アウトライン(概要)
いわゆるキラキラネームに類する珍名(苗字ではなく、下の名前)の事。「DQN」とは「常識外れな」「教養に乏しい」「ヤンキー」といった意味合いのネットスラングである。
1990年代ごろから珍奇な名前が流行しだしたことを背景に、2000年代のインターネットで日本語の誤用や知識不足に基づくと思われる名前や、虐待目的としか考えられないような名前との遭遇体験も多数寄せられるようになり、そうした命名を総称して「DQNネーム」と呼*ようになっていった。
「キラキラネーム」にも記述があるが、珍名は親の意向で付けられるものであって名付けられる側には何の責任も無いので、「親の顔が見たい」などと言って揶揄や嘲笑の対象とするのは間違いである。しかし、ネット上にはキラキラネームの児童や青少年が事故死したり犯罪に巻き込まれたりした話題を、親の無教養と結びつけて面白がる不謹慎なミームが流布してしまっている。
なお一見、奇抜な名前や読み方に見えても、外国人とのハーフ、昔から存在する名前や、理由があって異体字や変則的な読みを使っている名前などもあるので、見慣れない名前を安易にDQNネーム扱いすることは、逆に揶揄している側が恥を晒すことにも繋がりかねない行為である(後述)。
多意冨(タイプ)
DQNネームの種類には以下のようなものがある。
なお、具体例として挙げる名前は基本的にはすべて創作物中のキャラクターであり、作品内の世界観では「普通の名前」である可能性がある。
また、その日本人キャラクターの名前がローマ字表記される場合、該当部分がローマ字ではなく英語のスペルにならった綴りがされることもある。
一部タイプが重複するキャラクターや同名キャラクターはまとめて紹介される。
また、DQNネームは誰かが人に名付けることで揶揄されるが以下には動物など人外や実名ではないものも例として挙げる。
1.意味のない当て字を使う
外国語や既存の名前を音だけ合致させて強引に漢字変換したもの。最もDQNらしいDQNネームと言える。
暴走族の「夜露死苦」のように、画数が多い漢字ほど、他人が使いそうも無い文字ほど「強い」「偉い」といわれる風潮がある。DQNをヤンキー(不良)の一種とした場合ある意味伝統的ともいえる。
ただし、「マリア→真理亜」や「ジョージ→譲治」など、キリスト教の洗礼名に字を当てたものが一般化していったという例が一定数あり(中には「ナオミ→直美」のように完全に日本名として定着した例すらある)、その場合は一般的にDQNネームとは言われない。キリスト教に限らず、海外の文化や宗教にちなんだ名前を、日本風に漢字をあてて表現するのは珍しいことではない。
一方で、洗礼を受けてもいない人間までもがそうした名前を名乗ることに不快感を示す敬虔な信者が、各宗教に存在しているということも忘れてはならないだろう。
また、「亜」と言う漢字に「もどき、低級な」という意味がある(亜流≒二流)など、音に対して当てられた漢字の意味が問題視されることもある。もっとも、「亜」に関しては突き詰めると日本が属するアジア(亜細亜)全体がアウトになってしまうため、どこまでが人名として適切な表記か、というのは各人(名付ける側)の判断によるといえる。
そもそも外国語を無理矢理漢字に充てる「当て字」の文化自体は、飛鳥時代の渡来品から既に存在している(「南無阿弥陀仏」はサンスクリット語(古代インド語)に対する当て字である)ため、当て字そのものの文化はDQNネームに限った話ではないといえる。
※例
- 田中眼蛇夢(ガンダム:スーパーダンガンロンパ2)
- 藤山起目粒(おこめつぶ:すごいよ!!マサルさん)
- 擬宝珠夏春都(ゲパルト:こちら葛飾区亀有公園前派出所) - チーターを意味するドイツ語だが、作品のノリ的にはドイツの対空戦車が元ネタか。なお、れっきとした日本人であり、彼女の一族(嫁ぎ先)はほぼ全員が難読漢字である。
- うみねこのなく頃にに登場する右代宮家の人々(右代宮朱志香(ジェシカ)など):当主・右代宮金蔵が西洋かぶれであり、自身の子供や孫に西洋風の名前を付けている(バトラはファミリーネームであって名前ではないはずだが…)。現実でも森鴎外(後述。自身の子供たちに、海外でも通用するようにと外国風の名前を付けている)などの例がある。
- 泉野明(いずみ・ノア:機動警察パトレイバー):2(ぶった切り)の要素もある他、本来はノアの箱舟で知られる男性名なので6の要素も備える(日本の創作作品では同名の女性は少なくないが)。
- DQNネームとは関係ないが、劇中では「泉野 明(いずみの・あきら)」と勘違いされて男性と同室にされかけたり、その名前のキャラが登場したりもしている。
「尾藤来夢(ライム:すばらしきこのせかい)」のように、日本語としても一定の意味が成立している場合にも判断が分かれる。
「夢と人が訪れる場所」の意を込めたダブルミーニングとして、「来夢来人(ライムライト)」という言葉が1970年代後半ごろから様々な場所で用いられており、現代でもバーやパブなどの名称に使われているほか、同名の楽曲、漫画も存在している。
2.読みを途中で切って読ませようとする
漢字の意味は尊重するものの、特定の響きを作り出すために「愛(あい)」を「あ」、「空(そら)」を「ら」などと一部分のみを読ませるもの。「キラキラネーム」の中核を成したのはこのタイプである。
また、「奏でる」から「奏(かな)」、「翔ぶ」から「翔(と)」など送り仮名を勝手に省略したり、「雪崩(なだれ)」から「雪(な)」など熟字訓を勝手に解体する場合もある。
※例
いずれのキャラも(斜字)は読まない。
- ほしな歌唄(うたう(た):しゅごキャラ!) - 「ほしな」は芸名だが、下の名前は本名と同じ。
- 心愛(ここ(ろ)あ(い)):(ご注文はうさぎですか?など) - 現実でも比較的多くなっている。複数作品に同名のキャラがいるが、「ごちうさ」の心愛に関しては、苗字も含めて飲み物のココア(保登 心愛=ホット・ココア)とのダブルミーニングであり、1.10.12に重なる要素もある。
- 朔間凛月(り(ん)つ(き)):(あんさんぶるスターズ!)
- 明智小衣(こころ(も)):探偵オペラミルキィホームズ
- 雪華綺晶(きらきしょう:ローゼンメイデン)- 「雪花菜」(きらず、おからや卯の花のこと)を「雪(き)」・「花(ら)」・「菜(ず)」と1文字ずつ当てはめて分解し、さらに「花」を「華」に置き換えて「雪華」で「きら」と読ませたもの。
- 坂崎美心(みここ(ろ)):賭博黙示録カイジシリーズ) - 原作当時背景の影響で、作中で変な名前と評される。
ただし、このタイプは近年生み出されたものではなく、戦前から見られていた既に慣例化された用法であり、「人名訓」という用語も存在している。
例えば「広」の字を使った名前は一般的に「ひろし」と読まれるが、本来「広」の訓読みは「ヒロ-い」なので、厳密に適用すると不適切となってしまう。また「広司」、「広志」など送り仮名の代わりに漢字を当てている例もある。
あくまで極端な当て字や読みがDQNネーム扱いされるといえる。
3.外国語に変換する
漢字の「愛(あい)」を「ラブ」と読ませたり、「刃(やいば)」を「ブレード」と読ませたりするもの。酷い場合この変換が間違っていることも。
また、2.との複合で、「愛 → らぶ → ら」などと外国語さえ容赦なくぶった切ってしまう例も確認されている。
ただし親の出身地が漢字文化圏の場合、母国の発音で読ませる場合もあるので、一概に批判はできない。
※例
特記なき限り英語読み。
- 板垣天使(エンジェル:真剣で私に恋しなさい!)
- 柏崎天馬(ペガサス:僕は友達が少ない)
- 木村正義(ジャスティス:暗殺教室)
- 喜多川海夢(マリン:その着せ替え人形は恋をする)。夢の部分は読まないので、2や4の要素もある。
- 赤羽業(カルマ:暗殺教室) - サンスクリット語。
- 秋山醤(ジャン:鉄鍋のジャン!) - 中国語。
- 戸持娘(にゃん:怪盗天使ツインエンジェル) - 中国語。なお、中国語における「娘」は母親、妻などを指す言葉でもある。
- 彼岸士夜火斗(ナイト:レイセン) - 「夜」だけでも十分「ナイト」と読めていたはずであり、あえて「な」とだけ読ませ、さらには「火(ひ)」を「不知火」と同じく旧仮名使い扱いで「い」と発音させている。タイプ1的な意味で1文字の名前は恰好悪いと考えたのかもしれない。
- 月(るな)- ラテン語。小泉月(学園アリス)や輝夜月(Vtuber)など複数いる。
4.本来の読み方と関係ありそうで無い
「響(キョウ、ひびき)」を「おと」「ね」などと読ませる、「蝶結」と書いて「りぼん」と読ませるなど連想ゲームを行うもの。
名字としては「小鳥遊(たかなし)」「四月一日(わたぬき)」などが存在していることもあるが、名前の場合突飛な発想のものは受け入れがたいとされることが大半である。
※例
- 春風千桜(ちはる、桜→春の連想か:ハヤテのごとく!)
- 折原臨也(いざや、単語自体は「イザヤ書」から。臨→臨む→いざの連想か:デュラララ!!)
- 由崎星空(なさ、NASA→宇宙→星空の連想か:トニカクカワイイ)
- 星輝子(しょうこ:アイドルマスターシンデレラガールズ) - 一般的には「てるこ」と読むため、照る→輝るから、照(しょう)にかけての連想かと思われるが、同じく「しょう」と読む昭や彰など「輝く」に近い意味を持つ漢字に合わせて連想したとも考えられる。
- 川島緑輝(サファイア:響け!ユーフォニアム) - タイプ3との複合系になっているややこしいパターン。日本語でエメラルドを「緑玉(りょくぎょく)」と書き、サファイアを「蒼玉(そうぎょく)」と書く。これらがこっちゃになった状態でさらに連想ゲームを行ってしまった結果、「緑に輝くエメラルド」ならぬ「緑に輝くサファイア」が生まれてしまったものと考えられる。ただし広義には「赤くないコランダムは全てサファイア」のため、間違ってないと主張出来なくもない。
- 中野光輝(オーロラ:アニメガタリズ) - これもタイプ3との複合系になっているややこしいパターン。日本語でオーロラは「極光(きょっこう)」と書くが、オーロラが夜空に光り輝くイメージからこの読みが生じたものと考えられる。
- 飴村乱数(ラムダ:ヒプノシスマイク) - 乱数をランダム(random)、さらに語感の近いラムダ(lambda)と詠ませたものである。
- 夜神月(ライト:デスノート) - 英語で「ライト」は「光」の意であり、「月」を意味する英語は「ムーン」である。おそらく「ムーンライト」からの連想なのだろう。劇中では本人も変な名前と認めている。夜神の父は警察官僚であり教養があって当然なはずだが作中での命名経緯は不明。
- これには連続殺人鬼のキャラなので、同名の子がいじめられないようにとの配慮から、意図的に現実であり得ないような名前が付けられたという背景がある。もっとも、同作の大ヒットに伴ってこの名前を付ける親が続出し、かえって「月」の読み方として「ライト」が半ば定着してしまうという皮肉な結果に終わっている。
5.人名として不適切な単語や、その同音異義語
「悪魔ちゃん命名未遂騒動※」などによって、「キラキラネーム」以前から存在は認知されていたタイプ。
発想はタイプ1にも似る(物騒な単語ほど偉い)が、ぶっちゃけDQNでも誰がここまでやれと言ったとツッコむレベルのものがゴロゴロ見つかる。むしろ、異常さを認識した上での故意的な命名が多いと言われる。
例えば「悪」や「死」、「鬼」など、明らかに人名に適さない字はタイプ1の場合でも使われることはほとんどない。ただしこれらの文字でも、打ち消し語を伴っていれば使われることもある。(後述)
名付け親の無知や思慮不足によって結果的にそうなってしまう場合もあり、一見普通の名前に見えても後から問題になるというケースもある。
例えば「心太(しんた)」=ところてんや「海月(みづき)」=クラゲや「利己「液」など)
※1993年に、ある男性が実子に「悪魔」と命名しようとし、出生届が「子供の福祉を害する可能性がある」として、親権の濫用を理由に不受理となった騒動のこと。届出者(実父)はこれを不服とし、市に対し裁判を起こした。別の漢字で「あくま」と命名しようとしたが不受理となり、さらに「あくま」に近い響の別の名前で届け出たところ受理されたため、申立を取り下げ未決のまま終結した。なお、この実父はのちに覚醒剤取締法違反で逮捕された。
※例
- 黒城凶死郎(デュエルマスターズ)、千両狂死郎(サムライスピリッツ) 、居眠り狂死郎(ONEPIECE)- 黒城凶死郎は低年齢向け作品の悪役キャラと言うことで「名は体を表す」を地で行っており、この業界では普通と言えば普通ではある。また千両狂死郎は芸名の可能性があり、居眠り狂死郎に至っては偽名で本名は別である。
- パンスト太郎(らんま1/2) - 名付け親が始めからふざけて付けたもの。
- ダンボ(ディズニー映画) - 本名は「ジャンボ・ジュニア」であり、ダンボというのはdumb(障害児)+jumbo(母象の名前)の組み合わせで名付けられた蔑称である。
- 松野おそ松(おそ松くん/おそ松さん) - お粗末という言葉が蔑称なのは言うまでもないが、兄弟全てがの名前松で終わる奇妙な法則がある。
- 丸出だめ夫(丸出だめ夫) - ある意味日本の漫画史上最悪の名前である。父親は「はげ照」、おばは「ジャマ江」と碌な名前がない。
- 三塚井ドクロ(撲殺天使ドクロちゃん)-本名はドクロリル・ジャスティリアであり、この名前は日本で生活するためのものだが、本当に日本で通用するとは言い難い。
- 一里ぼっち(ひとりぼっちの○○生活)-ギャグ作品や10.のパターンの併用ということを差し引いても、孤立を意味するぼっちを名前にするのはひどい。
- 禍原デス美(恋は世界征服のあとで)- 秘密結社ゲッコーの下級戦闘員だった父が組織への変わらぬ忠誠心を示すために付けたと思われる。なお、デス美自身はその超人的な身体能力と本名から組織で死神王女と呼ばれる女性幹部である。また、すぐ下の妹もウラ美(恨み)というろくでもない名前を付けられている。
- 血祭血比呂(ぶらどらぶ) - この本名で散々嫌な思いをしたと語っているが、現在は高校の保険医兼血液研究者である。
- 鬼舞辻無惨(鬼滅の刃)-作中のあんまりな行動から「無惨様マジ無惨」と称されることもある。ただし鬼になったのを機に自ら名乗っている。(本名不明)
- 木原病理(とある魔術の禁書目録)-このキャラ以外にも木原一族には珍名が多い。
- ヴァサゴ・カザルス(ソードアート・オンライン)-望まれずに産まれたせいか、母から悪魔の一種の「ウァサゴ」の名を与えられた。
- 野原せまし(クレヨンしんちゃん)- 野原ひろしの兄。「ひろし=広い」に対して「せまし=狭い」だが、名前としては妙な響きであり、なおかつ「兄」である。決していい意味でもないため、(せましの存在自体が後付けとはいえ)ひろしが生まれなかった場合どうなっていたのか…という疑問がある。
- ブルマ(ドラゴンボール)- 他にも非現実的な名前のキャラの多い作品であるが、ブルマ本人はこの名前を気にしており、悟空に変な名前と言われた際に怒った。クリリンには「パンツさん」と間違えられており、この世界でもブルマは下着の名前らしい。ただそのブルマ自体は元々人名由来(ただしファミリーネーム)である。そもそも自分も息子にトランクスと名付けているし。
- バカボン(天才バカボン)- 「バカのボン」である。ただし「薄伽梵=悟りを開いたもの」だという意見もある。それはそれで8.に該当するわけだが…これでいいのだ。
- 四郎(クレヨンしんちゃん) - 「しろう」ではなく「よんろう」。読み方だけでも浪人を彷彿とさせるのに、初登場時は本当に浪人(三浪)だった。
- 平沢憂(けいおん!) - 名前自体は姉、平沢唯の名前の元ネタになった平沢進の兄、裕一から(裕一→U1→UI→うい)。憂鬱の憂であり、悲しむ、切ないなどの意味がある。ただし、「隣に人(にんべん)がくると優しくなれる」とも解釈できる。
- 擬宝珠憂鬱(こちら葛飾区亀有公園前派出所) - 平沢憂よりもド直球。
- 海野土佐ェ門(こちら葛飾区亀有公園前派出所) - ドルフィン刑事の本名であり、どざえもんとは水死体のこと。水死体がそう呼ばれるようになった由来は江戸時代の大相撲力士、成瀬川土左衛門の見た目からであるが、この力士の本名かは不明。
- 雲黒斎(クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望)、摂津院雲黒斎 (落第忍者乱太郎)- どちらも「う○こ、くさい」が元ネタ。ただ、クレヨンしんちゃん劇場版の場合は偽名である
- きんた松吉、あく松吉(バカバカしいの!) - いずれも下ネタと悪魔を連想する。なお、きんた松吉の名付け親は父親のあく松吉である。
- 東村尊大(弱虫ペダル) - 尊も大も人名としては普通に使われるものの、尊大となると傲慢と同義語になってしまう。なお彼自身は尊大さとは程遠い人物である。
- 夜桜凶一郎(夜桜さんちの大作戦)
彼の弟妹は一人を除いて不吉なイメージの漢字が使われている。
同音異義語
- 吹寄制理→生理(とある魔術の禁書目録)- 性格から「整理」が由来と思われる。ただし、女性キャラの名前としては少々不適切なネーミングといえる。
- 安城鳴子(「あ」んじょう・「なる」こ)→あなる(あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。)- 英語で肛門の意がある。ただしこれは無知な子供同士で付けられた仇名であり、極端な話、「ご」で始まる姓と「み」で始まる名の組み合わせや「し」で始まる姓と「ね」で始まる名の組み合わせ等も全部アウトになってしまうのが微妙なところ。
- 小仏珍子→珍子(炎の闘球女 ドッジ弾子)- 父親の名前から1字とったのだが、いかんせんアレを連想してしまうため、6の要素もある。
6.名前と性別が合致しない
男女どちらとも取れるような中性的な名前は「キラキラネーム」以前から一定数存在しており、一部保守的な思想の持ち主からは非難されることもあったが、ここで挙げるのはそのような「中性的」というレベルではない。
「ものすごいマッチョ(=力強く男性的)な名前を、当たり前のように女の子に付けた」といったようなパターンである。
男装の麗人として育てるような必要性があるわけでもなく、普通に女の子として扱っていたりするからわけがわからないよ。
すっかり定着した実在の例としても、黒柳徹子の場合は「男児が生まれると思いこんでいたら女児が生まれたため、予め用意していた男性名の『徹』に慌てて『子』を付け足した」、というエピソードがあったりする。
また、タイプ1やタイプ3との複合で、外国の人名を「音の響きだけ」で日本人に付けようとした結果、本来の性別と食い違ってしまったというパターンも存在する。ただし、この場合はタイプ5と同様に偶然の一致という可能性も考えられるため、即DQNネームになるとも言い切れない。対照的に「みか」や「まるこ」など、日本の女性名として定着しているものでも、海外では男性名になるというケースもある。これについても双方の文化を尊重するべきだろう。
タイプ5同様虐待の可能性が高いものも含まれる。(子の性別・性自認を無視し、価値観を押し付ける行為)
※例
- 麻里愛(こち亀) - 元男性、現女性。男性名で「あい」というのは珍しいと言える。キックボクシングのコーチに惚れたことでニューハーフ(正確には性転換手術を行なっていないため女装のみであり、男の娘に近い立ち位置である)となり、本名の「あさと・あい」から「マリア」を名乗るようになった。後に魔法で本物の女性になっている。
- 鶫誠士郎(ニセコイ) - 名付け親(育ての親)が性別を勘違いしており、女性体型に成長した今でも気付いていないというどうしようもない理由から訂正されていない。苗字については、せめて女性的なものをという友人の配慮である。
- 藤波竜之介(うる星やつら) - 息子が欲しかった父親が無理矢理付けたもの。本人は大層嫌がっている。
- 龍胆嵐丸(貧乏神が!) - 厳格過ぎる父親に男として育てられ、服装もバンカラを強制させられ、女性用の衣装およびメイクを禁止されている。
- 猪野上進太郎(すもももももも) - 父親に男として育てられた。
- 鉤生十兵衛(ねじまきカギュー) - 普段は男勝りだが、好意を抱いている教師の前では年相応の乙女になる。
- 猿渡銀兵衛春臣(お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ) - 今でこそちゃんと女子らしい格好をしているものの、かつては家のしきたりのせいで男として育てられた。上記の十兵衛と同様にシワシワネームでもある。
- アーデルハイド・バーンシュタイン(KOFシリーズ) - 逆に娘が欲しかったパターン。制作上の由来は「ハイジ」(アルプスの少女ハイジ)から取ったとされ、開発スタッフが勘違いしていたため後付けで設定した可能性もある。ちなみに苗字もドイツ語読みの「ベルンシュタイン」と英語読みの「バーンスタイン」が混ざっている。
- 草摩綾女(フルーツバスケット)- 名前に「女」とつくのに子持ちの男性(女装するけど)。
- 草摩慊人(同上) - 一族の当主になるために男として育てられ、幼少期に複雑な事情により性格が歪んでしまい、すぐに情緒不安定になって暴れたり、気に入らない言動をした相手を心身共に傷つける暴君になってしまった。
- 宇佐美マサムネ(まよチキ!) - 名前はイケメン男子を連想させるが、性格は典型的なツンデレ女子である。
- 絆播貢(ぶらどらぶ) - 中性的な顔立ちに加え、家庭環境の影響で「あたし」という一人称以外は少年的な言動をする。なお、父親も初登場の際「息子よ、じゃなくて娘よ」と言い直していた。
- 夢見りあむ(アイドルマスターシンデレラガールズ) - ボクっ娘だが自身を女性として認識している。「リアム」(Liam)はアイルランド由来の男性名(「ウィリアム」の短縮形)だが、親がそれを意識していたかどうかは不明。本人は「親のセンスのせいでひねくれ者に育ってしまった」「キラキラネーム」と発言しており、変な名前であるという自覚はある模様。
- 巡音ルカ(Vocaloid2) - 「ルカ」は聖書にも出てくる由緒ある男性名で、「リュカ」や「ルーカス」と同義。ただし、漢字で書くと「流歌」であり、「歌が空気中を流れ伝わる」という意味の命名とされているため、動機を加味するとセーフともいえる(現代では日本人の女性名として「るか(瑠香etc)」はそれほど珍しくない)。問題は、「ルカ」のアルファベット表記がローマ字の「RUKA」ではなく、男性名と同じ「LUKA」である所か。
- アビゲイル(BASTARD!!、ファイナルファイト) - こちらも聖書由来の女性名だが、二人ともゴツイ男性である。濁音が多いことで勘違いしたのだろうか?特にファイナルファイトの方は現代アメリカ人である。
- なお、アビゲイルは日本でいう「セバスチャン」に近い、侍女の代名詞的な名前の一つとしても使われている。
- 有栖川桜/草壁桜(バーコードバトラー/撲殺天使ドクロちゃん)-前者は女の子にしか見えず、後者は作中で意図して女の子の名前をつけられたことが語られる。
- 藤村大河/逢坂大河(Fateシリーズ/とらドラ!) - 同名だが特に関係はない。お互い「タイガー」=虎が名前のモチーフで、あだ名もそれに由来する。
- キン肉真弓(キン肉マン) - キン肉マンの父親であり髭の生えたごつい親父。名前の由来は真弓明信であり姓が名前になった。ただし、もともと真弓は昭和以前は男性名として使われている。
- あんさんぶるスターズ!の生徒の一部(仁兎なずななど)。
- 咲-Saki- re:KING'S TILE DRAWのほとんどのキャラ(宮長咲基など) - 原作シリーズにあたる咲-Saki-のキャラクターを名前の読み方以外を変えて男性化している。元より中性的な名前である片丘優季(ゆうき)などは別として、読み方まで変わっている竹居久史と染屋真工(「ひさ」、「まこ」ではなく「ひさし」「まこう」)などもいる。
- アリス(ドラゴンクエスト11) - シリーズおなじみの荒くれ男。ただし彼が慕っているシルビアの本名はゴリアテであり、彼も本名はあるかもしれない。
- 黒崎一護(BLEACH) - 一応発音は「シンゴ」、「ダイゴ」のそれであるが、男性でいちごは珍しいと思われる。
なお、「伊織」のように、かつて男性名として付けられていたものが、時代が下るにつれて(香織などと混同されて)女性に付けることも一般化していったという例もあり、そうした名前をどちらの性別のものとするかについては保守派の中でも争いがあったりする。「妹子」「馬子」で知られるように「○○子」も古代では男性名である。現代でも「皇子」(「王子」)や「息子」は基本的に男性を指す。
また「薫」、「ひかる」の様に、男女どちらにも用いられる名前だが女性のイメージが強い名前がDQNネーム判定される場合もある。逆の例は「真」など。
漢字のイメージも関係するため、同じ「ひかる」の「一条輝」でも「軍」の字が含まれる漢字「輝」のためか男性的なイメージになる。「まこと」の場合も「真」ではなく「真琴」なら女性名扱いだろう。(ただし、「橘真琴」は男性である。)
「中性的な名前が嫌であえてあだ名で呼ばせている」→ブタゴリラ(熊田薫)のように、それほど違和感のない名前でも本人が特別嫌がっていたり、カミーユ・ビダンのように「女性的だと馬鹿にされ続けてきたことでコンプレックスを抱いている」人物もいたりするが、「カミーユ」(Camille)も、本来男女どちらにも用いられる名前である。
7.極端に長い
「寿限無」という有名な落語があるが、世の中にはそのネタを大真面目に実行しようとする人間が存在するのである。 漢字で5文字も6文字もあるだけならマシな方、中には名前なのになぜか文章になっているなんてものも。
書く手間を考えれば、虐待の手段としては頭一つ抜けた存在と言える。
フィクションでは割とよく見かけるが、日本での実例はあまりない。また、ピカソの本名のように、文化的に名前を長くつける風習によるものは除外される。
※例
- ビチグソ丸(銀魂) - 寿限無を元ネタとして付けた例。5.との複合でもあり、猿の名であることを差し引いても酷いと言わざるを得ないだろう。アニメ版では尺稼ぎのためにわざわざ声優にフルネームを言わせたことがあるとか。
- 山神ルーシー貴美子(略)(サーバント×サービス) - 両親がどう言う名前にするか迷った結果命名する際に候補に挙げた名前を全部付けた結果である。こちらも寿限無が元ネタで作品内では名前を聞いた時に「現代版じゅげむ」と言われていた。作品内ではフルネームは最後まで不明であったが、漫画版の最終回ではとある理由から名前を「ルーシー」と改名している。
- ミュミャリャツァオビュビュンピピュプリャプピフンドシン(絶体絶命でんぢゃらすじーさん) - 作中の読者アンケートで決まった名前だが、長さと言いづらさで結局は元・校長⇒校長に戻った。
「本名が長いキャラ」では(文化的な理由を含めた)ありとあらゆる長名キャラクターが紹介されている。
8.仰々しすぎる
「神」・「王」・「天才」など、極端に「強い」「偉い」存在を示すような名前の事。タイプ5とも類似するが、あくまでこちらは行き過ぎたポジティブな期待に由来するものである。
子供の大成を願い、少々大袈裟なくらいの名前をつけること自体はそれほど珍しくないもの、それが行きすぎた場合子供の将来の仕事や能力、評価を考慮していないということからDQNネームとして扱われることがある。後述の孫休も仰々しいのを嫌って漢字を創造したという経緯がある。
「姫」などは現代日本でも時折使われるため(キャラクターでいうと立花姫子や西木野真姫など)、やや大仰とは評価されるが比較的受け入れられることが多い。
「龍」など幻獣の類をここに含める意見もあるが、龍(竜)や鳳は以前から名前に付けられている漢字、かつ瑞獣であるため特に問題無いと思われる。特に龍は干支にも含まれるため、生まれ年に由来して付けられることも多く、一概に身のほど知らずと断定するのは早計である。
※例
- 竜ヶ峰帝人(デュラララ!!) - 読みは「みかど」なので2.の要素も入っている。
- 垣根帝督(とある魔術の禁書目録) - 恐らく「提督」の要素もあると思われる。
- 平戸ロイヤル(めだかボックス) - 英語で王室を指し示す。
- 西園寺世界(SchoolDays)- ただし、もう1人のメインヒロインも言葉であったり、それ以外のヒロインも刹那だったりする。主人公の妹に関しては「父親にとって最後の子供」という意味で「止(いたる、父と同じ読み方でもある)」など、かなり独特のセンスを持った名前が多い。
- 高坂王子(未来日記) - 彼に限ったことではないが、大人になった後どうするんだというツッコミもある。
- 現代の日本で「王子」と言えば非常に高いレベルの美少年や、特定の分野で優れた活躍を見せる若い(整った顔立ちの)男性を形容する言葉でもあるので、不細工に育ったらどうするんだという指摘がある。
- 余談だが、『スレイヤーズ』のフィリオネル=エル=ディ=セイルーン王子など、「むさいおっさん(子持ちの40代だが父親が在位中なので王子)に、あえて耽美な名前を付ける」といったネタはDQNネームという言葉が生まれる以前から創作物中ではさほど珍しいことではない。
- 2019年にはこれと同様の名前を付けられた人が改名したことが話題になった。
- イケメン・マッスル(キン肉マンII世)- 暑苦しい顔の委員長の息子であり、父親も急に彼の顔を見たときに悲鳴を上げるほどで、とてもイケメンとは言い難い。
- ディオ・ブランドー(ジョジョの奇妙な冒険)- ディオとはイタリア語で神という意味である。(一応イギリス人のはずだが)
- 竜千士氷(こちら葛飾区亀有公園前派出所)
9.合体ネタ
複数人の名前を並べると一つのネタになると言うもの。
血縁であることが明らかでいいと捉えるか、名前で遊んでいると捉えるかは人それぞれである。
これに関連して、字は異なるが同じ読みをあてている(戸籍には読みを登録する必要がないため)兄弟・姉妹なども現実に存在するが、基本的には多胎児でない限り、創作ならではのものといっていいだろう。(弟や妹が生まれる前提で名前を付けたということになる)
また、変則的なパターンとして、名前自体では普通なものの複数人の並びで意味が変わってくるというケースもある。(「満(みちる)と駆(かける)」なのに、「満ちると欠ける」を連想されてしまうなど)
※例
- あい、まい、みい(ぽぽたん他) - 英語の一人称(I,My,Me)を三姉妹に。漢字で「愛、舞、美衣」と書けば日本人名としてもそれほど違和感がないためか、さまざまな場所で取り入れられており、創作物中ではもはや古典の部類である。まいん(mine)ちゃん、ゆう(You)ちゃん(くん)等を加えたパターンも確認されている。
- 一方で『あいまいみー』のキャラは血縁でさえないので偶然の一致(と言う設定)である。
- 春風どれみ、ぽっぷ(おジャ魔女どれみ) - 作品テーマとも合わせて、音楽繋がりの命名と推測される。ただし、妹の名前が意味するところは「大衆」である(ポップス=大衆歌)。無理に姉と合わせて「そらしど」などなるよりはマシだったかもしれないが…それなら「そら」で良かったかもしれない。
- ただし、「ポップ」には「弾ける様子」を表す同音異義語もあり、共にひらがな表記で読み間違いの可能性が無いという点は救いと言えるだろうか。
- なお、どれみに対しては実際に付ける人が出てきたが「七音」と書いていた。「三音」じゃないんかい!
- こころ、あると、いいな(ココロ図書館) - 三姉妹合わせて「心在ると良いな」……と思いきや、「こころ」は三女で長女は「いいな」の方である。ネタすら素直に読ませようとしない努力の方向音痴ぶりはまさにDQNネーム。
- と言うか3人目が生まれなかったらどうするつもりだったのか、我が子に心が無い可能性でも考えたのだろうか等と、色々と突っ込みどころ満載なネーミングである。
- 大塚みこと、ことみ(アクアシューターズ!) - 要はアナグラム。もし三女が居たら「とみこ」にでもなるのだろうか?
10.名前と苗字の合体
フルネームで読むと一つの言葉になる。この場合、ありふれた苗字と名前の組み合わせでもフルネームでは珍しい名前となってしまう場合があり、一例として「砂糖と塩」とも読める「佐藤敏夫」という名前は現実にも少なからず存在しているほか、「マリちゃんシリーズ」なんてのもある(水田マリ→水溜り、小田マリ→お黙り)等)。
単に偶然そうなってしまった場合や、名付ける側のダジャレの場合があり、後者は批判されることが多い。(特にタイプ5と複合する場合)
類似の事例として、声優の佐々木愛(会一太郎(會一太郎)と結婚し、現在の本名は「會愛(あいあい)」になっている)のように、結婚などで改姓した結果として珍名になってしまうという場合も存在する。もっとも、この場合は名付け親に責任は無いのでDQNネームには含まない。
※例
- 奇面組シリーズの大抵のキャラ(一堂零など)
- まじかるタルるートくんの大抵のキャラ(河合伊代菜など) - なお河合伊代奈は当時のアイドル、河合奈保子と松本伊代(+中森明菜?)も元ネタである。
- とっても!ラッキーマンの大抵のキャラ(追手内洋一など)
- おぼっちゃまくんの大抵のキャラ(御坊茶魔など)
- ご注文はうさぎですか?の大抵のキャラ(香風智乃など)
- ひとりぼっちの○○生活の大抵のキャラ(一里ぼっちなど)
- 古見さんは、コミュ症です。の大抵のキャラ(只野仁人など)
- じょしらくの大抵のキャラ(蕪羅亭魔梨威など) - ただしメインキャラの名前は高座名であり、全員が本名不明である。
- マンガ家さんとアシスタントさんとの大抵のキャラ(愛徒勇気など)
- クレヨンしんちゃんの一部のキャラ(売間久里代、屈底厚子など)
- 忍たま乱太郎の一部のキャラ(稗田八方斎など)
- 僕のヒーローアカデミアの一部のキャラ(瀬呂範太など)
- 野比のび太(ドラえもん) - 「のびのびと育つように」と命名されたとのことだが、名字と名前の響きをあえて重ねていくスタイルは日本ではかなり特異と言える。男性名でのひらがな表記も珍しい。ただ、のび太の父親は野比のび助で、一族に「のび」が付く男が複数いるため、変わった言葉を通字として受け継いだとみるのが普通なのだが由来が設定されている。もっとも、骨川スネ夫(設定上はともかく、メタ的には「親の脛齧り」が由来)が普通にいる世界なので それほど珍しくないのかもしれない。似たようなキャラに茂手もて夫がいる。
- キン肉・万太郎 (キン肉マンII世)-万太郎と言う名前自体は嫌っていないが、ウルトラマンタロウにあやかったことには苦言を述べている。劇中でも「キン肉マン・太郎」と間違えられることが少なくない。
- ところ天の助 (ボボボーボ・ボーボボ) - ただし文字通り「ところてん」のため、親の有無や、「ところ・天の助」のように名前と苗字に分かれているのかさえも不明。また、「ボーボボ」の世界ではそれほど特異な名前とは限らない。
- 結愛せるふ(Do_It_Yourself!!)
- 伏見いなり(いなり、こんこん、恋いろは。)
- 上条当麻(とある魔術の禁書目録)-彼の名は、神浄の討魔という特別な意味が込められたものである。まあ彼の両親はそんなことは知らずに普通の名前をつけたつもりだろうが。
- 範馬刃牙(グラップラー刃牙シリーズ)- 苗字はハンマーから、名前は「バキッ!」という擬音から取ったと作者が明かしている。なお、彼の父親は第一子だが「勇次郎」、母親も「珠」で「み」という人名以外で用いられないような特殊な読みであるなど、名前にまつわるネタは多い。
- 伊知割石(いじわるばあさん)- 5の要素も持っており、こんな名前をつけられたら意地悪になるに決まっている。彼女の場合は名字(伊知割)の次点であれだが。
- 金太満とその家族(超人キンタマン)-女性である母親にも無理やり金玉系ネームを付けている。
- 南斗下骨茶(超人キンタマン)-明らかにケンシロウのパロディだが南斗神拳(南斗聖拳ではない)の使い手。
- 間抜作(ついでにとんちんかん)- 名字は「あいだ」であり決して「ま」ではないが、5に入れられてもおかしくないような字面である。そもそも人間なのかさえ怪しい存在だが。
- 遠藤豆、遠藤サヤ(だがしかし) - 兄妹。えんどう豆とさやえんどうに由来しており9の要素も備えているが、「豆」は特に悪ノリのような名前である。
- 尾張ハジメ(だがしかし)- 「終わり」と「始め」に由来。また、女性名としての「ハジメ」は珍しいため、5にかかる要素を持つ。
- 増子美香(Yes!プリキュア5) - 「マスコミか」。新聞部所属である。自身の名前にかなりの愛着があり、登場する際は独特の名乗り口上で自己紹介をする。なお、数年後のシリーズ作品には、同姓かつ外見、性格、名乗り口上がそっくりなニュースキャスターが登場する。
- 五利良イモ太郎(ど根性ガエル)- 一見名前と苗字に何も関係がなさそうだが、ゴリライモというブタゴリラ的なあだ名が付いた。名字がゴリラなのは仕方ないとして、なぜイモをつけた。
- 須羽ミツ夫(パーマン)-実在する名字でおかしくないように見えるがスーパーマンからとられた
- 実況パワフルプロ野球の一部のキャラ-(山口賢、犬河和音など)
11.プレイヤーが名前をつけるゲームの主人公
これまでの「DQNネームの例」とは性質が異なり、非現実のキャラクターにのみ適応されるものである。そのため、本来の意味でのDQNネームには含まれないが、いくつか特徴的なものを紹介する。
※例
- ああああ-ご存知適当な名前の代表。名前を考えるのが面倒な人がボタンを連打して作られる名前。ちなみにこの名前はゲーム業界も認知しているらしく、ドラゴンクエストの世界ではDQNどころか呪われた名前らしく、この名前のものは命名神マリナンの怒りを買って、変更できなくなり、勇者のくせになまいきだ。ではこの名前の勇者が登場する。
- おっ゜て、もょもと(ドラゴンクエスト、ドラゴンクエストⅡ) - 有名な復活の呪文により、生まれてしまった名前。ランダムに生成されたため、正確な発音さえ困難である。もょもとのほうがマシなほうか。
- 公式の主人公の名前 - ドラゴンクエストシリーズ初期では「えにくす」という自社の名前をそのまま付けて、取扱説明書や公式攻略本などでプレイ画像を公開していた。最近は「エイト」や「イレブン」などナンバリングをそのまま付けたものが多い。他社作品でも「ニンテン」、「すくえあ」など、社名やブランド名に因んだ公式でのプレイネーム(デフォルトネーム)は多く採用されている。
- 里見の謎の主人公の名前 - 自動命名システムという機能があるのだが、1文字毎にランダム(乱数)で決定されるため、「-ふぁゑゎ」「ゃによょぇ」など人間には発音不可能な名前が命名されることもある。先述の「もょもと」など、ランダム生成による独特の名前自体はこの作品に限ったことではない。
- パパスの考える女の子の名前(ドラゴンクエストⅤ) - 「こ」、「み」、「りん」で終わるのが女の子の名前らしく、「オーリン」、「マーリン」、「マルコ」のような男性名、呪文の「ホイミ」、はぐれメタルにつける「はぐりん」」、「○んこ」、「ザコ」、「ゴミ」のような不適切な名前も女の子の名前らしい。
12.人名とは思えない生き物や物の名前
日本人の場合、1、2、3、4、5、の要素を併せ持つことも多い。
※例
- ジョジョの奇妙な冒険5部の大抵のキャラ(リゾット・ネエロなど) - ドラゴンボールやコロッケ!など食べ物の名前のキャラの出る漫画はよくあるが、彼らはファンタジー世界の住人ではなくイタリア人である。
- 僕のヒーローアカデミアの一部のキャラ(志賀丸太など) - 志賀はDQNネームとは違う理由により殻木球大に変更されたが、元の名も人名としては奇妙である。
- めだかボックスの一部のキャラ(黒神めだか、不知火半袖など)
- 則巻千兵衛、則巻アラレ(Dr.スランプ) - 今でこそドラゴンボールと同じ世界の住人だが、恐らく連載当時の舞台は日本だろう(と言っても「ペンギン村」なので怪しいが)。
- 孫悟飯(ドラゴンボール) - 学校で変な名前と言われ、テレビ局で人名と思ってもらえず弁当売り扱いされる。苗字がある名前は珍しいという描写もある。
- 三日月夜空(僕は友達が少ない) - 10、13の要素も持っている。
- 月野うさぎ(美少女戦士セーラームーン) - 日本ではウサギが月に住むという伝承もあり、10の要素も持っている。
- 森野きりん(幸腹グラフィティ) - アニメでは名前に合わせた演出と思われるが、彼女が外を歩く際「ポク♪ポク♪」という謎の足音を立てていた。
- 結城うぐいす(少女たちは荒野を目指す) - 特徴的な名前の為、作中ではうぐいすと呼ばれず、「トリちゃん」「トッリ」「うぐぅ」と独特なあだ名で呼ばれている。
- 寝子(墓場鬼太郎) - 猫娘の原型となるキャラ。半妖・または妖怪の猫娘と異なり、ある秘密を抱えているが、純粋な人間である。
- 伏見猿比古(K) - 産まれた直後に彼を見た父親が「うわー、猿みてー、気持ちわりー」「じゃあ名前それ(猿)にするわ」と名付けたという、虐待としか思えない名前。いわゆる「DQNな人がつけた名前」としてのDQNネームといえる。
- 碧川れたす(東京ミュウミュウ) - 同作の他のキャラ、いちごやざくろと同じく食べ物に由来すると思われるが、レタスは珍しいといえる。まぁみんとも微妙でプリンやベリーに至っては同類と言えるが…。
- 猿山猿子(ばくおん!!) - バイク部顧問だが、部室には滅多に顔を出さない。また、高望みし過ぎて失恋を繰り返す行き遅れキャラ且つ酒乱という残念な美人である。
- 河合花火(競女!!!!!!!!) - 名前が表すように夏生まれなのかは不明。なお、試合中本気で攻撃する時は顔が黒い影で覆われ目がしいたけになる。
- 北大路花火サクラ大戦3) - こちらはメインヒロインの名前が草花由来であるため花火草からとられているとみられる。
- 円城寺三毛(ACTORS) - 男性だが、由来となった三毛猫は基本的に雌しかいない(雄は1/30000。しかも遺伝子異常なのでまず子を成せない)ので、6の要素も兼ねている。
- ココア - 前述の保登心愛、ラブライブ!の矢澤ここあなどが該当する。ただし、現代日本においては比較的若い世代に増えてきている名前のため、他の名前に比べるとやや受け入れられやすい。
- カバ夫(パーマン) - 夫をつければいいというものではない。ただしジャイアンのように本名でないのかもしれないが。
- ポケモン主人公とライバル(レッド、グリーンなど)(ポケットモンスター) - 他キャラが日本人風の名前なのがほとんどなのに対して、彼らは『赤・緑』のバージョン名由来の色の名前である。ただし、これは元々プレーヤーが名前を決める際に出る候補の一つであり、後の作品でこの名前で登場したことで正式名称になったという経緯がある。他メディアにおいては彼らに相当するキャラに穴久保幸作版では赤井勇と緑川開という本名が設定され、アニメ版ではサトシとシゲルという初代ソフトの名前の候補一覧にもあった日本人風の名前が採用されている。
- 磯野姉妹(フグ田サザエ、磯野ワカメ)(サザエさん) - そもそも家族全員が海産物や海に関連する由来である。
- 男鹿アキタ(新幹線変形ロボ_シンカリオン_THE_ANIMATION)- E6こまちの運転士だが、「男鹿市」・「秋田県」をそのまま名前に使っている。しかし、男鹿には新幹線停車駅がない。
13.周りと比べて極端に浮いている
ある意味「DQNネーム」そのものが「周りと違う名前」の別称であるが、例えば家族の中で1人だけ全く違う命名法則に基づくもの(他の兄弟が「太郎」、「次郎」なのに、1人だけ「フェニックス」のような名前の場合)であることなどが挙げられる。
※例
- 鬼太郎(ゲゲゲの鬼太郎) - 登場する妖怪は種族名をそのまま名乗ることもある。ただし、鬼太郎はその出自もあって数少ない個人名であり(種族は幽霊族)、妖怪としては浮いている。
- フェニックスマン、セイウチン (キン肉マン、キン肉マンII世)-フェニックスマンの両親はフェニックス太郎とフェニックスシズ子、セイウチン家族は父のロバート、母のスージー、妹のドロシーであり、かなり浮いている名前である。ただし、キン肉マンの本名がキン肉スグルで、キン肉マンII世の本名がキン肉万太郎である事を考えると、リングネーム(本名が別にある)の可能性も高い。
- 泉キャロン(チャージマン研!) - 父は泉博、母は泉さおり、兄は泉研と普通の名前なのに、1人だけ外国人のような名前である。
- 擬宝珠(両津)夏春都(こちら葛飾区亀有公園前派出所) -彼女は両津家の出身であり、擬宝珠家ならともかく両津家では浮いている。更に言うと、他の擬宝珠家の人間はあくまで難しいだけの普通の単語の名前であるが、彼女はドイツ語の当て字でありその意味では擬宝珠家でも浮いている(檸檬も英語ではあるが昔からレモンの当て字に使われていた)
14.著名人やキャラクターの名前
命名当時は尊敬を集めていた事物でも、時代と共に評価が変化して、下手をすれば「名前を呼んではいけないあの人」のようになってしまう危険性もある。日本では実際に「田中角栄くん改名裁判」と言うものもあった(ロッキード事件前後で評価が変わったため)。
もちろん一般的な名前の有名人の場合はこの限りではないが、それでも10の要素が入っていればここに分類されるものと思う。
現実でもそれなりに見られるものではあるが、ペンネームや芸名、字(あざな)のように本名ではないことを利用した特殊な名前から取った場合は、ややDQNネーム的とみなされることもある。
一方で後述するピーチ姫の項にもある通り、欧米等では伝統ある名前以外はすべてDQNネーム扱いなので、神霊や有名人との名前被りは珍しくもない。欧米で使われるジェイソン、ヘレネ、ヘクター、パーシーはギリシャ神話の登場人物、アーサーやトリスタンはアーサー王伝説の騎士、ミカエラやガブリエルは天使、イランで使われるアーラシュは同名の弓兵から、インドやインドネシアではマハーバーラタやラーマーヤナの英雄から名付けられる事もある。(有名なケースではスカルノ大統領など)
- 一騎当千のほとんどのキャラ(孫策伯符など) - 彼女たちは日本人であり、更にほとんどが女子高生なので、3,6の要素も持っている。
- 文豪ストレイドッグスのほとんどのキャラ(太宰治など)
- 新・信長公記〜ノブナガくんと私〜のほとんどのキャラ(織田信長など) - ただし彼らは武将のクローンなので問題ないのかもしれない。
- 剣桃太郎(魁!男塾) - 名前や刀を使うところ以外に桃太郎要素は薄い。
- 愚地独歩(グラップラー刃牙シリーズ) - おそらく由来は国木田独歩から。「国木田独歩」はペンネームで、本名は「亀吉(幼名)」→「哲夫」である。
- 岸辺露伴(ジョジョの奇妙な冒険 - 由来の幸田露伴のようにペンネームと思われていたが、「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」で本名だと語られた。
- 楠幸村(僕は友達が少ない) - 由来は真田幸村で、母親が戦国武将のように凛とした漢になってほしいという思いを込めて名付けた。その影響で本人も遊園地回で指摘されるまで自分を男だと思い込んでいた。なお、6の要素も持っている。
- 桜田ジュン(ローゼンメイデン - 桜田淳子から子をとって男性名にしたもの。
- うさだヒカル/ブタ田ヒカル(デ・ジ・キャラットシリーズ/学級王ヤマザキ) - どちらも宇多田ヒカルが元ネタだと思われるが、ブタ田は男性である。
- 枢斬暗屯子(激!!極虎一家 - 名前以外にスーザン・アントンの要素はない。
- ヴァニラ・アイスなど(ジョジョの奇妙な冒険) - 「ジョジョ」はキャラクターやスタンドの名前にミュージシャンの名前や楽曲のタイトルを用いることが多く、「ヴァニラ・アイス」も同名のミュージシャンに由来する。
- 目太門比科忠(こちら葛飾区亀有公園前派出所)- 読みは「めたもんぴかちゅう」。メタ的にはともかく、設定上の生まれた時代的にはポケモンはあまり関係なさそう。
- 句楽兼人(ウルトラスーパーデラックスマン)、暗悪健太 (dr.スランプ)- どちらもクラーク・ケントがモデル。ただし暗悪は偽名で本名はスッパマンである。
- 山本海賊王(山本ルフィ)、中津川嘘風(中津川ウソップ)(恋するワンピース)- ONEPIECEのパロディ漫画。小山菜美はだいぶマシな方。
- 三村政和(彼岸島)- 加藤の本名。ただしカタカナではないので三村マサカズが元ネタではないかもしれない。
15.特定の職業や立場などの名前
その分野で大成すればよいが、別の分野で成功した場合はネタにされ、そうならなかった場合プレッシャーにしかならないだろう。
創作において、名前の設定されていないキャラが、作劇の都合で立場などをそのまま名前に当てはめた(例:「バカボンのパパ」→「バカボン パパ」という名前であるとする回がある)パターンも紹介する。
- バカボンのパパ (天才バカボン) - 立場などがそのまま名前になってしまったケース。カメダス2(こち亀ファンブック)のコラボ漫画では「バカボンのパパ」が本名だと言及されており、警察に捜索願を提出した時も氏名の欄は「バカボンのパパ」と記載していた。しかも表札はバカボン。つまり、バカボンは「バカボン バカボン」となり、ママは「バカボン ママ」となり、結果として「はじめ」が家庭内では浮いた名前となってしまう。
- 阿笠博士(名探偵コナン) -博士号を実際に持っているがそれほど話題に挙げられることはない。
- 校長 (絶体絶命でんぢゃらすじーさん) -ただの役職名だと思われていたが、彼が校長をやめるとき名前が変わる騒動が起きたため、バカボンのパパのように校長が名前だと思われる。
- 妓夫太郎(鬼滅の刃) -名前すら付けられずに生まれ(妹には由来こそひどいものの、「梅」という名前があった)、「妓夫」という遊郭での下働きを意味する肩書が、いつしか本名になった。
17.その他
上記のどれとも言い難いもの。音の響きやフィーリングだけで決めてしまったり、何も考えていなかったり……。
※例
- ア太郎(もーれつア太郎) - ただの記号で意味が無さすぎるという例。ちなみに父親も「×五郎」という名前の大概アレな人物として描写されており、来るべきDQNネームの時代を予言した昭和の怪作であったりする。ただし、ギャグマンガのため、苗字も含めてそれほど凝った意味合いではないと思われるが…。
- 小山むさえ(クレヨンしんちゃん) - 野原みさえの妹で三姉妹の末っ子。姉妹の名前がまみむめもの順+「さえ」でつけられているので、まともな感じのまさえやみさえと比べると珍妙な響きになっている。
- 佐木咲(カノジョも彼女) - 両親の「姓と名が一緒なら可愛いかな。」という安直な理由で名付けられたことに本人は複雑な感情を抱いているが両親との仲は良い。なお、中学時代からの親友からサキサキと呼ばれているが、それに対して怒ったりしない。
- 枝垂紅豊(だがしかし)- 「しだれ べにゆたか」と読む。由来はおそらく(枝垂という苗字も含めて)桜の品種と推測されるが、変わった名前の多い本作の中でも一際不思議な名前であり、本人も恥ずかしがっている。「紅 豊」と偽名を使っていたこともあった。
- マリオ・マリオ(スーパーマリオブラザーズなど)- ルイージという弟がいながら、作品名がブラザーズであるため、実写映画版では「マリオという苗字の兄弟」という設定が採用されている。宮本茂も一度は「マリオ・マリオが本名」と発言したが、のちに任天堂を通じて訂正しており、実際の苗字は不明(またはなし)である。
- ポプ子、ピピ美(ポプテピピック)- メタ臭丸出し。ポプ子とピピ美だからポプテピピックなのかその逆なのかは定かではない。
- この素晴らしい世界に祝福を!の紅魔族(めぐみんなど) - 紅魔族のセンスでは普通らしいらしいので、これを笑うのはニャホニャホタマクローやオニャンコポンを笑うのと同義…とでも思ったのか?実は紅魔族を生み出した日本人の科学者が適当につけたあだ名が伝統になったのが原因である。
過ぎ去りし時を振り返る(歴史上のDQNネーム)
名前に対する感覚というものは時代と共に変化する。珍奇に思えても当時はごく一般的だったということはあり得る。
「ここで終わりにしたい」という願いを込めて「留」「〆」といった漢字を用いたり、父親が56歳の時の子供だったから「五十六」という名前にしたといった例も昭和半ばまでごく一般的に見られている。
これに関連して、女性名で時折見られる「あぐり」(円亜久里など)や「みつ」などが、「充満であること」が転じて「もうこれ以上(女の)子供はいらない」という意味で付けられることもあった。
一方で、当時の感覚から見ても変わった名前だったという事例は確かに存在する。
例えばドイツかぶれだった森鴎外 (本名「林太郎(りんたろう)」)は、子供達にドイツ語風の名前を付けている。全員を挙げると、於菟(Otto)・真章(Max)・富(Tom)・礼於(Leo)・常治(George)・茉莉(Mali)・杏奴(Anne)・不律(Fritz)・類(Louis)である。なおほとんどの者が学会や文壇へ進出し、名前を残している。
その理由が「軍医として留学したドイツで自分の名前(本名の【林太郎】)をちゃんと発音してもらえなかった」 という、一種のコンプレックスによるもので、「子供たちには国際化した世界でも通じる名前にしたかった」という、彼なりの親心ともいえる。そして夏目漱石に、わかりやすい、普通の名前が良いと批判された。昭和平成になると茉莉、礼於、常治あたりは特段おかしなものではなくなっているが。
また、与謝野鉄幹・晶子夫妻は、パリで出産したという理由で子供に「アウギュスト」「エレンヌ」なるフランス名を付けた。こちらは後に普通の日本人名に改名している。
なお、不律はのちにある同人ゲームで鴎外をモチーフに取り入れたキャラクターの名前に起用されている。
子供たちも父に倣って西洋風の名前を自分たちの子供(鴎外の孫)につけることがあったようで、例えば茉莉の息子は「𣝣(Jack)」という名前である。ただし、これは茉莉の元夫、山田珠樹がフランス文学者であったことも関係する。
さらに古い時代には、生まれてきた子に悪い意味の名をつけたり、男の子に女の子の名前をつけたりという事例が頻繁に見られていたが、当時はそうすることで病魔を遠ざける、不運を打ち負かすといった呪術的な効果を持つと信じられていたので、DQNネームとは意味が異なる。
さすがに子供に「奇妙丸(きみょうまる)」「茶筅丸(ちゃせんまる)」「三七(さんしち)」と名付けていった織田信長あたりになると、DQNネーム認定しても構わなそうだが。とは言え、存在そのものが非常識の塊のような人だったので、別の意味で評価が難しい所である。
また、戦国大名の松前慶広の幼名は「天才丸」という、確実にDQNネームに分類される類の名前であった。
そもそも、江戸時代以前は幼名・通称・改名が一般的であり、たとえ100%の悪意を持って名前を付けられたとしても、いくらでも取り返しが付いた社会であった。読みが同じであれば、成人後であっても漢字を変えても別に問題とはされておらず、認定基準自体が相当甘かったと言える。そもそも当時の庶民にまともな戸籍は無いうえ識字率も低いので、現代以上に響きや通称が重要視されていたといえる。
これらの比較的現代に近い例としては、明治生まれで昭和に活躍した俳人中村汀女が挙げられる。
汀女の本名は「破魔子(はまこ)」であり、「破魔矢」と同じく「魔を破る」という打ち消しの表現が使われている。しかし汀女本人は同級生にからかわれるなど恥ずかしい思いをしたことから、普段は「濱子(はまこ)」などの字を当てて名乗っていたという。
「キラキラネーム」「DQNネーム」に多い「強いこだわりからあえて読みにくい名前にして特別さを強調する」ような風潮に対し、吉田兼好は以下のように記している。
「寺院の号、さらぬ万の物にも、名を付くる事、昔の人は、少しも求めず、たゞ、ありのまゝに、やすく付けけるなり。この比は、深く案じ、才覚をあらはさんとしたるやうに聞ゆる、いとむつかし。人の名も、目慣れぬ文字を付かんとする、益なき事なり。
何事も、珍しき事を求め、異説を好むは、浅才の人の必ずある事なりとぞ。」
(意味:寺の名前やその他の物でも、名を付ける事を昔の人は少しも欲張らずに(こだわらずに)、ただ、ありのままに気安くつけたものだ。最近は、深く考え込んで、自分の才覚を表そうとでもするかのように聞こえる名が多くて、とても煩わしい。人の名前も、見慣れぬ文字を使おうとするのは、(読みにくいだけで)無益なことである。
何事でも、珍しい事を求めて、奇抜なものを好むのは、浅はかな才知を持つ人が必ずやる事だと言われている。)-「徒然草」第116段
昔の社会にあっても、読み難い名前に苦言を呈していた人間は一定数いたようだ。根本的なことを言ってしまえば、日本人の名前に漢字を使うのが適切なのかという点にたどり着く。
WWDN(ワールド・ワイド・DQNネーム)
現在わかっている最古のDQNネームは、三国時代の中国、呉の皇帝孫休が息子達に付けた名前だとされる。孫休は「名前がかぶらないように」「名前と実態が釣り合わないのは嫌い」と考えていたため、息子の名前のためだけに新しい漢字を作った。
もっとも、中国社会では伝統的に「目上の人間と同じ字を使ってはならない」という意識が強く、皇帝が変わるたびに該当する字の改名が行われていたという点には留意が必要である。
ただし、孫休の件について注釈者の裴松之は「かぶられるのが嫌なら、名前なんてつけなければいいのに」とツッコんでいた。
また、ピーチ姫(マリオシリーズ)は、同シリーズが世界的ビデオゲームとなった後も長らくの間、海外版では「Toadstool(「毒キノコ」の意)」に名前を変えられていた。その理由は「英語圏の人名として中途半端にあり得る名前だったので、それが一般化してしまうことを懸念して」と言われている。
海外には「聖書の記述や故事に基づいた100年単位の伝統を持つ名前しか認めない」という敬虔な信者がおり、「人間は万物の霊長」という教義から、他の動物等や植物の名を付けることもタブー視する向きもあった。「桃ちゃん」はそのような場所では立派なキラキラネームなのである。
だが、今日では海外でも普通に「ピーチ」の名で呼ばれている。時代が追いついたのだ。
海外でもDQNネームに頭を悩ませているようである。例えばアメリカでは2014年の命名ランキング200に「Gunner(射撃手)」がランクインしたことがあり、いくら銃社会とはいえ、アメリカ国外でも問題となった。
また、スウェーデンでは日本の「悪魔ちゃん」騒動に近い性質の事件として、ある夫婦が1991年に生まれた自身の息子に「Brfxxccxxmnpcccclllmmnprxvclmnckssqlbb11116」(読みは"アルビン")とつけようとして裁判所に却下された上に、上告して「A」(こちらも読みはアルビン)という名前で届出を出し、これも却下された。
そもそもこの問題は夫婦が出生から5年経っても名前の届出がなかったことから、裁判所が罰金を科したことに端を喫している。夫婦は「DQNネーム」をつけることを禁止する内容の法律※に対する抗議としてこの名前をつけたとしており、判決に対する反論として「示唆に富む表現主義的な創作物で、私達は芸術的創造物の1つだと思っている」と発表している。
※条文には「命名しようとする名前で、それを使用する人に不快感をもたらすものや、名前としてふさわしくない何らかの明確な理由のあるものは受理されない。」とある。
ちなみに日本では問題なく通る名前でも海外の発音では別の意味になってしまう名前も残念ながら存在する。逆も然りである。例えば「カツオ」はイタリア語では「cazzo=アレ」に聞こえるため、「勝男」などの名前の人は驚かれてしまうだろう。
DQNネームいとをかし(DQNネームの何が問題なのか)
これまで挙げてきた名前からも分かるように、DQNネームには初見殺しが非常に多い。初見殺しは所詮初見殺しなので、2回目以降は確かに強い個性を演出できるのだが、それでは遅いという状況も世の中には存在する。
例えば一分一秒を争う救急救命の現場からは、本人確認に手こずることでのタイムロス(名前が読めないのでカルテが見つからない等)が発生しやすくなる危険性が指摘されている。珍しい名前故に患者取り違えこそ起こり辛いだろうが、「治療同意書の名前(ふりがな含む)が間違っている=治療同意書は無効」となっては医者も裁判が怖くて身動きが取れないだろう。つまりネタではなく本気で名前のせいで死ぬ可能性が存在する。
そもそも落語の『寿限無』も原典では「川に落ちた子供(寿限無)のフルネームを長々と言い合っている間に溺れ死んでしまった」と言うブラックなオチである(現代では『にほんごであそぼ』など子供向け番組や書籍で紹介されることも多いため、ブラックネタを避けて「転んでコブが出来たけど、名前を言い合っている間に引っ込んでしまった」「朝に友達が一緒に学校に行こうと誘いに来たが、名前を呼んでいるうちに遅刻してしまった」などに改編されている)。
他方、DQNネームとは言えない名前でも、読みにパターンが複数あって初見で正確に読むのは難しい名前や、旧字体と新字体を区別する必要がある文字が使われている自体は珍しくなく、そもそも本人の名前すら分からない状態で治療することも考えられるため、DQNネームの問題と言うよりもむしろ救急救命の現場の運用や、そうした運用を強いる法制に問題があるのではないかという指摘もある。
また、企業などの採用試験において、DQNネームの受験者は優先的に排除する、と話す面接官もいる。
非常識な名前を付ける親はモンスターペアレントの可能性が高く、むしろ本人の能力以前の問題として振い落とす判断基準にしかなっていないというのである。
特に有名私立幼稚園や小学校での面接は「(これからの教育で直しようがある)子供本人よりも、(悪く言えば既に手遅れな)親の態度の方を重点的に見ている」とされ、DQNネームのもう一つの意味「DQNな人がつけた名前」に関係すると言える。
普段ネットでDQNネームを叩いている人間も、リアルのどこかに必ず実在しているはずである。そうした人間が進学や就職を左右できる立場にいない保証はどこにも無い。つまり、本人の人格や経歴、能力を無視して、単にDQNネームが嫌いだから落とす、というケースも想定される。
もちろん、DQNネームをつける親よりも、いじめや差別を行う者の責任が重大であることは疑いないだろう。ただ、そうした加害者の責任を追及したところで事態が解決するわけではなく、そうした標的にならないことを意識することは、子どもを守ることでもあるのである。
「DQNネーム」と親、子の能力に関連した話題として、女性の名前として「子」が付く名前を付けられた集団の学力は、それ以外と比べて優位に高くなるという研究がある。
もっとも、これは「しっかりとした名前を付けるだけの教養がある親は、それだけ子供にも深い教養を身に付けさせる傾向(常識)がある」と推測され、単に「子」を付けただけで絶対に頭が良くなったりするわけではない。「◯◯子」は現代日本において比較的古風な名前となっているが、それだけ名前や名付けに関する価値観が多様化しているともいえる。
逆に前述の森鴎外らのように、しっかりとした教養があったがゆえに逆に(一般人の知識では到底読めないような)凝った名前を付けてしまうといった例もまたある。
また、DQNネームをつけられた子供は名付けた親に対して恨みを覚える可能性が高く、過去には名づけが原因で殺人にまで発展してしまったという例も存在する。
組織などのDQNネーム
名前で損をするのは、学校や企業側も同じである。例えば「東京都立大学」等4校を再編して誕生した「首都大学東京」は、当時の都知事が直々に文学的センスを発揮した命名を行ったほどの目玉政策だったのだが、その期待に反して従来より人気が低迷したと言われている。
具体的には、名公立だか私立だか名前からわからない、内部組織も「都市教養学部」などと何をやっているのかわからない、そもそも「大学」と既に印字されている書類への記入方法がわからないと、中の人(職員)からもたびたび異論が出るほどの名前である。結局、2020年4月に「東京都立大学」に戻ることが決定した。
一般的な法則から外れた名前が、いかに不合理かということがよくわかるエピソードであろう。
キラキラとした名前(センテンス)が天空(そら)から舞い降りてくる瞬間(とき)(DQNネームを生み出しがちな状況)
自分はDQNでもインテリでもアーティストでもないから普通の名前が付けられると思っているそこのあなた。それはただの慢心かもしれない。以下のような状況に陥った時、人は簡単にDQNネームを付けてしまうのである。
- 出産~産後にかけてホルモンが不安定になって、勢いが止められない。(マタニティハイ)。
- 外国や二次元が好きすぎるあまり、その世界基準で物事を考えた。
- ↑と関連して、ハネムーンベイビーで、新婚旅行で行った国や土地にまつわる言葉を由来にしたい。
- 少年少女時代に罹患した病気が完治していないことに気付いていない。
- 姓名判断にこだわり、無理に縁起のいい事物や画数のいい漢字を入れようとする。
- ペットを飼っており、それの名付けと同じ感覚で命名しようとした。
- 子供の可愛らしさに、つい「いずれ老いて死ぬ」という残酷な現実を忘れている。
- 友人や知り合い等に「〇〇パパ」「〇〇ママ」と呼ばれたい(所謂SNS上のハンドルネームと同じ感覚で)。
- 名付け親が(地味だったり、他者と同姓同名だった等で)自身の名前に不満を抱いていた反動。
- 個性や特別感を求めるあまり、誰とも被らない名前にしたい(オンリーワン志向)。
- なかなか名前が決まらず、次第に「普通の名前」がゲシュタルト崩壊を起こしてくる。
現代社会は、後述の通り一度つけた名前を簡単に改名できるわけではない。子供はその名前と一生付き合っていくという点を今一度考え直して、できるだけ多くの人と相談しながら決めることを心がけるようにすべきだろう。
ジャッジメントタイム(裁判所の見解)
日本でDQNネームが生まれてしまう背景には、戸籍に漢字の読みを表記していないということが一因として挙げられる。上記タイプ2のような命名に配慮したための一応の措置である。
そもそも読み以前の問題(タイプ5、7)は受理しないことを認めた判例も存在している。その基準についてはこちらの解説が詳しい。
逆に言えば、こうした規定故にタイプ3、4を一般的な読み方に変更しようとする分には特に手続きは必要ない。
それ以外の場合でも、所定の手続きを踏めば戸籍から漢字・かなを変更できる。
つけた当事者である親が反対してくる場合も少なくないが、15歳以上なら自分の意思で変更手続きを行うことが可能である。詳細は改名の項目を参照のこと。
ただし、多かれ少なかれ社会的混乱を招き、本人および周囲に負担がかかることは想像に難くない。DQNネームは消えた後までも迷惑をかけ続ける代物なのである。
余談
漫画キャラにDQNネームがつけられる理由
本項では基本的には創作における架空の人物の名前を例に「DQNネーム」を紹介したが、これらの名前は「おかしな名前」などと作中で言及されない限り、現代社会と同じ命名法則・価値基準によるものではないため、あくまで我々から見れば奇妙な名前というだけのこともある。
漫画などのキャラクターには、個性やインパクトが求められる。一発で性格がわかるダジャレネームや、普通の名前のモブキャラに比べて浮く、名前をメインキャラにつけるなど。他には、「夜神月」や「ジャイ子」のような、悪役や汚れ役のキャラについては、同名の子がいじめられないための配慮もある。(夜神月は前述の通り現実に影響を与えてしまったわけだが...)
実際そのようなキャラクターにありふれた名前を付けた事によって、同名の人から苦情が殺到したケースもある。
そのため、現実とは違い漫画やアニメのキャラに付けられる変な名前は咎められるものではない。
連鎖現像(関連イラスト)
共同命題(関連項目)
西尾維新 鎌池和馬 奇妙な名前のキャラクターが多い作家として知られる。
特徴的な名前について、特記すべき内容がある人物
- アドルフ・ヒトラー - 言わずもがなの所業からドイツ語圏ではDQNネーム扱いされている。特に「アドルフ」に関しては、命名をネタした映画ができたほど。
- 鈴木一朗 - 世界的野球選手「イチロー」の本名。名前を個性にした好例としてよく引き合いに出される。なお、より普通らしい「一郎」ではないのは、そもそも「一」の字が彼の一族に代々伝えられてきた漢字であり、「長子」という意味が込められたものではないため。彼自身長男ではない。
- 下條アトム - 俳優。なんと鉄腕アトムよりも前につけられた本名である。
- 妹尾河童 - 舞台美術家・エッセイスト。元々は「妹尾肇」という名前であったが、ニックネームだった「河童」が仕事上広く浸透し、しまいには本名を誰からも覚えてもらえない・誰も知らない事があった他に私生活でも不都合な事があって自ら改名するに至った。数少ない普通の名前から珍奇な名前に変えた人である。
関連リンク
- DQNネーム(子供の名前@あー勘違い・子供がカワイソ)(外部リンク)
キラキラ、DQNネームを集めた、DQNネームを語る際に必見とされるサイト。
「俺には読めなかったからDQNネーム」レベルのノミネートも多数あり、反面教師としても有用な存在。