忍者に付けるタグ。また、RPGなどにおける職業(ジョブ)タグの一つ。RPG界でも「侍」と双璧を成す有名和製ジョブである(本来なら闇に生きる忍者は、目立ったり有名であったりしてはいけないのだが…)。
概要
日本の中世期・近世期のスパイにあたり、諜報や破壊工作、暗殺等を行うプロフェッショナル。その起源は、聖徳太子説、山林の原住民族説や、修験道の山伏説など、多くの諸説が存在する(忍者の精神統一法である「九字法」の呪文は、古代の山岳宗教である「修験道」に起源を持つ)。
忍者の多くは農地の乏しい山野での暮らしを起源とする。
これらの土地の武士たちは互いに争う中で、平地とは違うゲリラ戦法や情報収集能力を編み出して勢力を保った。特に近畿の伊賀・甲賀がその典型とされる。
やがて、その技能を武器に「草」「透破(すっぱ)」「軒猿(のきざる、けんえん)」等と呼ばれる傭兵として各地の有力者に仕え、各地へ散って各流派の集団を形成した。これが後世でいう忍者である。とくに日本史で戦乱の激しかった戦国時代に隆盛した。
彼らは一族をなし、お抱えの大名の指示に従って、生計を立てていた。戒律も厳しく、裏切り者や抜け忍は容赦なかった。
また、中世当時の最新技術を積極的に導入しており、外国から渡ってきた「火薬」の技術を扱う事にも長けている。当時の人々にとっては火薬の存在をよく知らない者がほとんどのようで、その人々の目には幻術・妖術のように見えて幻惑されただろう。現代まで残る記録等による研究では動植物の知識に長け、科学技術を実践的に使う技術者集団という見解も度々起きている。
妖魔・怪物も登場するようなファンタジー要素のある作品の忍者は火や水の呪術を扱うなどするが、修験道説や火薬による幻惑術などの要素が混合して「忍者は呪術を使う」という要素が形成されたと思われる。
忍者の格好は黒子のような黒装束で頭巾を被って、刀を背中に抱えたイメージが多いが、実際は紺色や柿色の装束で、ちゃんと腰に帯刀していた。
いつも忍装束を着ている訳ではなく、普段は服を裏返して農民姿で野良仕事をしたり、色々な職業者に変装していた。そもそもこの忍装束はいわゆる夜間迷彩としての用途だったとされ、紺色や柿色なのは黒は意外と暗所でも浮いて見えるからだという(電灯もない時代の夜とはいえ、完全な闇夜ではなく、火の使用や月や星、大気光などのために僅かに明るい箇所が多いため、真っ黒な色合いは却って目立つことがある)。
また、忍者の使用する武器(忍具)に関しても、刀の他に手裏剣、爆弾、弓等が代表的とされているが、実は火縄銃を扱う者も多かったとされており、織田信長の超長距離からの暗殺に利用された事もある。
なお陽忍という姿を公に晒しつつ、諜報や計略や離間工作に長けている忍んでいない忍者もいた事が判明している。
江戸時代に入っても、主に江戸幕府に仕えた忍者の記録が残る。本能寺の変からの徳川家康の脱出を支援した伊賀の忍者らは、服部半蔵に率いられて徳川家に仕えた。
また、8代将軍徳川吉宗は御庭番の制度を設け、将軍自身や側用人からの命によって変装させ情報収集活動に従事させた(小和田哲男『大江戸武士の作法』)。記録上、最後に確認できる忍者は、幕末にペリー艦隊に潜入して諜報活動を行ったともいわれている。
近代になり、警察や日本軍の創設で忍者の役目は終え、消滅した。
しかし、陸軍中野学校で藤林佐武次保武が記した『万川集海』が使用されるなど、役目は終えたあとも影響は多く残されていた。現代でも伊賀・甲賀などの忍の血筋の人々が、忍術道場などを運営して技術や思想を伝えている。
特に外国人は、今も「忍者は密かに存続している」と信じている人も多く(侍もまた然り)、観光の際に道場に訪れて修行体験をしていく人も多い。
忍者の階層
小説家で忍術研究家の奥瀬平七郎の研究から、上忍・中忍・下忍という名前の三階層が忍者の集団・社会にある、と世間に印象づけられ、忍者を扱ったフィクションでも設定として採用されている。
ただし、上忍・中忍・下忍という階層は史実の忍者社会には存在していない(山田雄司「忍者研究の今日」)。
身分制度じたいは存在し、頭(ボス)、被官(家臣)、下人(召使)というくくりになっている(京都ヒストリカ国際映画祭「忍びの者」トークショー)。
有名な忍術伝書『万川集海』では「上忍」の語はあるが、「中忍」「下忍」という語はなく言い回しとしては「中下ノ忍者」「中下ノ傭忍」という形になっている(「忍術研究」2号「ロマン・キム ―ソ連の忍者-」)。
ちなみに『万川集海』での「上忍」の位置づけは「上忍は、音もなく、匂いもなく、智名もなく、勇名もない。人の知る事なくして、巧者なる事を上忍とするなり」という忍者としての高い資質、一種の達人を指す語である。
フィクションにおいてはまず「上忍と下忍」、という階級設定が用いられた。その初出は司馬遼太郎の最初の長編小説である『梟の城』(1958年、昭和33年から雑誌連載、翌年に完結・刊行)。
「幕臣の中の伊賀者出身の人たちが自分の家系をほこるために書いた、多分にフィクションの多い伝書のようなもの」に、それぞれ「よき忍者」「悪しき忍者」を意味する「上忍」「下忍」という言葉があり、それを「地侍の忍者」、彼らに飼われている「小作人の忍者」という意味に変えた、と司馬はインタビューで答えている(『手掘り日本史』所収「わが小説のはじまり」)
女の忍び「くノ一」
女性の忍者も存在していた。彼女たちのことを、「女」の字を解体した「くノ一(くのいち)」とする表現が一般的である。異説では、人体にある「九つの穴」(両眼・両耳・鼻の穴・口・尿道・肛門)に加え、女性は穴が一つ多い(陰部)ことから「九の一(くのいち)」として呼んだともいう。
もっとも信憑性は今ひとつで、また「くのいち」という呼び方自体が山田風太郎の創作とする説もある。
女忍者の仕事も情報収集や暗殺が主だったが、女性ならではの「色仕掛け」で男を籠絡させるのが特徴。だが、籠絡させるべき相手の敵方に本気で惚れて裏切る可能性もあったため、監視役忍者が常にいた。
「くのいちの術」と言って女性を使った忍術は存在するが、これは女性を使った謀略作戦のことであった。女忍者が女中になりすまし城に潜入したという記述も残っており、女中達の「女の噂好き」を利用した諜報活動でかなりの功績をあげていたとされる。
基本的に、小説やゲームに登場するような華々しい活躍自体、忍者にとっては実際少なかったものである上に、それを身体能力的に劣る女性が担当していた可能性は低く、刀を持って戦うアクティブなくノ一はほぼ存在しなかったといってよい。
また史実に登場するくノ一で有名なのは、武田信玄に仕えた歩き巫女集団がある。
忍法帖シリーズの忍者
『甲賀忍法帖』を嚆矢とする山田風太郎の小説シリーズに登場する忍者。現在、巷間に流布する超人・魔術的な忍法を駆使する忍者のイメージを作り出したルーツともいえる存在。
作中、破天の技能である忍法を会得する術が、忍者としての素質と凄惨な修行そして一念が極まるところに発現すると語られ、時に歴史を左右する偉業をなす。一方で近親者同士の血を掛け合わせ、多くの身体的異形者や精神異常者の誕生という犠牲を払って遺伝による忍法を創造することも描写され、相伝された忍法の存在に己の運命を翻弄される忍者が幾人も登場する。
また忍者は権力者から完全に使い捨てとして扱われ、いずれも任務の中で様々な悲喜劇に巻き込まれた上で死亡し、生き延びても力尽きるか絶望して廃人になるという末路が大体のところである。
さらに忍者を前時代の遺物として近代兵器に完膚なきまで粉砕させるというシビアな扱いの作品もあり、基本的に人間世界における無惨・理不尽を形容する存在として書かれる。
RPGの職業としての忍者
数多くのRPGで職業として登場している。元来ファンタジーRPGは洋風テイストの世界観が多いが、侍とともに違和感なく溶け込んでるものも多い。その理由はRPG初期からの人気シリーズ『ウィザードリィ』の第1作目から侍と共に、戦士や魔法使いといった職業の一つに入っているからであろう。忍者はその中でも転職が難しく、上級職中の上級職と認定されている。
しかしウィザードリィシリーズの忍者の最大の特徴は、武器や防備を一つも装備しない方が強いということで、レベルを上げる度に防御力が高まるという仕様で、攻撃力も素手だとクリティカル(即死)が出やすくなっている。その為、裸の忍者のイラストが発売当時から多く存在する(裸忍者を参照)。
かくして「全裸のイラストを描くのに大して理由のいらない職業」という(ビキニアーマーの女戦士は「何故防御力の低い鎧を着るのか」という意見が出るが、裸忍者だと「だってウィザードリィがそうだから」で済む)、絵師にとっては有難い存在となっている。サキュバスあたりと絡ませるとすっぽんぽんの男女しか存在しなくなるだろう。
NINJA
いつ頃からか世界中にNINJAなるイメージが独り歩きするようになった。その源流は『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』あたりとされている。
【連続テレビ忍者漫画『Rise of the Teenage Mutant Ninja Turtles』】(第2期・第13話Bパート"Finale Part 4: Rise":2020年8月7日・幼稚園児向け子供番組専門チャンネル『ニコロデオン』にて放送)
忍者の代表的な術
技名 | 解説 |
---|---|
分身の術 | 文字通り目にも留まらぬ速さで動き、敵に自分が何人もいるように見せかける。 |
変わり身の術 | 丸太などを自分にみせかけ敵の目を欺く。敵の油断を誘い、反撃のチャンスを作る。 |
空蝉の術 | 相手の攻撃を受けた瞬間に衣服だけをその場に残し、するりとかわす。フィクションでほぼ高確率で、変わり見の術と混同される事が多い。空蝉とは、蝉の抜け殻のことで、恐らく元ネタは源氏物語の『空蝉』より |
微塵隠れ | 自分は地面に掘った穴に隠れ、地上に仕掛けた爆薬で敵を爆破する。 |
移し身の術 | 赤の他人に成りすます。催眠術を用い、人格の交換すら行う。 |
遁術 | 水・火・土などの自然物を用いて敵から身を隠したり、撹乱して追っ手を躱す。 |
忍者として有名な人物と流派
実在の忍者
- 服部半蔵(伊賀者)
- 藤林長門守(伊賀者)
- 百地丹波/百地三太夫(伊賀者)
- 鵜飼孫六(甲賀流)
- 青山虎之助(甲賀流)
- 風魔小太郎(風魔党)
- 高坂甚内
- 加藤段蔵(飛び加藤)
- 前田宗清(十河家忍者部隊のボス)
- 間宮林蔵(御庭番)
- 高松寿嗣(戸隠流)
- 初見良昭(戸隠流:存命)
- 筒井巧(戸隠流:初見良昭門下。)
- 藤田西湖(甲賀流)
- 石田正蔵(甲賀流伴家忍之伝の先代)
- 川上仁一(甲賀流伴家忍之伝の継承者)
- テレビ番組SASUKEに出ている有力選手
- 果心居士(史実では『幻術師』とされているが、一部創作作品では忍者とされている)
忍者であると疑われている人物
架空の忍者(時代劇)
- 猿飛佐助
- 霧隠才蔵
- 自来也(児雷也)
- 風車の弥七(水戸黄門)
- かげろうお銀(水戸黄門)
- 柘植の飛猿(水戸黄門)
- 藪田助八(暴れん坊将軍)
- おその(暴れん坊将軍)
- 大月半蔵(暴れん坊将軍)
- 木葉才蔵(暴れん坊将軍)
- さぎり(暴れん坊将軍)
- 左源太(暴れん坊将軍)
- 疾風(暴れん坊将軍)
- 才三(暴れん坊将軍)
- 梢(暴れん坊将軍)
- 茜(暴れん坊将軍)
- 小雪(暴れん坊将軍)
- 桐原佐助(暴れん坊将軍)
- 十文字隼人(暴れん坊将軍)
- あやめ(暴れん坊将軍)
- 皐月(暴れん坊将軍)
- 渚(暴れん坊将軍)
- あざみ(暴れん坊将軍)
忍者を題材とした作品
時代劇
アニメ・漫画・小説
- 忍者ハットリくん
- ニンジャスレイヤー
- 落第忍者乱太郎 / 忍たま乱太郎
- NARUTO / BORUTO
- 忍空
- 烈火の炎
- さすがの猿飛
- ニニンがシノブ伝
- Gの影忍
- カムイ伝(カムイ外伝)
- サスケ(白土三平)
- バジリスク〜甲賀忍法帖〜
- 伊賀の影丸
- 風魔の小次郎
- 信長の忍び
- 忍ペンまん丸
- タートルズ(アメコミ)
- 科学忍者隊ガッチャマン
- 忍者戦士飛影
- 元気爆発ガンバルガー
- 陰からマモル!
- こいつら100%伝説
- 半熟忍法帳
- 先輩が忍者だった件
- 忍者と極道
- 四稲家の人々
- くノ一ツバキの胸の内
- 忍の一時
ゲーム
特撮
その他(子供番組など)
その他フィクションの忍者
キャラクターのモチーフとしての扱いとしては、だいたい忍んでいる忍者キャラクターは少ない。
また忍者の真似事をしている人もいる。
アニメ・漫画・小説
トランスフォーマーシリーズ
勇者シリーズ
作品名 | キャラクター |
---|---|
勇者特急マイトガイン | ショーグン・ミフネ、内藤ルンナ |
勇者警察ジェイデッカー | シャドウ丸 |
黄金勇者ゴルドラン | 空影 |
勇者指令ダグオン | ダグシャドー / シャドーガード / シャドーダグオン |
勇者王ガオガイガー | ボルフォッグ |
魔神英雄伝ワタルシリーズ
ゲーム
※:実際に白井流現頭領である半蔵も公認。が、一方で燐塊の一人であるビ・ハン(以前)とカイ・リャンは「燐塊は忍者ではない」と頑なに否定している。…というかぶっちゃけ言うとほとんど忍者キャラは当初、開発者側の事情で一つのキャラクターのテクスチャに一部編集したものを複数生成してキャラを生んだので、界隈では要するに『色違い忍者』である。
特撮
スーパー戦隊シリーズ
仮面ライダーシリーズ
※:複数の派生形態がある
ウルトラシリーズ
その他特撮
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- ニンジャチョーク 勝村周一朗の得意技。プロレスや総合格闘技などで見られる絞め技。
他にもありましたら追加して下さい。
余談
カワサキのバイクに「Ninja」シリーズがある。映画『トップガン』で主人公が乗っていた「Ninja GPZ900R」が有名。