌の先へ』)と、狙ったかどうかは定かでないが同じ話数であった。


バンクシーン

本機用に新規で描き起こされた戦闘シーンは、後継機のストライクフリーダムのみならずセイバーやインフィニットジャスティスにもバンクシーンとして使用された。また、本機もストライクやデュエルの戦闘バンクシーンを使用している。『SEED』シリーズ通してバンクシーンは多いのでそれだけならわざわざ言うほどのことでもないが、本機はこれだけではない。

というのも、『DESTINY』でストライクフリーダムがレジェンドのドラグーンを避けるシーンに『SEED』でプロヴィデンスのドラグーンを避ける本機のバンクが使用されたのだが、TV放送版では本機からストライクフリーダムへの描き換えができておらず、単なる編集ミスとはいえ既に撃墜されたはずの本機が一瞬復活するという珍事が発生していた。これはTV版のDVDやスペシャルエディション、HDリマスター版では修正されている。

ちなみに、同作では過去にインパルスがストライクになった事もあったりする。


関連イラスト

ZGMF-X10A フリーダムフリーダムガンダム

関連項目

登場作品

機動戦士ガンダムSEED 機動戦士ガンダムSEED DESTINY

機動戦士ガンダムSEED C.E.73 Δ ASTRAY 機動戦士ガンダムSEED ECLIPSE


分類

ザフト製MS・戦艦 ZGMFシリーズ ZGMF-Xシリーズ(ファーストステージシリーズ)


関連組織

所属

ザフト 三隻同盟


その他

モルゲンレーテ社 オーブ連合首長国


関連機体

後継機

ZGMF-X20A ストライクフリーダム(兄弟機にもあたる)

STTS-909 ライジングフリーダム


兄弟機(ZGMF-Xシリーズ)

ZGMF-X09A ジャスティス ZGMF-X11A リジェネレイト

ZGMF-X12A テスタメント ZGMF-X13A プロヴィデンス


母艦

FFMH-Y101 エターナル LCAM-01XA アークエンジェル

クサナギ(一時的着艦のみ)


参考機・実験機

ZGMF-600 ゲイツ YFX-600R 火器運用試験型ゲイツ改

YMF-X000A ドレッドノート 初期GAT-Xシリーズ


その他関連機種

MVF-X08 エクリプス MVF-X08R2 エクリプス2号機


実物大立像が建造されたモビルスーツ

お台場ガンダム ユニコーンガンダム RX-78F00 RX-93ff


外部作品

機動武闘外伝ガンダムファイト7th機動武闘伝Gガンダムの外伝。

ガンダムフリーダムと呼ばれる機体が登場するが、こっちのフリーダムと異なり接近戦重視の機体である。


フリーダム(G-SAVIOUR)G-SAVIOURに登場する量産型MS。

こちらは物語の時点で開発から30年以上経過したロートル機であり、最新鋭の機体に終始押され気味だった。


キャプテンガンダム…初代の強化形態がFF(フリーダムファイター)という名前になっている。

大本の初代ガンダムが準備稿では「フリーダム・ファイター」と呼ばれていたための名残である。


RX-78-2 ガンダム…初代主人公機にしてニュータイプとして覚醒したアムロ・レイの能力についていけなくなってしまった最初の機体。アムロの能力が高くなりすぎ、マグネットコーティング処理をしてもなお「マシになった」程度と評されたレベル。そのため専用にとんでもない反応速度の機体が作られたが、キラと違ってアムロの手には渡らなかった。


シャイニングガンダム…自由にスーパーモード引き出せるようになったドモン・カッシュの能力についていけなくなってしまった前期主人公機。規定に従い、後継機にデータを引き継ぎ役目を終えた。


ダブルオーライザーイノベイターとして覚醒した刹那・F・セイエイの能力に追いつけなくなった機体。TVシリーズでは後期主人公機だったが、劇場版では追いついていないことを承知の上後継機までのつなぎとして完成まで運用される予定だった。


関連人物

キラ・ヤマト ラクス・クライン

イザーク・ジュール パトリック・ザラ

アルバート・ハインライン


その他

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』…『DESTINY』の続編映画作品。時系列的に本機は登場しない(本作に登場するのはライジングフリーダムとストライクフリーダム弐式)が、このタイトルになった遠因には間違いなく本機の存在があるだろう(ちなみに本作の主題歌FREEDOMである)。


赤龍帝の籠手…富士見ファンタジア文庫刊行の『ハイスクールD×D』に登場する主人公・兵藤一誠が宿す神器。その主力形態「真紅の赫龍帝」は本機をイメージモデルとしており、2本の巨大な砲身を翼内部に収納するという共通点を持つ。

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